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英雄と王女。学園まで1ヶ月
決闘の後で、**を
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「此処は………?」
「気付いたか」
微かな声でそう呟いたシュンに、俺はそう告げた。
その声を聞き、顔を上げようとしたシュンは、その顔を苦痛に顰める。
身体は再生した。しかし、痛みを感じない訳では無いのだ。
見た目は万全の健康体だが、先ほどの闇に飲まれたダメージは今もシュンに蓄積されている。
これを取り除くことも、今のシュンなら可能だろう。
「痛た。【回復】」
光がシュンを包み、その痛みを癒しているのだろう。
シュンの表情は、何処かスッキリとしたモノのように見える。
そのまま起き上がり、シュンは俺を見た。
俺の隣に立っている、リィナも、その視線に入ったのだろう。
シュンの身体が、硬直した。
目は見開かれ、その瞳には驚愕が占められている。
「どう、して…………だって、リィナは、でも……」
呆然と何かを呟くシュンを見て、リィナはクスリと微笑んだ。
花の咲いたようなその笑みに、シュンは思考を中断して見入り、その視線を釘付けにした。
「完全にベタ惚れだな」
「え?ああああ!!違う!!いや違わないか!?だって好きだし…ってああああ!!!」
「こりゃ、リィナも幸せだな」
「……ええっ!」
1人で騒ぐシュンを見て、俺はそう言った。同意したリィナは、何処か嬉しげで、何よりも誇らしそうだった。
_まあ、シュンも幸せを掴もうとしてるんだ。応援しなくてはな。
頬が緩くなるのを感じながら、俺はシュンに告げた。
「シュン。リィナは、お前に捧げるために残してるそうだぞ」
「……………ッ!?!?!?!」
「あああああ!!それは言っちゃ駄目って!」
意味を理解した途端、顔を真っ赤にするシュン。
それと同じくらい顔を真っ赤にしたリィナが、必至に隠そうとするが、もう遅い。
楽しい、と。そう感じた。
「ただな、シュン。お前、恋人でも無い人のを想像するのは変態だぞ?」
一瞬で、沈黙がその場に降りた。
シュンはさらに顔を真っ赤にして俯き、リィナも同じように下を俯いている。
_この2人。本当に互いに好き過ぎじゃないか?
そう思ってしまうくらいには、この雰囲気は微妙だった。
やがて、顔を上げたシュンは、リィナの方を向いた。
それに気付いたリィナもその顔を上げると、どうやら激しく恥ずかしかったらしく、その可愛らしい顔を沸騰したように赤く染めていた。
「あ、あのさ、リィナ」
「は、はひっ!」
微妙に躊躇いながらもリィナを呼ぶと、緊張と恥ずかしさ故に上ずったリィナの声が返ってきた。
それに、俺が苦笑していると、シュンは一歩、リィナに近づいた。
2人の間を隔てる物は何も無く。その幅は手を伸ばせば触れられるほどだ。
_まあ、あまり近い訳でも無いんだがな。
「リィナ。僕は、救世の勇者だ。世界を救い、民を守ることこそが僕の役目」
「…………………」
シュンの自白を、リィナは黙って聞いていた。
しかし、この場の雰囲気がかなり緊張したものに変化したことくらい、すぐに理解出来た。
場の雰囲気が最高潮に膨れ上がり、俺も何かの高揚感を感じる。
「好きだ、リィナ。これから、くじけた時に、後悔した時に、間違えた時に、僕の傍にいて、支えてほしい。導いてほしい。だから、僕と、付き合ってください」
「ッ!!」
気付くと、リィナの頬を、一筋の涙が伝っていた。
その瞳に何が映っているのかは、俺には分からない。シュンになら、分かることかもしれない。
「…私は、嫉妬深い女です。すぐにヤキモチを焼きますし、我侭だって言います」
「えっ…………?」
突然に始まったリィナの自白に、シュンは呆けた用な声を出した。
しかし、リィナの口調が、雰囲気が、瞳が、何かの覚悟を持っているようで、その口を閉ざした。
「私だって、挫けたり、間違えたり、後悔したりもします。………だから、その時は、シュンが、私を支えてください。………私と、付き合ってください」
「ッ!……うん!」
一拍置いてから、大きく、嬉しそうに、頷いたシュンは、その瞳に溜まる涙を流した。
俺にも、少しだけシュンの過去についての知識はある。
しかし、俺が想像しているよりも、きっと、辛い過去があったのだろう。
最初、俺がシュンを親友を認めた時の、あの涙を流した瞳からは、それだけの感情が伝わってきた。きっと、今のリィナも、同じ感情を感じただろう。
その気持ちを、考えを、思いを、どうやって包み込めるのかが、これからの試練だろう。
恥ずかしそうで、何処か鋭い視線を送るシュンに頷いて、俺はその場を去った。
これから先は、2人だけの、きっと、世界で最も尊いと感じる、秘密の時間なはずだ。
その場に、俺は不要である。
_さて、明日からは、観察か………………
空を見上げると、既に暗闇が支配する寸前である。
これから訪れる夜は、これから始まる朝は、きっと、以前では想像も出来なかった日々になるだろう。
その中で、俺は、幸せを掴みたいと、心からそう思う。
「気付いたか」
微かな声でそう呟いたシュンに、俺はそう告げた。
その声を聞き、顔を上げようとしたシュンは、その顔を苦痛に顰める。
身体は再生した。しかし、痛みを感じない訳では無いのだ。
見た目は万全の健康体だが、先ほどの闇に飲まれたダメージは今もシュンに蓄積されている。
これを取り除くことも、今のシュンなら可能だろう。
「痛た。【回復】」
光がシュンを包み、その痛みを癒しているのだろう。
シュンの表情は、何処かスッキリとしたモノのように見える。
そのまま起き上がり、シュンは俺を見た。
俺の隣に立っている、リィナも、その視線に入ったのだろう。
シュンの身体が、硬直した。
目は見開かれ、その瞳には驚愕が占められている。
「どう、して…………だって、リィナは、でも……」
呆然と何かを呟くシュンを見て、リィナはクスリと微笑んだ。
花の咲いたようなその笑みに、シュンは思考を中断して見入り、その視線を釘付けにした。
「完全にベタ惚れだな」
「え?ああああ!!違う!!いや違わないか!?だって好きだし…ってああああ!!!」
「こりゃ、リィナも幸せだな」
「……ええっ!」
1人で騒ぐシュンを見て、俺はそう言った。同意したリィナは、何処か嬉しげで、何よりも誇らしそうだった。
_まあ、シュンも幸せを掴もうとしてるんだ。応援しなくてはな。
頬が緩くなるのを感じながら、俺はシュンに告げた。
「シュン。リィナは、お前に捧げるために残してるそうだぞ」
「……………ッ!?!?!?!」
「あああああ!!それは言っちゃ駄目って!」
意味を理解した途端、顔を真っ赤にするシュン。
それと同じくらい顔を真っ赤にしたリィナが、必至に隠そうとするが、もう遅い。
楽しい、と。そう感じた。
「ただな、シュン。お前、恋人でも無い人のを想像するのは変態だぞ?」
一瞬で、沈黙がその場に降りた。
シュンはさらに顔を真っ赤にして俯き、リィナも同じように下を俯いている。
_この2人。本当に互いに好き過ぎじゃないか?
そう思ってしまうくらいには、この雰囲気は微妙だった。
やがて、顔を上げたシュンは、リィナの方を向いた。
それに気付いたリィナもその顔を上げると、どうやら激しく恥ずかしかったらしく、その可愛らしい顔を沸騰したように赤く染めていた。
「あ、あのさ、リィナ」
「は、はひっ!」
微妙に躊躇いながらもリィナを呼ぶと、緊張と恥ずかしさ故に上ずったリィナの声が返ってきた。
それに、俺が苦笑していると、シュンは一歩、リィナに近づいた。
2人の間を隔てる物は何も無く。その幅は手を伸ばせば触れられるほどだ。
_まあ、あまり近い訳でも無いんだがな。
「リィナ。僕は、救世の勇者だ。世界を救い、民を守ることこそが僕の役目」
「…………………」
シュンの自白を、リィナは黙って聞いていた。
しかし、この場の雰囲気がかなり緊張したものに変化したことくらい、すぐに理解出来た。
場の雰囲気が最高潮に膨れ上がり、俺も何かの高揚感を感じる。
「好きだ、リィナ。これから、くじけた時に、後悔した時に、間違えた時に、僕の傍にいて、支えてほしい。導いてほしい。だから、僕と、付き合ってください」
「ッ!!」
気付くと、リィナの頬を、一筋の涙が伝っていた。
その瞳に何が映っているのかは、俺には分からない。シュンになら、分かることかもしれない。
「…私は、嫉妬深い女です。すぐにヤキモチを焼きますし、我侭だって言います」
「えっ…………?」
突然に始まったリィナの自白に、シュンは呆けた用な声を出した。
しかし、リィナの口調が、雰囲気が、瞳が、何かの覚悟を持っているようで、その口を閉ざした。
「私だって、挫けたり、間違えたり、後悔したりもします。………だから、その時は、シュンが、私を支えてください。………私と、付き合ってください」
「ッ!……うん!」
一拍置いてから、大きく、嬉しそうに、頷いたシュンは、その瞳に溜まる涙を流した。
俺にも、少しだけシュンの過去についての知識はある。
しかし、俺が想像しているよりも、きっと、辛い過去があったのだろう。
最初、俺がシュンを親友を認めた時の、あの涙を流した瞳からは、それだけの感情が伝わってきた。きっと、今のリィナも、同じ感情を感じただろう。
その気持ちを、考えを、思いを、どうやって包み込めるのかが、これからの試練だろう。
恥ずかしそうで、何処か鋭い視線を送るシュンに頷いて、俺はその場を去った。
これから先は、2人だけの、きっと、世界で最も尊いと感じる、秘密の時間なはずだ。
その場に、俺は不要である。
_さて、明日からは、観察か………………
空を見上げると、既に暗闇が支配する寸前である。
これから訪れる夜は、これから始まる朝は、きっと、以前では想像も出来なかった日々になるだろう。
その中で、俺は、幸せを掴みたいと、心からそう思う。
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