来年への期待、今日の止められない一杯

神永 遙麦

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来年への期待、今日の止められない一杯

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 そっと窓ガラスに指が触れた時、冬の訪れを知った。スマホで調べると今日は立冬だった。
 そのせいで、今日は夜ふかしをしそう。今年も何かをしなかった、という焦燥感。今年の初めにやりたい、と望んだことを半分も。だから、夜ふかしをして何かをすることで気分だけでもスッキリしたいのかもしれない。
 
 と、ビール片手に私は思った。
 今日は平日だ。ビールなら明日の夜に飲めばいい。明日は金曜だから。

 1年の目標を立てるのは簡単だ。その年が始める前は、始まった時には1年は長く感じる。1年後の未来は地平線の向こうで輝く太陽のようにしか考えられない。これからの1年はまだ誰も知らない未来。これから染めていく未来。だから、自分を努力する人間のように錯覚してしまうのだろう。年を越えるからと言って自身の内面までが変わるわけがないのに。
 今年の自分に見切りをつけ、来年の自分にばかり期待してしまうのは、それでも変わりたいと願っているから。

 来年は禁酒しよう。少しでいいから体も絞ろう。
 来年の秋には忘れていそうな目標。それでも立てることに意味があるのだと思うようにしている。ほんの一時でも意識を変えていれば、何年か後には積み重なった新年限定の意識が影響を齎してくれるかもしれないから。
 
 3本目のビールを干した。4本目に手を出そうとして、ふっと手を止めた。
 さっきから年越えばかりを気にしているが、1日の始まりと終わりもまた然りだ。
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