29 / 193
28
しおりを挟む
攻撃を躱し、受け止めを繰り返す。勿論、力加減を考えて尻もちをつく程度にしていく。よろけながらも、何とか構えてまた打ちこむ。
だか、そればかりでは力がつかないと分かるので時々飛ばす。
庵も気が抜けないやり取りに、少しだけ恐怖が加わる。力加減をしてくれているのは有り難いが、突然体が飛ばされて板張りの床に叩きつけられるのだ。
見学をしている者達が何名か、防具に着替えているのにも気になる。この稽古が終わったら夜神中佐に頼むつもりなのか?それとも通常の稽古なのだろうか?
「庵君!集中出来てないよ!」
夜神の叱咤で面をくらう。頭が粉砕されたのかと思うぐらいの痛さに、動きを止めて頭を抱える
「くぅ~っ・・・・・・す、すみません」
「少しだけ休憩しましょう。頭冷やしておいで」
「ありがとうございます」
夜神に軽く頭を下げて、ラインの外に出て面を外す。外気に触れて、少しだけ気分が楽になる
すると、防具を身に着けていた数名が突然名乗り出てきた
「夜神中佐失礼したします。私達は大学生の者です。もし可能ならば私達に少しだけ稽古をして頂けないでしょうか?」
「?あなた方の教育係は剣術の稽古はしてくれないの?」
夜神は学生が言っている意味が分からなくて尋ねる。もし、指導していなければ、上に注意してもらわないといけない。夜神は無表情になって学生達を見た。
夜神の問に教育係の腕章をしている隊員が数名出でくる。
「すみません。今年度の学生の教育係を担当しているものです。夜神中佐に一度だけでもいいので、剣術指導をしていただきたいと学生達が言ってまして。学生にとって夜神中佐は憧れの存在であるので、一度でもいいからと、お願いされまして我々教育係も中佐さえ良ければ、願いを叶えてあげたいと思っている所存です。いかがでしょうか?」
教育係から、学生の願いだと聞かされたら応えるしかないのかもしれない。
「普段はちゃんと稽古をしているのよね?」
「勿論です。係になったのなら指導内容に含まれているものは、しています。出稽古だと思って頂ければと思います。」
夜神は白い瞳で学生達をみて、教育係を見た。
庵君の休憩の間なら別にいいだろう。他の学生の実力がいかほどかも気になる。ならば少し付き合ってもいいだろう。
「分かったわ。一人一人で来きてもいいし、まとめて来てもいいけど、どうする?」
夜神は軽く首を傾げて学生を見る。
庵は学生の何名かが、顔が赤くなるのを見た。
(あれが素なんだよな。本人わかってないけど、学生達の夜神中佐に対する憧れは凄いんだよな。なのにあんなに可愛い仕草されたら赤面するわ。けど、指導は鬼なんだよな。一日で慣れてしまったけど。知らない人間から見たらそうなるんだよなぁ~)
何故か冷めた目で周りの学生達を見ている自分が居る。知ってる仲間だし、配属されるまでは自分も憧れの人ではあったが、初日で色々と崩れ去っていったのを改めて思ってしまった。
夜神は学生達がまとめて来ると言うので、中央に立ち竹刀を構えて学生達を迎え討つ。
一人、二人と自分に向かってくるのを、躱したり、面や胴、突きなどで完膚なきまでに飛ばして、床に激突させていく。
全員が床に倒れているのを息も乱さず白い目で見回し
「早く次を打ち込まないと、倒れたままじゃ吸血鬼にすぐ殺されるよ?」
静かに学生達になげかける。
あーやっぱり床に激突はお約束なんですね。なんで八人も相手に一回で打ちのめして、息、一つ乱してないんだろう?もう、次元が違いすぎる。庵は心の中で呟いた。
夜神が竹刀を床にトンと突いたのを見て、自分の教育係の強さと、天然で無自覚に人を誘惑する恐ろしさを改めて思ったのであった。
だか、そればかりでは力がつかないと分かるので時々飛ばす。
庵も気が抜けないやり取りに、少しだけ恐怖が加わる。力加減をしてくれているのは有り難いが、突然体が飛ばされて板張りの床に叩きつけられるのだ。
見学をしている者達が何名か、防具に着替えているのにも気になる。この稽古が終わったら夜神中佐に頼むつもりなのか?それとも通常の稽古なのだろうか?
「庵君!集中出来てないよ!」
夜神の叱咤で面をくらう。頭が粉砕されたのかと思うぐらいの痛さに、動きを止めて頭を抱える
「くぅ~っ・・・・・・す、すみません」
「少しだけ休憩しましょう。頭冷やしておいで」
「ありがとうございます」
夜神に軽く頭を下げて、ラインの外に出て面を外す。外気に触れて、少しだけ気分が楽になる
すると、防具を身に着けていた数名が突然名乗り出てきた
「夜神中佐失礼したします。私達は大学生の者です。もし可能ならば私達に少しだけ稽古をして頂けないでしょうか?」
「?あなた方の教育係は剣術の稽古はしてくれないの?」
夜神は学生が言っている意味が分からなくて尋ねる。もし、指導していなければ、上に注意してもらわないといけない。夜神は無表情になって学生達を見た。
夜神の問に教育係の腕章をしている隊員が数名出でくる。
「すみません。今年度の学生の教育係を担当しているものです。夜神中佐に一度だけでもいいので、剣術指導をしていただきたいと学生達が言ってまして。学生にとって夜神中佐は憧れの存在であるので、一度でもいいからと、お願いされまして我々教育係も中佐さえ良ければ、願いを叶えてあげたいと思っている所存です。いかがでしょうか?」
教育係から、学生の願いだと聞かされたら応えるしかないのかもしれない。
「普段はちゃんと稽古をしているのよね?」
「勿論です。係になったのなら指導内容に含まれているものは、しています。出稽古だと思って頂ければと思います。」
夜神は白い瞳で学生達をみて、教育係を見た。
庵君の休憩の間なら別にいいだろう。他の学生の実力がいかほどかも気になる。ならば少し付き合ってもいいだろう。
「分かったわ。一人一人で来きてもいいし、まとめて来てもいいけど、どうする?」
夜神は軽く首を傾げて学生を見る。
庵は学生の何名かが、顔が赤くなるのを見た。
(あれが素なんだよな。本人わかってないけど、学生達の夜神中佐に対する憧れは凄いんだよな。なのにあんなに可愛い仕草されたら赤面するわ。けど、指導は鬼なんだよな。一日で慣れてしまったけど。知らない人間から見たらそうなるんだよなぁ~)
何故か冷めた目で周りの学生達を見ている自分が居る。知ってる仲間だし、配属されるまでは自分も憧れの人ではあったが、初日で色々と崩れ去っていったのを改めて思ってしまった。
夜神は学生達がまとめて来ると言うので、中央に立ち竹刀を構えて学生達を迎え討つ。
一人、二人と自分に向かってくるのを、躱したり、面や胴、突きなどで完膚なきまでに飛ばして、床に激突させていく。
全員が床に倒れているのを息も乱さず白い目で見回し
「早く次を打ち込まないと、倒れたままじゃ吸血鬼にすぐ殺されるよ?」
静かに学生達になげかける。
あーやっぱり床に激突はお約束なんですね。なんで八人も相手に一回で打ちのめして、息、一つ乱してないんだろう?もう、次元が違いすぎる。庵は心の中で呟いた。
夜神が竹刀を床にトンと突いたのを見て、自分の教育係の強さと、天然で無自覚に人を誘惑する恐ろしさを改めて思ったのであった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
32
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる