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第48話キャウリー目線
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「ケイトが参加してきたな」
私の言葉にスクルトがニヤリと笑った。
「ああ。いつも俺達から可愛がられるから参加しねえくせに、今回は仲の良いご友人達も連れ込んで来やがった」
「シャーリーを見に来たのか?」
「だろうな。運良く引き込めりゃ俺達に一泡喰わせられると思ったんだろうよ。だが、シャーサーと言う片割れを引っ掛けてくれた。さあて、二人まとめて、どう料理してやろうか」
スクルトが言うと、手っ取り早く殺してしまいそうな勢いに聞こえる。
「しかし、ケイトが参加するとは誠に珍しゅうございますな」
ウイニーが、興味深そうに言う。
「あの小僧、いつもなら絶対に来ねえのにな。よほどシャーリー嬢に興味を持ったんだろうよ」
スクルトが、愉快そうに笑う。
「面白く・・・なって・・・きましたな。ケイトが・・・シャーサーを・・・引っかけるとは」
グリニジが、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「ああ。あやつの女好きも、今回は役に立ったわけだな。ケイトがシャーサーとつるめばこちら的には楽だな」
ベジットが、グラスを傾けながら満足そうに頷く。
イエーガーの誕生日の挨拶も終わり、ある程度皆が社交辞令の挨拶を終え、また、奥の部屋に集まっていた。
重厚な扉に守られた、選ばれた者だけが入れる空間。
ここでは、誰もが気を緩め、本音で語り合える。
しかし、疲れた。
シャーリーの事で根掘り葉掘り聞かれてうんざりだ。
何一つ答える気はないが、何一つ己の足元を崩す気もない。
飲み出すと、シャーリーの料理が欲しくなる。
どこでもそうだが、胃が重たくなる料理しか出てこない事に気づいた。
シャーリーが作る料理は野菜が多めで、つい食べてしまい、逆に酒が少なくなった。
おかげで、今はすこぶる朝の調子がいい。
騎士団の指導にもつい力が入り、まだまだ衰えてはおらん事がよく分かった。
ついてこれる奴が少ないのが、いい証拠だ。
「どうした?ワインが進んでないぞ、キャウリー」
酒飲みのベジットがぐいとグラスをあけ、聞いてくる。
これまでは同じように飲んでいた。
特に酒に強いとは思ってはいないが、周りからは豪酒だとよく言われていた。
「シャーリーの作る料理がないと酒が進まん」
私の言葉に、何故か皆が食い入るような眼差しで頷いた。
まるで、同じ気持ちだと言わんばかりだ。
「お前様、常にあの料理を出して頂いておられるのでございますか?」
ウイニーが物欲しそうに身を乗り出してきた。
「あれ以外にも・・・あるので・・・ございますか」
グリニジが、ゆっくりと尋ねる。
その目は、真剣そのものだ。
「夜会の時、えらく気に入って食べていたな」
ベジットが、遠い目をする。
「ふむ。つまりこれからは俺が食べられるってことじゃねえか」
スクルトが満足そうに答える。
「待て、スクルト。それはどういう意味だ。まだ決まってない。カルヴァンをシャーリーが気に入ったとは言っていない」
「その通り・・・だ。オーリュゥンを・・・選べば・・・私の・・・家族に・・・なる」
グリニジの言葉にまた焦った。
「待て!シャーリーの気持ちが大切だと言っているだろう!!」
「カルヴァンよりも・・・オーリュゥンが・・・相応しい。あやつは・・・次男で・・・ございますから、婿養子に・・・やれます。それなら、側に・・・置いておける」
グリニジが、ゆっくりと言う。
確かに。
分家になるが、男爵なら頼めばどうにかなる。
婿養子に貰うのもひとつだな。
「待てよ!シャーリー嬢なら、当主を持ち上げ、支える器量を持ってるだろうが。資質を無駄なく発揮させねえでどうする。それなら、カルヴァンだろう?」
スクルトが、反論する。
確かに。
シャーリーなら、カルヴァンを上手く支え・・・?
「いや、待て!シャーリーを嫁にはまだ出さん!!娘になったばかりだ」
私の言葉に、ベジットがため息をついた。
「・・・お前・・・そんな奴だったのか。いいか、娘、つまり女と言うやつはいずれは誰かの男のものになる。純情そうな女程夜は激しくなるがな」
ベジットが、したり顔で言う。
「待て、ベジット!他人事に言ってるが、お前、娘がいたな。その言葉を嫁ぐ前に娘に言ったのか?まるで、他人事のように簡単に言うが、娘の、それも、長女にその言葉を言ったのか!?」
うっ、と黙ってしまった。
当たり前だ。
娘とはそういうものだ。
確かにシャーリーは養女であり、血の繋がりはない、はっきりと言えば他人だ。
だが、な。
「あれは、私の娘だ」
静かに、しかしはっきりと言い切った。
「そう息巻くな。だから、俺達がいるんだろうが。確かに選ぶのはシャーリー嬢だからな」
まるで纏めるかのようにスクルトが言う。
宰相、いや、暗躍として、策士として動いた友だ。
「左様でございますな。誕生日と言う餌で、あの者達を招待出来、本当にこの上なく助かっております。あとは、高みの見物と参りましょう。勝手に動くでございましょう」
ウイニーが、グラスに入っているワインを揺らす。
琥珀色の液体が、ゆらゆらと揺れる。
「そうだな、不穏な輩が今回は多いからな。下手に動けば命取りだ」
スクルトの笑いはいつ見ても恐ろしい。
だが、貴族の、それも、役付きとなれば、それだけ敵意を持つものは増える。
蹴落とし、己が上がる、もしくは娯楽の1つとして、甘い汁だけを吸い、ゴミのように捨てる。
そうして、その権力を使い、他愛なく隠蔽する。
だからこそ、後ろ盾は曖昧ではなく、鮮やかな程に見せつけなければならない。
「オーリュゥン達は・・・何を・・・しておりますか」
グリニジが聞いてくる。
「ダンスした後、三人で話をしている」
正直シャーリーは、困惑していたがな。
私に助けを求めるように近づいて来た時、2人から珍しく睨まれ、渋々離れてやった。
「それで・・・いい。あの二人が・・・側に・・・いれば容易に・・・近づけん・・・でしょう」
グリニジの言葉に皆が頷いた。
「あの二人なら全く問題ない。まあ、私の娘だと言うことは知れ渡っているが、そうは言ってもべったり側にはおれんからな。特に今回は不穏分子ばかりを招待しているんだ。シャーリーが巻き込まれては困る」
「ナリッシュ王子も・・・でございますな」
ウイニーがうんざりした声で言った。
ウイニーの次女は今の王弟にしつこく求婚されて、そのしつこさにかなり怒っていた。
最後はえらい剣幕で、
「我々を敵に回したいのか!!」
と、怒鳴りつけていた。
「王から言われたんだろう。年も近く美女と聞けばどうにか落とせ、とな」
ため息混じりに、ベジットがつまらなさそうに言う。
「見え見えでございます。誰が王家などに、娘をやりますか。戦はもうないでございましょうが、政治の道具に使われるのを分かっていて嫁がせる気など」
ウイニーの言葉に真実味があるだけに、嫌な気分になる。
王は我々とより繋がりを強固なものにするために、欲しいのだろうがな。
ウイニーの息子は王女を貰った。
だが、それはお互いを想いあっていたからこそ許し、こちらの家の人間になる、という前提があったから許され祝福された。
王子の嫁になど、王家に嫁がせるなど、この中で誰が望むだろう。
「さて・・・酔いが回る前に・・・決めておきましょう」
グリニジが、ゆっくりと口を開いた。
「何を・・・でございますか?グリニジ」
ウイニーが尋ねる。
「決まって・・・いるだろう。オーリュゥンと・・・シャーリー嬢が・・・出かける日だ。カルヴァンは・・・2度も・・・出かけて・・・いるだろう?狡い・・・ぞ」
グリニジが私を指さした後、スクルトを指さした。
面倒な事になりそうだな・・・。
だが、楽しくもなりそうだな。
己には、伴侶も子もいないから、こんな話をする時が来るとは思っていなかった。
こうやって親友達と話すのは、存外楽しいものだな。
ふと、グラスの中のワインを見つめる。
揺れる琥珀色の液体が、穏やかな時間を映し出していた。
私の言葉にスクルトがニヤリと笑った。
「ああ。いつも俺達から可愛がられるから参加しねえくせに、今回は仲の良いご友人達も連れ込んで来やがった」
「シャーリーを見に来たのか?」
「だろうな。運良く引き込めりゃ俺達に一泡喰わせられると思ったんだろうよ。だが、シャーサーと言う片割れを引っ掛けてくれた。さあて、二人まとめて、どう料理してやろうか」
スクルトが言うと、手っ取り早く殺してしまいそうな勢いに聞こえる。
「しかし、ケイトが参加するとは誠に珍しゅうございますな」
ウイニーが、興味深そうに言う。
「あの小僧、いつもなら絶対に来ねえのにな。よほどシャーリー嬢に興味を持ったんだろうよ」
スクルトが、愉快そうに笑う。
「面白く・・・なって・・・きましたな。ケイトが・・・シャーサーを・・・引っかけるとは」
グリニジが、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「ああ。あやつの女好きも、今回は役に立ったわけだな。ケイトがシャーサーとつるめばこちら的には楽だな」
ベジットが、グラスを傾けながら満足そうに頷く。
イエーガーの誕生日の挨拶も終わり、ある程度皆が社交辞令の挨拶を終え、また、奥の部屋に集まっていた。
重厚な扉に守られた、選ばれた者だけが入れる空間。
ここでは、誰もが気を緩め、本音で語り合える。
しかし、疲れた。
シャーリーの事で根掘り葉掘り聞かれてうんざりだ。
何一つ答える気はないが、何一つ己の足元を崩す気もない。
飲み出すと、シャーリーの料理が欲しくなる。
どこでもそうだが、胃が重たくなる料理しか出てこない事に気づいた。
シャーリーが作る料理は野菜が多めで、つい食べてしまい、逆に酒が少なくなった。
おかげで、今はすこぶる朝の調子がいい。
騎士団の指導にもつい力が入り、まだまだ衰えてはおらん事がよく分かった。
ついてこれる奴が少ないのが、いい証拠だ。
「どうした?ワインが進んでないぞ、キャウリー」
酒飲みのベジットがぐいとグラスをあけ、聞いてくる。
これまでは同じように飲んでいた。
特に酒に強いとは思ってはいないが、周りからは豪酒だとよく言われていた。
「シャーリーの作る料理がないと酒が進まん」
私の言葉に、何故か皆が食い入るような眼差しで頷いた。
まるで、同じ気持ちだと言わんばかりだ。
「お前様、常にあの料理を出して頂いておられるのでございますか?」
ウイニーが物欲しそうに身を乗り出してきた。
「あれ以外にも・・・あるので・・・ございますか」
グリニジが、ゆっくりと尋ねる。
その目は、真剣そのものだ。
「夜会の時、えらく気に入って食べていたな」
ベジットが、遠い目をする。
「ふむ。つまりこれからは俺が食べられるってことじゃねえか」
スクルトが満足そうに答える。
「待て、スクルト。それはどういう意味だ。まだ決まってない。カルヴァンをシャーリーが気に入ったとは言っていない」
「その通り・・・だ。オーリュゥンを・・・選べば・・・私の・・・家族に・・・なる」
グリニジの言葉にまた焦った。
「待て!シャーリーの気持ちが大切だと言っているだろう!!」
「カルヴァンよりも・・・オーリュゥンが・・・相応しい。あやつは・・・次男で・・・ございますから、婿養子に・・・やれます。それなら、側に・・・置いておける」
グリニジが、ゆっくりと言う。
確かに。
分家になるが、男爵なら頼めばどうにかなる。
婿養子に貰うのもひとつだな。
「待てよ!シャーリー嬢なら、当主を持ち上げ、支える器量を持ってるだろうが。資質を無駄なく発揮させねえでどうする。それなら、カルヴァンだろう?」
スクルトが、反論する。
確かに。
シャーリーなら、カルヴァンを上手く支え・・・?
「いや、待て!シャーリーを嫁にはまだ出さん!!娘になったばかりだ」
私の言葉に、ベジットがため息をついた。
「・・・お前・・・そんな奴だったのか。いいか、娘、つまり女と言うやつはいずれは誰かの男のものになる。純情そうな女程夜は激しくなるがな」
ベジットが、したり顔で言う。
「待て、ベジット!他人事に言ってるが、お前、娘がいたな。その言葉を嫁ぐ前に娘に言ったのか?まるで、他人事のように簡単に言うが、娘の、それも、長女にその言葉を言ったのか!?」
うっ、と黙ってしまった。
当たり前だ。
娘とはそういうものだ。
確かにシャーリーは養女であり、血の繋がりはない、はっきりと言えば他人だ。
だが、な。
「あれは、私の娘だ」
静かに、しかしはっきりと言い切った。
「そう息巻くな。だから、俺達がいるんだろうが。確かに選ぶのはシャーリー嬢だからな」
まるで纏めるかのようにスクルトが言う。
宰相、いや、暗躍として、策士として動いた友だ。
「左様でございますな。誕生日と言う餌で、あの者達を招待出来、本当にこの上なく助かっております。あとは、高みの見物と参りましょう。勝手に動くでございましょう」
ウイニーが、グラスに入っているワインを揺らす。
琥珀色の液体が、ゆらゆらと揺れる。
「そうだな、不穏な輩が今回は多いからな。下手に動けば命取りだ」
スクルトの笑いはいつ見ても恐ろしい。
だが、貴族の、それも、役付きとなれば、それだけ敵意を持つものは増える。
蹴落とし、己が上がる、もしくは娯楽の1つとして、甘い汁だけを吸い、ゴミのように捨てる。
そうして、その権力を使い、他愛なく隠蔽する。
だからこそ、後ろ盾は曖昧ではなく、鮮やかな程に見せつけなければならない。
「オーリュゥン達は・・・何を・・・しておりますか」
グリニジが聞いてくる。
「ダンスした後、三人で話をしている」
正直シャーリーは、困惑していたがな。
私に助けを求めるように近づいて来た時、2人から珍しく睨まれ、渋々離れてやった。
「それで・・・いい。あの二人が・・・側に・・・いれば容易に・・・近づけん・・・でしょう」
グリニジの言葉に皆が頷いた。
「あの二人なら全く問題ない。まあ、私の娘だと言うことは知れ渡っているが、そうは言ってもべったり側にはおれんからな。特に今回は不穏分子ばかりを招待しているんだ。シャーリーが巻き込まれては困る」
「ナリッシュ王子も・・・でございますな」
ウイニーがうんざりした声で言った。
ウイニーの次女は今の王弟にしつこく求婚されて、そのしつこさにかなり怒っていた。
最後はえらい剣幕で、
「我々を敵に回したいのか!!」
と、怒鳴りつけていた。
「王から言われたんだろう。年も近く美女と聞けばどうにか落とせ、とな」
ため息混じりに、ベジットがつまらなさそうに言う。
「見え見えでございます。誰が王家などに、娘をやりますか。戦はもうないでございましょうが、政治の道具に使われるのを分かっていて嫁がせる気など」
ウイニーの言葉に真実味があるだけに、嫌な気分になる。
王は我々とより繋がりを強固なものにするために、欲しいのだろうがな。
ウイニーの息子は王女を貰った。
だが、それはお互いを想いあっていたからこそ許し、こちらの家の人間になる、という前提があったから許され祝福された。
王子の嫁になど、王家に嫁がせるなど、この中で誰が望むだろう。
「さて・・・酔いが回る前に・・・決めておきましょう」
グリニジが、ゆっくりと口を開いた。
「何を・・・でございますか?グリニジ」
ウイニーが尋ねる。
「決まって・・・いるだろう。オーリュゥンと・・・シャーリー嬢が・・・出かける日だ。カルヴァンは・・・2度も・・・出かけて・・・いるだろう?狡い・・・ぞ」
グリニジが私を指さした後、スクルトを指さした。
面倒な事になりそうだな・・・。
だが、楽しくもなりそうだな。
己には、伴侶も子もいないから、こんな話をする時が来るとは思っていなかった。
こうやって親友達と話すのは、存外楽しいものだな。
ふと、グラスの中のワインを見つめる。
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