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第10話 事務所設立
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「会社作ろうと思うんだ」
演劇部の部室。
例によって呼びだされた雨歌は、机に肘をつき手を組み、視線を落とした状態で呟く志麻を前に、軽く溜息を吐いた。
「藪から棒に、なんですか?」
面倒な話かもしれないと思いつつ、巻き込まれるのは確定なのだろうな、と腹を括る。いつだってそうだ。志麻の突発的な発想は、雨歌の想像をはるかに超えてくる。
小暮とのCM撮影から十日。志麻がそわそわしていることには気付いていた。
「小暮監督の仕事を目の当たりにして、思ったことがある。彼の背中を追うためには、会社の立ち上げが必要だ、とね!」
本当に唐突であり、思いもよらない言動に、雨歌が頭を掻く。
「ちゃんと説明してください」
「ま、座り給え」
言われ、素直に隣に腰を下ろす。
「実は、例のCMだが、ゴーサインが出た」
「……そうなんですか?」
元々やるはずだった三栗谷ちひろが、今更ながらに自分がやりたいと言ってゴネた、という話を聞いたばかりだったのだが……案外早く片が付いてしまったようだ。
「ちひろ本人は、まるで危機感を持っていなかったみたい。自分の失態でドタキャンしただけでも問題なのに、今更やらせろなんてゴネやがって。ま、どこの誰とも知らんやつが代役しました、ってのが納得いかないって言い出したらしいんだけどね。小暮監督があの映像を三栗谷ちひろに見せたんだって。そうしたら、血相変えて掌返しよ。『ここまで作っちゃってるなら仕方ないわね』だってさ! ほんとのとこは、降参なんだよ。あれ以上の演技を、アイドル上がりの自称演技派女優に出来るわけないもんね。ざまぁ見ろだ!」
ぬふふふ、とおかしな笑い声を漏らす志麻。
「それで、だ。今回のCMをきっかけに、雨歌にオファーが来ているのだよ」
「えっ?」
「小暮監督が、またあんたを使いたいって。とある大学の舞台芸術学科で、講師をすることが決定しているらしいんだけど、そこで学生たちに見せるショートムービーに出てほしいって」
また使いたい、と思ってもらえたのは有難いことだ。
「……勝手に返事してないですよね?」
志麻を睨み、雨歌。小暮大好きな志麻のことだ。二つ返事で了承している可能性がないとは言えなかった。
「さすがにそれはしてない! けど、この前のCMの件で分かったのは、あんたがフリーだと何かあった時にすぐ対応できないってこと。会社所属なら、面倒な契約とか全部会社で出来るじゃん?」
志麻の言う通りだった。簡単なエキストラと違って、ある程度ちゃんとした形で撮影に関わるとなると、細かい契約書や誓約書を交わす必要が出てくる。今回は志麻の父である佐伯二三男が保証人になってくれたが、毎回頼むのは気が引けるし、手間だった。雨歌の父である順平は海外出張が多く、いつでもいるというわけではない。そうなると、どこかの会社に名を連ねるのが手っ取り早いのは確かだ。
「雨歌がこれからどうしたいか、ってことを考慮するなら、急いでどこかの事務所に所属するってのも速断に過ぎるでしょ? だったらいっそ、私が会社作って、雨歌をそこに入れておけばいいんじゃないか、って思い付いたわけ!」
「……なる、ほど」
「親に話したら、大賛成でさ。ママが手伝ってくれるって!」
「瞳さんが?」
志麻の母親は、雨歌にとっても母親のようなものである。元々芸能界で仕事をしていた彼女なら、多分、業界についても詳しいだろう。
「どう? 悪い話じゃないでしょ?」
「それは……そうだけど」
「小暮監督のショートムービー、出たくない?」
悲しそうな顔で雨歌を見上げる志麻。これはおねだりだ。雨歌をダシに、また小暮とお近付きになろうという作戦に違いなかった。
「……ぐっ」
雨歌としても、小暮作品に関われるというのは悪い話ではない。まだ自分をどうプロデュースするか決めあぐねてはいるが、あんな風に現場で撮影に参加できるというのは悪くない。現場の空気を知ってしまった今、次があるというのは雨歌にとっても有難い話だった。
「わかった」
首を縦に振る。母親代わりでもある瞳が乗り気だというのも、理由の一つだ。彼女には何らかの形で恩を報いたいと思っていたのだから。
「やった! 決定~!」
志麻が両手を上げて喜びを新たにした。
「じゃ、早々に会社設立するから。会社名はもう決まってるんだ」
「早いですね。なんて名前にするんです?」
「9colors company」
「え?」
九つの、色。雨歌が尊敬するある役者の言葉。
『役者に必要な色は、九つ。虹の色……赤・橙・黄・緑・青・藍・紫。それに、安息の黒と、絶望の白を足した九色なの』
九つの色を纏う役者になりたい。
それが幼い頃からの、雨歌の夢であり、目標だった。志麻はそれを知っている。だからこその、会社名なのだろう。
「悪くないでしょ?」
にんまりと笑い、拳を突き出してくる志麻。雨歌も拳を突き出し、合わせる。
「うん、悪くない」
……いよいよ、始まるのだ。
◇
学校帰り、真広と雨歌は並んで歩いていた。たまたま帰りが一緒になった、というよりは、たまたまを装って真広が雨歌を待ち伏せていた、と言った方がいい。
「志麻ならやりそうだな」
志麻が会社を立ち上げる話をしたのだが、真広はあまり驚いてはいないようだ。志麻の性格は、真広も熟知している。
「……けど、さ」
急に真面目な顔になり、真広が雨歌を見つめる。
「なに?」
「あの……さ」
真広らしくない歯切れの悪さに、雨歌が顔を覗き込む。
「なに、どうしたのよ?」
「変なこと聞くけど、雨歌って……その、恋愛とかって経験あんの?」
「……は?」
予想外の質問に、雨歌が眉を寄せた。長い前髪のせいで見えはしなかったが。
「いや、こないだの撮影見てて思ったんだけど、ああいう恋愛物?みたいな演技する時って、どうしてんだろうな、と」
何とか誤魔化しつつ、探りを入れる。
「ああ、確かに。私にはあの手の経験はないから、感覚だけで演じてるかな」
「経験……なしか」
真広がホッと息を吐く。いや、ホッとしている場合ではない。自分とて対象外だと宣告を受けたも同然なのだ。このままでは、まずい。
「恋愛、さ、してみようとは思わないわけ?」
思い切って訊ねてみる。と、雨歌がきょとんとした顔で真広を見る。
「恋愛って、してみようと思ってできるものなの?」
心理を突いてきた。その通りだ。しようと思ってできるわけではない。だが、そんなことを言ったら元も子もない。真広はさも正解であるかのように、
「興味を持つか持たないかは大事だろ? 漠然と遠くから眺めているだけじゃ、いつまで経っても無関係なままだ。無関係……違うな、無関心ってことになるんじゃないか?」
と語る。「無関心」と聞き、雨歌がピクリと反応した。
「私だって興味がないわけじゃないもん! 恋愛と芝居は切っても切れないものだし、嫉妬からの憎悪や、愛ゆえの殺意や、そういうの知りたいしっ」
「……なんでそんな極端な。まずは普通に『きゅん』とかだろ?」
雨歌の情熱がズレているのはいつものことだ。真広が訂正すると、
「ああ、それって確かによく聞く言葉だけど……正直よくわからないや」
「じゃあさ、俺と」
真広が雨歌に手を伸ばしたその瞬間、
「あっちよ!」
「きゃー!」
若い女性たちの集団が真広と雨歌にぶつかりながら走って行った。人数にして十五、六人だろうか? 興奮した様子で走りゆくその姿は、ヌーの群れのようだった。
走り去った女性たちを呆気にとられながら見送る。
「……なんだ、あれ?」
「さぁ?」
道の端で目をぱちくりさせていると、背後から黒ずくめの男が近付く。黒の服にバケットハット、サングラスにマスクという、この上なく怪しい恰好。スッと雨歌に手を伸ばしたところで、真広が動いた。パッとその手を掴み、間合いを詰めると、くるりと腕を捻り壁に体ごと押し付ける。
「痛ててててっ」
男が声を出すと、雨歌が真広を止める。
「真広、この人っ」
真広もその正体に気付いたようで、慌てて手を離した。
「ちょ、なんであんたがこんなとこにいるんですかっ」
腕をさすりながら振り向いた男は、サングラスを外すとにこやかに笑った。
「やっと見つけた。イチゴちゃん」
それはダンスボーカルグループENDのリーダー、ONAGAだった。
演劇部の部室。
例によって呼びだされた雨歌は、机に肘をつき手を組み、視線を落とした状態で呟く志麻を前に、軽く溜息を吐いた。
「藪から棒に、なんですか?」
面倒な話かもしれないと思いつつ、巻き込まれるのは確定なのだろうな、と腹を括る。いつだってそうだ。志麻の突発的な発想は、雨歌の想像をはるかに超えてくる。
小暮とのCM撮影から十日。志麻がそわそわしていることには気付いていた。
「小暮監督の仕事を目の当たりにして、思ったことがある。彼の背中を追うためには、会社の立ち上げが必要だ、とね!」
本当に唐突であり、思いもよらない言動に、雨歌が頭を掻く。
「ちゃんと説明してください」
「ま、座り給え」
言われ、素直に隣に腰を下ろす。
「実は、例のCMだが、ゴーサインが出た」
「……そうなんですか?」
元々やるはずだった三栗谷ちひろが、今更ながらに自分がやりたいと言ってゴネた、という話を聞いたばかりだったのだが……案外早く片が付いてしまったようだ。
「ちひろ本人は、まるで危機感を持っていなかったみたい。自分の失態でドタキャンしただけでも問題なのに、今更やらせろなんてゴネやがって。ま、どこの誰とも知らんやつが代役しました、ってのが納得いかないって言い出したらしいんだけどね。小暮監督があの映像を三栗谷ちひろに見せたんだって。そうしたら、血相変えて掌返しよ。『ここまで作っちゃってるなら仕方ないわね』だってさ! ほんとのとこは、降参なんだよ。あれ以上の演技を、アイドル上がりの自称演技派女優に出来るわけないもんね。ざまぁ見ろだ!」
ぬふふふ、とおかしな笑い声を漏らす志麻。
「それで、だ。今回のCMをきっかけに、雨歌にオファーが来ているのだよ」
「えっ?」
「小暮監督が、またあんたを使いたいって。とある大学の舞台芸術学科で、講師をすることが決定しているらしいんだけど、そこで学生たちに見せるショートムービーに出てほしいって」
また使いたい、と思ってもらえたのは有難いことだ。
「……勝手に返事してないですよね?」
志麻を睨み、雨歌。小暮大好きな志麻のことだ。二つ返事で了承している可能性がないとは言えなかった。
「さすがにそれはしてない! けど、この前のCMの件で分かったのは、あんたがフリーだと何かあった時にすぐ対応できないってこと。会社所属なら、面倒な契約とか全部会社で出来るじゃん?」
志麻の言う通りだった。簡単なエキストラと違って、ある程度ちゃんとした形で撮影に関わるとなると、細かい契約書や誓約書を交わす必要が出てくる。今回は志麻の父である佐伯二三男が保証人になってくれたが、毎回頼むのは気が引けるし、手間だった。雨歌の父である順平は海外出張が多く、いつでもいるというわけではない。そうなると、どこかの会社に名を連ねるのが手っ取り早いのは確かだ。
「雨歌がこれからどうしたいか、ってことを考慮するなら、急いでどこかの事務所に所属するってのも速断に過ぎるでしょ? だったらいっそ、私が会社作って、雨歌をそこに入れておけばいいんじゃないか、って思い付いたわけ!」
「……なる、ほど」
「親に話したら、大賛成でさ。ママが手伝ってくれるって!」
「瞳さんが?」
志麻の母親は、雨歌にとっても母親のようなものである。元々芸能界で仕事をしていた彼女なら、多分、業界についても詳しいだろう。
「どう? 悪い話じゃないでしょ?」
「それは……そうだけど」
「小暮監督のショートムービー、出たくない?」
悲しそうな顔で雨歌を見上げる志麻。これはおねだりだ。雨歌をダシに、また小暮とお近付きになろうという作戦に違いなかった。
「……ぐっ」
雨歌としても、小暮作品に関われるというのは悪い話ではない。まだ自分をどうプロデュースするか決めあぐねてはいるが、あんな風に現場で撮影に参加できるというのは悪くない。現場の空気を知ってしまった今、次があるというのは雨歌にとっても有難い話だった。
「わかった」
首を縦に振る。母親代わりでもある瞳が乗り気だというのも、理由の一つだ。彼女には何らかの形で恩を報いたいと思っていたのだから。
「やった! 決定~!」
志麻が両手を上げて喜びを新たにした。
「じゃ、早々に会社設立するから。会社名はもう決まってるんだ」
「早いですね。なんて名前にするんです?」
「9colors company」
「え?」
九つの、色。雨歌が尊敬するある役者の言葉。
『役者に必要な色は、九つ。虹の色……赤・橙・黄・緑・青・藍・紫。それに、安息の黒と、絶望の白を足した九色なの』
九つの色を纏う役者になりたい。
それが幼い頃からの、雨歌の夢であり、目標だった。志麻はそれを知っている。だからこその、会社名なのだろう。
「悪くないでしょ?」
にんまりと笑い、拳を突き出してくる志麻。雨歌も拳を突き出し、合わせる。
「うん、悪くない」
……いよいよ、始まるのだ。
◇
学校帰り、真広と雨歌は並んで歩いていた。たまたま帰りが一緒になった、というよりは、たまたまを装って真広が雨歌を待ち伏せていた、と言った方がいい。
「志麻ならやりそうだな」
志麻が会社を立ち上げる話をしたのだが、真広はあまり驚いてはいないようだ。志麻の性格は、真広も熟知している。
「……けど、さ」
急に真面目な顔になり、真広が雨歌を見つめる。
「なに?」
「あの……さ」
真広らしくない歯切れの悪さに、雨歌が顔を覗き込む。
「なに、どうしたのよ?」
「変なこと聞くけど、雨歌って……その、恋愛とかって経験あんの?」
「……は?」
予想外の質問に、雨歌が眉を寄せた。長い前髪のせいで見えはしなかったが。
「いや、こないだの撮影見てて思ったんだけど、ああいう恋愛物?みたいな演技する時って、どうしてんだろうな、と」
何とか誤魔化しつつ、探りを入れる。
「ああ、確かに。私にはあの手の経験はないから、感覚だけで演じてるかな」
「経験……なしか」
真広がホッと息を吐く。いや、ホッとしている場合ではない。自分とて対象外だと宣告を受けたも同然なのだ。このままでは、まずい。
「恋愛、さ、してみようとは思わないわけ?」
思い切って訊ねてみる。と、雨歌がきょとんとした顔で真広を見る。
「恋愛って、してみようと思ってできるものなの?」
心理を突いてきた。その通りだ。しようと思ってできるわけではない。だが、そんなことを言ったら元も子もない。真広はさも正解であるかのように、
「興味を持つか持たないかは大事だろ? 漠然と遠くから眺めているだけじゃ、いつまで経っても無関係なままだ。無関係……違うな、無関心ってことになるんじゃないか?」
と語る。「無関心」と聞き、雨歌がピクリと反応した。
「私だって興味がないわけじゃないもん! 恋愛と芝居は切っても切れないものだし、嫉妬からの憎悪や、愛ゆえの殺意や、そういうの知りたいしっ」
「……なんでそんな極端な。まずは普通に『きゅん』とかだろ?」
雨歌の情熱がズレているのはいつものことだ。真広が訂正すると、
「ああ、それって確かによく聞く言葉だけど……正直よくわからないや」
「じゃあさ、俺と」
真広が雨歌に手を伸ばしたその瞬間、
「あっちよ!」
「きゃー!」
若い女性たちの集団が真広と雨歌にぶつかりながら走って行った。人数にして十五、六人だろうか? 興奮した様子で走りゆくその姿は、ヌーの群れのようだった。
走り去った女性たちを呆気にとられながら見送る。
「……なんだ、あれ?」
「さぁ?」
道の端で目をぱちくりさせていると、背後から黒ずくめの男が近付く。黒の服にバケットハット、サングラスにマスクという、この上なく怪しい恰好。スッと雨歌に手を伸ばしたところで、真広が動いた。パッとその手を掴み、間合いを詰めると、くるりと腕を捻り壁に体ごと押し付ける。
「痛ててててっ」
男が声を出すと、雨歌が真広を止める。
「真広、この人っ」
真広もその正体に気付いたようで、慌てて手を離した。
「ちょ、なんであんたがこんなとこにいるんですかっ」
腕をさすりながら振り向いた男は、サングラスを外すとにこやかに笑った。
「やっと見つけた。イチゴちゃん」
それはダンスボーカルグループENDのリーダー、ONAGAだった。
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