161 / 316
第十一章 ヘルディアの傭兵
11ー9 メリアパート
しおりを挟む
翌朝。砦の外で戦闘準備を終えた俺達。
すぐに出発したいところだけど。まだ、起きない二人がいるんです。
「おはよーなんだよ」
砦から寝起きのエドナという子供が出てきた。目開いていないじゃない。
ドーーーン!!!
寝ぼけているから、転んだんじゃない。
「おはよー、じゃないよ! もうお昼だよ!」
大声で叫んでいたのに全然起きなかったんだよこの二人は。噂をすればもう一人も砦から出てきたわ。
「おはよ~」
「だから、もうお昼だって!」
砦から寝起きのカチュアが出てきた。こっちも目開いていないじゃない。
「全く! あなた達、本当に戦いを止める気あるの?」
「メリアだって、寝起きは毎回寝ぐせが凄いじゃない。あれはもはや、アートだよ。あれを直すのに時間が掛ったじゃない」
「ぐっ」
痛いところ付かれた。俺はクセ毛が酷く、髪に硬化する魔術を使えば、ミノタロスの角みたいになるぐらい、はねてしまう。自分で髪をとかしても、何故か、酷くなってしまう。だから、毎回、アニーに溶かしてもらっている。情けない。
「じゃあ、早速、奴らのアジアを探しに……」
アニーが一歩歩き出したところで、お目目がパッチリと開いたカチュアが声を掛けた。
「あなたは何か隠してないかしら~?」
「何のこと?」
「あなたの感情は読みにくいけど、隠しごとをしているのは確かだわ~」
「まさか!」
「反乱軍のアジトを突き止めたよ」
「それを先に言え!」
「いや~、突き止めたのが、ついさっきなんだよ。探索しようとした、逆方向だったよ。カチュア達が寝坊してくれたおかげで、無駄足にならなくって済んだよ」
「まあ、いいか。それじゃあ、向かうぜ!」
「その前に、ごはんが食べたいわ~」
「あたしもだよ!」
二人同時に腹の虫を鳴らす。
この二人、寝坊したから、まだ食事していなかったんだ。
腹減ったわりには、空腹で目が覚めなかったのか? それとも、空腹になったから、今時間に起きたのか?
「移動しながら、食べよう」
「あーしも、お腹すいたしー」
「あんたは、ついさっき食べたばかりだろ!? 残念だけど、カチュアとエドナ分しかないよ」
「じゃあー、あーしは、非常食でも食べるしー」
そう言うとギルティは、俺の愛馬はじーと、見つめ始めた。非常食って……。
「だから、やめろ!」「だから、やめなさい!」
敵を本拠中ということだけあって、警備は分厚いな。
「ところで、これから、どーするの~?」
「カチュア。しっかりしてくださいよ」
全く、とても戦いを止めようと動く者とは思えないな。あれ? 戦いを止めって?
「どうしよ? 反乱軍のアジトを見つけたけど。この後どうするの? 全員、ボコボコにすればいいの?」
「取り敢えず、首謀者を捕まえたら」
「ん? 捕まえて、どーするの~」
「組織のリーダーさえ、捕まえたら、組織自体崩れますし、停戦を交渉もできます。無駄な争いをしないであれば、首謀者を捕まえるのかいいかと」
「そっか~、分かったわ~」
方針は決まったが。
「さて、ここから、どう攻めるか」
とても、数人が侵入できるとは思えないな。
「このまま突っ込むッス」
「姫様とは思えない程の無謀だ」
「あんたも似たような者でしょ」
「ん~。ルナちゃん、何かいい案ある?」
「何で、ルナに聞くの? ここは、一番年上のソフィアさんの意見を」
「え? 私なら、一人で行けますよ」
「わたしも一人でも、行けるけど、ルナちゃんに止められそうだから~」
「ああ……そうですよね」
ため息を吐くルナ。苦労人かな?
「やはり、少人数で攻めるなら奇襲でしょうね。ここは魔術による奇襲でその隙に乗り込むの」
「それしかないか」
「ここはやっぱり、エドナさんの魔術で」
「何で、あたしなの?」
「実践は味方がいないところで」
「あたしの魔術が失敗する前提なの?」
「良い方向で失敗するからいいじゃないか」
「はうう。魔術ならルナちゃんだって」
「あんまり、見せびらかしたくないんです」
「テメーは此間、派手に魔術をかましたのでは?」
「変態皇女も強力な魔術を使えますよね?」
「皇女に向かって口が悪いな。スイレンも災害レベルの魔術を」
「どうでも、いいから、誰か早くやりなよー」
敵陣なのに、何で口論になっているのよ。
「あんたら、いつもこうなの?」
「楽しいでしょ?」
「緊張感なさ過ぎだろ」
掴みどころのない、情報通にさえ、呆れてしまう。
すると、カチュアが両手手の平を重ねた。何かを閃いたような仕草だ。
「じゃあ、皆んな一斉に使ったら、どーかしら~?」
笑顔でとんでもないことを口走っているよ!
「面白そうだな」
「やるんだよ」
魔術の使える、エドナ、ルナ、ユミル、マリン、スイレンが一斉に魔術を繰り出した。
「マジか」
地獄絵だな。史上最凶の奇襲攻撃だ。
エドナは空目掛けて、数本の矢を放った。やがて、矢は雨のように降り注いだ。地面に着地した矢は何故か、爆発している。
ルナはルナで、色んな属性魔術をすたすらかます。目が怖いんだ。まるで、ストレスを盛大に発散しているようだ。
スイレンとユミルは広範囲の水系の魔術をかましている。大洪水引き起こしているじゃない。
マリンは正面に展開された魔法陣から黒い槍を出現させ、敵目掛けて放たれる。
もはや、奇襲レベルじゃない。
てか、これ。戦争だったら、砦ごと、破壊すれば勝利だよね、これ。
「じゃあ、行こ~」
「え? あ! うん」
さすがに愛馬は連れて行かないから、置いていくしかないか。……目を離している間にギルティに食べらたりしないかな?
すぐに出発したいところだけど。まだ、起きない二人がいるんです。
「おはよーなんだよ」
砦から寝起きのエドナという子供が出てきた。目開いていないじゃない。
ドーーーン!!!
寝ぼけているから、転んだんじゃない。
「おはよー、じゃないよ! もうお昼だよ!」
大声で叫んでいたのに全然起きなかったんだよこの二人は。噂をすればもう一人も砦から出てきたわ。
「おはよ~」
「だから、もうお昼だって!」
砦から寝起きのカチュアが出てきた。こっちも目開いていないじゃない。
「全く! あなた達、本当に戦いを止める気あるの?」
「メリアだって、寝起きは毎回寝ぐせが凄いじゃない。あれはもはや、アートだよ。あれを直すのに時間が掛ったじゃない」
「ぐっ」
痛いところ付かれた。俺はクセ毛が酷く、髪に硬化する魔術を使えば、ミノタロスの角みたいになるぐらい、はねてしまう。自分で髪をとかしても、何故か、酷くなってしまう。だから、毎回、アニーに溶かしてもらっている。情けない。
「じゃあ、早速、奴らのアジアを探しに……」
アニーが一歩歩き出したところで、お目目がパッチリと開いたカチュアが声を掛けた。
「あなたは何か隠してないかしら~?」
「何のこと?」
「あなたの感情は読みにくいけど、隠しごとをしているのは確かだわ~」
「まさか!」
「反乱軍のアジトを突き止めたよ」
「それを先に言え!」
「いや~、突き止めたのが、ついさっきなんだよ。探索しようとした、逆方向だったよ。カチュア達が寝坊してくれたおかげで、無駄足にならなくって済んだよ」
「まあ、いいか。それじゃあ、向かうぜ!」
「その前に、ごはんが食べたいわ~」
「あたしもだよ!」
二人同時に腹の虫を鳴らす。
この二人、寝坊したから、まだ食事していなかったんだ。
腹減ったわりには、空腹で目が覚めなかったのか? それとも、空腹になったから、今時間に起きたのか?
「移動しながら、食べよう」
「あーしも、お腹すいたしー」
「あんたは、ついさっき食べたばかりだろ!? 残念だけど、カチュアとエドナ分しかないよ」
「じゃあー、あーしは、非常食でも食べるしー」
そう言うとギルティは、俺の愛馬はじーと、見つめ始めた。非常食って……。
「だから、やめろ!」「だから、やめなさい!」
敵を本拠中ということだけあって、警備は分厚いな。
「ところで、これから、どーするの~?」
「カチュア。しっかりしてくださいよ」
全く、とても戦いを止めようと動く者とは思えないな。あれ? 戦いを止めって?
「どうしよ? 反乱軍のアジトを見つけたけど。この後どうするの? 全員、ボコボコにすればいいの?」
「取り敢えず、首謀者を捕まえたら」
「ん? 捕まえて、どーするの~」
「組織のリーダーさえ、捕まえたら、組織自体崩れますし、停戦を交渉もできます。無駄な争いをしないであれば、首謀者を捕まえるのかいいかと」
「そっか~、分かったわ~」
方針は決まったが。
「さて、ここから、どう攻めるか」
とても、数人が侵入できるとは思えないな。
「このまま突っ込むッス」
「姫様とは思えない程の無謀だ」
「あんたも似たような者でしょ」
「ん~。ルナちゃん、何かいい案ある?」
「何で、ルナに聞くの? ここは、一番年上のソフィアさんの意見を」
「え? 私なら、一人で行けますよ」
「わたしも一人でも、行けるけど、ルナちゃんに止められそうだから~」
「ああ……そうですよね」
ため息を吐くルナ。苦労人かな?
「やはり、少人数で攻めるなら奇襲でしょうね。ここは魔術による奇襲でその隙に乗り込むの」
「それしかないか」
「ここはやっぱり、エドナさんの魔術で」
「何で、あたしなの?」
「実践は味方がいないところで」
「あたしの魔術が失敗する前提なの?」
「良い方向で失敗するからいいじゃないか」
「はうう。魔術ならルナちゃんだって」
「あんまり、見せびらかしたくないんです」
「テメーは此間、派手に魔術をかましたのでは?」
「変態皇女も強力な魔術を使えますよね?」
「皇女に向かって口が悪いな。スイレンも災害レベルの魔術を」
「どうでも、いいから、誰か早くやりなよー」
敵陣なのに、何で口論になっているのよ。
「あんたら、いつもこうなの?」
「楽しいでしょ?」
「緊張感なさ過ぎだろ」
掴みどころのない、情報通にさえ、呆れてしまう。
すると、カチュアが両手手の平を重ねた。何かを閃いたような仕草だ。
「じゃあ、皆んな一斉に使ったら、どーかしら~?」
笑顔でとんでもないことを口走っているよ!
「面白そうだな」
「やるんだよ」
魔術の使える、エドナ、ルナ、ユミル、マリン、スイレンが一斉に魔術を繰り出した。
「マジか」
地獄絵だな。史上最凶の奇襲攻撃だ。
エドナは空目掛けて、数本の矢を放った。やがて、矢は雨のように降り注いだ。地面に着地した矢は何故か、爆発している。
ルナはルナで、色んな属性魔術をすたすらかます。目が怖いんだ。まるで、ストレスを盛大に発散しているようだ。
スイレンとユミルは広範囲の水系の魔術をかましている。大洪水引き起こしているじゃない。
マリンは正面に展開された魔法陣から黒い槍を出現させ、敵目掛けて放たれる。
もはや、奇襲レベルじゃない。
てか、これ。戦争だったら、砦ごと、破壊すれば勝利だよね、これ。
「じゃあ、行こ~」
「え? あ! うん」
さすがに愛馬は連れて行かないから、置いていくしかないか。……目を離している間にギルティに食べらたりしないかな?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
11
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる