プライベート・スペクタル

点一

文字の大きさ
43 / 170
第四章

第十節

しおりを挟む
「睦美。あの肉片は!?」
『現在次元の間を進んでいるようです……扉の繋がる先は日本首都、東京……』
「イヒッ♪★」
楽しそうに呻いた『旧支配者』。機械も取り込んだのか勝ち誇るように大和にモニターを出し見せつけてくる。
映った映像は肉片の視界なのか、飛翔する眼下にはランドマークとも言える赤のタワーとそれの倍程の高さの銀のツリー。特徴的な摩天楼の数々が見えた。
そのまま生々しい音を響かせ肉片は着弾する。
着弾した先、そこははおそらく日本で一番有名な交差点そのど真ん中。
複数台の乗用車を下敷きにして降り立った。
「何だ?何だ?」「えっ、なに?映画の撮影?」「ちょっと見ていこうぜ」
突然の非日常の光景に早速野次馬となる周りにいた人々。呑気に手持ちのスマホを掲げる。
「イッヒぃいいいいい♪♪♪」
楽し気な声をあげた『旧支配者』。そのまま肉片は触手を伸ばし周囲の人々を絡め取り始めた。
「うわあああああ!!」「きゃああああああ!!」「に、逃げろぉおおお!!」
事そこに至り初めて危険だと察した人々。混乱しながら逃げ惑う。
「イッヒヒヒ~~♪」
「手前……ッ、フフ……」
「イヒ?」
初めは怒りの表情を見せた大和が急に笑みを浮かべたことに不思議に思う『旧支配者』。
「だよなぁ……俺にゃあお前らがいるもんなぁ」
『はぁああああああああ!!』
『しッ!!』

【演目】『爆炎 炎壊 ニューク1』
【演目】『鬼震 小噺 二太刀 小烏丸』

降り注ぐ爆撃と斬撃。伸ばした触手は全て破壊される。
現れたのは、門司と晴菜であった。
『成程…こいつが『旧支配者』の一部か……『断片・集』を倒した後、兄弟の奮闘をラジオ代わりに助太刀を急いでいた中、鉄面皮から連絡があったが……まさかこういう手を使い出すとはな……』
『何故にドライブ気分だったのよ……まあ、結果オーライだったからいいけれど……』
刀を担ぐ門司とため息をつく晴菜。
『ふむ、間に合いましたか……大和が察した通りになりましたね…』
『ああ、『旧支配者』の存在が分かった時点で外に餌を求めるとは聞いていたが、間一髪で間に合って何よりだ…』
『これも制御中枢を掌握しましたからね…掌握さえしてしまえば座標が固定されている一般世界に飛ぶなんて一瞬ですからね』
「く、クキィイイイイイイイイイイイイ!!」
思い通りならなかった事に怒りの声のようなモノを上げる『旧支配者』。触手をもう一度伸ばし付近にいる人を絡めようとする。
だが、触手が一般人に触れかけた瞬間。突如として一般人が消える。
見ると門司が以前【天使】が使用したリモコンのようなモノと同じものを手にしていた。
『悪いな、以前会敵した際にクスねておいてな……一回限りだが…百点満点の使いどころだろう?』
「クキィイ!?」
『それでたった今から跡形もなく消滅させるんだが…晴菜は準備はいいか?』
『しなくても決めるんでしょ?お生憎様、準備はもう万全よ』
『そうか……なら良い……』

【演目】『鬼震 小噺 伍ノ太刀 天災てんさい
【演目】『爆炎 炎壊 シーエム13』

演たれた門司と晴菜の【演目】。画面に迫ってくる見るほどに巨大な斬撃波と炎の爆弾に画面は信号なしの砂嵐へと変わった。
「ク…カ……ハ………?」
「どうやら肉片は完全に消滅したようだな…」
「キィイイイイイイイイイイイ!!」
おぞましい表情で醜い悲鳴を上げる『旧支配者』張った根を自ら切り落とし触手をさらに増やす。
そうして下半身がタコのような姿へと変え、さらに化け物じみた見た目で威嚇した。
だが……。
「わりいな…正直さっきの時より昂っているんだわ…妙な高揚感に盛り上がり……負ける気がしねぇ」
「キッ!?」
「さあ、次はお前が消える番だぜ…」
そう言って構えをとる大和。決着のための十八番を演じた。

【演目】『龍桜 誅魔豪拳 春雷しゅんらい

思わず「ほぉ…」っと、見惚れるほどにきれいな踏み込み。
空気の壁を十重二十重と破る超高速。中国拳法の崩拳の形で放たれる拳。
あまりの高速は拳圧として形を持ち、弩級艦の艦砲の如き規格外の威力と射程を生み出す。
そのまま拳圧は『旧支配者』の胴体を穿つ。
まるでパンチで開けられたようにきれいな大穴。そこに在った心臓部である核すらもきれいに消し去った。
「キュ!?……キュキ……コ……」
肉体が崩れ始める『旧支配者』。反撃の為に伸ばした触手も大和に触れる事すらかなわず形を失う。
そのまま溶けたアイスのようにドロドロに液状化していく『旧支配者』。
そこから復元され一振りの剣の姿で現れた『月下の雫』。
これがこの争奪戦を幕引きの光景であった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ
ファンタジー
 ハートとお気に入り登録、ぜひぜひお願いいたします!  ↓簡単なあらすじは''もっと見る''へ!↓  ここは、剣と魔法の異世界グリム。  ……その大陸の真ん中らへんにある、荒野広がるだけの平和なスラガン地方。  近辺の大都市に新しい冒険者ギルド本部が出来たことで、辺境の町バッファロー冒険者ギルド支部は無名のままどんどん寂れていった。  そんな所に見習い冒険者のナガレという青年が足を踏み入れる。  無名なナガレと崖っぷちのギルド。おまけに巨悪の陰謀がスラガン地方を襲う。ナガレと仲間たちを待ち受けている物とは……?  チートスキルも最強ヒロインも女神の加護も何もナシ⁉︎ ハーレムなんて夢のまた夢、無双もできない弱小冒険者たちの成長ストーリー!  努力と友情で、逆境跳ね除け成り上がれ! (この小説では数字が漢字表記になっています。縦読みで読んでいただけると幸いです!)

没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。

亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。 しかし皆は知らないのだ ティファが、ロードサファルの王女だとは。 そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

処理中です...