【2025年再投稿版】蒼炎のカチュア

黒桐 涼風

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第二章 英雄の力

2ーおまけ② 疎まれる

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 ルナは、兄である俺から見て、カチュアとエドナの嬢ちゃんのように、人を疑わない、お人好しの子だった。今でもお人好しだけど。

 いつからだろう。まだ幼い年頃なのに、人の闇を見るようになったのは?



【ルナ十歳。学生時代】

 帝都にある魔術学園。

 ルナが廊下ろうかを歩いていると。

「なあ、知っているか? アルヴスという男を?」
「ああ、何となく知っている。八騎将の側近そっきんだろ? 話題になっていたな」

 アルヴスの名前を聞いたルナは、廊下でアルヴスの話をしていた二人の男の子から隠れて、様子をうかがった。

(見る限る、貴族の子見たいですね)

「でも、そいつがどうしたんだ?」
「そいつ、何者だと思う? なんと、平民だよ、へ・い・み・ん」
「わぁ! マジかよ。話題になっていたから、どんなに凄い人かと思ったら平民かよ。その八騎将は見る目がないな」
「だろ? 貴族のたしなみを知らない平民が、何の苦労もせずに八騎将の側近になったんだぜ。許せねえよな?」
「本当だぜ」
「後、そのアルヴスとかいう奴、勇能力を所持していないんだぜ」
「マジかよ! 何の力もないのに、出世しやがったのかよ?」
「本当だよ。この魔術学院は平民も入学できるせいで、俺らは平民と一緒の空間で学ばないといけないんだぜ。そんな品の欠片もねぇ連中と一緒にいることに我慢しているのに、ひでえよな、そのアルヴスは」
「なんか、そいつの名前を言っていたら、口が臭くなりそうだ。貴族の俺らが臭くなったら、品が失われてしまうな」
「お前、言えているな! 本当に、あの平民は、どんな手を使って、出世したんだが。俺ら貴族は正々堂々と出世しているのにな」
「全くだな」
「「はぁ! はははははははははは!!」」

 二人の笑い声が廊下内に響き渡った。

「……」

 ルナは黙々もくもくと貴族の二人に見つからないように、その場から去っていった。



【ルナの家】

 魔術学院の講義を終え、家に帰るルナ。

「……ただいま」

 ルナは家のドアを開けて中に入っていた。

「ルナじゃないか?」
「兄様?」

 そこには、アルヴスが出迎えてくれた。

「珍しいですね。帰って来るなんて」
「シグマ様に、無理やり休暇を入れてくれたんだ。それも、明日から三日間も」
「……そうですか。……あの~兄様」
「何だ?」
「……無理をしないで下さいね」
「急にどうした? らしくないな」
「本当に何もないです」

 ルナは駆け足で、自分の部屋へ向かって行った。

「変なルナだな」



 ルナは自分の部屋のベットの上へ飛び込んでいった。

(兄様は、兄様なりに頑張っていたはずなのに、どうして、あんな陰口かげぐちを言われないといけないんですか? 兄様のこと何も知らないくせに!)
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