ブラッドゲート〜月は鎖と荊に絡め取られる〜 《軍最強の女軍人は皇帝の偏愛と部下の愛に絡め縛られる》

和刀 蓮葵

文字の大きさ
193 / 325

169

しおりを挟む
「よく似合ってますよ!!」
試着室から出てきた夜神を見て、庵は満足そうな顔をして褒めていく。

高位クラス討伐を終えて、二人の休みが合った日にデートを楽しんでいた。
夜神がヘリの前で言った「ご褒美」に対して、庵は「一日お願いを聞くこと」と提案したところ、悩んでいたが何とか了承してもらい今に至る。

庵は以前、式部大尉が「夜神の服装のセンスは酷い!」と愚痴っていたのを聞いていて、どれほどのものか興味半分で夜神を手頃な値段の服屋に連れていき、選んでもらったが式部大尉の嘆きを痛感してしまった。

どこから見つけたのか、[へのへのもへじ]がプリントされたらTシャツを持ってきて「可愛いよね?」と本気で言ってきたのだ。冗談か聞いたら本気だったのでこれは「不味い」と思い、急いで自分なりに似合うものを探し出し試着させた。

そろそろ、夏の暑さが落ち着く頃になったのでカフスの部分が特徴的な青いストライプシャツを試着してもらったら、意外と良かったのでそれをそのまま購入して、着てもらうことにした。
「夜神大佐!絶対、服装だけは式部大尉か野村大尉の指示に従ってください。お願いします」
「そんなにあのTシャツ駄目だったの?可愛かったのに?」
「あの柄は人を選びます。マジでやめて下さい」
「・・・・・・はい」
庵の恐ろしいほど、座った目に「これは不味い」と悟った夜神は、大人しく庵伍長の指示に従うことにした。

庵に買ってもらった指輪をした手を繋ぎ、街なかを散歩するように歩いていく。
あてもなく、気になった店に入っては二人で楽しむ。
普段の職場では想像が出来ない程、穏やかな時間を過ごす。

けど、それもすぐに終わる。庵が夜神の耳朶に指を当てるとやわやわと揉み始める。そして、耳の中に指を入れてクルクルと動かしていく。
「っ・・・・・庵君!」
「すみません。そろそろ二人だけになりたいんです。俺からのお願いです。いいですか?」
「だめ・・・・・」
消えそうな声で拒否するが、それは庵には通じなかった。
「ご褒美は何でしたか?覚えてませんか?」
「一日お願いを聞くこと・・・・・」
眉を寄せて困り顔で呟く夜神に、庵は爽やかな顔で頷く。
「覚えてるじゃありませんか。俺からのお願いです。二人だけになりましょう?それに、七海中佐達から催促されていることもあるので、俺も凪さんも拒否出来ません」

そうなのだ。以前もらったら「大人の恋セット」はまだ一つしか使用してない。あと残り三つあるのだ。
その残りの感想を七海中佐に報告しないと、そろそろ本気で危ないのだ。
この前、軽く尋ねてきて「まだ、使ってない」と言ったら軽め?に絞められたのだ。命の危険を感じた庵は、今日で全てを使用してしまおうと考えている。

夜神大佐には悪いが、別の意味で七海中佐も怖いのだ。更には女性二人も色々とたちが悪い。式部大尉と野村大尉も意外とくせ者だ。
こんな人達を相手にするには、命がいくつあっても足りない。なので短期決戦で挑むしかないのだ。
そして、その決戦の日は今日なのだ。

「一日お願いを聞くこと」と予め予防線を貼っといたら、自分の命の危険は幾分かは回避される。
更に嫌がっても、必ず聞かないといけないのでこの「ご褒美」は色々とありがたい。本当にありがたい!

「うぅぅ・・・・わかった・・・」
顔を伏せて見えないようにしている夜神を、頭一つ高いところから見ていたが、耳が赤くなっているのを見て、庵は頭を軽く撫でて肩を抱きしめて歩き出した。



部屋の中に入ると、鞄の中を漁りピンク色の包を取り出す。
「これを着て欲しいです。式部大尉チョイスの「悪魔」です」
「ひっ!今度は式部なの?もう、無理!着れないよ・・恥ずかしいの」
頭をフルフルと振って拒否する夜神を見て「やっぱり」と思ってしまったが、ここは心を鬼?にして夜神に問いかける。

「凪さん?今日一日お願い聞いてくれるんですよね?ちゃんと凪さんも了承しましたよね?」
「したけど、でも・・・」
「夜神大佐が、口約束さえ守れない人物だと思われなくないですよね?」
「・・・・・・・」
「俺からのお願いです。着て下さい。見てみたいです「悪魔」な凪さんを・・・・ね?」
ここで着てもらわないと、自分の命の危険があるのだ。
夜神大佐も十分、危険があるがそれ以上の危険が待っている。

「俺、シャワー浴びています」
とりあえず一旦離脱しょう。それから考えよう!!
庵は鞄を持ったままシャワールームに消えてしまった。
残された夜神は、恐る恐る包を開けて中を覗き込む。
中には黒いレースやリボンが見えるが、明らかに下着の形をしていた。
それも普段から身につけるものではない。手に取らなくても分かるぐらいに布の面積が小さい。
「・・・・・式部・・・・・」
頼りになる先輩で、一緒に悪巧みを考えるときはいいが、こんな事になると逆らえない先輩でもある。逆らったら後が怖いのだ。
それは有栖川室長も同じ。流石、総長・隊長と呼び合う仲だ・・・・・
「はぁ~~・・・・消えたい」
このまま消えてしまったら、悩まなくて済むのか気になる。そう夜神は本気で考えてしまった。


「無理・・・・・・絶対、無理!」
あの後、庵が出てきてまともに顔も見れないまま逃げるようにシャワールームに来てしまった。
そして、何故かメイクもコンタクトも、はたまたシャワーさえも済ませてしまい、ブラと付属品のガーダーベルトとチョーカーは身につけたが、ショーツを履くことに躊躇ってしまった。
腰回りの部分はレースが一周ヒラヒラしている。
そして、股の部分はオープンクロッチで隠す気一切ナシなうえ、大事な部分は大きいパールが一直線に連なっている。
こんなもの履いていける度胸も勇気も持ち合わせていない。

「・・・・・・・」
羞恥で死ねるかもしれない。本気で思った時、扉をドンドンと叩く音がしてビクッ!と、飛び跳ねてしまった。
「ひゃい!!」
声が裏返り、変な声を出してしまう。けど、そんなこと今はどうでもいい。
「凪さん?大丈夫ですか?遅いので心配になって来ましたけど・・・・・ちゃんと着れましたか?入りますよ?」
「待って!着るから!着るの!」
何故か急かされているような気分になってい、慌ててその意味のないショーツを履いていく。
すると、勢いよく履いてしまったせいか、蜜粒と媚肉にパールの部分が当たり、ビクッとなってしまい声を出してしまう
「ひゃぁぁ!」
突然の刺激に耐えられなくて、バタンと座りこんでしまう。

「凪さん?開けます!!」
「待って!!」
大きな物音に驚いた庵が、一言断りを入れて中に入る。それを阻止しょうと声を出したが、一歩及ばずだった。
「・・・・・・ヤバ」
「くぅ~~~」
庵の一言で恥ずかしくなり胸を隠して小さく丸くなる。
ズカズカとやってきて、夜神を横抱きにして庵はベッドまで運ぶ。
その時、夜神は見てしまった。庵の顔を。同じぐらい赤くなった顔を。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

なんかギャグのような仕上がりになりました。
お兄さん・お姉さんのいらぬお節介で夜神大佐は色々とピンチです。

そして、次はRの話に突進します。一帯プレゼントの残りの2つは何でしょうかね?お楽しみに

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

つかまえた 〜ヤンデレからは逃げられない〜

りん
恋愛
狩谷和兎には、三年前に別れた恋人がいる。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

レンタル彼氏がヤンデレだった件について

名乃坂
恋愛
ネガティブ喪女な女の子がレンタル彼氏をレンタルしたら、相手がヤンデレ男子だったというヤンデレSSです。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

憐れな妻は龍の夫から逃れられない

向水白音
恋愛
龍の夫ヤトと人間の妻アズサ。夫婦は新年の儀を行うべく、二人きりで山の中の館にいた。新婚夫婦が寝室で二人きり、何も起きないわけなく……。独占欲つよつよヤンデレ気味な夫が妻を愛でる作品です。そこに愛はあります。ムーンライトノベルズにも掲載しています。

処理中です...