ブラッドゲート〜月は鎖と荊に絡め取られる〜 《軍最強の女軍人は皇帝の偏愛と部下の愛に絡め縛られる》

和刀 蓮葵

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武器庫に行き、銃などの一般装備を準備する庵を見て、夜神達は自分の準備をする。
基本は自分の使う「高位クラス武器」で対応するが、それ以外の銃や刀などの一般装備は武器庫で準備する。
夜神達は銃やマガジンなどをベルトに装着すると、急ぎ指定された場所にいく。

第一格納庫に行くと、他の部隊も続々と集合する。
その中には既に準備万端で待っている、七海や式部の隊員達の姿が見えた。
夜神は一人行動のため隊員はいない。

「七海少佐・式部中尉遅いじゃないですか。待ってましたよ」
「すまねー!庵青年の準備に時間がかかっちまってよー」
「えっ?僕のせいですか・・・そうかもしれません」
「まったくもって違うから。虎、何でも人のせいにしない」
「ばれたかー。まっ、気にするなー。まだ、全員が揃ってる感じでもないし。ビリじゃなければOK!」

ケラケラ笑いながらOKサインをする七海を、冷めた目で見る第一室の全員に庵は「何がOKですか!!!」と心のなかで叫んでいたが、他の人達は分かっていてくれているみたいなので、何も言わなかった。

夜神が小さな声で「虎次郎、後でシメる」などと物騒な言葉を言っているのは誰も気が付かなかったようだ。

庵の緊張を少しでも和らげるように、ちょっかいを出して笑うのはいいけど、人のせいにするのは良くない。
けど、虎次郎らしいやり方であるのも充分に承知している。だが、教育係としては見過ごせない。やはり後でシメるのは決定事項だ。

「庵君、大丈夫。帰ってきたら一緒に虎次郎シメようか。人のせいにするのはいけないことだものね。」
「だ、大丈夫です。色々ともたついていたのは事実ですし。シメるのはやり過ぎですよ。あまり気にしないで下さい」
(夜神中佐がシメるとか、そんな物騒な言葉を言うのに驚きなんですが!何か笑顔で色々としそうで怖いんですが!)
心のなかで意外な言葉に驚きながらも、全力で両手を振りながら夜神をなだめていた。
それを見た第一室の全員は「あ~ぁ」と顔に書いている。

そんなやりとりをしていると、全部隊が集合したようで、輸送機の前で長谷部室長が声を出していた
「全部隊に告ぐ。Dクラス・Cクラスは教育係とその部隊、並びに学生諸君で対応するように。学生は隊長の指示は絶対聞くように。Aクラス・Sクラスは第一室と第二室で対応。WSは夜神中佐が対応するように。後の細かな指示は移動中に仰げ。では迅速に対応、民家人にけが人をだすな」

「「「了解!!」」」

全員が敬礼をして、すぐに輸送機に乗り込む。夜神は庵の腕を掴み輸送機の中に入るとすぐに席につき、ベルトをする。庵も同じようにベルトをする。
「大丈夫。庵君は絶対に怪我をさせないから。そして一緒ににD・Cクラスを対応しよう。強くなる近道は経験あるのみだらね」

いつもの微笑みで庵を見る、夜神の白い瞳には「絶対に大丈夫」と語りかけている。
庵はその瞳を見ると何故か「大丈夫」と思えてきた。不思議な力が瞳にはあるのだろうか。
いつの間にか全員が乗りこみ終え、ハッチが閉まり動き出す。

夜神は刀の柄に手を置き、目をとじる。
自分の失敗で庵君が危険なめに遭うことは許されない。気を引き締めないと。
まぶたを上げて、夜神は柄に置いていた手をギュッと柄を握った。
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