破邪ノ英雄は幸せを望むそうです(仮)

bakauke16mai

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英雄と王女。学園まで1ヶ月

破邪ノ英雄は、キスにて王女を(1)

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 王都の街並みは、意外にも公爵領に似た規模しか無かった。
 代わりに、その賑わいは驚くべき規模ではある。

 行き交う人々の話し声で響き渡り、商店街は人で埋め尽くされている。

「人が多いな」

 思わずそんな呟きが漏れたとしても、しょうがないはずだ。

 _さて。依頼の場所は、王城だったか。

 1つ頷いてからそう考え、目前に聳える王城へと歩いて行った。
 もちろん、珍しい屋台が無いかは見ているが。

 _そうだな。子供だからと舐められて相手にされないのでは困るし。正装しておくか。

 そんなことを考えた俺は、すぐに行動に移した。
 派手過ぎず、だからといって舐められたりもしない服。

 _【邪法衣・アシュタロス】

 黒と蒼の光が俺を包み、その服装を変えていく。
 周囲の視線が集まるが、まぁ予想の範囲内である。

 黒のズボンに、黒のロングコートが身体に纏われた。
 その黒の中に、幾つか蒼の線が施され、さながら高級感を纏っている。

 _これが、神でもあれば嬉しいのだがな。

 そんな事を考えながら、騒ぎ始めた人々を無視して俺は道を歩き始めた。
 今度こそ、王城へ向かう。


 _巨大だな。そして、白いな。

 王城の目前へと辿り着いた俺は、それを見上げてそう思った。
 言わずもがな、城壁である。

 門の前には、3人の兵士が常駐しているようで、今は俺の姿を見て戸惑っているようだ。
 それくらい、雰囲気から伝わってくる。

 門を通ろうと近づくと、やはり仕事と意識しているのか、前へと立ちはだかった。

「すみません。身分を証明出来るモノと。用件を」

「ギルドカード」

 兵士の言葉に頷き、そう唱えると、俺の目前にギルドカードが浮遊した。
 それが、だんだんと回転し、兵士側に向けて一枚のパネルが展開される。

 ____
 Rank S×20
 職業 破邪ノ英雄
 依頼 第三王女より通達
 ____

「ほう。ランクが増加したか」

「なっ……!?!?!…………な……」

 それを見た兵士は、開いた口が塞がらないようで、そのまま放心していた。

「身分はこれで良いか?」

「………………え?あ、その通りで御座います。お通りください」

 先ほどまでと180度違う態度で、兵士はその場を退いた。
 その態度に多少の疑問は抱いたが、それよりも王城が気になったので、俺はそのまま素通りした。

 城内は、草花が植えられ、庭園に近い感覚になっているようだった。
 王城の扉までの舗装された道の両側に、一定間隔で花が植えられている。

 その中を、俺は悠々と歩いている。
 といっても、扉への道が長くて少しイラッとしているのは内緒だが。

「にしても、王城に来たのはこれで3度目か」

 以前の時代にも、2度だけ王城へとやってきたことがある。
 その時の王は、賢者という職業についており、その国はかなり栄えたはずだ。
 最後の終わりは、賢者の予知という技能により、技術発展により戦争を回避するために狂王を演じてたはずだ。

「懐かしいな」

 そんな事を呟きながら進み、やっと扉の前へと到着した。
 兵士が数人ほど見れたが、誰も俺を不審者とは思わないようだ。
 この服と、堂々としている姿のお陰だろう。

 ギィィィィィィィ~~~~~~

 扉は、俺が前に立つと同時に開いた。
 中に入って振り返っても誰もいないことから何かの仕掛けだろう。
 前へ振り向くと、視界一杯に豪華な装飾が映った。

 白い壁の至る場所に赤や金の装飾がされ、松明が一定間隔を照らしている。

「さて。まずは騎士団の訓練場に行くか」

 リサに聞いた話によると、第三王女は独りを寂しいと感じ、よく訓練場に向かっているらしい。
 そのため、まずはそこへ向かおうと考えているわけだ。

 王城の中がどうなっているのかは不明だが、目的の方向はすぐに分かった。
 気配察知の中に、大量の微反応が集まっている場所があるのだ。

 _ふむ。確かに人が塵の様だな。

 そう内心で呟きながら、王城の右側に向けて歩き始めた。

 _一応、透明化しておいた方が面倒にならないな。

「【透明】」

 不可視になった状態で歩くと、やはり通りかかる兵士には見えていないようだ。

 _以前なら、この程度の技量では村人くらいしか騙せなかったのにな。

 その通りで、以前から透明、正確には隠密系の技能はまったく伸ばしていないため、俺は暗殺や隠密は超が付く苦手としているのだ。
 勿論、本気でやろうと思えば世界中全てを騙すくらいは可能だが、それも面倒である。

 _そうか、この時代の兵士は以前の村人よりも弱いのだな。

 騎士団の方から感じる気配すら、村人に劣る可能性がある。
 この世界の住人は、もしかしたら亜竜すら災害級に指定しているだろう。
 あの程度、毎日の食卓に並ぶ家すらあったというのに。


 この時代の人々を見下し続けながら、俺は王城の中を進んでいった。
 第三王女の悲願が達成されるのは、もう少しのコトである。
 この後、何が起きるのかは、神(作者)のみぞ知る。
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