魔王とは戦わず国王を捕まえる

颯馬

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34話 揚げ物

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「この洞窟に入って2日経つけどさぁ~。中々外に出れないね」
「道間違えたか? ほらここの道を通る前に、2つ道があっただろ。実はもう1つの道が、正しかったんじゃないのか?」
「それは無いですね。サーチ魔法を使って先を見ていますが。もう1つの道に行っていたら、行き止まりで引き返す事になりますよ」

「マジか。他の道に行っていたら、引き返す事になっていたのか」
「僕たちはいつの間にか、アディシアに誘導されていたのか」
「前に出て歩いていたのがアディシアだったから、自然とアディシアが道案内をしていたんだろ」

「そうだな。で、このまま進めば外に出れるのか?」
「出れますね。ただ外に出た時は夜になってるかもしれません」
「夜になるんだ。まぁいいんじゃない。洞窟で野営をするより、外で野営をした方が良いよ」

「俺も外で野営をしたいな。洞窟の中で野営をするのは、もう嫌だな」
「僕も嫌だな。ここから走って行きたいが、前が明るい訳じゃねぇからあぶねぇな」
「なら飛んで行きましょうか?」

「それも危ないんじゃないのか? 何かしらにぶつかるだろ。それにアルセルやアレアは、飛んだことはあるのか?」
「俺達は飛んだ事が無いな。飛び移るのなら出来るが、空を飛ぶはまた感覚が違うんだろ」
「あぁ確かに違うな。飛び移る時はジャンプの高さを調整するばいいが、飛んでる時は身体のバランスを整えないといけねぇからな。ふざけで飛んでいると、すぐに地面に激突するぜ」

「経験あるの?」
「シルビアのせいでな」
「あれはふぜけて飛んでいた訳では無いだろ。ただ思いっきり加速しただけで、タクヤにぶつかっただけだろ」

「あれは痛かったなぁ。いきなり後ろからぶつかってきて、そのままバランスを崩して地面にぶつかったのわ」
「うわぁ痛そうぉ・・・。よく顔があるね」
「あって良かったぜ。あのまま倒れた状態で前に行くと思ったが、地面にぶつかった瞬間に付与は解けたから無事だった。人や物にぶつかったら、解ける仕組みなのか?」

「そうなりますね」
「本当にすまないと思っている・・・」
「もういいって。僕もネチネチ言って悪かった」

「2人は何だかんだで仲が良いよな」
「「仲は悪いが」」
「絶対に嘘だよね~」

 雑談しながら先に進む。先に進んでいるとやっと外に出れる。僕たちは少し進んで、野営の準備をする。

「やっと外に出れた~。外は夜だけど」
「それでもいくらかマシになっているだろ。それともまた洞窟で野営をするか?」
「したくないです」

「そうだろ」
「おーい。近くに川があったから。そっちに移動するかー?」
「川ですか。そちらに移動しましょうか。まだテントの設置はしてないですよね?」

「してないよ。まだ出しただけだし、焚火も作って無いね」
「では移動しましょう」

 俺はアレア達を連れてタクヤの所に行く。

「お、来たか。僕たちの準備は終わってるぜ。後は晩御飯だけだぜ」
「タクヤがご飯を作るんだ・・・。ボクと一緒で作れないと思った」
「アレアは作れねぇのかよ。アディシアに教わったらどうだ?」

「そうですね。作る人が増えれば、こっちも楽になりますね。せめて朝ご飯くらいは作れてもらいます」
「朝ご飯くらいなら作れるよ!」
「どうなんだアルセル」

「朝ご飯なら作れるぜ。晩御飯とかになると、ちょっとダメだな」
「なら晩御飯ですね。今日はタクヤさんが作る事になってますが。今日はどうするんですか?」
「たまにガッツリしたものが食いてぇからな。揚げ物系だな」

「「揚げ物?」」
「かなり前に言っていた揚げ物か。今日で食べられるのか」
「前々から気になっていたので。丁度いいですね」

「っうし。今作るから待ってろ」
「その間は自分たちのテントを張るか」
「手伝うぜ」

「助かる」

 僕は必要な材料を出して、揚げ物を作る。出来たら皿に盛り付けて、皆に配る。

「これが揚げ物か。美味しのか?」
「先ずは食え。感想は後で聞く」

 皆がトンカツを食べる。食べたら何かを言うかと思ったが、何も言わずに食べ続ける。僕もトンカツを食べる。

 うめぇ~。久しぶりに食べたが、やっぱりうめぇわ。ソースとかご飯があったら更にいいが。今は無いからなぁ・・・。元の世界に帰ったらたらふく食えるな。親や道場の皆はどうしてるんだ? 心配ぐらいはしてるだろうな。

「凄いなこの食べ物は。一口食べると油が出て、口の中が広がるな」
「お肉も分厚いから火が通らないと思ったけど、普通に火が通ってるね。これは美味しいよ」
「ただちょっと油っこいな」

「これでも油は落としてるんだがな。何か調味料があればよかったんだがな・・・」
「無い物はしょうがないかと。パンに挟んで食べるものアリですね」
「そっちの方が手間が省けるか」

「お前らが美味いと思ってれるのは良いがよ。言いてぇ事がある」
「何だ?」
「あんまり言いたくねぇが。食べ過ぎると太る」

「まぁそうだよな。これは太るな」
「そうだよね~。でも動きま回るから大丈夫でしょ」
「あまり私たちには関係の無い話ですね」

「いざとなったら、剣でも振ったり走ったりすればいいだろ」
「・・・僕が思った反応じゃねぇな」

 僕たちは晩御飯を食べたら、片づけをして見張りをする。
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