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少年期編

言い合い

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~前書き~

今回、ほとんどが良い合いの話になります。
とりあえず、興味が無い場合は飛ばしても大丈夫です。

それでは、本編をどうぞ。


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「だから、聞き分けが無いのはクルスさんでしょうが!!もう少し冷静に事を考えてください!!」

「はぁ!?リュウ殿こそ、まだ七歳という歳で私に意見を言うこと自体が間違っている!!」

「残念だがら、地位に歳も何も無いんです!!」

「これだから子供の頭では理解出来ないのだ!!この芸術のために金を使わず、何時その溜まった金を使うというのだ!!」

「金を使うのに反対はしてないじゃないですか!!」

「では、何が問題なのだ!!」

「クルスさんが税金で支払っていることです!!」

「そんなの全体の一部にすらなっていない量じゃないか!!」

「量の問題では無く、使ったという問題です!!」

「何が違うというのだ!!」

「クルスさんは既に公爵家当主になって長いでしょうが!?」

「知らないものは知らないのだ!!」

「屁理屈を言うのは止めてください!!クルスさんが間違っているんです!!」

「ええい!!こうなったら、騎士団長と魔道師団長を動かすぞ!?」

「やってみてくださいよ!?瞬殺してあげますから!!」

「リュウ殿の適正は卑怯だぞ!!」

「話が逸れてますって!!とにかく、使った分の金を働いて稼いでください!!」

「どうやって稼ぐのだ!?」

「貴方はそれでも大人ですか!?」

「この際子供でも良いわ!!」

「・・・・・・・・・・もう、話が矛盾してますよ」

「ならば聞こう!!リュウ殿は、カレンに対して幾ら使っているのだ!?」

「金貨四十二枚!!(日本円で4,200,000円)」

「リュウ殿も無駄な出費をしているではないか!!」

「これは俺が稼いだ金です!!どう使おうと自由でしょうが!?」

「大体!リュウ殿はカレンの何処に惹かれているのだ!?ただ漠然と愛しているだけでは、何も伝わらないぞ!?」

「可憐で儚く、美しい見た目を持つのに、その瞳によって美少女へと変える可愛さ!!普段は強気でいるのに、本当は不安で一杯なのを隠そうとする健気さ!!壁に当たっても折れることの無い心!!他人を気遣うことも出来る優しさ!!意見を理解し、譲ることも、譲歩することも出来る賢さ!!」←カレンにも聞こえている。

「リュウ殿、貴方はカレンの味方だ!!」

「ええそうです!!では、逆に聞きますが、リリナの何処に惹かれているんですか!?」

「その無垢な瞳と愛らしい顔!!整った髪が揺れる様は正に姫!!さらに、その歳で身につけている丁寧な物言いは、背伸びを頑張るようで可愛らしい!!自立した心を持っている!!なによりも!!不安な時でも、悲しい時でも、相手を信じ、精一杯笑顔を作る姿は、最も守るべきものだ!!」←リリナにも聞こえている。

「クルスさん。貴方にリリナを任せて良かった!!」

「リュウ殿も。カレンを貴殿に任せて良かった!!」


視線を交差させた後、固く握手を結んだ。
その顔は、どちらも晴れ晴れとした笑みだ。


「最初の話はどうなったんですか!?」

「「あ・・・・・・・・・・・・・・」」


介入してきたカレンによって話しは戻されたが、先ほどの会話によって落ち着いたクルスさんが、負けを認めた。
こうして、カレンとリリナの精神が大量に削られただけの会話は、幕を閉じたのだった。

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~後日談~

「うぅ~何度聞いてもリュウは酷かったですわ」

「御免って。でも、カレンはそれだけ可愛いんだから」

「はぅっ・・・・・・・・・・・・・やっぱり酷いですわ~」


カレンが差恥心を刺激され続けるのは、この後五日にも及んだらしい。
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