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#2 イグニティ
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「俺がイグニティの世界に飛ばされたと言うのか……? しかし、ゲームの様にカーソル表示が何もない。それにマウスもキーボードも無いから魔法やアイテムの使用は出来ないのか?」
素晴は考え込んだ挙句、数多くの課金コンテンツガチャとレアドロップにより生成された強力なアイテムが収納されている宝物庫へと足を運んだ。
「普段なら、空間移動系の魔法で行くんだけどなぁ…… それにしても本当にイグニティの世界に来てしまったのだろうか?」
ぶつくさと、1人会議を開きながら宝物庫に置かれているいくつかのアイテムを手に取る。
「ふむ…… ゲームで使われていたアイテムはそのまま存在しているのか…… であれば、《上位召喚魔法グレートサモン・黒騎士》」
ひし形の水晶は、光を放ち黒い騎士を生み出した。
漆黒の鎧に、漆黒の剣。ヘルムの下の目は赤く光っている。
「ふむ…… なるほどな魔法発動にはカーソールをクリックする代わりに詠唱が必要と言うわけか」
アイテムを使う際に詠唱した魔法が適用されたのでこの結論に至ったのである。
ちなみに上位召喚で呼び出されるのはゲームで言うところのLRの次にレア度の高いURに当たる。
「さて、魔法の存在を確認した事だしとりあえずは玉座の間に戻るか。
《次空転移テレポーテーション》」
サタン素晴の足元に魔法字が浮かび上がりそれが消えるのと同時にサタンと黒騎士の姿も消えて行った。
消えた魔法陣、サタンそれから黒騎士は再び玉座の間に現れた。
「ふぅ……やっぱり魔法は便利だな、そうだ久しぶりに街にでも行ってみようかな。ゲームと今では何か違う所や違った景色が見えるかもしれないしな」
彼はゲームの世界でも引きこもりだったのである。
そしてそんな彼が引きこもっている家はとてつもなく大きく、圧倒的な威圧感を醸し出す家、その聳え立つ姿はまるで魔王城の様だった。
素晴自身、公式のラスボスである魔王が待ち受ける魔王城を題材にして作り上げた建物である。
独占の末に手に入れた無数のレアドロップと、目を当てるのも怖いほどの課金によって作られた魔王城(仮)は公式が作った正規の物よりも大きい。
この魔王城(仮)の規模は、公式が作った魔王城の階層数と比べれば歴然である。公式の魔王城が5階層なのに対し、サタンの作った魔王城(仮)はなんと10階層にも及ぶ。
更に、細部までしっかりと拘りを持って作ったが故に、1階層ずつに1体URキャラクターを中ボスの様な立ち位置で配置しており、更に玉座の間である10階層の1つ手前の階層、9階層にはURキャラクターが4体待ち受けている。
この破格の難易度は公式が作った魔王城の比ではない。公式の魔王城を100回連続で制覇するよりも、サタンに1度挑戦をする方が難しいとされている程だ。
コレらの要因から、『イグニティ』プレイヤーは皆口を揃えて、サタンが待つ城こそ本当の魔王城。あの魔王城を落としてこそ真のエンディングだ。と言うのだ。
そして何より驚くべき事は公式がサタン素晴を初めに打ち破ったプレイヤーには『真の勇者』の称号と現金500万円を贈呈すると公言した事である。
これによりさらにサタンの命を狙う者が増えたが、その多くは第3階層までの中ボス(UR)の前に敗れ去り、最上層である玉座の間にたどり着けるのは極少数。
その一握りのプレイヤーが束になって挑戦をしても、サタンに勝つことは不可能だったのだ。
「黒騎士よ」
サタンは召喚した黒騎士に対し不意に呼びかける。
「・・・」
それに対し、黒騎士は一音の返事もしない。まるで飾り物の甲冑かの様に。
「ふむ……やはりNPCと会話を通じて命令をする事は不可能か。 異世界、いやゲームの世界に飛ばされてきたのだからもしかすれば出来るかと思っていたのだが──」
「サタン様、何用でしょうか」
その言葉を発したのは紛れもなく黒騎士だった。
「ん? 今喋ったか?」
確実に聞こえていたが念のために尋ねる。
「も、申し訳ありません。私の様な分際がサタン様に対して言葉を発するなどあってはならぬ事、この命に代えて謝罪致します」
黒騎士は鎧と鎧がカタカタと触れ合う音を立てながら慌てて膝をつきこうべを垂れそう言った。
「待て、我はその様な事は望んでおらぬ。会話はできるのか?」
(なんで魔王っぽい口調なったんだよっ!まぁでも……こっちの方がキャラに合ってるしコレで良いか!)
と、心の中でつぶやく素晴であった。
「はっ!慈悲深きサタン様に感謝を申し上げます。僭越ながらこの黒騎士、対話をする事ができます。何なりとお申し付けください」
「ふむ……その言い草だと対話をすることができない者がいる様に聞こえるが?」
「流石はサタン様、ご明察でございます。獰猛な魔獣や理性を持たない者は基本的に対話をすることができません」
サタンはここで疑念を抱く、LRキャラクターの殆どは理性を持った外見には見えない者ばかりだ、最もレアリティの高いキャラクターと対話ができないのは少しばかり残念だ。特についこの前当てた悪鬼、彼はどう見ても理性を持った存在とは思えない。この疑念を解決するべく、黒騎士に訊く。
「黒騎士よ、LR。いやお前よりも1つレアリティの高い者たちにもその理論は通じるのか?」
「すみませんサタン様、浅はかな知識しか持たぬこの黒騎士にはLRやレアリティと言った言葉は理解できかねますが、私より高貴な方々は例外なく対話をすることができます。求めていらした答えと相違あれば申し訳ございません」
「そうか!それは良かった。ところで1つ尋ねたいのだが。我と共に街を見に行く気はないか?」
「そ、それは私がサタン様の護衛をさせて頂けると言う事ですか!?」
サタンは心の中で、なんかこいつ暑苦しいな。と思いながらも無言で頷く。
「左様ですか…… 実にありがたいお話でありますが、私の実力ではサタン様を完全に守る事が出来るのかどうか不安でございます」
「ふむ…… であれば我の代わりに街を偵察してきてはくれぬか?」
「それであれば、不安なく任務を遂行できそうです。 見かけたニンゲン供は全て殲滅してまいります」
サタンの配下にいる者の殆どは悪魔種であり、他の種族に対して異常なまでの嫌悪感と敵対心があるのだ。
「よかろう。と言いたいが今回はただの偵察だ、くれぐれも問題ごとを起こさぬ様に慎重に行って欲しい」
「サタン様のお考えとあれば喜んで引き受けさせて頂きます」
「うむ。では頼んだ。街の状況がわかり次第ここに戻ってくる様に。空間転移系の魔法は使えるか?」
「お恥ずかしい話ですが、その様な高貴なる魔法を使用する事は出来ません」
「ふむ…… であればコレを持って行くと良い」
宝物庫から取り出してきたいくつかのアイテムのうちの1つを黒騎士に手渡す。
「コレは?」
「転移アイテムだ、場所を設定しておけば使用した際にその場所まで即時に転移することができる。場所玉座の間に設定してある」
「なんと、恐れ多いことか…… サタン様の所有物を使うなど……」
「良い、持っていけ。我には必要のない代物だからな」
「大切に扱わせていただきます」
これ以上ない程の誠実さを見せる黒騎士に対し、素晴は非常に申し訳ない気持ちになった。
何故なら今手渡したアイテムは無限と言って良いほど在庫があり『イグニティ』の世界であれば容易にドロップする、そして何より使い捨てのアイテムなのである。
「うむ…… それは忠誠の意として受け取らさせてもらおう。それでは街の偵察に行くが良い」
「御意ッ!!」
そういうと黒騎士は、最上層の玉座の間から第1階層まで走って降りていき、そのまま街まで駆けて行った。
「あぁ…… そうか、転移魔法が使えないからここから下までは徒歩なのか…… なんか申し訳ないことしたな」
玉座に座り1人反省するサタン。
素晴は考え込んだ挙句、数多くの課金コンテンツガチャとレアドロップにより生成された強力なアイテムが収納されている宝物庫へと足を運んだ。
「普段なら、空間移動系の魔法で行くんだけどなぁ…… それにしても本当にイグニティの世界に来てしまったのだろうか?」
ぶつくさと、1人会議を開きながら宝物庫に置かれているいくつかのアイテムを手に取る。
「ふむ…… ゲームで使われていたアイテムはそのまま存在しているのか…… であれば、《上位召喚魔法グレートサモン・黒騎士》」
ひし形の水晶は、光を放ち黒い騎士を生み出した。
漆黒の鎧に、漆黒の剣。ヘルムの下の目は赤く光っている。
「ふむ…… なるほどな魔法発動にはカーソールをクリックする代わりに詠唱が必要と言うわけか」
アイテムを使う際に詠唱した魔法が適用されたのでこの結論に至ったのである。
ちなみに上位召喚で呼び出されるのはゲームで言うところのLRの次にレア度の高いURに当たる。
「さて、魔法の存在を確認した事だしとりあえずは玉座の間に戻るか。
《次空転移テレポーテーション》」
サタン素晴の足元に魔法字が浮かび上がりそれが消えるのと同時にサタンと黒騎士の姿も消えて行った。
消えた魔法陣、サタンそれから黒騎士は再び玉座の間に現れた。
「ふぅ……やっぱり魔法は便利だな、そうだ久しぶりに街にでも行ってみようかな。ゲームと今では何か違う所や違った景色が見えるかもしれないしな」
彼はゲームの世界でも引きこもりだったのである。
そしてそんな彼が引きこもっている家はとてつもなく大きく、圧倒的な威圧感を醸し出す家、その聳え立つ姿はまるで魔王城の様だった。
素晴自身、公式のラスボスである魔王が待ち受ける魔王城を題材にして作り上げた建物である。
独占の末に手に入れた無数のレアドロップと、目を当てるのも怖いほどの課金によって作られた魔王城(仮)は公式が作った正規の物よりも大きい。
この魔王城(仮)の規模は、公式が作った魔王城の階層数と比べれば歴然である。公式の魔王城が5階層なのに対し、サタンの作った魔王城(仮)はなんと10階層にも及ぶ。
更に、細部までしっかりと拘りを持って作ったが故に、1階層ずつに1体URキャラクターを中ボスの様な立ち位置で配置しており、更に玉座の間である10階層の1つ手前の階層、9階層にはURキャラクターが4体待ち受けている。
この破格の難易度は公式が作った魔王城の比ではない。公式の魔王城を100回連続で制覇するよりも、サタンに1度挑戦をする方が難しいとされている程だ。
コレらの要因から、『イグニティ』プレイヤーは皆口を揃えて、サタンが待つ城こそ本当の魔王城。あの魔王城を落としてこそ真のエンディングだ。と言うのだ。
そして何より驚くべき事は公式がサタン素晴を初めに打ち破ったプレイヤーには『真の勇者』の称号と現金500万円を贈呈すると公言した事である。
これによりさらにサタンの命を狙う者が増えたが、その多くは第3階層までの中ボス(UR)の前に敗れ去り、最上層である玉座の間にたどり着けるのは極少数。
その一握りのプレイヤーが束になって挑戦をしても、サタンに勝つことは不可能だったのだ。
「黒騎士よ」
サタンは召喚した黒騎士に対し不意に呼びかける。
「・・・」
それに対し、黒騎士は一音の返事もしない。まるで飾り物の甲冑かの様に。
「ふむ……やはりNPCと会話を通じて命令をする事は不可能か。 異世界、いやゲームの世界に飛ばされてきたのだからもしかすれば出来るかと思っていたのだが──」
「サタン様、何用でしょうか」
その言葉を発したのは紛れもなく黒騎士だった。
「ん? 今喋ったか?」
確実に聞こえていたが念のために尋ねる。
「も、申し訳ありません。私の様な分際がサタン様に対して言葉を発するなどあってはならぬ事、この命に代えて謝罪致します」
黒騎士は鎧と鎧がカタカタと触れ合う音を立てながら慌てて膝をつきこうべを垂れそう言った。
「待て、我はその様な事は望んでおらぬ。会話はできるのか?」
(なんで魔王っぽい口調なったんだよっ!まぁでも……こっちの方がキャラに合ってるしコレで良いか!)
と、心の中でつぶやく素晴であった。
「はっ!慈悲深きサタン様に感謝を申し上げます。僭越ながらこの黒騎士、対話をする事ができます。何なりとお申し付けください」
「ふむ……その言い草だと対話をすることができない者がいる様に聞こえるが?」
「流石はサタン様、ご明察でございます。獰猛な魔獣や理性を持たない者は基本的に対話をすることができません」
サタンはここで疑念を抱く、LRキャラクターの殆どは理性を持った外見には見えない者ばかりだ、最もレアリティの高いキャラクターと対話ができないのは少しばかり残念だ。特についこの前当てた悪鬼、彼はどう見ても理性を持った存在とは思えない。この疑念を解決するべく、黒騎士に訊く。
「黒騎士よ、LR。いやお前よりも1つレアリティの高い者たちにもその理論は通じるのか?」
「すみませんサタン様、浅はかな知識しか持たぬこの黒騎士にはLRやレアリティと言った言葉は理解できかねますが、私より高貴な方々は例外なく対話をすることができます。求めていらした答えと相違あれば申し訳ございません」
「そうか!それは良かった。ところで1つ尋ねたいのだが。我と共に街を見に行く気はないか?」
「そ、それは私がサタン様の護衛をさせて頂けると言う事ですか!?」
サタンは心の中で、なんかこいつ暑苦しいな。と思いながらも無言で頷く。
「左様ですか…… 実にありがたいお話でありますが、私の実力ではサタン様を完全に守る事が出来るのかどうか不安でございます」
「ふむ…… であれば我の代わりに街を偵察してきてはくれぬか?」
「それであれば、不安なく任務を遂行できそうです。 見かけたニンゲン供は全て殲滅してまいります」
サタンの配下にいる者の殆どは悪魔種であり、他の種族に対して異常なまでの嫌悪感と敵対心があるのだ。
「よかろう。と言いたいが今回はただの偵察だ、くれぐれも問題ごとを起こさぬ様に慎重に行って欲しい」
「サタン様のお考えとあれば喜んで引き受けさせて頂きます」
「うむ。では頼んだ。街の状況がわかり次第ここに戻ってくる様に。空間転移系の魔法は使えるか?」
「お恥ずかしい話ですが、その様な高貴なる魔法を使用する事は出来ません」
「ふむ…… であればコレを持って行くと良い」
宝物庫から取り出してきたいくつかのアイテムのうちの1つを黒騎士に手渡す。
「コレは?」
「転移アイテムだ、場所を設定しておけば使用した際にその場所まで即時に転移することができる。場所玉座の間に設定してある」
「なんと、恐れ多いことか…… サタン様の所有物を使うなど……」
「良い、持っていけ。我には必要のない代物だからな」
「大切に扱わせていただきます」
これ以上ない程の誠実さを見せる黒騎士に対し、素晴は非常に申し訳ない気持ちになった。
何故なら今手渡したアイテムは無限と言って良いほど在庫があり『イグニティ』の世界であれば容易にドロップする、そして何より使い捨てのアイテムなのである。
「うむ…… それは忠誠の意として受け取らさせてもらおう。それでは街の偵察に行くが良い」
「御意ッ!!」
そういうと黒騎士は、最上層の玉座の間から第1階層まで走って降りていき、そのまま街まで駆けて行った。
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