王子としらゆき

秋月朔夕

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第十二話 鷹はしらゆきを散らす

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「私はね、ずっとこうしたかったよ。泣かせてでも君を手にいれたい。何度も君を夢で汚し続けてきた。君が望む優しい王子なんかじゃなくて、君を貪る獣になりたいと思ってね……雪乃は嫌だと言うけど、噛まれただけで固くなってるじゃないか?」
  クニッ、とつまみ上げるように刺激されると反射的に息が上がる。
  けれどそれを認めたくなくて、否定すれば嘘つき、と吸い上げられさらに刺激される。
  胸だけで、呼吸が乱される……
「ほら、雪乃も感じてきた」
 「んっ、こん、なの……違っ」
 「へぇ?こんなに充血してるのに認めないんだ……」
  なら下の方を攻めようかと、その言葉とともに、さらに足を大きく広げられる。
  そのせいで、自分でも見たことのない部分を他人に見られる恥ずかしさに、もう一度足をバタつかせるが、ガッシリと押さえ込まれ、舐め上げられる。
 「やっ!! なにする、の……やだ、やめて。こんなの、やだよぅ」
  羞恥でいっぱいになり、涙を溢すが鷹夜はやめない。
  胸よりも強い刺激と、くすぐったさに腰を引こうにも鷹夜の腕から抜け出せない。
  クチュクチュと卑猥な音と自分があげる甘ったるい声に、耳を塞ぎたくなる。
 「ふぁっ、もう、それっ……や」
 「ん、感じちゃって辛いの?」
 「ひっぁ、そんなとこで、喋っちゃだめっ」
  わざと息を吹き掛けるようにして話す鷹夜がひどく憎らしくなる。


  ――兄のように慕っていた分だけ、余計に……

「もっ、鷹夜なん、て……きらい」
  独り言のようにポツリと呟けば、鷹夜は残忍な笑みを見せた。
 「――雪乃はずいぶん余裕があるみたいだね。それなら指でも入れようか……」
  その言葉とともに人差し指を突き立てる。長い指は一本でも、そうとうな圧迫感がある。
 「お願っ、もっ、むり」
 「だって雪乃は私のことが嫌いなんだろう? それじゃあ、お願いは聞けないよ」
  苦しくて涙を溢して、懇願しても鷹夜は涙をすくいとるだけで、聞いてはくれない。
 「ゃ、いじわる……」
 「私を嫌いだと言った雪乃が悪いんだよ……雪乃が好きと言ってくれないなら指をもう一本増やそうか?」
 「ひぁっ、やだぁ」
  これ以上耐えられなくて首を横に振ると、容赦なくもう一本突き立てられる。好きだと言わない罰だと言われるが、こんなことする鷹夜になんか言いたくない。
 「たかや、なんて……きら、いだもんっ」
 「…………そう。なら、もうちょっとだけ慣らしてあげる必用はないみたいだね」
  地を這うように低い声でそう言うと、カチャカチャと金具を外す音が聞こえる。その音が怖くてギュッと眼を瞑る。
 「ほら、眼を開けて……」
 「っやだ……鷹夜のいうこと、なんてっきかない」
 「それなら、仕方ない。私のモノになることを雪乃自身で感じて?」
 「ああぁっー!!」
  熱くて硬いモノがナカに入ってくる。
 「いたいよぅ、もぅやだあ」
 「っく、力抜かないと雪乃が辛いだけだよ。息、吐いて……」
  呼吸すらままならない痛みに、素直に鷹夜の言うとおりにすれば、一気に奥まで突き立てられる。
 「ほら、繋がった。分かる? 雪乃のナカに私いるよ」
 (そんなの分かりたくない)
  だけど、あまりの痛みと熱に耐えるのが精一杯で、拒否の言葉を出そうにも意味のない音にしかならず、いやいやと首を横に振ることしかできない。
そのことが気にさわったのだろう……
 馴染むことも待たずに腰を動かしはじめる。
  それに耐えきれず、とうとうわたしの意識はブラックアウトした。



  ――この時、両親とともに一番信頼していた存在も崩れ去ってしまった……

 だけど、目覚めたら鷹夜の籠に入れられることは、まだしらない。
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