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第二章 英雄の力
2-13 偽善者
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一方、アルヴスはという。
【ロプ村周辺の森林の中】
「さてと。ここまで飛ばされたなら、村への被害は出ないな」
飛んで行ったガイザックを探しに森林へ入っていたアルヴス。そして、ようやく、ガイザックを見つけることが出来た。
「本当にふざけいやがって! 堂々と戦えよ!」
「あんなところで、戦ったら、村に被害でるだろ? それくらい分かるだろ?」
アルヴスはため息を付きながら頭をかく。
「とことん、偽善者振るな。如何にも、自分が善人ですよアピールは気に食わないな」
「偽善者ね……」
また、ため息を付くアルヴス。
(俺の同僚も、どう頑張っても、周りから皮肉な事を言われ続けられていたな。勇能力を持っていれば、出世しやすい世の中だ。だから、平民からの成り上がった俺と同僚は、貴族や勇能力を持つ者から疎まれていた。まあ、勇能力が出世しやすいのは、貴族が、己の地位を守るために戦力を求める結果なんだけどな)
「お前は可哀想な奴だな」
「何が?」
「確かに、世の中には、偽善と呼べる行為はあるかもしれない。しかし、全ての善意が偽善ということにするのか、お前は? それはそうだよな。人に寄り添おうとしないからなお前は。人の心を寄り添わなきゃ、それが偽善かどうかなんて分からないだろうな。分からない、いや、理解しようとしないから、どんな善意に対しても偽善って言ってしまうんだろ?」
(まあ、これは同僚の友人の受け寄りだけど。俺は、その友人には会ったことはない。同僚も、その友人には七年も会っていないらしい)
(こんな奴に何言っても無駄だが、同僚の行為に対して、否定しているみたいだから言い返して見ただけだ。それに、挑発にもなるし)
「ごちゃごちゃ喋る余裕がある見てだな。その口を開けなくしてやるよ。俺は女には優しいが男には厳しいぜ。早くお前を殺して、可愛い姉ちゃんと遊びてよ。村を襲ったのは、姉ちゃんと遊んでいなかったストレス発散で暴れたかったのと、可愛い姉ちゃんを探していたからな」
(噂通り、女遊びが激しい外道だな。その女性トラブルで引き起こした殺害でお尋ね者になったんだけどな)
「取り敢えず、俺の邪魔をした報いを受けるがいい!」
ガイザックの姿が一瞬で消えた。
(不味い!)
アルヴスは二本の鞘から剣を抜き取り、左右の手に一本ずつ持ち、後ろへ振り向いた。
カキーーーーーーーン!!!
アルヴスは、背後から現れたガイザックの大剣による攻撃を受け止めた。
攻撃を受け止めてすぐにアルヴスの姿が消え、ガイザックの背後へ回って、剣で薙ぎ払おうとしたが、ガイザックの大剣によって防がれた。
お互い、常人とは思えない程のスピードを出して、どちらかは剣で攻撃を仕掛けては、どちらかは剣で攻撃を防ぐ行為を繰り返し行われていた。
鉄と鉄がぶつかり合う音が、森林中に響き渡っていた。
「驚いたな! 勇能力の身体強化について来れるとはな」
「魔術の類で身体強化はあるだろ?」
アルヴスの身体には流水を纏っていた。
(俺の場合、体に纏っている流水で、流れる水に乗って移動速度を上げているんだ)
「ふーん。成程な。けどな、動きに着いて来れているとは、言えないな。お前は、俺の攻撃を防いでいるだけだからな」
「痛いところを突かれたな」
「ふぅん! 余裕な顔をしやがって! じれったいし、そろそろ蹴りを付けよう!」
(蹴りを付けるって、まだ、数分しか立っていないだろ? 短気だな)
ガイザックの大剣から炎が燃え上がった。
「まさか!」
ガイザックは炎を纏った大剣を大きく振り下ろした。
「ふざけいやがって!」
アルヴスは二本の剣を鞘に納めて、両方の平手を向き合わせ、その間に、水の球体が出現した。
ガイザックは炎を纏った大剣をアルヴスがいる方向へ地面目掛けて叩きつけた。
ボォオオオオオオオオオ!!!
叩きつけられた地面から爆炎が起き、爆炎と共に地の波が、アルヴス目掛けてきた。
アルヴスも水の球体を地面に叩きつけた。
ドォボォォォォォォォォォォォォン!!!
叩きつけられた地面から津波が発生し、爆炎が混ざった地の波に衝突した。
ジュシュゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーー!!!
互いがぶつかると、蒸気が発生した。広範囲に蒸気が襲い掛かった。
(ぐ! 前が見えない!)
発生した蒸気で視界が防がれてしまった。
「はっ!」
蒸気の中から、大剣で斬りに掛かろうとするガイザックの姿が現れた。
アルヴスは、咄嗟に鞘から一本の剣を抜いて、ガイザックの攻撃を受け止めた。
しかし。
バッキーーーーーン!!!
「不味い!」
アルヴスの剣が、ガイザックに大剣による一撃に耐えきれず、折れてしまった。
アルヴスは、すぐさまガイザックの攻撃を避けたが。
シュッ!
「ぐぅ!」
アルヴスは避け切れず、左足の脹脛が大剣の剣先に当たり、擦《かす》り傷が出来てしまった。
「ふん! 運がいい奴め!」
アルヴスは右足の膝を地面に付けて、左足の脹脛を押さえた。
「はぁ、はぁ、はぁ、致命傷は避けたが、結構厳しいな。……短時間でここまで追いつめられるなんて」
(機動力を高める身体強化。効果がなくなるまで、絶対防御が保証される障壁。魔術の難点である発動時間を大幅にカットする無詠唱魔術。そして、まだ使っていないが、奥の手覚醒。誰もが欲しい力か。致命傷は避けたがよりによって足がやられるなんて、運が悪いな)
「足が動かなきゃ、もうおしまいだな、お前は! 楽にしてやるよ!」
ガイザックは大きく大剣を振ろうとする構えを取った。
(ここまでか、俺は? ここで、死ぬなら、最低限の被害に推さないとだ。となると、軍に所属する者としては、あるまじき行為だが、こいつを、ガイザックを道連れにしないとだ。それには、まず、こいつの障壁を壊さないとだ。俺はまだ、障壁にダメージすら与えていない。どうやって、障壁を壊して、奴を道連れにする?)
【ロプ村周辺の森林の中】
「さてと。ここまで飛ばされたなら、村への被害は出ないな」
飛んで行ったガイザックを探しに森林へ入っていたアルヴス。そして、ようやく、ガイザックを見つけることが出来た。
「本当にふざけいやがって! 堂々と戦えよ!」
「あんなところで、戦ったら、村に被害でるだろ? それくらい分かるだろ?」
アルヴスはため息を付きながら頭をかく。
「とことん、偽善者振るな。如何にも、自分が善人ですよアピールは気に食わないな」
「偽善者ね……」
また、ため息を付くアルヴス。
(俺の同僚も、どう頑張っても、周りから皮肉な事を言われ続けられていたな。勇能力を持っていれば、出世しやすい世の中だ。だから、平民からの成り上がった俺と同僚は、貴族や勇能力を持つ者から疎まれていた。まあ、勇能力が出世しやすいのは、貴族が、己の地位を守るために戦力を求める結果なんだけどな)
「お前は可哀想な奴だな」
「何が?」
「確かに、世の中には、偽善と呼べる行為はあるかもしれない。しかし、全ての善意が偽善ということにするのか、お前は? それはそうだよな。人に寄り添おうとしないからなお前は。人の心を寄り添わなきゃ、それが偽善かどうかなんて分からないだろうな。分からない、いや、理解しようとしないから、どんな善意に対しても偽善って言ってしまうんだろ?」
(まあ、これは同僚の友人の受け寄りだけど。俺は、その友人には会ったことはない。同僚も、その友人には七年も会っていないらしい)
(こんな奴に何言っても無駄だが、同僚の行為に対して、否定しているみたいだから言い返して見ただけだ。それに、挑発にもなるし)
「ごちゃごちゃ喋る余裕がある見てだな。その口を開けなくしてやるよ。俺は女には優しいが男には厳しいぜ。早くお前を殺して、可愛い姉ちゃんと遊びてよ。村を襲ったのは、姉ちゃんと遊んでいなかったストレス発散で暴れたかったのと、可愛い姉ちゃんを探していたからな」
(噂通り、女遊びが激しい外道だな。その女性トラブルで引き起こした殺害でお尋ね者になったんだけどな)
「取り敢えず、俺の邪魔をした報いを受けるがいい!」
ガイザックの姿が一瞬で消えた。
(不味い!)
アルヴスは二本の鞘から剣を抜き取り、左右の手に一本ずつ持ち、後ろへ振り向いた。
カキーーーーーーーン!!!
アルヴスは、背後から現れたガイザックの大剣による攻撃を受け止めた。
攻撃を受け止めてすぐにアルヴスの姿が消え、ガイザックの背後へ回って、剣で薙ぎ払おうとしたが、ガイザックの大剣によって防がれた。
お互い、常人とは思えない程のスピードを出して、どちらかは剣で攻撃を仕掛けては、どちらかは剣で攻撃を防ぐ行為を繰り返し行われていた。
鉄と鉄がぶつかり合う音が、森林中に響き渡っていた。
「驚いたな! 勇能力の身体強化について来れるとはな」
「魔術の類で身体強化はあるだろ?」
アルヴスの身体には流水を纏っていた。
(俺の場合、体に纏っている流水で、流れる水に乗って移動速度を上げているんだ)
「ふーん。成程な。けどな、動きに着いて来れているとは、言えないな。お前は、俺の攻撃を防いでいるだけだからな」
「痛いところを突かれたな」
「ふぅん! 余裕な顔をしやがって! じれったいし、そろそろ蹴りを付けよう!」
(蹴りを付けるって、まだ、数分しか立っていないだろ? 短気だな)
ガイザックの大剣から炎が燃え上がった。
「まさか!」
ガイザックは炎を纏った大剣を大きく振り下ろした。
「ふざけいやがって!」
アルヴスは二本の剣を鞘に納めて、両方の平手を向き合わせ、その間に、水の球体が出現した。
ガイザックは炎を纏った大剣をアルヴスがいる方向へ地面目掛けて叩きつけた。
ボォオオオオオオオオオ!!!
叩きつけられた地面から爆炎が起き、爆炎と共に地の波が、アルヴス目掛けてきた。
アルヴスも水の球体を地面に叩きつけた。
ドォボォォォォォォォォォォォォン!!!
叩きつけられた地面から津波が発生し、爆炎が混ざった地の波に衝突した。
ジュシュゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーー!!!
互いがぶつかると、蒸気が発生した。広範囲に蒸気が襲い掛かった。
(ぐ! 前が見えない!)
発生した蒸気で視界が防がれてしまった。
「はっ!」
蒸気の中から、大剣で斬りに掛かろうとするガイザックの姿が現れた。
アルヴスは、咄嗟に鞘から一本の剣を抜いて、ガイザックの攻撃を受け止めた。
しかし。
バッキーーーーーン!!!
「不味い!」
アルヴスの剣が、ガイザックに大剣による一撃に耐えきれず、折れてしまった。
アルヴスは、すぐさまガイザックの攻撃を避けたが。
シュッ!
「ぐぅ!」
アルヴスは避け切れず、左足の脹脛が大剣の剣先に当たり、擦《かす》り傷が出来てしまった。
「ふん! 運がいい奴め!」
アルヴスは右足の膝を地面に付けて、左足の脹脛を押さえた。
「はぁ、はぁ、はぁ、致命傷は避けたが、結構厳しいな。……短時間でここまで追いつめられるなんて」
(機動力を高める身体強化。効果がなくなるまで、絶対防御が保証される障壁。魔術の難点である発動時間を大幅にカットする無詠唱魔術。そして、まだ使っていないが、奥の手覚醒。誰もが欲しい力か。致命傷は避けたがよりによって足がやられるなんて、運が悪いな)
「足が動かなきゃ、もうおしまいだな、お前は! 楽にしてやるよ!」
ガイザックは大きく大剣を振ろうとする構えを取った。
(ここまでか、俺は? ここで、死ぬなら、最低限の被害に推さないとだ。となると、軍に所属する者としては、あるまじき行為だが、こいつを、ガイザックを道連れにしないとだ。それには、まず、こいつの障壁を壊さないとだ。俺はまだ、障壁にダメージすら与えていない。どうやって、障壁を壊して、奴を道連れにする?)
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