ブラッドゲート〜月は鎖と荊に絡め取られる〜 《軍最強の女軍人は皇帝の偏愛と部下の愛に絡め縛られる》

和刀 蓮葵

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番外編 ハロウィン〜終〜

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ハロウィンパーティーを楽しみましょう!!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

庵は悩んだ。包帯を買ってグルグル巻きにすればいいだろう・・・・・・と、安易に考えていた。
けど、調べると白い布を切り裂き、古さを演出する為に紅茶や珈琲で染めたり、木炭で汚したりと色々な技法でミイラ男を作り上げている。

くじで自分達のするべき仮装が決まった時から、学生寮の四年生は粛々と準備を進める。
ネットやショップで買ってきて簡単に済ませる者。
元々、売ってなくて、あの手この手で材料を揃え、創意工夫する者。
手先が器用で一から作り上げる者と、様々だ。
庵もその内の一人で創意工夫して準備をしていく。

買ってきた布を裂きながら庵は思った。夜神大佐はあれからずっと大人しい。
覇気がないのだ。仕事を淡々としていく姿は正直、見ていて悲しい。けど、だからといって何か投げかける言葉も行動も持ち合わせていない。
「・・・・・・大多数の意見が凄かったのかぁ~」
きっと一対百や千と、圧倒的な差だったのかもしれない。
「やっぱ、夜神大佐は凄いなぁ~」
変な方に関心しながらも、布を裂く手を止めることはない。全身に巻くなら多めに用意しないと見栄えが良くない。完成度を求めるなら徹底しないと。
・・・・・・それにしても、案外、こういった事、嫌いじゃないな・・・・何だか、楽しいぞ?

嫌々始まった事が意外とハマりつつある庵の部屋からは、布を裂く音がしばし辺りに響いていた。


「夜神大佐!仮縫いが出来たから一度、フィッティングして欲しいって、連絡来たわよ~」
「・・・・・・・・はい」
肩まである黒髪を揺らし、切れ長の目を笑って細め式部は夜神を見る。
「今から式部と私のお題、交換しよう」
壇上で高らかと、仮装の内容を言われたのだから、交換なんて出来るはずもないのは重々、承知している。けど、一応、言うだけ言ってみる。
けど、案の定帰ってきた言葉に、深い溜め息をしてしまう。
「それは、駄目でしょう?みんなの前で発表してるのだから」
至極当然の言葉で返され、ぐうの音も出ない夜神は意味もなく天井を見上げた。

軍の女性の殆どは総長率いる「衣装部隊」(有志による部活動のようなもの)に所属している。男性もチラホラいるが圧倒的に女性が多い。
そして、今回のハロウィンでも、部隊の人達も何人かはくじを引き当てている。なので、みんなでワイワイと楽しみながら衣装を手掛けてい。
その中でも夜神の衣装だけは、群を抜いて完成度が異様に高い。それだけ、衣装部の威信?を掛けている。本気度が桁違いだ。

夜神はもう一度深いため息をして、部屋をそっと出ていった。
今は、なるべく人に会いたくない。夜神は廊下を隈無く確認し、人がいないことを感知すると歩き出す。この時期だけは、特に、ハロウィンのくじが終わり、仮装パーティーを迎えるまで、みんなの見る目が期待に満ちている。凄く、何かを期待している眼差しなのだ。時には小声で「楽しみです」と通りすがりに言われる。正直、中々にきつい。

人目を気にして目的の場所に向かう。向かった先にはドワの向こう側から、ワイワイと賑やかな声がする。時には切羽詰まった声がする時もある(パーティーが近くなればなるほど、切羽詰まった声と、怒号が聞こえてくるんだよね・・・・・・)
夜神は毎回、繰り返される光景を思い出し、ため息をすると、それが心のもやもやを吐き出した合図になったのか、「よし!」と気合を入れて、ドワをノックして、色とりどりの布や小物が散乱する部屋に入室した。



会場の体育館は華やかな会場に様変わりしていた。凝った飾り付けは出来ないが、市販で売られているカボチャのランタンや、お化けの人形を吊るし、少しでも雰囲気を出している。
食堂の長テーブルを搬入して、黒地に蜘蛛の巣や蜘蛛が描かれているテーブルクロスを敷く。
食堂のおばちゃん特製の料理が並び、食欲を唆る。凝った料理は時間や量の問題で出来ないが、少しでも味あわせたいおばちゃんの心意気なのか、グランタンにコウモリの切り抜きのパイシートがあったり、カボチャのスープには何で出来ているのか不明な目玉が浮いている。

その周りには軍服姿の人間が、紙皿に各々の好きな料理を乗せ食べている。
あれだけ、仮装のくじをして盛り上がったのに、会場には一人も仮装をした人間がいない。
暫く賑やかな雰囲気の会場は、突如として一人の騒がしい声でぶち壊される。

「お待たせしました~~!!これより、楽しい楽しい、ハロウィンパーティーを開始することを宣言いたしまぁぁ~~~すっ!!!」
「「「うぉぉぉぉ━━━━━!!」」」
賑やかな会場は突如、雄叫び溢れる戦場化する。
壇上には、コスプレと言っていいのか不明な虎の着ぐるみを着て、ご丁寧に虎の足を形どった、もこもこスリッパを履いた七海がノリノリでマイクを握り、会場にいる軍人達を煽る。
「では!!景気づけ!!最初の入場は藤堂元帥の「サンタクロース」だぁぁ━━━━━━!!」
「「おおぉぉぉ━━━━━━━」」
「「待ってました!!」」
拳を振り上げて、軍人達を仰ぐ。すると、軍人達もノリよく拳を上げ、雄叫びをあげる。

体育館の閉じられた扉が突然「バァン!!」と開くと、赤いサンタクロース姿の藤堂元帥が大きな白い袋を背負い、立派なもこもこ白ひげで歩いてくる。よく見るサンタクロースと違うのは、逞しい体ぐらいだろう。腹が出ていない。
左右に割れた人の道を、気持ちよく手を振り、時々、白い袋から個包装のお菓子をあげたりして歩いていき壇上に上がる。
その後を、仮装した将官クラスの人間が数人いて、同じように壇上に上がり手を振る。よくよく見ると、みんな何故かノリノリで手を振っている。

「それでは~~まとめて入場だぁぁぁ━━━━━━」
「「うぉぉぉおおおおお━━━━━━!!」」
七海のテンション高めの声に、会場は更に沸きだつ。体育館の扉が数カ所「バァン!!」と開くと仮装した人間がぞろぞろと出てくる。
狼男だったり、ドラキュラだったり、半魚人だったり、魔女だったりと様々だ。
そして、みんなが首を長くして待った人物が、会場に足を踏み入れた途端、会場のボルテージは瞬間に最高潮に沸きだった。
「「「ぬぅぅぉぉぉおお゛お゛お゛━━━━━━!!」」」
「「「夜神大佐ぁぁぁぁ━━━━━━!!」」」
「「「今年もありがとぉぉぉぉ━━━━━!!」」」

ラビットスタイルの黒髪ハイツインテールに、小さな白いトンガリ帽子のヘッドドレス。
チョーカーを巻き、パフスリーブのブラウスやコルセット、その下の幾重にもオーガンジーの重なったスカートは、膝より上のミニ丈でパニエのおかげで膨らんでいる。
蜘蛛の巣柄のストッキングに、靴底が高い靴を履く。
全て白に統一された姿は、雑誌やテレビでよく見るロリータスタイルだ。
ショートフィンガーレスグローブをし、ご丁寧に魔女のステッキまで持っている。

若干、顔が引きつりながらも堂々と歩く姿に「流石、夜神大佐」と、拍手喝采で庵は心の中で称えた。
その夜神も毎度、毎度仮装が近づくにつれて、「もう、どうにでもなれ~~」と諦めの境地になる。
衣装部隊の完璧で質の良い仕事っぷりに毎回、毎回関心してしまう。夜神の衣装も手がけながら(本来の仕事もしつつ・・・・・・・いや、本来の仕事のほうが大事でしょう?なんで、そんな時間あるの?超人?化け物?分からん!!)別の軍人の衣装もするのだから凄い。そして、完成度はプロ並みの素晴らしさ。

なら、嫌だ、嫌だ!と、逃げて着るわけにはいかなくなる。折角の素晴らしい衣装なら、着るしかない。ないけど、ないんだけど、なんで、毎回、毎回、毎回!!私のくじは変なのしか来ないの!!
前は「キョンシー」・・・そう言えば「海賊」もあったな。「赤ずきん」とか。もう、何でもあり状態なのはどうかと思うし、そもそも、誰がこんなお題を考えているか謎しかない。
そして、衣装部隊は目を血走らせながら完璧なものを作り上げる。
なら、着る私は頑張って着るしかないだろう!!メイクもヘアーも全てコミコミでされ、出来上がった私は鏡の前で毎回、毎回「誰?」となる。
悩む私の両隣でいつもヘアーメイクを担当する、式部隊長と野村隊長はハイタッチで喜んでいる。

そして、監視カメラでも付けてるの?と思うほど素晴らしいタイミングで有栖川総長が来て、笑顔で魔法のステッキを渡され、有無を言わさず会場まで連れて行かれる。いや、強制連行で連れ出される。
部屋を出る前に、私の姿を隠すためにスッポリとマントを被せられ、誰にも見せないように移動し待機して、いざ、入場!!となったらマントを剥ぎ取られる。
本当に最後の最後まで隠し通し、みんなの前でお披露目する用意周到な心配り?に脱帽ものだ。

会場に一歩、足を踏まれてた途端、黄色い歓声と悲鳴と、野太い雄叫びと阿鼻叫喚とはまさにこの事か?と若干、頭の可笑しくなった私は思いながらも人の道を進む。時々、思い出したかのようにステッキを振ってみる。
すると、「キャァァ━━━━━」や「うお゛ぉ゛ぉ゛━━━━」と声が聞こえる・・・・・・
テンション高すぎだよ・・・・・・

引っつた笑顔で人の道を歩き、壇上に上がる夜神に初めて参加した学生達は只、呆然と眺めるだけだった。
次元が違い過ぎる・・・・・
庵もそう思う一人だった。見たいとは思ったがまさか、これ程とは・・・・・
食堂の一幕を思い出す。敵に回さなくて良かった。あんなに血走った目でくじ引きの合否を問うのだから・・・・・・何が何でも神仏に願いを通すために、寄付金を常に渡し続けるのだから・・・・・夜神大佐には悪いが本当に、ほんとぉぉ━━━━に!!敵に回さなくて良かった。

庵は若干引っつた顔ながらも、何とかして心の平穏を保たせて、壇上に上がる夜神を見た。
そして、一つだけ違和感を見つける。みんなの衣装の何処かに、数字の書かれたワッペンが付けてあるが、夜神には見当たらない。そこが気になる所であるが、それ以外は完璧な「ツインテールの白魔女」だろう。

全ての人間が揃った所で、きっと、この中で一番テンションが高い七海が声を張り上げる。
「全員揃ったようなので、これから仮装パーティーの始まりだぁぁぁ~~~~!!」
「「「おおおぉぉぉぉぉ━━━━━━━━!!」」」
「では、壇上の諸君は、番号事に前に来てクルッと、回転して壇上から降りていって下さい。その後は食事しながらパーティーを楽しもう!!」
そう言って、七海は番号が一番の藤堂元帥の所に行き、立つ所まで案内していく。
完全にノリに乗った藤堂元帥は二回転し、ポーズまで決める。そして、袋からお菓子を掴むと棟上げの様にばら撒き始める。
我先にお菓子を奪う人間で多少のゴタゴタはあったが、怪我なく済んで会場は笑いの渦に巻き込まれる。

その後は番号順に進む。藤堂元帥の次は将官クラスだ。将官クラスの人達は色々と頭のネジが取れているのか、藤堂元帥に負けない勢いで自分達をアピールする。それが終わると今度は庵達、学生の番だ。学生は将官達と違って戸惑いながらも何とか回転して、己の衣装をアピールする。
庵も頑張って回転して、ミイラ男ならこんなポーズかな?と両手を出していダランと手を下ろす。
軍服姿の軍人達は楽しそうに拍手したりして、庵の姿を喜ぶ。

学生が終わると将官以外の兵や下士官と順番に自分達姿をお披露目する。式部がいる尉官の番になり、そこで再び歓喜の悲鳴が沸き起こる。
黒い燕尾服に黒い蝶ネクタイ、何故かモノクル片眼鏡をし、流している肩までの髪をしっかりと纏め束ねている。アイテムなのか、銀色のお盆を持ち、しっかりと白手袋までする徹底ぶり。
仮装のお題「執事」を完璧にこなす式部中尉だ。

よく、執事がする?左手を前にして腹部に当て、右手を後ろにする挨拶をする。すると、会場からは黄色い歓声と悲鳴が再び沸き起こる。
その姿を見ていた夜神は羨望の眼差しで見ていた。
正直、「カッコいい」の一言だ。自分も仮装するならあんなにカッコいい仮装が良かった。なんなの?「ツインテールの白魔女」って!!意味が分からない!!そもそも、お題考えたの誰?
羨望一割、恨み九割の眼差しを式部にぶつける。すると、何かの異変に気づいた式部は、夜神の方を見ると、何故かウィンクして挨拶する。

あぁ・・・・・・余裕っていいなぁ・・・・・私も余裕を持ちたかったなぁ・・・・・・
夜神の心は色々な気持ちがゴチャゴチャと混ざり、複雑な色を醸し出していた。
式部を見送り、他の人達が次々に壇上の真ん中で挨拶する。そして、ラストは夜神で終わる。

「最後はお待ちかねの夜神大佐だぁぁぁ!!」
「「「おおぉぉぉぉぉ━━━━━━━!!!」」」
名前を呼ばれ渋々壇上の真ん中、七海が示す場所に行く。
普段より目線が高め。何故なら履いたことのない高さの靴を履かされているからだ。正直、歩き難い。時々、足が縺れそうになる。けど、ここで転けるのは嫌だ。
夜神は慣れない靴のせいで、少し遅めに歩きながら真ん中に立ち、ゆっくりと回る。そして、持っていたステッキを軍人達に向かって軽く振る。
「「「ぬ゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛━━━━━!!!!」」」
「「「キャぁぁぁぁぁ━━━━━━━!!!」」」
黄色い歓喜と野太い歓喜が合わさり、不思議な不協和音が起こる。
夜神に向けられた不協和音を一身に浴び、寒気なのかなんなのか、鳥肌がブワッと全身に広がる。
「・・・・・・・怖いよぉ・・・・・」
本心をボソッと呟く夜神に、隣にいた七海は苦笑いし、癖で無精ひげを撫で、小声で心の声を呟いていた。
「良かったな・・・・・」

正直、夜神の立ち位置が不安であった。帝國に攫われ、帰ってきた。皆して腫れ物を扱うように遠巻きに接していた。今回も、もし、前回のようなテンションが望めなければ、夜神は軍の中でも寂しい思いをするのかもしれないと不安だった。
けど、今日の様子を見て安堵したのは内緒だ。どんな事になろうと夜神の立ち位置は変わらない。それは「兄貴」として「仲間」として嬉しい限り以外何ものでもない。

「では、では!!これにて全員の仮装の発表は以上です!!後は、楽しもう!!食おう!!笑おう!!歌え!!以上っっ!!」
七海の声高らかな締めの言葉に会場は拍手に包まれた。


「凄いですね・・・・・・夜神大佐・・・・・」
ミイラ男・・・・・庵の言葉に夜神は笑って答えた。
「そうだよね・・・・・私は絶対に選ばない服だよ・・・・・」
甘い物に例えるなら甘々のパンケーキに生クリーム鬼盛り、更にフルーツと苺のソース、ダメ押しの粉糖だろうか?
フリル&レース&リボンと一つか二つぐらいならまだしも、全身、これでもかっ!!と隙間が見当たらないぐらい盛々だ。
メイクもまつ毛に鳥の羽が混ざり、視界に微妙に過るのはもう、慣れた。
普段も総長や式部や野村大尉の行動に振り回されるが、その際たるは今日のようなイベントだろう。徹底ぶりが異常に高い。富士山よりも高い。

その結果、衣装部隊の総力を上げて服は作られ、ヘアーメイクを徹底的にされ、出来上がった自分を見て「誰?」と毎回、毎回思ってしまう。前回の「キョンシー」ならコスプレ感あったけど、今回の「ロリータ」は普段から着て歩いている人がいるほど浸透している服だ。
可愛いとは思うけど、私は選ばない。なのに、今回の仮装に白羽の矢が刺さり選ばれた。
━━━━━━━━誰なの?選んだ人は?

「靴も凄いし、歩き難いんだよね・・・・・」
「お~夜神!!いや、白魔女っ子の方が正しいか?」
虎の着ぐるみ姿の七海と執事姿の式部がやって来る。その、不思議な組み合わせが何とも言えない。
「式部中尉の姿、凄くカッコいいですね」
「そう?ありがとうね庵学生。あなたも素敵な「ミイラ男」よ。布は自分で染めたの?」
「はい。頑張ってみました」
ミイラ男と執事の会話を聞きながら夜神は、少しだけ不満そうな顔をして式部を見る。その、視線に気づいて式部は夜神の方を見た。
「なに?不満そうな顔をしてるわよ?」
「だって~~何で式部のはそんなにカッコいいのに、私はこんなにフリフリしてるのかなぁ~~と思って・・・・・」
「お題がそうだからでしょう?諦めなさい・・・・まぁ、「ご褒美」が貰えないから不満もあるわよね~」
式部の言葉を聞き逃さなかった庵は、ある言葉に疑問に思い尋ねた。
「「ご褒美」とは何ですか?」
「そうよね・・・・・学生は知らないし、教えてもらってないものね・・・・・・」
軽いため息をしながら式部は七海の方を見る。式部の妙な圧に気づいた七海は、無精ひげを撫でながら庵に悪戯が成功したような、意地の悪い顔をする。

「なぜに、番号のワッペンを付けていると思う?」
「番号が必要だからですよね?順番に呼ぶためですか?」
壇上に上がり、順番通りに呼ばれ自分の姿を披露した。それ以外の使い道は分からない。
「それとあるが、みんなで仮装してお披露目するんだ・・・・・・人気投票して盛り上がらないとつまんないだろう?仮装の本気度、真剣度を見て、自分が気に入った番号に投票する。結果、一位の人間はご褒美が貰える」
人差し指を立てて「一位」を表現する七海を見て、庵は驚いた。

人気投票?初耳だ・・・・・だから抽選の時「残念」と言われた人達は悔しがったのか!!なら、納得だ。けど、ご褒美が気になる・・・・・・
「一位のご褒美ってなんですか?」
「ん?フッフフ・・・・聞いて驚け!!ご褒美は「食堂の日替わりランチ券一ヶ月分」だ!!どうだ?喉から手が出るほど欲しいご褒美だろう?」

「・・・・・・・・・めちゃくちゃ凄いじゃないですか!!!」
日替わりランチ一ヶ月分だと!!なんて、豪華なご褒美!!だから先輩達はあれだけ手の込んだ仮装をしているのか!!納得だ。
「どうして教えてくれないんですか!!ズルいですよ!!」
「それがいいんだよ~・・・・・・って言うか、学生は毎回教えてもらえないで自分達で頑張るんだよ。そして、当日、「ご褒美」の事を教えてもらって自分が楽して準備した仮装を呪うんだよ。その落胆ぶりを見るのが俺たち先輩の生きがい」
なんて、意地悪な先輩達だ!!・・・・・・なら、毎回、くじを引き当て、衣装部隊と言う強力なバックを持つ夜神大佐は軽々と一位を取れるのではないか?
「なら、夜神大佐が毎回、一位なんですか?」
「そうなのよ・・・・・けど、それもつまらないから、数年前から夜神大佐は殿堂入りしてるの。だから、みんな張り合って生き生きしてるのよね~私も今回はご褒美狙いで頑張ってるのよ♪」
両手を広げ自分の姿をアピールする式部を見て、何故かジト目の夜神に、庵は何かを言ってはいけない雰囲気を感じ取り「へぇ~~」と、軽く言ってやり過ごす。

式部の言っているのは本当だ。学生の時に初めて出たときから一位を取り続けている。
何回目かの時から、私は「殿堂入り」と虎次郎に言われ、それからご褒美は貰ってない。ちょっと淋しいが、独占するのも良くないので仕方ない。仕方ないと言え、食堂の日替わりランチ一ヶ月分は惜しい。
「式部がご褒美もらったなら、チケット一枚ぐらい頂戴」
「ん~~いいわよ~ついでに虎と相澤少佐と庵学生にもあげるわね」
「よっ!!太っ腹!!さすがです姐さん!!ゴチになります!!」
「いいんですか?!!」
「それはありがたい」
いつの間にか相澤少佐も加わり、式部の太っ腹発言に、それぞれ感謝の言葉を言う。みんなの言葉を聞いて少しだけニンマリした式部だ。

夜神は笑い、テーブルに乗っているワイングラスに入った葡萄ジュースを飲んで軽くため息をした。
正直、何処かで不安があった。帝國の一件もあり軍全体、特に夜神が在籍する本部は夜神を腫れ物を扱うように余所余所しかった。以前のような関係が再び構築されるのか不安しかなかった。
部屋のみんなや幼馴染達は初めだけ、どう、接したらいいのか分からなくてふわふわした感じだったが、数日で以前と変わらない態度で接してくれる。
だから、夜神も同じように以前と変わらない態度を貫いた。だが、周りは違う。
視線が違う。言葉が違う。態度が違う。違うところを探せば色々とある。むしろ、探す方が億劫になる程以前とは違う。
面と向かってはっきりと示されたわけではない。けど、僅かな差が感じられる。いつかはなくなると希望を持ちたいが、それが「いつまで」と分からな。気分は、泥沼に浸かってしまったような感じだ。藻掻けば藻掻くほど深く潜り込んでしまう。静観する程、余裕もなく、だからといってどうするかも分からない。出口のない迷路を彷徨う気分に等しい。

けど、そこで一筋の光があった。それが「ハロウィンパーティー」だ。仮装を引き当てる気は更々なかったが、何の因果か引き当ててしまった。そして、やるからには徹底的にする「衣装部隊」のおかげで完璧にお題の衣装を作り上げ着せられる。
お披露目する頃には以前と変わらない態度で、みんなから話しかけられ、接していく。何処かでみんなも模索していたのかもしれない。それが一つのイベントで変わった。
絡まった糸が解きほぐされたように。けど、強く絡まった部分が波打って形がつくように、完全に元には戻っていないがそれでも、元の一本の糸に戻るように。
糸の波打つ部分も時間が経てば元に戻る。だから、あと少しだけ時間が経てば以前と変わらない、日常に戻るかもしれない。

夜神はもう一度グラスのジュースを飲む。今度はため息ではなく、軽く首を縦に振った。それは何かを強く思うように、自分の中で再認識させる仕草でもあった。



あれから数時間過ぎた。流石にお酒は出ないのでジュースやお茶を飲んで、食堂のおばちゃん特製の美味しいハロウィン仕様の食事を食べ、広報部からの写真ラッシュに巻き込まれ、虎次郎のうざ絡みを制し、日替わりランチのチケット欲しさに式部に投票しと、意外と充実したパーティーを楽しんでいた自分に気づいてしまう。

最初は歩き難かった靴にも慣れた頃には、自分の姿もすこぉぉ~~しだけ受け入れ始めた。
広報部以外からの写真攻撃もあったが、難なく受け入れていく。時にはステッキを振り回し、驚く周りを楽しんでしまう程の余裕も出てきた。

そして、パーティーは終わりを迎え始める頃、七海の五月蝿いマイク音が会場に響く。
「みんなぁぁ~~~楽しんでるかい!!」
「「おぉぉ━━━━━━━━!!」」
「それではお待たせしましたぁ!!投票の集計結果が出ましたので、これより「仮装人気投票」の発表をしたいと思いまぁぁすぅぅ!!」
「「う゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛━━━━━━━━━!!」」
一体となった会場は変な意味で素敵だ。内容はアレだが・・・・・・・夜神はため息をしてしまう。息抜きと言え、職務中だ。こんな状態だが、警報が鳴れば、軍人の顔に変わり、殺気立つ。切り替えが素早い。

「番号を呼ばれた人は壇上に上がって下さい~~では・・・・・・・・・」
バラバラの数字が会場に響く。十人が呼ばれ壇上に立つ。式部がいる事に安堵するが、一番驚いとのは赤い服のサンタクロース・・・・藤堂元帥がいる事だ。
「藤堂元帥も呼ばれたんですね・・・・・・」
隣に立つミイラ男の庵君は呼ばれなくて少し悔しそうだ。そうだろう。日替わりランチ一ヶ月分は誰もが羨むご褒美だ。
「元帥が一位だったりして・・・・それは、それで面白いけど」
夜神は悔しがる庵に苦笑いしてしまう。そして、自分が言った言葉が面白くて更に笑う。本当にそうなりそうな雰囲気があるからだ。

「それでは結果発表ぉぉ~~~栄えある一位はぁぁぁぁ~~~~ナンバー「1」の藤堂元帥サンタクロースだぁぁぁぁぁ!!!!」
「「「おおおおおぉぉぉぉぉ!!」」」
「・・・・・・・やっぱり・・・・・・・」
「ですよね」
「残念だったな式部中尉」
結果を聞いて夜神と庵、相澤は其々の感想を呟いた。今回ばかりは分が悪すぎる。式部には悪いが結果は見えていた。けど、僅かな望みを託して夜神は式部に投票した。結果は無念だが・・・・・・

案の定、少し悔しがる式部が壇上から見える。そして、鍛え上げられた体のサンタクロースが、壇上の真ん中でご褒美の日替わりランチ一ヶ月分のチケットが入った封筒と、有栖川室長特製の金色折り紙で作ったメダルを首から下げ、マイクを持って笑っている。
「フォッフォッフォ~~みんな、楽しんでいるかね?」
「「「楽しんでま━━━━すっ!!」」」
何故か揃っている掛け声に、一種の恐怖を覚えるのは気のせいだろうか?
「それは、いい事だ。今日だけは無礼講。訓練も何もかも忘れて楽しみ給え・・・・・七海中佐」
「なんでしょう?」
「順位の二位から四位はすぐに分かるかな?」
「分かりますよ?」
「結構、結構。今ここで呼んでくれ給え。呼ばれた者は此方に来なさい」

サンタクロース藤堂の発言に会場はざわつく。サンタクロースの格好なだけに、もしかしたら?と、会場が興奮してくるのが肌で感じる。
七海は藤堂から言われた通り三名の名前を呼ぶ。その中に夜神の一押し式部もいた。
「今日はサンタクロースだから、私からのプレゼントだよ。このチケットは三人で分けなさい。私は有栖川室長のメダルで十分だからね」
順位、二位の式部が代表して封筒を貰う。藤堂は首から下げた折り紙メダルを顔の近くまで掲げピラピラと振る。
「「藤堂サンタクロース最高!!!」」
「「一生、ついていきます!!」」
「「素敵ぃぃ━━━━━━!!」」
拍手と、黄色い歓声と、叫びと、その他諸々・・・・

会場は藤堂元帥の粋な計らいで最高の終わりで幕を閉じた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「ねぇ~~式部~~チケットは~~?」
「残念ね~三人で分けたから十枚しかないのよね。だから、あ・き・ら・め・て♡」
一ヶ月分のチケットを三人で分けたのだ。数はぐんと少なくなる。
「そうだよね~そうだよね・・・・・・」
分かってはいるけど・・・・・
「んだょ~~夜神ぃ~~~~チケット欲しかったのか?」
「勿論だよ」
無精ひげを撫でながら七海は、夜神のボヤキを聞いた。
「そうは言ってもなぁ~今回の式部のチケットはは棚ぼたみたいなもんだしな。そのおこぼれは少ないから仕方ない」
「分かってるよ。取り敢えず言ってみただけだから」
貰えることは難しいと分かっているから、夜神も本気でチケットを強請ろうとは思っていない。
これは、そう、挨拶みたいなものだ。

「まぁ、けど、いいは出来てるからいいんじゃないか?それこそ、日替わりランチ一ヶ月分チケットなんてゆうに超えてるだろう?」
七海の何かを含んだ言葉に、庵は聞いてしまう。
「小遣い稼ぎ?」
「そうなんだよ~広報部が写真撮りまくっていただろう?あれなぁ~売るんだよ。そして、その売った数パーセントが夜神の懐に振り込まれる。そして、カモにされるのがイタリアのベルナルディ大佐かな?あいつは、夜神がいる写真は1枚も逃さず買うからなぁ~」

・・・・・納得した。あの時の大佐は写真アタックに嫌がらず撮らせまくっていた。そのカラクリがだったのか!!なんて、守銭奴!!
「へぇ・・・・・・それは、また、凄い事で・・・・」
学生だけど、給料が発生する四年生。けど、その給料も知れている。バイトなんて出来るはずもなく、日々の生活を節約する以外ない。そんな中での小遣い稼ぎは涙がちょちょ切れる程有り難い。
たしか、大佐と一緒に何枚かは撮られているから俺にも入る?
「ちなみに、二人、三人と一緒に撮られている写真はどのような割合で?」
気になる!!教えて下さい七海中佐!!

「お?聞いちゃう?青年?」
「はい!!是非とも今後の参考に!!」
目をキラキラとさせながら、余裕で無精ひげを撫でる七海に詰め寄る庵を見て、夜神や式部は互いに顔を見合わせて、何故かアイコンタクトをすると自分達の仕事に戻ってしまう。

そっとしておこう。それにしても庵君もだいぶ第一室に慣れてきて嬉しいなぁ~
虎次郎を兄貴みたいに慕うのはちょっと問題だけど・・・・・・
まぁ、仲良くないより良いほうが良いし
夜神は庵と七海のやり取りを、一瞬だけ微笑み自分の仕事に戻った。


「分かりました。少なくとも入ってくるのは有り難い。いつぐらいに振り込まれるんですか?」
「ん~~たしか、冬のボーナス月ぐらいだったかな?・・・・・・話はガラリと変わるがいいか?」
「何ですか?」
急に真剣な顔になった七海に、庵は身構えてしまう。七海は庵から承認を得ると、庵の肩に手を回し顔を近づけて小声で話す。
「青年は夜神の格好を見てどう、思った?」
格好は、格好だろう?
庵の頭の中は、白いロリータスタイルの夜神が出てくる。
「へ?・・・・・え~と・・・・・意外と似合っていたと思います」
「へ~~ふ~~ん、ほぉ~~・・・・よく、分かった。うん、うん。分かった、分かった」
うん、うんと、頷いて何かを確認する七海に、気味悪さを覚える。けど、何が分かったのかは不明だ。
「何なんですか?」
「気にするな・・・・・今後の参考だよ。そう、・・・・・・はっはは!」
七海の意味深な発言と表情に、引っかかりを覚えた庵だった。

・・・・・・・・・

その参考は意外なところで役にたったとか、ならなかったとか。それを知るのはまだ先の話。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

意味深発言は「大人の恋、応援セット」に繋がるとか、繋がらないとか。七海中佐はどこまで先を読んでいたのか。末恐ろしい男よ・・・・・流石、作戦担当。恋の作戦もお手の物ってか?!

仕事そっちのけで楽しむハロウィンパーティーはある意味、軍のガス抜きパーティーです。ちゃんとお酒でなく、ジュースやお茶で楽しむあたりは心得てます。
そして、ある意味、今回のいい味出した人は藤堂元帥で間違いないでしょう。元帥率いる将官達は物凄く楽しんでいたと思います。だって、パーティーだけど仮装に参加出来ないから。今回、参加したことで今後、全員、参加になったのかならないのかは皆さんで想像して下されば幸いです(笑)
そして、小遣い稼ぎで夜神大佐はどれだけ稼ぎ、青年はどれだけ貰えたのかも・・・・・

今後も「ブラッド・ゲート」は番外編で皆様とお会いするとも思いますので、その時はお付き合い下さればと思います。
今度はRの話とか書きたいなぁ~と思います。その時は宜しくお願いします

ここまで読んで下さってありがとうございます
応援してくださる皆様方、本当にありがとうございます。
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