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#1 圧倒的廃人
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狭く、暗く、空気の悪い部屋に1つ発光をするのはパソコンの画面。
その液晶画面にへばりつく様に、目を充血させながら右手でマウスを縦横無尽に動かしながら左手でキーボードを強打しているのは、田中素晴(たなかすばる)、今年22歳を迎える引きこもりニート、俗に言うヒキニートである。
そんな彼が血眼になっているパソコンの画面にはMMORPG『イグニティ』の課金コンテンツであるガチャ画面が表示されていた。
「はぁ……はぁ……なんで出ねぇんだよっ! あと一体でコンプリートだろ!?」
ガチャ画面には『LR排出率激大UP!』『悪鬼が排出対象!』という大々的な広告と課金コンテンツガチャの最低保証のレアリティである、Rが立てて続けに10体ずつ出る画面が交互に映し出されていた。
「ふざけんな! このクソゲーが!今月だけでもう5万も使ってんだぞ…… しかもあと一回しかガチャ引けないし……」
この男、正真正銘のダメ男クズ男である。親の脛をかじり生活をしている上に、親の金でゲームに課金をしているのである。
「よっしゃぁぁあっ!最後の最後、単発できたっ!これで全魔族コンプリートだ!」
パソコンの画面には禍々しく荒々しそうな真っ赤な鬼と、LR・悪鬼という虹色の文字が映し出されていた。
「よっしゃ、まずは育成をしてっと……あとはこの武器を装備させて……あっ!コイツはこっちの方がいいな、でもこの武器1つしか無いからな……うーん、仕方ないあと1万だけ課金して武器を当てよう!」
なんと、救えぬ男だろうか。目的のキャラクターを手に入れたのだからそこで終わればいいものを、欲を出し更に金をつぎ込む、全くもって愚かな男である。
ブーブー
パソコンのスピーカーから、警告音のようなサイレンが鳴り響いた。
「ん?ここまで侵入してくるプレイヤーがいるとは驚きだな」
どうしようもないこのクズ男は、ゲームの中では最強のいや、最恐のプレイヤーなのである。
そんな、彼のゲーム上の名は──
「我が名は、サタン・オルティガル・ルシリアである」
サタン・オルティガル・ルシリア。とてつもな長く、そして厨二病臭いこの名前は、『イグニティ』プレイヤーの中で真の魔王として広く浸透している。知らないプレイヤーはそれこそチュートリアルの終わっていないビギナーくらいだろうか。
「初めて見たぜ……アレが最恐のプレイヤーサタンか」
侵入者の1人が息を飲む様にそういう。
「俺の名前は、HIKARU総勢150名のチームを取り仕切るリーダーだ!」
30人程いる侵入者のうち最も先頭で金髪をした男性が声を大してそう言った。
「うわ、自分の名前をゲームに使うヤツかよ。マジ無いわ」
「黙れサタン!今日をもってお前の独占も終わりだ!」
独占という言葉は『イグニティ』において、レアドロップアイテムを個人で全て入手する事を意味する。
「なるほど、貴様らは我の特権を奪いにここまでやって来たというわけか」
「特権だと!?お前のやっていることはただの独占だ!その装備だって俺たちが入手できないアイテムで作り出したものだろ!?」
確かに、素晴もとい、サタンが身にまとっている装備は高級感を演出している。
黒を基調として所々に金の細工が施されたマントを羽織り、インナーも黒を基調とし、トライバル柄の様になっている箇所だけが赤くなった魔王をも彷彿とさせる服を着用しており
ズボンと靴に関しては漆黒という言葉が相応しい程の物を身につけている。
それらを身にまとっているサタン自身も人間種の肌の色をしておらず禍々しいほどの黒い肌を持っており頭部には強さを誇張するかのような威圧的なツノが2本生えている。
だが、しかし!肌の色も頭のツノもどれもこれも全て、課金ガチャの一定数以上の重複により引き起こる現象であり、断じてレアドロップなどという無課金コンテンツで作り上げられた代物ではない。
「フン…… 流石に我に匹敵する猛者はおらぬか」
「何を訳の分からない事を言っているんだ!」
「皆一斉にかかってくると良い、そうすれば少しは我を楽しませられるかもしれんぞ?」
「行くぞっ!」
「「「「「おぉっ!!」」」」」
「まぁ、貴様らが闘うのはコイツだがな。《|超位召喚魔法(ファンティアス・サモン)・悪鬼》」
ポケットからひし形の水晶の様なものを取り出し魔法を詠唱する、それと同時に姿を現したのは先ほどのガチャで出ていた鬼だった。
召喚された鬼は、残虐の限りを尽くし数分後にサタンに挑んだ侵入者は0人となった。
ゴトッ──
素晴はヘッドホンを机の上に置き一呼吸し、呟く。
「ガチャ引いて、良かった」
その一言を最後に素晴は深い眠りについた。
◇◇◇◇◇
「ん……」
素晴が眼を覚ます。
まだぼやける目をこすり今日も一日ゲームをやり込もうと右手をマウスに添えようと動かす。
「ん?無いぞ……と言うかなんで玉座の間に居るんだ? あぁ、ログアウトしないで寝落ちしたのか」
ボヤける視界にはいつも見ている自分の本拠地がうつっていた。
「しかし、やたらと画面が──」
そう、この時彼はまだ気づいていない。
異世界に、いや『イグニティ』に来てしまったと言う事に。
「ちょっとまて…… 俺はついに夢ですら『イグニティ』をプレイする気になのか……」
素晴は夢だと思い、再び瞼を塞ぎ睡眠を試みる。
しかし、時間が過ぎるにつれだんだんと発汗を覚える。
贅を極めたサタンの椅子、吸い込まれるほどの座り心地、それとは対照的な肘置きの堅牢な造り、どれも時間が経つとともに実感が湧く。
しかし、まだ夢でないという可能性を捨てきれない素晴。
結局1時間程の睡眠を取り終えた後に気づく。
否、現実に目を向ける。
「ここって……イグニティ!!??」
その液晶画面にへばりつく様に、目を充血させながら右手でマウスを縦横無尽に動かしながら左手でキーボードを強打しているのは、田中素晴(たなかすばる)、今年22歳を迎える引きこもりニート、俗に言うヒキニートである。
そんな彼が血眼になっているパソコンの画面にはMMORPG『イグニティ』の課金コンテンツであるガチャ画面が表示されていた。
「はぁ……はぁ……なんで出ねぇんだよっ! あと一体でコンプリートだろ!?」
ガチャ画面には『LR排出率激大UP!』『悪鬼が排出対象!』という大々的な広告と課金コンテンツガチャの最低保証のレアリティである、Rが立てて続けに10体ずつ出る画面が交互に映し出されていた。
「ふざけんな! このクソゲーが!今月だけでもう5万も使ってんだぞ…… しかもあと一回しかガチャ引けないし……」
この男、正真正銘のダメ男クズ男である。親の脛をかじり生活をしている上に、親の金でゲームに課金をしているのである。
「よっしゃぁぁあっ!最後の最後、単発できたっ!これで全魔族コンプリートだ!」
パソコンの画面には禍々しく荒々しそうな真っ赤な鬼と、LR・悪鬼という虹色の文字が映し出されていた。
「よっしゃ、まずは育成をしてっと……あとはこの武器を装備させて……あっ!コイツはこっちの方がいいな、でもこの武器1つしか無いからな……うーん、仕方ないあと1万だけ課金して武器を当てよう!」
なんと、救えぬ男だろうか。目的のキャラクターを手に入れたのだからそこで終わればいいものを、欲を出し更に金をつぎ込む、全くもって愚かな男である。
ブーブー
パソコンのスピーカーから、警告音のようなサイレンが鳴り響いた。
「ん?ここまで侵入してくるプレイヤーがいるとは驚きだな」
どうしようもないこのクズ男は、ゲームの中では最強のいや、最恐のプレイヤーなのである。
そんな、彼のゲーム上の名は──
「我が名は、サタン・オルティガル・ルシリアである」
サタン・オルティガル・ルシリア。とてつもな長く、そして厨二病臭いこの名前は、『イグニティ』プレイヤーの中で真の魔王として広く浸透している。知らないプレイヤーはそれこそチュートリアルの終わっていないビギナーくらいだろうか。
「初めて見たぜ……アレが最恐のプレイヤーサタンか」
侵入者の1人が息を飲む様にそういう。
「俺の名前は、HIKARU総勢150名のチームを取り仕切るリーダーだ!」
30人程いる侵入者のうち最も先頭で金髪をした男性が声を大してそう言った。
「うわ、自分の名前をゲームに使うヤツかよ。マジ無いわ」
「黙れサタン!今日をもってお前の独占も終わりだ!」
独占という言葉は『イグニティ』において、レアドロップアイテムを個人で全て入手する事を意味する。
「なるほど、貴様らは我の特権を奪いにここまでやって来たというわけか」
「特権だと!?お前のやっていることはただの独占だ!その装備だって俺たちが入手できないアイテムで作り出したものだろ!?」
確かに、素晴もとい、サタンが身にまとっている装備は高級感を演出している。
黒を基調として所々に金の細工が施されたマントを羽織り、インナーも黒を基調とし、トライバル柄の様になっている箇所だけが赤くなった魔王をも彷彿とさせる服を着用しており
ズボンと靴に関しては漆黒という言葉が相応しい程の物を身につけている。
それらを身にまとっているサタン自身も人間種の肌の色をしておらず禍々しいほどの黒い肌を持っており頭部には強さを誇張するかのような威圧的なツノが2本生えている。
だが、しかし!肌の色も頭のツノもどれもこれも全て、課金ガチャの一定数以上の重複により引き起こる現象であり、断じてレアドロップなどという無課金コンテンツで作り上げられた代物ではない。
「フン…… 流石に我に匹敵する猛者はおらぬか」
「何を訳の分からない事を言っているんだ!」
「皆一斉にかかってくると良い、そうすれば少しは我を楽しませられるかもしれんぞ?」
「行くぞっ!」
「「「「「おぉっ!!」」」」」
「まぁ、貴様らが闘うのはコイツだがな。《|超位召喚魔法(ファンティアス・サモン)・悪鬼》」
ポケットからひし形の水晶の様なものを取り出し魔法を詠唱する、それと同時に姿を現したのは先ほどのガチャで出ていた鬼だった。
召喚された鬼は、残虐の限りを尽くし数分後にサタンに挑んだ侵入者は0人となった。
ゴトッ──
素晴はヘッドホンを机の上に置き一呼吸し、呟く。
「ガチャ引いて、良かった」
その一言を最後に素晴は深い眠りについた。
◇◇◇◇◇
「ん……」
素晴が眼を覚ます。
まだぼやける目をこすり今日も一日ゲームをやり込もうと右手をマウスに添えようと動かす。
「ん?無いぞ……と言うかなんで玉座の間に居るんだ? あぁ、ログアウトしないで寝落ちしたのか」
ボヤける視界にはいつも見ている自分の本拠地がうつっていた。
「しかし、やたらと画面が──」
そう、この時彼はまだ気づいていない。
異世界に、いや『イグニティ』に来てしまったと言う事に。
「ちょっとまて…… 俺はついに夢ですら『イグニティ』をプレイする気になのか……」
素晴は夢だと思い、再び瞼を塞ぎ睡眠を試みる。
しかし、時間が過ぎるにつれだんだんと発汗を覚える。
贅を極めたサタンの椅子、吸い込まれるほどの座り心地、それとは対照的な肘置きの堅牢な造り、どれも時間が経つとともに実感が湧く。
しかし、まだ夢でないという可能性を捨てきれない素晴。
結局1時間程の睡眠を取り終えた後に気づく。
否、現実に目を向ける。
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