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家まで東園寺さんに車で送ってもらったんだけど、帰り道は控えめに言って地獄だった。
いつ、東園寺さんが野々原さんに私が樹林君のファンじゃないと話すのかと身構える緊張感。
東園寺さんらしい、車高の低くエンジン音の大きな高級スポーツカーの重低音。
すべてが私を責めるものに感じて、たった10分の乗車時間が1時間くらいに感じた。
私が乗っている時には野々原さんに言わないでくれていたけど、きっともう話しちゃっているんだろうな。
野々原さんが聞いたらきっと嫌な気持ちになるよね。
それに、東園寺さんにも悪いことしちゃった。
ファンだと思ったから、喜ぶと思ったから、樹林君を私に合わせたんだろうから。
東園寺さんには謝っておけばよかったな……。
「李衣菜ちゃん、ちょっと話があります。」
「えっ、なあーーに???」
うちのリビングに着いて、すぐに李衣菜ちゃんをソファーに座るように促す。
李衣菜ちゃんが全部悪いわけじゃないけど、また外で同じことをされると困ってしまう。
「あのね、外では、私が樹林君のファンじゃないっていうの内緒だった……よね??」
「……はっ!!!そうだったっ!!ごめんっ!!ごめんね!!穂香っ!!!」
李衣菜ちゃんは涙をためて真剣に謝ってくれる。
そうなんだ。李衣菜ちゃんは、毎回毎回悪気があるわけじゃない。
すぐに忘れちゃうだけなんだよね。
出かける前に注意しなかった私も悪い。
そして何より、ファンじゃない私が、一番悪い。
「ううん、今度からは本当に言わないでね。私も注意するから。
さ、手洗ってうがいしてさ、うちわ作りはじめようか」
いつ、東園寺さんが野々原さんに私が樹林君のファンじゃないと話すのかと身構える緊張感。
東園寺さんらしい、車高の低くエンジン音の大きな高級スポーツカーの重低音。
すべてが私を責めるものに感じて、たった10分の乗車時間が1時間くらいに感じた。
私が乗っている時には野々原さんに言わないでくれていたけど、きっともう話しちゃっているんだろうな。
野々原さんが聞いたらきっと嫌な気持ちになるよね。
それに、東園寺さんにも悪いことしちゃった。
ファンだと思ったから、喜ぶと思ったから、樹林君を私に合わせたんだろうから。
東園寺さんには謝っておけばよかったな……。
「李衣菜ちゃん、ちょっと話があります。」
「えっ、なあーーに???」
うちのリビングに着いて、すぐに李衣菜ちゃんをソファーに座るように促す。
李衣菜ちゃんが全部悪いわけじゃないけど、また外で同じことをされると困ってしまう。
「あのね、外では、私が樹林君のファンじゃないっていうの内緒だった……よね??」
「……はっ!!!そうだったっ!!ごめんっ!!ごめんね!!穂香っ!!!」
李衣菜ちゃんは涙をためて真剣に謝ってくれる。
そうなんだ。李衣菜ちゃんは、毎回毎回悪気があるわけじゃない。
すぐに忘れちゃうだけなんだよね。
出かける前に注意しなかった私も悪い。
そして何より、ファンじゃない私が、一番悪い。
「ううん、今度からは本当に言わないでね。私も注意するから。
さ、手洗ってうがいしてさ、うちわ作りはじめようか」
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