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51話 サンドワーム

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 歩いて3週間。僕たちは砂漠の前に着く。

「どうなってんだ? あと一歩歩けばもう砂漠じゃねぇか。しかもここにいてもあちぃ・・・」
「砂漠だからな。暑いのは当然だろ。ほらフード付きのマントだ」

 僕はシルビアからフード付きのマントを借りて、フード付きのマントを身に付ける。

「・・・ねぇタクヤって勇者だよね?」
「そうだが」
「何か勇者っぽく無いね。本とかで出てくる勇者は、もっとこう鎧を着て剣を持ってたよ」

「その本で出てくる勇者と一緒にすんなよ。そもそも鎧なんて着てられるかよ」
「あぁそうだな。あんまり鎧は着たくないな」
「それは鎧を着ている自分に対して嫌味か?」

「そんなつもりで言った訳じゃ無いよ」
「そうだぜ。ただ鎧を着たくねぇだけだぜ。大体鎧を着るって事は、攻撃が当たる事を前提にしてるんだろ」
「そうだな。後は区別の為でもある。全員が鎧を着ないで戦争をしてみろよ。誰が味方で誰が敵か分からなくなるぞ」

「確かに」
「話の続きは飛びながらしましょう」

 ベラは僕たちに浮遊魔法を付与してもらう。僕たち浮いて、ベラも浮遊魔法を使て浮く。僕たちは砂漠の上を飛んで行く。

「あちぃ・・・。フードを付けてもこれか・・・」
「我慢しろ。それしかないんだ」
「言われなくても分かってるよ。しっかし見事に砂しかねぇ。何処かにオアシスとかねぇのか?」

「探せばあると思いますが。探しますか?」
「いや探さなくていい。時間の無駄だろ。仮に探すなら目で見える範囲で探す」
「目で見える範囲か。見てもオアシスは無いな」

「出来れば夜はオアシスがある所にいたよね。その方が夜は過ごしやすいかな」
「見つけられたらな。お、魔物が砂漠の中を泳いでる」

 僕がそう言うと、皆はその魔物に注目する。

「サンドワームだな。サンドワームは砂の中を自由に泳げるから、討伐するのに時間がかかるんだよ」
「ほぼ砂の中にいるから何処から出るか、分からないんだよねぇ~。それでよく不意を突かれる」
「常に不意打ちが出来るのかよ。やべぇな・・・」

「だけどサンドワームのお肉は美味しかったよ」
「「何だと?」」
「おいアレア。それを言うなって、前に言ったよなぁ?」

「あ・・・。そうだった・・・」
「おいどうするシルビア。あのサンドワームの肉はうめぇらしいな」
「当然狩るに決まっている。次に現れたら、魔法で仕留めるぞ」

「了解」
「ほら。あんな風に狩る気満々なったよ・・・」
「本当にごめん」

「私は良いと思いますよ。食料がそろそろ無くなりそうなので、あのサンドワームで食料を確保しましょう。野菜は無いですが」

 僕とシルビアはサンドワームが出てくるのを待つ。サンドワームが出てきたら、魔法を使って攻撃をする。魔法は全てサンドワームに当たり動きが止まる。

「死んだか? 死んだふりをしてる訳じゃ無いだろうな?」
「空間の中入れれば分かるだろ」

 僕たちは動きが止まったサンドワームの所に行く。シルビアはサンドワームに触れて空間の中に入れる。

「どうやら死んでいたようだな」
「サンドワームをあんな簡単に倒すとか。あの2人は強いよなぁ」
「強すぎてボクたちいらないんじゃないかな?」

「それは無いかと。2人だけでは出来ない事がありますよ」
「そうだった。2人だけじゃ空飛べないね。何でアディシアは浮遊魔法が使えるの?」
「習った。それしか言えませんね」

「一体誰に教わったかは知らないけど。きっとその人もヤバいんだろうな」
「・・・色々と可笑しい人でしたよ」
「アディシアも多分その分類だよ」

「えぇ」
「よし移動しようぜ」

 僕たちは移動を再開する。

「タクヤ。水は大丈夫?」
「あぁ大丈夫だ。さっき水は飲んだが、まだ残ってるぜ」
「無くなったら言ってね。また飲み水出すから」

「ワリィな。こんなことさせちゃって」
「別に平気だよ。特にボクの負担にはなって無いからね」
「私が出しても良かったのですが。何故止められたんでしょうか?」

「(多分だが。依存しそうで怖いんだろうな)」
「(アディシアって色々出来る事が多いから、きっと依存しそうになるんだろうな)」
「(何か色々出来ていいなぁ~。アディシアから何か学んでみようかなぁ~)」

 お前が万能過ぎて、こっちはお前に依存しそうで怖いんだよ・・・。

「アディシアは他ので魔力を使ってほしいんだ。いざって時に魔力が無いって言うのは、困るからな」
「そう言う事なら。他の魔法に使いましょう」

 ベラがそう言って僕はホッとしてると、シルビアたちもホッとする。

「それにしてもオアシス見つからないね。オアシスってあるのかな?」
「あるんじゃないか? 俺達が見つけられないだけで、何処かにあるんだろ」
「オアシスが目的じゃないけどな」

 僕たちは行ける所まで行く。夕方。移動してるとオアシスを見つける。僕たちはオアシスの所に降りる。

「オアシスあったね」
「まさかあるとはな。今日はここで野営か」
「夜は寒いだろうなぁ・・・。どうやって寒さを凌ぐか・・・」

 僕たちは野営の準備をする。準備が終わったら晩御飯を食べる。
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