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第39話イエーガー侯爵様の誕生日1
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「噂通り可愛らしい方ですね」
御義父の姿を見ると、着飾った貴婦人が声をかけてきた。
お世辞でもそう言われ、嫌な気はしない。
「これから、娘も宜しく頼みます。では、失礼致します」
御義父様が優雅に会釈し、私とノーセットに目で、行くよ、と促した。
「失礼致します」私。
「失礼致します」ノーセット。
私とノーセットも会釈し、御義父様について行く。
女性はもっと話しをしたかったようだが、御義父は全く相手にしていない。
けれど、それはこの会場に入った瞬間同じような人ばかりだった。
御義父は本当に一体何者だろう?
今日は、グリニジ・イエーガー侯爵様の誕生日パーティーです。
夜会での方々とは家族ぐるみの付き合いのようで、私達も招待された。
屋敷に入った瞬間、息を呑んだ。
こんな豪華なパーティー、世の中に存在するんだ・・・。
天井には、巨大なシャンデリアが幾つも吊るされ、その光が、まるで星のように輝いている。
壁には、金色の装飾が施され、絵画が並ぶ。
きっと、どれも高価なものなんだろう。
床は、大理石。
磨き上げられて、まるで鏡のよう。
自分の姿が映り込む。
テーブルには、見たこともないような料理が並び、その数、数え切れない。
色とりどりの料理。
どれも美しく、芸術作品のよう。
給仕たちが、銀のトレイを持って行き交い、シャンパンやワインを配っている。
そして、人々。
きらびやかなドレスを纏った貴婦人たち。
宝石が、煌めいている。
首元、耳、手首、指。
どこもかしこも、宝石だらけ。
紳士たちも、立派な燕尾服。
胸元には勲章や家紋。
空気が、違う。
格式が、違う。
これが、本物の社交界なんだ。
呆気にとられる余韻もなく、御義父様とノーセットは颯爽と中へと入っていき、優雅に挨拶をしていく。
その後ろをついていくのに必死だった。
こうい人たちのため養女になってから教育が増えた。
だから、今日の身支度に何日もかけた。
髪の毛や肌、食事制限、などなど・・・。
ハザードは、パーティーの一週間前から、私を特訓した。
「シャーリー様、姿勢です!背筋を伸ばして!」
「はい!」
「歩き方!ドレスの裾を踏まないように!優雅に!」
「はい!」
「扇子の使い方!こうです!」
「はい!」
「笑顔!もっと柔らかく!」
「はい!」
毎日、毎日、特訓。
それだけじゃない。
「シャーリー様、今日からお肌の手入れを強化します」
「はい」
「食事も、美肌のために野菜中心で」
「はい」
「髪も、特別なトリートメントを」
「はい」
もう無理です・・・というくらいまでハザードにあれやこれやとされた。
驚く程に、ハザードは智識があった。
そして、パーティー当日。
朝から、身支度。
髪を巻き、整え、飾りをつける。
化粧も、いつもより念入り。
そして、ドレス。
真っ赤なドレス。
今日のために、ハザードが用意してくれた。
胸元には、レースの装飾。
スカートは、ふんわりと広がる。
鏡を見ると、綺麗な人がいた。
「素敵です!!」
ハザードや皆に言われた。
でも、そんな事よりもハザードが満足いく仕上げになって、ほっとしたくらいだった。
だって、やっと終わった・・・と思ったもん。
それに、もっと大変だったのは、人物の名前と関係性を覚えること。
「シャーリー様、こちらがサーヴァント公爵様のご家族の相関図です」
「はい」
「こちらがギャウカ公爵様の」
「はい」
「こちらがミネルバ侯爵様の」
「はい」
「そして、イエーガー侯爵様の」
「はい」
名前、爵位、家族構成、立場、性格。
全部、覚えなきゃいけない。
「シャーリー様、サーヴァント公爵様の長男のお名前は?」
「え、えっと・・・」
「シャーリー様!」
「すみません!」
あう……カルヴァン様だった。
ごめん。
毎日、テスト。
間違えると、ハザードの目が怖い。
でも、ハザードは私のためを思ってやってくれている、とわかっていたからわをだから、頑張った。
パーティーでは、御義父様から、
「扇子があるのだから、落ち着いて微笑んでいればそれでいい。あとは背筋を伸ばせば充分だ」
と言われた。
うん。それくらいなら出来る。
すれ違う方すれ違う方、全ての方々が御義父様に声をかけ、私の紹介を催促され、さっきの会話になっていく。
「シャーリー、もし私達が周りにいなくて1人の時、声を掛けられたら、『私への誘いは義父である、ウインザー子爵を通して下さい』と言うのだ」
歩きながら御義父様が言う。
「はい、御義父様」
「私の名を出せば手出しは、できない。ここでは後ろ盾が無いものはすぐに潰される。肝に命じておきなさい」
背中が寒くなるような物言いを、楽しく言ってきた。
初めて御義父様の言葉が怖いと思った。
よく意味は理解できないが、私は御義父様に言われるようにすればいいのね。
「大丈夫、私がついているから」
ノーセットがまかせといて、と言う姿に、ウインザー家の次期当主だと思わせる威厳が、少し見え、嬉しかった。
「ええ、ノーセット期待しているわ」
「うん!」
「ノーセット、『はい』、であろう」
苦笑いの御義父様に、
「・・・はい、御義父様」
しまった、としゅんとなるのが可愛らしかったが、何時もの全く違う雰囲気を醸し出していた。
これが、当主としての教育を受けた人間なんだ、と改めて思った。
奥へと向かうが、同じように声をかけられ挨拶し、なかなかイエーガー侯爵様まで辿り着かなかった。
でも、それが何時ものことなんだろう。
御義父様はそつなくこなし、長くなりそうな話も、上手く交わし終わらせる。
前の?というのは語弊があるのかもしれないが、前のお父様の時と比べ物にならない程声をかけられていた。
その上前のお父様は、自分から誰彼構わず声をかけていて、正直恥ずかしいと思った時もあった。
御義父様全く違う。
屋敷にいる時と変わらないが、こうやって沢山の人がいる中では、気品、いや、威厳に満ち溢れていて、
奥へ行くにつれ、声をかけられなくなってきた。
空気がというか、雰囲気が変わる。
遠巻きに見る人が増え、まるで選ばれたものだけが入れる空間とでも言うか・・・。
けれど、すぐにわかった。
あの4人の方々と奥様方が圧倒的な威圧感を放ち、誰も近づけないのだ。
まだ、パーティーは始まらない。
つまり、それまでは選ばれた者以外は近寄るな、という暗黙の了解なのだろう。
「遅かったじゃねえか」
サーヴァント公爵様が、ワインを飲みながら言った。
何時もの乱暴な口調だけど、凄く楽しそう。
「来たのは早かったはずだがな」
「仕方ないだろ。シャーリーの事を紹介しろと声を掛けられるのだから」
サーヴァント公爵様の嫌味に御義父様が、肩を竦める。
「誰もが・・・気になって・・・いるからな」
イエーガー侯爵様が、ゆっくりと言う。
冷たい目。
でも、楽しそうだ。
「そうか?他人事が何が楽しい」
御義父様が、呆れたように言い、
「とりあえず、誕生日おめでとう。いつまでもしぶとく生きているな、我々は」
楽しく笑った。
「ははっ、憎まれっ子世に憚る、と言うだろ。その類だ、我々な」
ギャウカ公爵様が、豪快に笑いながら言う。
その言葉に、皆が笑いだした。
一通りの談笑が終わったから、イエーガー侯爵様の前にノーセットと行く。
「イエーガー様、お誕生日おめでとうございます。ご健勝と、ご長寿をお祈り申し上げます」
頑張って背伸びしてして言いました。
「イエーガー様、お誕生日おめでとうございます。また楽しい旅の話を聞かせてください」
ノーセットも緊張気味に言った言葉に、え?それは私も聞きたい。
「2人から・・・そう言われると・・・長生きも・・・良いものだな。今度・・・ゆっくりと聞かせてやろう・・・。ノーセット・・・あちらで・・・皆が・・・待ってるぞ」
イエーガー侯爵様が、ゆっくりと言う。
「本当に!?あ、あそこだ。御義父様、僕向こうで大人しくしておきます」
いや、既に元気な声で、僕、になってるけどね。
同じ年頃の子供たちが集まり手を振っていた。
「皆の子供や孫たちだ。挨拶しておこう」
「はい、御義父様」
流石に今回は御義父様が、4人の親族関係の名前や立場を前もって教えてくれたので、どうにか、名前を間違えることなく挨拶をした。
ハザードの特訓のおかげです。
「シャーリー、この辺りにいなさい。私達はもう少し話しをするから。もうすぐカルヴァンが来るらしいから、それまでに声を掛けられるようであれば、覚えてるね?」
「はい、御義父様。『私への誘いは義父である、ウインザー子爵を通して下さい』、と言います」
「宜しい。少しずつ皆と仲良くなればいい」
軽く私の肩を叩き微笑んだ。
はい、頑張ります。
御義父の姿を見ると、着飾った貴婦人が声をかけてきた。
お世辞でもそう言われ、嫌な気はしない。
「これから、娘も宜しく頼みます。では、失礼致します」
御義父様が優雅に会釈し、私とノーセットに目で、行くよ、と促した。
「失礼致します」私。
「失礼致します」ノーセット。
私とノーセットも会釈し、御義父様について行く。
女性はもっと話しをしたかったようだが、御義父は全く相手にしていない。
けれど、それはこの会場に入った瞬間同じような人ばかりだった。
御義父は本当に一体何者だろう?
今日は、グリニジ・イエーガー侯爵様の誕生日パーティーです。
夜会での方々とは家族ぐるみの付き合いのようで、私達も招待された。
屋敷に入った瞬間、息を呑んだ。
こんな豪華なパーティー、世の中に存在するんだ・・・。
天井には、巨大なシャンデリアが幾つも吊るされ、その光が、まるで星のように輝いている。
壁には、金色の装飾が施され、絵画が並ぶ。
きっと、どれも高価なものなんだろう。
床は、大理石。
磨き上げられて、まるで鏡のよう。
自分の姿が映り込む。
テーブルには、見たこともないような料理が並び、その数、数え切れない。
色とりどりの料理。
どれも美しく、芸術作品のよう。
給仕たちが、銀のトレイを持って行き交い、シャンパンやワインを配っている。
そして、人々。
きらびやかなドレスを纏った貴婦人たち。
宝石が、煌めいている。
首元、耳、手首、指。
どこもかしこも、宝石だらけ。
紳士たちも、立派な燕尾服。
胸元には勲章や家紋。
空気が、違う。
格式が、違う。
これが、本物の社交界なんだ。
呆気にとられる余韻もなく、御義父様とノーセットは颯爽と中へと入っていき、優雅に挨拶をしていく。
その後ろをついていくのに必死だった。
こうい人たちのため養女になってから教育が増えた。
だから、今日の身支度に何日もかけた。
髪の毛や肌、食事制限、などなど・・・。
ハザードは、パーティーの一週間前から、私を特訓した。
「シャーリー様、姿勢です!背筋を伸ばして!」
「はい!」
「歩き方!ドレスの裾を踏まないように!優雅に!」
「はい!」
「扇子の使い方!こうです!」
「はい!」
「笑顔!もっと柔らかく!」
「はい!」
毎日、毎日、特訓。
それだけじゃない。
「シャーリー様、今日からお肌の手入れを強化します」
「はい」
「食事も、美肌のために野菜中心で」
「はい」
「髪も、特別なトリートメントを」
「はい」
もう無理です・・・というくらいまでハザードにあれやこれやとされた。
驚く程に、ハザードは智識があった。
そして、パーティー当日。
朝から、身支度。
髪を巻き、整え、飾りをつける。
化粧も、いつもより念入り。
そして、ドレス。
真っ赤なドレス。
今日のために、ハザードが用意してくれた。
胸元には、レースの装飾。
スカートは、ふんわりと広がる。
鏡を見ると、綺麗な人がいた。
「素敵です!!」
ハザードや皆に言われた。
でも、そんな事よりもハザードが満足いく仕上げになって、ほっとしたくらいだった。
だって、やっと終わった・・・と思ったもん。
それに、もっと大変だったのは、人物の名前と関係性を覚えること。
「シャーリー様、こちらがサーヴァント公爵様のご家族の相関図です」
「はい」
「こちらがギャウカ公爵様の」
「はい」
「こちらがミネルバ侯爵様の」
「はい」
「そして、イエーガー侯爵様の」
「はい」
名前、爵位、家族構成、立場、性格。
全部、覚えなきゃいけない。
「シャーリー様、サーヴァント公爵様の長男のお名前は?」
「え、えっと・・・」
「シャーリー様!」
「すみません!」
あう……カルヴァン様だった。
ごめん。
毎日、テスト。
間違えると、ハザードの目が怖い。
でも、ハザードは私のためを思ってやってくれている、とわかっていたからわをだから、頑張った。
パーティーでは、御義父様から、
「扇子があるのだから、落ち着いて微笑んでいればそれでいい。あとは背筋を伸ばせば充分だ」
と言われた。
うん。それくらいなら出来る。
すれ違う方すれ違う方、全ての方々が御義父様に声をかけ、私の紹介を催促され、さっきの会話になっていく。
「シャーリー、もし私達が周りにいなくて1人の時、声を掛けられたら、『私への誘いは義父である、ウインザー子爵を通して下さい』と言うのだ」
歩きながら御義父様が言う。
「はい、御義父様」
「私の名を出せば手出しは、できない。ここでは後ろ盾が無いものはすぐに潰される。肝に命じておきなさい」
背中が寒くなるような物言いを、楽しく言ってきた。
初めて御義父様の言葉が怖いと思った。
よく意味は理解できないが、私は御義父様に言われるようにすればいいのね。
「大丈夫、私がついているから」
ノーセットがまかせといて、と言う姿に、ウインザー家の次期当主だと思わせる威厳が、少し見え、嬉しかった。
「ええ、ノーセット期待しているわ」
「うん!」
「ノーセット、『はい』、であろう」
苦笑いの御義父様に、
「・・・はい、御義父様」
しまった、としゅんとなるのが可愛らしかったが、何時もの全く違う雰囲気を醸し出していた。
これが、当主としての教育を受けた人間なんだ、と改めて思った。
奥へと向かうが、同じように声をかけられ挨拶し、なかなかイエーガー侯爵様まで辿り着かなかった。
でも、それが何時ものことなんだろう。
御義父様はそつなくこなし、長くなりそうな話も、上手く交わし終わらせる。
前の?というのは語弊があるのかもしれないが、前のお父様の時と比べ物にならない程声をかけられていた。
その上前のお父様は、自分から誰彼構わず声をかけていて、正直恥ずかしいと思った時もあった。
御義父様全く違う。
屋敷にいる時と変わらないが、こうやって沢山の人がいる中では、気品、いや、威厳に満ち溢れていて、
奥へ行くにつれ、声をかけられなくなってきた。
空気がというか、雰囲気が変わる。
遠巻きに見る人が増え、まるで選ばれたものだけが入れる空間とでも言うか・・・。
けれど、すぐにわかった。
あの4人の方々と奥様方が圧倒的な威圧感を放ち、誰も近づけないのだ。
まだ、パーティーは始まらない。
つまり、それまでは選ばれた者以外は近寄るな、という暗黙の了解なのだろう。
「遅かったじゃねえか」
サーヴァント公爵様が、ワインを飲みながら言った。
何時もの乱暴な口調だけど、凄く楽しそう。
「来たのは早かったはずだがな」
「仕方ないだろ。シャーリーの事を紹介しろと声を掛けられるのだから」
サーヴァント公爵様の嫌味に御義父様が、肩を竦める。
「誰もが・・・気になって・・・いるからな」
イエーガー侯爵様が、ゆっくりと言う。
冷たい目。
でも、楽しそうだ。
「そうか?他人事が何が楽しい」
御義父様が、呆れたように言い、
「とりあえず、誕生日おめでとう。いつまでもしぶとく生きているな、我々は」
楽しく笑った。
「ははっ、憎まれっ子世に憚る、と言うだろ。その類だ、我々な」
ギャウカ公爵様が、豪快に笑いながら言う。
その言葉に、皆が笑いだした。
一通りの談笑が終わったから、イエーガー侯爵様の前にノーセットと行く。
「イエーガー様、お誕生日おめでとうございます。ご健勝と、ご長寿をお祈り申し上げます」
頑張って背伸びしてして言いました。
「イエーガー様、お誕生日おめでとうございます。また楽しい旅の話を聞かせてください」
ノーセットも緊張気味に言った言葉に、え?それは私も聞きたい。
「2人から・・・そう言われると・・・長生きも・・・良いものだな。今度・・・ゆっくりと聞かせてやろう・・・。ノーセット・・・あちらで・・・皆が・・・待ってるぞ」
イエーガー侯爵様が、ゆっくりと言う。
「本当に!?あ、あそこだ。御義父様、僕向こうで大人しくしておきます」
いや、既に元気な声で、僕、になってるけどね。
同じ年頃の子供たちが集まり手を振っていた。
「皆の子供や孫たちだ。挨拶しておこう」
「はい、御義父様」
流石に今回は御義父様が、4人の親族関係の名前や立場を前もって教えてくれたので、どうにか、名前を間違えることなく挨拶をした。
ハザードの特訓のおかげです。
「シャーリー、この辺りにいなさい。私達はもう少し話しをするから。もうすぐカルヴァンが来るらしいから、それまでに声を掛けられるようであれば、覚えてるね?」
「はい、御義父様。『私への誘いは義父である、ウインザー子爵を通して下さい』、と言います」
「宜しい。少しずつ皆と仲良くなればいい」
軽く私の肩を叩き微笑んだ。
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