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第二章 英雄の力
2-7 生きるための知恵を教える。……つもりです
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【アヴァルの宿屋入口前】
「はわわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
バキーーーーーン!!!
「な! なななななななななななななな、何事ですかぁぁぁ!!!?」
叫び声がした途端、宿屋の入り口扉を破いて、エドナが飛び出してきた。
ドーーーーーン!!!
エドナは、転ぶと同時に、顔面を思い切り地面へ叩きつけてしまった。
(い、痛そうです。お顔大丈夫なんでしょうか? かなり派手に転びましたけど……)
「あの~。大丈夫ですか?」
(このお胸が大きい……じゃなかった、緑髪の小さい女の子は、確かエドナさんという名前でしたっけ?)
「お待たせなんだよ!」
倒れた状態で挨拶をするエドナ。
(何事もなかったかの様に接していますよ。この人)
「エドナさんですよね? 鼻血出ていますよ!」
「あ! やだんだよー! モー!」
エドナは、咄嗟に鼻を押さえが、押さえている指の隙間から血が零れていた。
(そう言えば、この人、会った時から転んでいましたね。本当に、よく転ぶ方なんですね)
「エドナちゃん、大丈夫ですか?」
宿屋のモニカさんが駆けつけてきた。
「はうう~。ごめんなさい、モニカさん。ドア壊しちゃったんだよ。……弁償します」
(弁償できる程のお金を所持していましたっけ?)
「いいのよ!! 悪意があって、やったわけではないから、気にしないで」
「はうう……」
「相変わらず優しいですね。モニカさんは」
(アヴァルの街は、比較的、治安はいい方ではありますが、それでも揉め事は起きます。この宿屋で客同士が揉めて、壊されることなんて珍しくないです。それと比べたら、エドナさんのは可愛い方だと思ったでしょうね。笑顔だし)
「ところでルナちゃん」
「どうしたんですか?」
遅れて、宿屋から出てきたカチュア。
「なんで、わたしだけマントを付けないといけないの~?」
それは、ルナが昨日渡したフード付きの黒マントを着たカチュアだ。
(着てくれたんですね。本当にマント着るなんて、思いもしませんでした。マントを着るように言いましたが、こうして見ると、かなり、怪しく感じてしまいます)
「鏡見てくださいよ。カチュアさんは、立っているだけで目立つんですよ! 特に、お胸……あなたの蒼い髪と瞳は目立ちますよ」
『おい。今、オッパイと言いかけたぞ』
(現に、昨日はカチュアさんとエドナさんを宿屋に連れて行く際に、周りの人達、主に男性の方々は鼻の下伸ばしながらカチュアさんとエドナさんのお胸を眺めていましたから)
「あたしは良かったんですか? 着なくって」
「エドナさんはいいかな。カチュアさんのように無駄に大きなお胸をしていますけど」
エドナの目線から逸らすルナ。
「もぉ~。ルナちゃんたら~。無駄にデカいって、酷いわ~」
「そうなんだよ! あたし、胸は育つのに背が伸びないんだよ!」
カチュアとエドナは頬を膨らませた。
(カチュアさんとエドナさんの、その顔は怒っている顔でもしているのでしょうか? なんか、逆にかわいいです)
「それよりも、早く行きましょ! この調子だと日が暮れますよ」
「は~い」「はいなんだよ」。カチュアとエドナは同時に返事をした。
「ところで、ルナちゃんが持っている、それは何ですか?」
エドナが指を刺した先は、ルナが手に持っている杖だった。杖の長さは所持しているルナの背丈並みだった。
「これは、ルナの武器です」
「これが武器何ですか? これを使って叩いて攻撃するんですか?」
「確かに、護身のために、そういった使い方をする場合もあります。しかし、この杖は魔道具の一種で、棒術として叩いて攻撃するものではなく魔術発動のものです」
(とは言いましたが、杖に魔術を纏わせて、剣とかの武器として具現化させたりはできますよ)
「はわわ~。魔道具って、あたしの腕輪のようにアクセサリーの形だけじゃないんだね! 初めて、見るんだよ!」
好奇心旺盛な子供の目の様に、ルナの持っている杖を見つめている。
(そんなにこの杖が珍しいのでしょうか? 魔道具として、杖を使うのは珍しいことではなんです。しかし、エドナさんには、珍しいことなんですね。結構、世間知らずの方なんですね)
「この話は歩きながら。早く、行きますよ。このまま、杖の話をしていたら、日が暮れますの」
「ところで、どこに行くんですか?」
「ある意味、二人が生きていくのに、必要な施設へ」
(というよりかは、今のお二人ではあそこしかお金を入手できませんので。商売とか向かなそうなので)
【アヴァルの街中】
二人と合流したルナは、二人をある場所に案内するため、アヴァルの街の中を歩きだす。
「いい天気なんだよ!」
エドナは、カチュアと二人を案内しているはずのルナよりも先へ走り出していった。
(あんなに、はしゃいで。もう、姿が見えない程、離れていきましたよ)
「エドナちゃん、今日も元気ね~」
「元気なことはいいことですけど、なんで、案内しているルナより先に行くのでしょうか? 目的地は分かっているのでしょうか?
(いいえ、分かっていないですね。だって……)
「あ! エドナさん! 戻ってきてください! 目的地通り過ぎましたよ!」
大きな声でエドナを呼ぶ。
「え!?」
呼びかけが聞こえたエドナは、後ろへ振り向いたら。
「はわわわわわわわわわわわわわわ!!!」
ドーーーーーーン!!!
「えーーーーー!!!? またーーー!!?」
エドナは、転んで顔から地面にぶつかってしまった。
(相変わらず、派手に転んで、ぶつかって痛そうです)
「大丈夫ですか?」
「はうう……大丈夫です。よく転びますから」
「だから、それ大丈夫なんですか? それは?」
(こんなに転んでいるのに、よく、生きてこれましましたね。というか、顔をぶつけたのに、鼻血が出ていないのが、不思議ですね。あっ! さっきは、出ていましたっけ? じゃあ、今回は当たりどころが良かったってでしょうか?)
「それよりも、どうしたんですか? 大きな声を出して?」
「大きな声を出したのはエドナさんを呼んだからです。それよりも、ここですよ。ここが目的地です」
ルナが指を刺したのはとある建物だった。
「ここは?」
「ここは、ギルドです。酒場屋も兼ねている仕事探しの場です。ここには、仕事の依頼が持ち込まれているので、それを受けて仕事をこなすんです。そして、成功報酬として、お金を受け取ることができるんです」
「でも、なんでここに?」
「お金を稼ぐ手段を知っておかないとです。特にエドナさん、街は初めてでしょ? さあ、入りましょう」
カチュア達はギルドに入っていった。
中では多くの人達がいた。
(正直、あまり入りたくないんですよ、ここには。相変わらず騒がしいし、昼間から酒を飲んでいる方々もいるし、絶対に関わりたくない、ガラの悪い人が、いっぱいいるんですよ。けど、他に、お金を稼ぐ方法は商売ぐらいしかないので、それ以外の稼ぐならギルドの利用するしかないです)
「カチュアさん達。仕事を探すならこれを見てください」
ルナはカチュアとエドナを、掲示板のあるところまで案内をした。
「これは何?」
「この掲示板には、依頼書が貼り付けてあるんです。この中から、自分ができそうな、仕事を探すんです」
「なるほど~」
「試しに挑戦してみたらどうですか? 誰でも受けられますよ。ただし、仕事をキャンセルしたり、失敗したら違約金が発生しますので、注意してください」
「分かったわ~。やってみるわ~」
「よーし。仕事頑張るんだよ!」
(いい返事ですが、違約金の意味わかっているのか、心配です)
「内容が分かりにくかったら、ルナに聞いてくださいね」
「わかったわ~」「わかったんだよ!」
(返事だけはいいですね。返事だけは)
「何でもいいから、簡単な依頼を見つけましょう」
(ルナの目的は、カチュアさん達の戦闘力を把握すること。そのために、街で暮らすために必要なお金の稼ぎ方を教えるの口実で、ギルドへ案内したのです。そして、危険種の討伐とかの依頼を探して、カチュアさん達の戦闘する姿を拝見《はいけん》するのです。やはり、彼女達を庇うにしろ、万が一のことを考えて、戦闘力は把握した方が都合がいいのです)
カチュアは掲示板をじーと眺めている。
「これなんか、どーかな~? 帝都の地下にいるベノムマウスという鼠型の危険種の討伐だって~。そのベノムマウスのせいで、被害が出ているらしいわ~」
「ん~。一体に付き報酬がもらえる使用ですか。……て、これは、ベノムマウスを軽く見過ぎですね。討伐対象と報酬が似合わないですね」
「あら? そーなの~?」
「ベノムマウスは危険種でありますがそんなに強くないです。ただ、ベノムマウスは猛毒の鼠なんですよ。少し齧《かじ》られた、だけで、死にます。しかも、その大きさはカチュアさん以上に大きい鼠なんです」
『それは、毒が体内に周るよりも、噛み殺した方が早いのでは?』
「それなのに、この依頼の報酬は、一体に付き百ゴールドですよ。リンゴ二個売るレベルですよ。割に合わないです」
「それなら、これなんか、どうですか?」
今度はエドナが依頼を選んだようだ。
「ボルガドラゴンの爪の採取だって。何でも、その爪で武器を作るんだって」
「エドナさん。そのボルガドラゴンは危険種ではなく、魔物の類で、マグマ地帯にいるのですよ。討伐するよりも、討伐する場所へ向かう方が危ないですよ」
「じゃあ、これはなんかどうですか? 薬の素材にするデザードスコピオの採取だって」
「それは魔物ではなく危険種ですけど、そのデザードスコピオは死の砂漠に生殖しているサソリですよ。しかも、死の砂漠に向かうには、ヴァルダンの国境を超えないといけませんよ。仮に死の砂漠に入ったとしても、あそこは名の通り、とても危険な砂漠と言われているんですよ。本当かどうかはわかりませんが、入ったら生命力が吸われるという言い伝えが残っている程です」
「ん~~。じゃあ、今度こそ、これなんだよ! 金を集めて周辺に玉を身に着けると言われているキノコの採取なんだよ。そのキノコで薬を作るんだって」
「確かに、そのキノコは薬になると言われています。主に男性が欲しがる薬と言われています。何故だが知りませんが。でも、そのキノコも底なし沼があちらこちらある地帯ですよ。足を踏み入れたら、死にますよ」
『さっきから、エドナのチョイスが、対象を討伐するよりも、目的地に向かう方が危険ではないか?』
「そーか~。依頼選ぶの難しいわね~」
「そうですよね。依頼選ぶのには、依頼先の地理や生態を把握しないといけませんから。ルナが選びますよ」
「それは助かるわ~。じゃあ、お願いね~」
(どれがいいのかな? 危険な依頼とかだと、ルナが受付人から制止されそうだから、できれば、ルナが同行できるような、簡単な依頼を探さないとです)
ルナが掲示板を眺めていると。
「おい! ちびっこ! よくも俺の酒を!!」
「はわわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
バキーーーーーン!!!
「な! なななななななななななななな、何事ですかぁぁぁ!!!?」
叫び声がした途端、宿屋の入り口扉を破いて、エドナが飛び出してきた。
ドーーーーーン!!!
エドナは、転ぶと同時に、顔面を思い切り地面へ叩きつけてしまった。
(い、痛そうです。お顔大丈夫なんでしょうか? かなり派手に転びましたけど……)
「あの~。大丈夫ですか?」
(このお胸が大きい……じゃなかった、緑髪の小さい女の子は、確かエドナさんという名前でしたっけ?)
「お待たせなんだよ!」
倒れた状態で挨拶をするエドナ。
(何事もなかったかの様に接していますよ。この人)
「エドナさんですよね? 鼻血出ていますよ!」
「あ! やだんだよー! モー!」
エドナは、咄嗟に鼻を押さえが、押さえている指の隙間から血が零れていた。
(そう言えば、この人、会った時から転んでいましたね。本当に、よく転ぶ方なんですね)
「エドナちゃん、大丈夫ですか?」
宿屋のモニカさんが駆けつけてきた。
「はうう~。ごめんなさい、モニカさん。ドア壊しちゃったんだよ。……弁償します」
(弁償できる程のお金を所持していましたっけ?)
「いいのよ!! 悪意があって、やったわけではないから、気にしないで」
「はうう……」
「相変わらず優しいですね。モニカさんは」
(アヴァルの街は、比較的、治安はいい方ではありますが、それでも揉め事は起きます。この宿屋で客同士が揉めて、壊されることなんて珍しくないです。それと比べたら、エドナさんのは可愛い方だと思ったでしょうね。笑顔だし)
「ところでルナちゃん」
「どうしたんですか?」
遅れて、宿屋から出てきたカチュア。
「なんで、わたしだけマントを付けないといけないの~?」
それは、ルナが昨日渡したフード付きの黒マントを着たカチュアだ。
(着てくれたんですね。本当にマント着るなんて、思いもしませんでした。マントを着るように言いましたが、こうして見ると、かなり、怪しく感じてしまいます)
「鏡見てくださいよ。カチュアさんは、立っているだけで目立つんですよ! 特に、お胸……あなたの蒼い髪と瞳は目立ちますよ」
『おい。今、オッパイと言いかけたぞ』
(現に、昨日はカチュアさんとエドナさんを宿屋に連れて行く際に、周りの人達、主に男性の方々は鼻の下伸ばしながらカチュアさんとエドナさんのお胸を眺めていましたから)
「あたしは良かったんですか? 着なくって」
「エドナさんはいいかな。カチュアさんのように無駄に大きなお胸をしていますけど」
エドナの目線から逸らすルナ。
「もぉ~。ルナちゃんたら~。無駄にデカいって、酷いわ~」
「そうなんだよ! あたし、胸は育つのに背が伸びないんだよ!」
カチュアとエドナは頬を膨らませた。
(カチュアさんとエドナさんの、その顔は怒っている顔でもしているのでしょうか? なんか、逆にかわいいです)
「それよりも、早く行きましょ! この調子だと日が暮れますよ」
「は~い」「はいなんだよ」。カチュアとエドナは同時に返事をした。
「ところで、ルナちゃんが持っている、それは何ですか?」
エドナが指を刺した先は、ルナが手に持っている杖だった。杖の長さは所持しているルナの背丈並みだった。
「これは、ルナの武器です」
「これが武器何ですか? これを使って叩いて攻撃するんですか?」
「確かに、護身のために、そういった使い方をする場合もあります。しかし、この杖は魔道具の一種で、棒術として叩いて攻撃するものではなく魔術発動のものです」
(とは言いましたが、杖に魔術を纏わせて、剣とかの武器として具現化させたりはできますよ)
「はわわ~。魔道具って、あたしの腕輪のようにアクセサリーの形だけじゃないんだね! 初めて、見るんだよ!」
好奇心旺盛な子供の目の様に、ルナの持っている杖を見つめている。
(そんなにこの杖が珍しいのでしょうか? 魔道具として、杖を使うのは珍しいことではなんです。しかし、エドナさんには、珍しいことなんですね。結構、世間知らずの方なんですね)
「この話は歩きながら。早く、行きますよ。このまま、杖の話をしていたら、日が暮れますの」
「ところで、どこに行くんですか?」
「ある意味、二人が生きていくのに、必要な施設へ」
(というよりかは、今のお二人ではあそこしかお金を入手できませんので。商売とか向かなそうなので)
【アヴァルの街中】
二人と合流したルナは、二人をある場所に案内するため、アヴァルの街の中を歩きだす。
「いい天気なんだよ!」
エドナは、カチュアと二人を案内しているはずのルナよりも先へ走り出していった。
(あんなに、はしゃいで。もう、姿が見えない程、離れていきましたよ)
「エドナちゃん、今日も元気ね~」
「元気なことはいいことですけど、なんで、案内しているルナより先に行くのでしょうか? 目的地は分かっているのでしょうか?
(いいえ、分かっていないですね。だって……)
「あ! エドナさん! 戻ってきてください! 目的地通り過ぎましたよ!」
大きな声でエドナを呼ぶ。
「え!?」
呼びかけが聞こえたエドナは、後ろへ振り向いたら。
「はわわわわわわわわわわわわわわ!!!」
ドーーーーーーン!!!
「えーーーーー!!!? またーーー!!?」
エドナは、転んで顔から地面にぶつかってしまった。
(相変わらず、派手に転んで、ぶつかって痛そうです)
「大丈夫ですか?」
「はうう……大丈夫です。よく転びますから」
「だから、それ大丈夫なんですか? それは?」
(こんなに転んでいるのに、よく、生きてこれましましたね。というか、顔をぶつけたのに、鼻血が出ていないのが、不思議ですね。あっ! さっきは、出ていましたっけ? じゃあ、今回は当たりどころが良かったってでしょうか?)
「それよりも、どうしたんですか? 大きな声を出して?」
「大きな声を出したのはエドナさんを呼んだからです。それよりも、ここですよ。ここが目的地です」
ルナが指を刺したのはとある建物だった。
「ここは?」
「ここは、ギルドです。酒場屋も兼ねている仕事探しの場です。ここには、仕事の依頼が持ち込まれているので、それを受けて仕事をこなすんです。そして、成功報酬として、お金を受け取ることができるんです」
「でも、なんでここに?」
「お金を稼ぐ手段を知っておかないとです。特にエドナさん、街は初めてでしょ? さあ、入りましょう」
カチュア達はギルドに入っていった。
中では多くの人達がいた。
(正直、あまり入りたくないんですよ、ここには。相変わらず騒がしいし、昼間から酒を飲んでいる方々もいるし、絶対に関わりたくない、ガラの悪い人が、いっぱいいるんですよ。けど、他に、お金を稼ぐ方法は商売ぐらいしかないので、それ以外の稼ぐならギルドの利用するしかないです)
「カチュアさん達。仕事を探すならこれを見てください」
ルナはカチュアとエドナを、掲示板のあるところまで案内をした。
「これは何?」
「この掲示板には、依頼書が貼り付けてあるんです。この中から、自分ができそうな、仕事を探すんです」
「なるほど~」
「試しに挑戦してみたらどうですか? 誰でも受けられますよ。ただし、仕事をキャンセルしたり、失敗したら違約金が発生しますので、注意してください」
「分かったわ~。やってみるわ~」
「よーし。仕事頑張るんだよ!」
(いい返事ですが、違約金の意味わかっているのか、心配です)
「内容が分かりにくかったら、ルナに聞いてくださいね」
「わかったわ~」「わかったんだよ!」
(返事だけはいいですね。返事だけは)
「何でもいいから、簡単な依頼を見つけましょう」
(ルナの目的は、カチュアさん達の戦闘力を把握すること。そのために、街で暮らすために必要なお金の稼ぎ方を教えるの口実で、ギルドへ案内したのです。そして、危険種の討伐とかの依頼を探して、カチュアさん達の戦闘する姿を拝見《はいけん》するのです。やはり、彼女達を庇うにしろ、万が一のことを考えて、戦闘力は把握した方が都合がいいのです)
カチュアは掲示板をじーと眺めている。
「これなんか、どーかな~? 帝都の地下にいるベノムマウスという鼠型の危険種の討伐だって~。そのベノムマウスのせいで、被害が出ているらしいわ~」
「ん~。一体に付き報酬がもらえる使用ですか。……て、これは、ベノムマウスを軽く見過ぎですね。討伐対象と報酬が似合わないですね」
「あら? そーなの~?」
「ベノムマウスは危険種でありますがそんなに強くないです。ただ、ベノムマウスは猛毒の鼠なんですよ。少し齧《かじ》られた、だけで、死にます。しかも、その大きさはカチュアさん以上に大きい鼠なんです」
『それは、毒が体内に周るよりも、噛み殺した方が早いのでは?』
「それなのに、この依頼の報酬は、一体に付き百ゴールドですよ。リンゴ二個売るレベルですよ。割に合わないです」
「それなら、これなんか、どうですか?」
今度はエドナが依頼を選んだようだ。
「ボルガドラゴンの爪の採取だって。何でも、その爪で武器を作るんだって」
「エドナさん。そのボルガドラゴンは危険種ではなく、魔物の類で、マグマ地帯にいるのですよ。討伐するよりも、討伐する場所へ向かう方が危ないですよ」
「じゃあ、これはなんかどうですか? 薬の素材にするデザードスコピオの採取だって」
「それは魔物ではなく危険種ですけど、そのデザードスコピオは死の砂漠に生殖しているサソリですよ。しかも、死の砂漠に向かうには、ヴァルダンの国境を超えないといけませんよ。仮に死の砂漠に入ったとしても、あそこは名の通り、とても危険な砂漠と言われているんですよ。本当かどうかはわかりませんが、入ったら生命力が吸われるという言い伝えが残っている程です」
「ん~~。じゃあ、今度こそ、これなんだよ! 金を集めて周辺に玉を身に着けると言われているキノコの採取なんだよ。そのキノコで薬を作るんだって」
「確かに、そのキノコは薬になると言われています。主に男性が欲しがる薬と言われています。何故だが知りませんが。でも、そのキノコも底なし沼があちらこちらある地帯ですよ。足を踏み入れたら、死にますよ」
『さっきから、エドナのチョイスが、対象を討伐するよりも、目的地に向かう方が危険ではないか?』
「そーか~。依頼選ぶの難しいわね~」
「そうですよね。依頼選ぶのには、依頼先の地理や生態を把握しないといけませんから。ルナが選びますよ」
「それは助かるわ~。じゃあ、お願いね~」
(どれがいいのかな? 危険な依頼とかだと、ルナが受付人から制止されそうだから、できれば、ルナが同行できるような、簡単な依頼を探さないとです)
ルナが掲示板を眺めていると。
「おい! ちびっこ! よくも俺の酒を!!」
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