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63話 両方やるか?

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 4日後。山頂近くの休憩所。

「合計4回負けたな・・・」
「レッドドラゴンは強いな。アレで手加減をしてもらっているんだな」
「手も足も出ないとはこう言う事ですね」

「でも最初よりかは動けてる気がするよ」
「最初は避けるだけで精一杯だったね。タクヤは普通に攻撃してたけど」
「あの動きならまだ対処出来るからな。本気を出せれていたら、僕は瞬殺されてるぜ・・・」

「攻撃は効いていましたか?」
「あぁどうだろうなぁ。あんまり効いてないんじゃねぇの? 少なくても痛がる素振りはしなかったからな。多分痛いとは思っているだろうが」
「流石にミスリルを凹ます威力を持っていても、ドラゴンの鱗には効かないのかな」

「かもな。先ずは鱗を引き剥がさねぇとな」
「その前に翼だろ。ドラゴンの弱点とも言われるほどの脆さだぞ」
「簡単には狙わせてくれないでしょう。レッドドラゴンも脆いと理解してます」

「飛べなくなるだけでかなり楽だからな。飛んだら風圧とブレスでボコボコにされるな」
「こっちはアディシアの魔法で飛べるけど。向こうは空中戦慣れしてると思うから、やるだけ無駄かな」
「やっぱり翼をどうにかしねぇといけねぇか。翼を引き千切るか、その膜を破るしかねぇよな」

「レッドドラゴンの背中に乗って翼を千切るか、魔法で膜を破るか。この二択ですね」
「だが成功するのか? 前はこの2つをやったが、2つとも失敗しただろ」
「・・・両方やるか?」

「両方だと。出来るのか?」
「さぁ? やってみねぇと分からねぇよ。少なくても事故以外で殺される事はねぇ。なら試してみる価値はあるだろ」
「両方やるか・・・。いいじゃないか? 両方やればそれだけで、相手の動きを封じられるだろ。少なくても複雑にはなるとは思うぜ」

「やるなら役割はどうする? って言っても分かってるか」
「僕とシルビアでレッドドラゴンの背中に乗って、翼を引き千切るか膜を斬るか破るか。アルセルとアレアで矢と魔法で翼の膜を破る。これだな」
「私の役割は何でしょうか?」

「「「「・・・・・・」」」」

 ベラをその場に残して、僕たちはちょっと離れる。

「おいどうする? アディシアは万能だがら、何処置いても対処出来るぞ」
「そうだな・・・。魔法撃ちまくっているのはどうだ? そうするれば、回避に専念しないといけないだろ」
「確かに。ならそれで行くか」

「「異議なし」」
「―――なら私はそうしましょう」
「「「「!?」」」」

「酷いですね。私だけ除け者にする何て」
「いやちょっとどうしよかって・・・。どの配置にしてもアディシアは対処出来るから・・・」
「万能って言うのも少しは面倒な所がありますね」

「本当にワリィ・・・」
「気にしてませんよ。それよりも翼を取り除いたらどうするのですか?」
「後は気絶させるまで戦うしかないか?」

「危険だが。今度は口の中を攻撃するか」
「「「「口の中!?」」」
「おまっ、いくら何でも危険すぎるだろ!」

「だが一番効くと思うぜ。いくら何でも口の中は硬くねぇだろ。だったらその中を攻撃するしかねぇだろ」
「かなりぶっ飛んだ話をしてないか? 他に方法はあるだろ。さっき言った鱗を剥いで皮膚に攻撃をするとか」
「鱗を剥がさせてくれると思うか? まぁ口の中を攻撃するより簡単かもしれねぇが」

「どう考えても簡単だと思うよ。口の中を攻撃するって事は、あのドラゴンがブレスを吐く時だよ」
「そのブレスを吐くタイミングで攻撃をするんだろ。タイミングが合わなかったら死ぬぞ」
「確かに死ぬかもな。だがアディシアの魔法で耐えられるんじゃないか? 重ねて使えば効果は上がるだろ」

「上がるかもしれませんが、試した事が無いですよ」
「何でやらねぇんだよ。ししょーは普通にやってたぞ。話ししか聞いてねぇが」
「それはタクヤの師匠が可笑しいからじゃない? 普通はやらないからね」

「マジかよ・・・。ししょーはそれが普通言っていたんだぜ」
「タクヤが異常なのは師匠譲りだったか。異世界から来たって事もあるが、師匠譲りだったか」
「その師匠はドラゴンと戦った事があるんだね。まぁそれは良いとして、本当に口の中を攻撃するの?」

「する。じゃねぇと勝てる気がしねぇよ。勝たなかったら先に進めねぇだろ」
「そうだね。今日はこの辺でいいかな」
「だな。今日はもう寝て明日レッドドラゴンと戦うか」

 僕たちは別れて寝始める。

 次の日。起きて休憩場で準備をして、山頂に登ってレッドドラゴンに会う。

「今日はどのような戦いをしてくれる?」
「さぁどんな戦いをするんだろうな? まぁ見てのお楽しみってやつだぜ!」

 昨日決めた通りに、僕たちは動いてレッドドラゴンと戦う。先ずはアルセルとアレアで、翼の膜を狙う。

「4回目と同じではないか。そのような攻撃何ぞ風圧だけで消し飛ぶわ」

 レッドドラゴンは翼を動かして、アルセルとアレアの攻撃を風圧で吹き飛ばす。それでも2人は攻撃をする。その間に僕とシルビアは浮遊魔法を付与してもらい、他の魔法も付与してもらった。

「気休めですが、気配遮断魔法を付与しました」
「よし。やってみるか。準備は良いよな?」
「いつでも行けるぞ」

「じゃあ行くか」

 僕とシルビアは浮いて、レッドドラゴンに近づく。
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