蒼炎のカチュア

黒桐 涼風

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第十一章 ヘルディアの傭兵

11ー10 ナギパート

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「さてと、中に入ることができたが……」

 反乱軍のアジトに入ったところまではよかった。しかし。

「皆んなと逸れたねー」
「皆どこにいったかな?」
「どこに行ったかしら~?」

 やはり、中には敵がいて、倒しつつ、進んでいったが、ここにいるのは、メリアとギルティ、そして、ノーテンキコンビだけだ。後は逸れてしまった。

「他の皆んなは固まって、近くいるから、だいじょぶよ~」
「分かるんですか?」
「カチュアさん、耳がいいんだよ。後は、目や鼻もいいんだよ」
「隠密任務には、頼りになるスキルだわね」

 その隠密スキルは、性格のせいで、発揮はされないんだが。

「どこも騒ついているわ~。でも、その中でも、あまり騒がしくないところがあるわ~」
「成程、そこが、敵将がいる可能性があるな。行ってみようか」
「その前に、カチュア聞いてもいい。重要なことだからー」
「どーしたの?」
「ギルティ手短にお願い」
「カチュアは嗅覚もいい話が出ていたけど、どっかに食料の匂いとかしない?」
「ん~……微かに匂うわ~……これは……」
「何聞いているんだよ!? こんな時に! 後にしろ! 後に!」
『このギルティっていう女性も、カチュア側の人間かよ』



 カチュア達は、敵のボスが居そうな部屋の一歩前まで辿り着いた。しかし。

「はわわ~。目的地はこの向こうなのに」
「あ~、この通路じゃ、入れそうもないわ~」

 いくら、場所を特定しても、真っすぐ歩けば目的地に着くとは限らない。建物の中は迷路見たいなものだ。正解の通路を進まなければたどり着けない。

 「コンコン」。ギルティは壁を軽く叩く。

「確かに、向こう側に、部屋があるみたいだねー」
「となると、向こう側の部屋に入れる入り口を探さないとか」
「困ったわ~」
「確かに、入り口はないが、探せば見つかるから、困ったといっても……」
「両方の通路から、こちらに向かってくるわ~」
「気づいていたなら、早く言えよ!」
「全然、困ったようには、聞こえないんですけど」

 まあ、普段通りですので。気づいていても、喋るのが遅すぎて、伝えるのも遅れてしまうので、この人は。

「ここは、こちらも、応戦するんだよ!」

 エドナはいつもの風の矢を構成し、弓を構える。

   ちゅう!!!

 鼠のような鳴き声が聞こえた。気のせいか? 驚いたような鳴き声をしていたような。

「はわわ!!」

 鼠らしい、鳴き声が聞こえた。ふっと、エドナの足元を見ると、エドナに足で、尻尾を踏まれた鼠がいた。

 踏まれたから、驚いたんだな。

「はわわわわわ!!!」

 エドナが、その驚き声に驚いて、背中から、転んでしまった。

 ドーーーン!!!

 派手に転んだエドナの手には風の矢がなくなっていた。弓を構えながら、転んだから、それが影響して、矢がどこかへ飛んでしまった。

 ドッカーーーン!!!

 矢は天上に命中した。

 「ぐわーーー!!!」

 その衝撃で天上が崩れて、瓦礫が真下にいた、反乱兵を襲った。

「わー、奇跡だ」

 メリアが呆然となっている。

「反対側にも、来るよー」
「行くよ! 私達の戦いにあなた達だけには、任せられないよ」

 正気に戻ったメリアは、武器であるメイスを、収容魔術である空間に開いた穴から、取り出した。ギルティも武器である斧を取り出した。

「いくよ! ギルティ!」
「オーケー」

 二人は敵に目掛けて走り出した。

 メリアは敵の攻撃を避けながら、メイスを敵に殴りつけて行った。しかも、鎧と兜が、メイスでぶつけた拍子に砕けていっている。

 対して、ギルティは敵の攻撃を避けようとせず、寧ろ武器である斧を振って向かい打った。

 バッキーーーン!!!

 ギルティの斧は、敵の武器を壊した。さらに、壊したことに満足せず、そのまま、敵を斬りつけた。それを何人かに同じことを繰り返し行っていた。しかも、目で追うのに一苦労しそうな速さで。
 
「よーし、いっちょ上がり!」
「あら? わたしの出番はないかしら~?」

 一瞬で片付けたよ。カチュアとやり合った時は、相手がカチュアだったから、実力は分からなかったが、この子らも、化け物並みに強い。てか、化け物並みの強さをアニーを含めて三人の相手をしていたカチュアの強さっていったい……。

「さてっと、邪魔がいなくなった。とっとと、入り口を見つけましょう」
「そのことだけど、道がないなら、作ればいいのよ~」
「作って」

 作るって、まさか……。

「え~い」

 ドカーーーン!!!

 カチュアは、壁を殴りつけた。壁は崩れて、向こう側の部屋へ行けるようになった。

「開いたわ~」
「壊したの間違いだろ!」

 ごもっともです。

「何だ!? 貴様らは!?」

 部屋の向こうに誰がいる!

「誰~?」
「反乱軍の首謀者だ」

 親玉のお出ましか。こっちから、来たんだが。でも、何か、見た目が貧弱なおっさんが出てきたんだが。如何にも、自分では、戦わなそうなイメージがあるんだが。

 戦わないで、死亡するビジョンが見えるのは、私だけでしょうか?
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