あと何回、平和なクリスマスを過ごせるんだろう?

神永 遙麦

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あと何回、平和なクリスマスを過ごせるんだろう?

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 私は一体あと何回、平和なクリスマスを過ごせるんだろう?

 ウクライナとロシアの戦争は未だに終わらない。今年はイスラエルの戦争が始まった。いつかは日本も戦争に巻き込まれるかもしれない。
 もしかしたら、天災かも。事故? 事件?
 来年の、クリスマスを祝う人々の中に、私はいるのかな?

 クリスマスが近づくと、不安になってくる。年末だってことも関係してるかも。手が悴むくらい寒いってことも関係しているかも。

 なんだって私は、こんな寒い日に1人でイルミネーションを見に来たんだろう。一応、彼氏いるのに。
 私はバイト休みだけど、彼はバイトの残業中。ただそれだけの話。なら日曜を待てばいい。だけど何となく1人で来たかった。
 さっき買った肉まんはもう、冷えっ冷えで鞄の中に入っている。カフェオレはまだあったかい、今買ったから。
 カップルが増えてきた。1人で来た私を指差す気配に居心地悪さを感じた。

 私は一体、誰のために生きているの?
 私が骨身を削って納めた税金は戦争の費用に使われるかもしれない。将来のためにしている貯金も、早死にすれば葬式費用 ——いらないけど——。夏場は美景のために草むしりを頑張っていたけど、ひょっとしたら翌日には焼け野原かもしれない。

 私は、幸せになりたい。その未来に彼氏の姿がなくたっていい。長生きできて、衣食住が脅かされない生活さえできれば。
 高望みかもしれない。この時代だと特に。でも、当然な願いでもあるはず。


 カップルの群れから逃れるようにイルミネーションから離れた。
 視界にクリスマスツリーが入った。もみの木は「永遠」の象徴らしい。あれはたぶんもみの木じゃないだろうけど構わず、ささやかな願いをかけた。
 今の時代だと煌めいて見えるような願い。だけどダイヤモンドのように強く、昔から変わらない小さな祈り。きっと今ごろ世界中で祈られているような普遍的な願い。

 スマホの着信が鳴り、鞄を漁ると肉まんが出てきた。包み紙を剥がして齧ると中の方はまだ、ほんのりとだけ温かった。
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