【R18】牝騎士は仇敵に抱かれる夢を見るか ――誇り高き誓いが、快楽に溺れて蕩ける夜

いろは杏⛄️

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雌の誇り ――悦びと名づけられた鎖 後編

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 ザイグルの律動が止んだ。

 汗と蜜に濡れたラグリナの身体が、ぐったりと寝台に沈みこむ。

 だが、まだ終わっていなかった。

 彼は立ち上がり、卓の上に置かれた銀の首輪を手に取る。

 それは無骨で、冷たく、淫靡な輝きを放っていた。
 だが、それ以上に――意味を持っていた。

「……選べ、ラグリナ」

 ザイグルが、膝をついて彼女の視界に入る。

「今この場で、誇りとともに生きるなら、これを断っても構わない。
 だが……悦びに生きると決めるなら、これを受け取れ。自らの意志でな」

 ラグリナの瞳が、揺れた。

(……誇り? 騎士としての? ……でも、私は……)

 すでに、自分の身体は、騎士ではなかった。
 何度も絶頂し、男を受け入れ、甘い喘ぎを漏らした女。

 かつて誓いを捧げた主は、すでにザイグルの雌として笑っている。
 では、自分は何にすがっていたのか。何のために、ここまで耐えてきたのか。

(わからない……)

 その時、隣で王女が囁いた。

「これは敗北じゃないの、ラグリナ。これは――選ぶということ」

 ラグリナの手が、ゆっくりと動いた。

 ザイグルの手から、首輪を受け取る。

 冷たい金属の感触が、掌を通じて心へと伝わってくる。

「……わたしは……」

 言葉が震えた。
 けれど、もう抗わなかった。

「……わたしは……ザイグル様の……雌です……」

 その言葉を口にした瞬間、胸の奥で何かが音を立てて崩れた。

 同時に――新しい何かが、ゆっくりと、確かに、芽吹いていた。

 ザイグルは静かに微笑み、手を伸ばして首輪を彼女の首へと嵌めた。

 カチャリ――と、甘く、重い音が鳴る。

 冷たさが、肌に触れる。

 それは屈辱ではなかった。
 むしろ、奇妙なほどの安心感だった。

 胸の奥で、疼いていた不安が――消えた。

「ようやく……お前が本当の姿を見せたな」

 ザイグルの手が、ラグリナの頬を撫でる。

 その手に、彼女はすり寄るように目を閉じた。

「どうか……もっと、抱いてください……ザイグル様……」

 言葉が、震えるように甘く、淫らにこぼれた。

 それはかつての騎士には、決してありえなかった声音だった。

 けれど今、それこそが――ラグリナにとっての新しい誇りとなったのだ。

     * * *

 仄暗い天蓋の下、寝台には三つの影が重なっていた。

 ザイグルの逞しい身体がラグリナを後ろから抱き、奥深くを抉るように律動している。
 蜜でぬめった肉と肉が打ち合い、濡れた音が淫靡に室内を満たす。

「んあぁっ、あっ……! ザイグル様っ……もっと、奥……!」

 首には銀の首輪。そこから繋がる細い鎖が、行為のたびに揺れていた。
 ラグリナはもう、かつての騎士ではなかった。

 目尻には涙、唇からは甘く蕩けた喘ぎがこぼれ続ける。

 その身体を、後ろから突き上げながら、ザイグルが耳元で囁く。

「どうした……雌騎士。またイきたいのか?」

「……は、いっ……雌として……悦びたい、もっと、もっと……!」

 羞恥も抗いも、すでに影すらなかった。
 女の本能が疼き、男を求めて腰を振っている。

 その傍らでは、王女がそっとラグリナの胸元に手を添えていた。
 柔らかな手のひらが乳房を包み、親指が乳首を優しくなぞる。

「ねえ……気持ちいいでしょう? ザイグル様の奥に、わたくしも……何度も満たされたの」

「あぁっ、そんなっ……言われたら……またっ、イっちゃう……!」

 ザイグルが腰を打ちつけるたび、ラグリナの中で子宮が悦びに震え、意識が白く塗りつぶされていく。
 目の前には、自分が仕えてきた主。けれど今は、同じ雌として隣に並ぶ女。
 そこに、もう過去の上下関係など存在しなかった。

 ラグリナは自ら首輪の鎖を掴み、熱のなかで叫ぶ。

「わたしは……ザイグル様の……雌っ……女っ……っ、ザイグル様のために悦び続ける、ッ!」

 その宣誓とともに、奥深くまで押し込まれ、ザイグルの熱が膣奥に注がれる。

 びくびくと痙攣しながら、ラグリナの身体は何度も跳ね、絶頂の波に呑まれていった。

 

 ──しばらくして。

 ザイグルの膝に頭を預け、ラグリナは穏やかな吐息を漏らしていた。

 王女はその隣で髪を梳いてやりながら、囁く。

「……あなたは、本当に美しいわ。誇りのまま散る騎士ではなく、悦びに生きる女として、咲いたのね」

「……ええ。気づいたの。守るだけじゃ……救えなかった。
 でも、今なら……ザイグル様の隣で、悦びのままに生きられる」

 その顔に浮かぶのは、かつての凛々しさとはまるで違う、柔らかで蕩けた笑みだった。

 

 ザイグルが寝台から立ち、軽く手を差し伸べる。

「来い、ラグリナ。今度はお前の鎖で、この扉を閉じてみせろ」

「……はい、ザイグル様」

 彼女は頷き、自らの首輪に繋がる鎖を手繰り寄せる。

 扉の横にある金具へ、その端を留める。

 カチリ、と音が鳴る。

 それは、解放ではない。
 けれど――自由だった。

 

「わたしは誓います。ザイグル様の雌として、生きる悦びを、すべて捧げてゆくことを――」

 その瞳には涙が浮かんでいた。
 だが、それは悔しさではなかった。
 悦びに染められた、幸福の涙だった。

 こうして、かつて誇り高き騎士は――
 一人の男に飼われる雌として、穏やかにその生を始めたのだった。

《完》
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