魔王とは戦わず国王を捕まえる

颯馬

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36話 元凶さん

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 何日が歩いてると街が見える。

「あの街がシュトレイ街か?」
「だと思いたいな。違う街だったら、また歩かないといけないからな」
「今度は馬車に乗れればいいのですが。そう簡単に馬車が通るとは思いませんね」

「とにかく行こうぜ。ここにいても何も変わらないぜ」

 アルセルが言っている通り。ここにいても何も変わらないので、僕たちは街に行く。歩いていると急に周りが変化して、全く知らない場所に着く。

「・・・・・・目の錯覚か?」
「いいや錯覚じゃないだろうな。周りは木や草は無いな」
「あるのは地面とそこら辺にある大きな岩ですね。ここは何処でしょうか?」

「ん~・・・。分かんないや。ボクたちもこんな場所知らないよ」
「――――――ならオレが説明して差し上げましょう」
「何かの魔法でこっちに飛ばされたんじゃねぇのか?」

「一体誰に飛ばされたんだ? 俺達は別に何もしてないだろ」
「魔王城に向かおうとしている時点で、魔族からは反感を買っているだろ。魔族の中には人族と戦争したい奴もいるだろ」
「そうなると。私たちの存在を消して、人族から戦争に持ち込むような形にしたい。ということが考えられますね」

「おい。人の話を聞きなさい」
「だが僕たちは非公式の存在だろ。国王に認められた勇者パーティはどうなるんだ?」
「前に言っていた勇者パーティか。確かにあいつらはどうなるんだろうか?」

「どうでもいいと言えば、どうでもいいけど。ちょっと気になるよねぇ~」
「どうせどっかの街で迷惑かけてるんじゃないか? シシク村みたいな」
「やってそうだな。そして返り討ちになっているんだろうな」

「あり得ますね。あの程度の実力なので、すぐに返り討ちなってますね」
「どんな人たちだったの? ボクとシルビアは会って無いから分からないよ」
「僕たちも詳しく知ってる訳じゃねぇけど・・・。何とか言うか正義馬鹿か? 何が何でも魔族が悪と決めつけているな」

「あまり詳しく知らないので、そう決め付けることしか出来ないかと」
「根は良いんだろうけどな。ただちょっと単純過ぎるかもな。知らないけど」
「君たち!? いい加減オレを見てくれませんかね!? 話が全く進みませんよ!」

 僕たちは大きな声で喋っている人を見る。

「んだよ。せっかく無視してたって言うのによぉ。何で声をかけてくるんだよ」
「気付いていて無視してたのかね!? 君たちいくら何でも、たちが悪いと思わないかね?」
「そう言われてもな。どう考えても元凶がお前だから、こっちは無視を決めていたんだけど」

「人を元凶と決めつけるのかね!? いくら何でも酷いとは思わないかね?」
「そう言われてもな。その角があって高そうな服を着て、武器を腰ぶら下げているし、首には首飾りに見えるが実は魔道具の可能性があり。決め手は自分たち以外にもここに人がいる。しかも1人だ。よって貴様が元凶と見た。他にもいるならタクヤとアディシアが、反応している」
「―――うぐ・・・! 意外と鋭いですね」

「誰がどう見ても私が元凶です、て言ってるだろ。で、元凶さんは何で僕たちをここに連れて来た?」
「元凶さんでは無く。フロモアと申す」
「テメェの名前なんでどうでもいいんだよ。早く元の場所に帰せ」

「そうです。早く元の場所に帰してください。私たちは貴方に付き合ってる暇はありません」
「ボクお腹空いたから。早く元の場所に帰りたいんだけど」
「俺も~」

「少しは黙りなさい!! 話が全く進みませんよ!」
「じゃあ早く話せよ元凶」
「だから元凶では無く、フロモアです! んんっ。そこの女騎士が言ってた通り、オレが君たちをここに転移させました」

「やっぱりテメェか」
「黙りなさい。君たち真の勇者パーティが魔王城に行かせる訳にはいきません。君たちが魔王城に着くと、戦争をせずに平和条約などで終わるでしょう。オレはそれを何としても阻止したい。オレは人族と戦争して征服したいのです。なのに魔王様ときたら。戦争では多く人が死ぬから、話し合いなどど言い出して。一向に戦おうとしません。どうにか向こうから戦争を、持ち込んでくれないかと考えていたら。丁度君たち勇者パーティがこっちに来ると聞いたので、是非勇者パーティを殺して戦争に持ち込んでほしいのです。そう言う事なので死んでく―――。って、君たちは人の話を聞きなさい!! 何でここでくつろいでいるんですか!?」
「ん? 話が長いからここでくつろいでるんだよ。丁度お昼ご飯になるしね~」

「腹が減ったら何も出来ねぇだろ」
「君たちをここに転移させたのは、ピクニックさせるためでは無いですよ! オレと戦って死んでもらうために、ここに転移させたんですよ。なのに君たちは人の話を聞かづに、くつろいで昼ご飯を食べ始めるとは・・・。オレをバカにしてるのかね?」
「ちゃんと話は聞いてるって。よはアレだろ。魔王は戦争をしねぇから僕たちを殺して王国から、戦争を持ち込んでほしいんだろ。やり方としては間違ってねぇだろうけど。僕たちを殺すより、国王が認めている勇者を殺した方が良いんじゃねぇか? そっちの方が効果的だろ。僕たちは非公式の勇者パーティだからな。死んだところでどうでもいいだろ」

 何か自分で言っといて腹が立ってきたな。命令されたシルビアとベラが可愛そうだな。

「・・・まぁいいでしょ。君たちを殺して、残っている弱そうな勇者パーティを殺しましょう。では手始めにゴーレムと戯れてください」
「テメェが戦うんじゃねぇのかよ」
「まさか。先ずは君たちの実力を調べるんですよ」

 そう言ってゴーレムが2体出てくる。僕は両手に籠手を装備してゴーレムと戦う。
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