破邪ノ英雄は幸せを望むそうです(仮)

bakauke16mai

文字の大きさ
24 / 33
英雄と王女。学園まで1ヶ月

破邪ノ英雄、ギルドで依頼を(2)

しおりを挟む
 ガラスが砕け散るような音とともに、景色が一変した。

 先ほどまでのどかだった平原の中心に、その空間に、亀裂が入っている。

 その奥に見えるのは、紅の空をした空間と、1つの影。



「久しいな。レイ」



「ああ。千年振りくらいか?魔王」



 現れた漆黒の妖気を纏った人物へ、そう問いかけた。

 返って来たのは、鋭い一閃だ。



 ヒュン!!



 鋭い金切り音とともに一閃された剣を、右腕で受け止める。



「ああ。やはり、俺と戦えるのはお前だけだッ!!」



「そうだな。では、そろそろ逝ったらどうだ?もう、お前に全盛期の力は一部しか残っていないだろう?」



 そう問いかけると、笑みが返ってきた。



「そのくらい弁えている。その上で、俺は戦いに赴き、戦いの中で死にたいのだ」



 そう告げて、魔王は右腕を空中に躍らせた。

 円を描き、中に紋章を刻んでいく。

 魔王専用の、神話にすら載っていない魔法だ。



「ならば、今日こそ俺が逝かせてやる」



「頼む」



 笑いながらそう答えて来た魔王を見据えながら、俺も空中に右腕を躍らせた。

 ただし、魔法陣は描かれない。既に、俺の身体が魔法陣と化しているからだ。



「レイ。お前が”英雄”となるのは久しいな。俺が最後に見たのは、第二戦争の時だけだったろ?」



 もう、俺は返答しない。

 既に戦いは始まり、圧倒的な緊張感が雰囲気とともに周囲へと伝播している。

 右手に握られた神剣を、そのまま下に向けて構えた。



「懐かしい」



 そう呟いた魔王も、右手に描かれた魔法陣から、一振りの剣を呼び出した。



「邪神剣<クロト>」



 白銀と黄金で彩られた神剣に対し、魔王の持つ剣は黒い。

 黒耀色と紅で彩られているのだ。



 魔王との戦いは一瞬。

 勝負は、たった一振りに託されている。

 それが、邪神剣の能力である『真の強さは一撃にて』だ。



 引き分けなど発生しない。

 全ての力を注ぎ、たった一撃へと能力を変換させることだけが重要だ。





 ◆◇◆◇◆





 空気を、粒子を、魔力を、時を、水を、火を、闇を、光を、風を、空間を。

 全てを切り裂き、真実へと至る道を創りあげる。



「15階級神技・居合<斬>」



 世界を、大陸を、切り裂け。全てを取り残し、その先へと光となりて突き進め。





 ◆◇◆◇◆





 大地を、清潔を、光を、天使を、生物を、世界を、時間を、時空を、空気を。

 全てを汚染し、支配へと続く道を創りあげよ。



「15階級邪神技・居合<斬>」



 光を、生物を、捻じ伏せろ。全てを支配し、深淵へ闇となりて突き進め。





 ◆◇◆◇◆





 次の瞬間、真の闇と光が衝突した。

 世界すらも一瞬で崩壊させる威力を伴った一撃は、互いにまったく譲らずに押し合う。

 揺ぎ無い信念と、そして強大な感情が威力を変えているのだ。



 地面は抉れ、草花は消え去った。

 空気も、空間も、その場所から少しずつ消えていく。




 ―――負けたのは、闇だった。




 光の奔流が、一撃が、一閃が、魔王へと注ぎ込まれる。

 その魂を削り、本当に消滅させる。



 身体が消えていく感覚を味わいならが、魔王は笑みを浮かべた。

 その瞳には、未だ決して消えない信念が残されていた。

___________________

~後書き~

どうも!!作者のbakaukeです!!
今回、突然魔王を登場させましたが、暫くお休みです。
一応、伏線にしておくので、気になる方は覚えていると良いと思います。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています

空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。 『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。 「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」 「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」 そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。 ◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた

黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。 そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。 「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」 前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。 二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。 辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。

処理中です...