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幕間3
幕間
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日本国内、某所。
会議室に集められたスーツを着た大人達。
後ろに秘書を控えさせながら、促された卓の席に着く。
全員が席に着くのを見た後、おずおずと司会が口を開いた。
「えー…本日はお集まりいただき誠にありがとうございます」
「そんな前置きなんぞ要らん。さっさと始めろ」
「は、はいッ!」
卓の一人からそう言われ背筋を伸ばす司会。早速スクリーンを降ろしプロジェクターで画面を映す。
出された映像。それは交差点に降ってきた肉塊とその後に現れた二名の人物の姿。
門司と晴菜が『旧支配者』の肉片と対峙した時の光景であった。
触手を出し一般人を捕獲する肉片。その触手を刀と炎で破壊し助け出す門司と晴菜。
特大の斬撃波と炎の爆撃により肉片が消失した光景でこの映像は終了する。
「これが本日午前に都内交差点にて発生した【星】と呼ばれる者達と正体不明の肉塊が相対した時の映像です」
「…………」
「【星】の二名の名前はそれぞれ長船・門司と早乙女・晴菜。互いに【銘付き】と呼ばれる【星】の中での実力者です……」
「……………」
「相対した正体不明の肉塊は提供された情報によりますと『旧支配者』と呼ばれる。旧時代に存在したカミガミの亡骸。その一部だそうです…」
「…………………」
「この相対による死傷者ですが……肉片に潰された車両内にいた方以外はほぼ無し。映像の通り触手によって取り込まれかけた方もいるようですが…長船、早乙女の両名により助け出されております」
「…ええぃ、そんなことはどうでもいいッ!我々が知りたいのはこの一連の出来事は国民に広まったのかという事だ!!」
「は…はいッ!!すでにこの出来事自体SNSで拡散されております!我々が一般人を装い火消しやマスコミ各社に口封じを打診しておりますが…あまり結果は芳しくないです……」
言いにくさから尻すぼみになった司会の言葉。
その言葉に卓のあちこちからため息と舌打ちが漏れ出る。
「全く【星】どもめ…」
そう呟く卓の一人。
国政を担うことになった時から彼等の存在は知らされていた。
自分達の生活の裏でこんな連中が好き勝手に蠢いていることに驚愕はしたが、影に存在する連中だ。とくに気にしていなかった。
それが何故今になって表に現れ出でたのか、それも自分達が勤めている時期に……。
「面倒な事にしよって…」
「あの…それでどうします?」
とそこで、卓の中では比較的若い1人がそう問いかける。
そうである。それを話しに来たのである。
何とか波風を起こさないように…自分達に火の粉が降りかからないようにしなければならない。
「以前に【星】が表に出てきたときはどうした?」
「確か…箝口令を敷き、風化するのを待ったような…今回も同じ手を使えるか…」
「あの時とは情報インフラが天と地程の差があるからな。それに今でそれは人の口に戸を立てられないだろう」
「だったらデマだ!それもチマチマしたものでなく、大々的に映画の撮影だのなんだの言って拡散させりゃあいい!!」
「予算はどうするんです?」
「予備費を出せばいい。足りなければ適当な理由をつけて増税すれば解決だ」
「全く…呆れてモノも言えないね」
とそこで話し合っていた卓の者達とは別の方向からそんな声とともにある人物が入ってくる。
入ってきた人物。それはヒミコであった。
「普段は神聖な議場で半ば居眠りしているっていうのに…手前の首に縄がかかった瞬間にそれかい。どうしようもないねアンタ達」
「なんだこの少女は?さっさと摘まみ出せ、守衛は何をやっている?」
「なッ!?何を言っているんだ君はッ!!?」
とここで卓の中心に座る程に重役でありながら話し合いで一言も喋らなかった男が叫び、卓の一人にそう叱責する。
「このお方は遥か古来より日本国を見守ってきた大母だぞ!それにこの日本国の【星】達の組織の大元だ!その物言いは何だ!?」
「…ッ!!?」
それも聞いたことがあると、上部のその言葉に卓についていた全員に動揺が走る。
「そんな小さいことにいちいち目くじらなんて立てんさ、ただイキったわがままなガキが騒いだだけさね」
「が、ガキだと……俺は今回で6期当選をはたした男だぞ!!」
「しかしね、政ごとに参加する人間がこれほどまでに劣化しているのは問題だね、どうなんだい…総理?」
「それはその…大変申し訳ございません……」
怒る男を無視し卓の中心の男にそう言ったヒミコ。
ヒミコの言葉に総理と呼ばれた卓の中心の男はまるでテストで悪い点数をとった子供のように萎縮する。
「まあいいさ…今後はこんな寝ぼけた事も出来なくなるんだから…」
「…?」
そう呟き、司会の場まで足を運んだヒミコ。全員に向き直る。
「さて、事後報告で悪いけれどね…今後私達【星団】『フツノミタマ』は【星】のことも含め存在を大々的に公表し、日本の存続に尽力する次第だよ…よろしくね」
「……は?……ちょ、ちょっと待って下さい!それはいったいどういう!?」
「言葉通りの意味さ、今まで影に潜み活動していた私達は表に表し様々な支援をするってこと…政府のバックに付いて…ね……」
「何を勝手な!?同じ【星】として、この騒動の隠蔽に協力するのが筋ではないのかね!?」
「この期に及んでまだ火消しを考えていたのかい?ほとほと呆れる連中だね…誰でも情報を手軽に発信できるこの時代にそんなこと出来るわけないだろう」
「くッ………」
「でも衆目を晒す羽目になった点はこちらも想定外さね、我が愛するこの国の実力者達に動いてもらったんだけれどね……亡骸とはいえ『旧支配者』が出てくるとは思わなかった」
「もともとは別の案件であったと?」
「ああ、まあそれもしくじればこの国が亡ぶ案件だったんだけれどね……まあそれは防いだらしいから良いとして、今回の件によって一般大衆の目に晒された事をいいことに、大ぴらに活動しようとする動きが世界中から現れ初めているんだよ」
「他の者達もですか!?」
「ああ、知っているだけでも米国・欧州、アジア圏にオセアニア、南米…無国籍のそこらの流れ者の【星団】も含めると数えきれない規模になるだろうね…我が国での源平、戦国、維新。そして先の大戦。【星】達が台頭する時代がまた来るってことさ…」
ヒミコの言葉に足元がぐらりと揺れたように感じた総理。
この国の歴史の転換期や混乱期にはそうであったとは先輩方から聞いている。
国の行き先も不透明な夜の時代。文字通り彼らは夜空を彩る【星】のように人々に希望を与え導いたことも知っている。
そんな時代が前触れもなく突然やってきたのだ。
それも今回は先のとは訳が違う。人類の技術の進歩による明けることが恐らく無い。
【星】と人類が混ざり合う時代へ……。
「理解ったかい?動き出した連中。そしておそらく手を結ぶであろう数々の【星団】と大国に対抗するために私等も表に出るってことだよ、由来となった愛しい我が国を守るための剣のようにね」
「「「…………」」」
「納得できるかッ!!」
卓の大勢が押し黙る中。そんな発言が飛び出る。
発言したのは先程ヒミコに無視された議員であった。
「貴様の妄言、まるで下らん!こんな子供の作り話のような内容、信じ切れるか!」
「別にアンタが信じようがなかろうがそんなのはいいんだよ、私達が表に出るのは事後報告だし、もう数日もすれば嫌でも認めないといけないんだからね」
「だったらそう確定した後に議論すればいい!議会を招集し与野党皆で話し合ってな!!」
「…………」
「それに貴様等がいくら表に出ようが、こちらがバックにつくのはこちらが決めることだ!!それに然るべき法を制定整備してから貴様等が願い出たら考えてやる!今ここの非礼を詫びて頭を下げたらな!!」
「……はあ……」
ため息をつき手を挙げるヒミコ。すると彼女の目の前に影が現れた。
黒子を思わせる身なりの『フツノミタマ』所属の【星】と思われる影。恭しい手つきでヒミコへと書面を手渡す。
短く礼を言うヒミコ。影が消えるのと同時に書面を広げる。
「時に大臣……」
「なんだね?やっと詫びる気になったのか?」
「随分と華やかな経歴を持っているみたいだね?同じ衆議院議員の父の力を借りて初出馬で当選。以後は父の後ろ盾を持って満帆な議員人生を歩み始めているじゃあないかい?」
「それが何だね?今時二世議員なんて私の他にも大勢いるだろうに…世間じゃあ世襲だのなんだの批判されているが、そんなものただの俗人どもの戯言だからな…」
「……十数年前、懇意にしてもらっている支援団体からの要望により…公共事業の斡旋を行い多額の着服金を得る」
「…ッツ!!?」
「さらに八年前、五年前に政治献金の横領。後に発覚するが、何も知らない若手議員に罪を被せる。この若手は数年後に自殺しているね…」
「何故それをッ!マスコミどもにも知られていないはずなのにッ!!?」
「それに大臣に任命された2期前より、隣国連中からの多額の裏金や根回しを受け取り…自らの権限を利用して国益を損なう愚行を強行しようとする……」
「おい答えろッ!!?」
「わかるかい?私等がちょいと力を入れりゃあこんだけのモノが手に入る……これをマスコミにでも渡しゃあ、アンタの余生をム所で過ごさせるなんて容易だろうねぇ」
「私を脅迫しようというのか?脅迫罪で逆に貴様等を刑務所に送ってやる!!」
「おいおい【星】の私等がそんな言葉でビビると思っているのかい?…それにもうこの情報はマスコミ各社に送ってある」
「なんだとッ!?」
「更に言ってしまえば、アンタ等を含めてマスコミや自衛隊、警察やインフラ等この国の要所には私等はすでに人員を送ってある。どれもこれもほぼほぼ無血開城をして私等の存在を認識してくれたよ」
「「「「ッツ!!?」」」」
「ヒミコさん。これは少々……」
「悪いね総理。今後この国が生き延びる可能性を1%でも上げる為に必要な事なんだ…」
「く…狂っているッ!?貴様のそれは実質クーデターだぞ!!?」
「知らないだろうから私がどんな【銘】を賜っているか教えてあげるよ『国狂』。この国の為なら何でもやるイカれた女って意味さ…その事をム所で後から来た奴にきちんと広めておきな」
「……貴様ァア!!」
そこで立場も忘れ椅子を蹴り倒し掴みかかる議員。
それをヒミコは手にした扇で容易くひっくり返し抑えつけた。
「ッツ!!?」
「あんまり調子に乗るなよ糞餓鬼……これまでは情けや慈悲で泳がせてやったというのがわからんのか?……人間の生活は同じ人間が守るのが務めだと思ってな……」
そこで全員に向き直る。
「アンタ等もだよ、今後は私等が後ろでずっと見ているからね…仕様も無いことや下らないことも企まずに寝ずにこの国に奉仕しな……好き勝手に金儲けや利権を貪る為に使っていたその腐った脳味噌をこの国を生き残らせ発展させるために使え……もし破ったら即座に刈り取って地獄に送ってやるから覚悟しておきな……」
氷のような冷酷さ感じさせる瞳で一同を睨むヒミコ。
押し潰されそうなその威圧感と現に目の前で裁かれる光景を見た議員達はそれが冗談ではないと確信し身を竦ませる。
「よし…ならこの会談は終わり、今から議会を招集して早速始めな!」
その号令に大きく頷く議員達。眼をつけられまいと秘書を引き連れて一目散に部屋から出て行く。
取り押さえられた議員も『フツノミタマ』の【星】に拘束され部屋から出る。
部屋にはヒミコと総理の二名だけとなった。
「………まったく……」
情けない議員の光景に思わずため息をつくヒミコ。
「……あ、あの…ヒミコさん……」
そんな彼女に問いかける総理。「なんだい?」とヒミコは応じる。
「この国は国民の方々は大丈夫なのでしょうか?…それに世界は……」
「大丈夫にさせるのがアンタの仕事だろう」
「いえそれはッ、勿論その所存です!」
「威勢がいいね。まあアンタは他の連中よりは幾分マシだろうからね…その手腕は期待しといてやるさ…総理」
「それはどうも、ありがとうございます………ところで…その………」
「おや質問には答えていなかったね…まあ世界のことなんてどうなろうと興味がないからよくわからないさ」
「……………」
「でも、この愛しき我が国は何としても守ってやるし、守れる……なんてったってこの国には私なんかを遥かに凌ぐ才覚の持ち主達が多く存在るんだからね、心配ない…」
そう言ってヒミコは笑みを浮かべたのであった。
会議室に集められたスーツを着た大人達。
後ろに秘書を控えさせながら、促された卓の席に着く。
全員が席に着くのを見た後、おずおずと司会が口を開いた。
「えー…本日はお集まりいただき誠にありがとうございます」
「そんな前置きなんぞ要らん。さっさと始めろ」
「は、はいッ!」
卓の一人からそう言われ背筋を伸ばす司会。早速スクリーンを降ろしプロジェクターで画面を映す。
出された映像。それは交差点に降ってきた肉塊とその後に現れた二名の人物の姿。
門司と晴菜が『旧支配者』の肉片と対峙した時の光景であった。
触手を出し一般人を捕獲する肉片。その触手を刀と炎で破壊し助け出す門司と晴菜。
特大の斬撃波と炎の爆撃により肉片が消失した光景でこの映像は終了する。
「これが本日午前に都内交差点にて発生した【星】と呼ばれる者達と正体不明の肉塊が相対した時の映像です」
「…………」
「【星】の二名の名前はそれぞれ長船・門司と早乙女・晴菜。互いに【銘付き】と呼ばれる【星】の中での実力者です……」
「……………」
「相対した正体不明の肉塊は提供された情報によりますと『旧支配者』と呼ばれる。旧時代に存在したカミガミの亡骸。その一部だそうです…」
「…………………」
「この相対による死傷者ですが……肉片に潰された車両内にいた方以外はほぼ無し。映像の通り触手によって取り込まれかけた方もいるようですが…長船、早乙女の両名により助け出されております」
「…ええぃ、そんなことはどうでもいいッ!我々が知りたいのはこの一連の出来事は国民に広まったのかという事だ!!」
「は…はいッ!!すでにこの出来事自体SNSで拡散されております!我々が一般人を装い火消しやマスコミ各社に口封じを打診しておりますが…あまり結果は芳しくないです……」
言いにくさから尻すぼみになった司会の言葉。
その言葉に卓のあちこちからため息と舌打ちが漏れ出る。
「全く【星】どもめ…」
そう呟く卓の一人。
国政を担うことになった時から彼等の存在は知らされていた。
自分達の生活の裏でこんな連中が好き勝手に蠢いていることに驚愕はしたが、影に存在する連中だ。とくに気にしていなかった。
それが何故今になって表に現れ出でたのか、それも自分達が勤めている時期に……。
「面倒な事にしよって…」
「あの…それでどうします?」
とそこで、卓の中では比較的若い1人がそう問いかける。
そうである。それを話しに来たのである。
何とか波風を起こさないように…自分達に火の粉が降りかからないようにしなければならない。
「以前に【星】が表に出てきたときはどうした?」
「確か…箝口令を敷き、風化するのを待ったような…今回も同じ手を使えるか…」
「あの時とは情報インフラが天と地程の差があるからな。それに今でそれは人の口に戸を立てられないだろう」
「だったらデマだ!それもチマチマしたものでなく、大々的に映画の撮影だのなんだの言って拡散させりゃあいい!!」
「予算はどうするんです?」
「予備費を出せばいい。足りなければ適当な理由をつけて増税すれば解決だ」
「全く…呆れてモノも言えないね」
とそこで話し合っていた卓の者達とは別の方向からそんな声とともにある人物が入ってくる。
入ってきた人物。それはヒミコであった。
「普段は神聖な議場で半ば居眠りしているっていうのに…手前の首に縄がかかった瞬間にそれかい。どうしようもないねアンタ達」
「なんだこの少女は?さっさと摘まみ出せ、守衛は何をやっている?」
「なッ!?何を言っているんだ君はッ!!?」
とここで卓の中心に座る程に重役でありながら話し合いで一言も喋らなかった男が叫び、卓の一人にそう叱責する。
「このお方は遥か古来より日本国を見守ってきた大母だぞ!それにこの日本国の【星】達の組織の大元だ!その物言いは何だ!?」
「…ッ!!?」
それも聞いたことがあると、上部のその言葉に卓についていた全員に動揺が走る。
「そんな小さいことにいちいち目くじらなんて立てんさ、ただイキったわがままなガキが騒いだだけさね」
「が、ガキだと……俺は今回で6期当選をはたした男だぞ!!」
「しかしね、政ごとに参加する人間がこれほどまでに劣化しているのは問題だね、どうなんだい…総理?」
「それはその…大変申し訳ございません……」
怒る男を無視し卓の中心の男にそう言ったヒミコ。
ヒミコの言葉に総理と呼ばれた卓の中心の男はまるでテストで悪い点数をとった子供のように萎縮する。
「まあいいさ…今後はこんな寝ぼけた事も出来なくなるんだから…」
「…?」
そう呟き、司会の場まで足を運んだヒミコ。全員に向き直る。
「さて、事後報告で悪いけれどね…今後私達【星団】『フツノミタマ』は【星】のことも含め存在を大々的に公表し、日本の存続に尽力する次第だよ…よろしくね」
「……は?……ちょ、ちょっと待って下さい!それはいったいどういう!?」
「言葉通りの意味さ、今まで影に潜み活動していた私達は表に表し様々な支援をするってこと…政府のバックに付いて…ね……」
「何を勝手な!?同じ【星】として、この騒動の隠蔽に協力するのが筋ではないのかね!?」
「この期に及んでまだ火消しを考えていたのかい?ほとほと呆れる連中だね…誰でも情報を手軽に発信できるこの時代にそんなこと出来るわけないだろう」
「くッ………」
「でも衆目を晒す羽目になった点はこちらも想定外さね、我が愛するこの国の実力者達に動いてもらったんだけれどね……亡骸とはいえ『旧支配者』が出てくるとは思わなかった」
「もともとは別の案件であったと?」
「ああ、まあそれもしくじればこの国が亡ぶ案件だったんだけれどね……まあそれは防いだらしいから良いとして、今回の件によって一般大衆の目に晒された事をいいことに、大ぴらに活動しようとする動きが世界中から現れ初めているんだよ」
「他の者達もですか!?」
「ああ、知っているだけでも米国・欧州、アジア圏にオセアニア、南米…無国籍のそこらの流れ者の【星団】も含めると数えきれない規模になるだろうね…我が国での源平、戦国、維新。そして先の大戦。【星】達が台頭する時代がまた来るってことさ…」
ヒミコの言葉に足元がぐらりと揺れたように感じた総理。
この国の歴史の転換期や混乱期にはそうであったとは先輩方から聞いている。
国の行き先も不透明な夜の時代。文字通り彼らは夜空を彩る【星】のように人々に希望を与え導いたことも知っている。
そんな時代が前触れもなく突然やってきたのだ。
それも今回は先のとは訳が違う。人類の技術の進歩による明けることが恐らく無い。
【星】と人類が混ざり合う時代へ……。
「理解ったかい?動き出した連中。そしておそらく手を結ぶであろう数々の【星団】と大国に対抗するために私等も表に出るってことだよ、由来となった愛しい我が国を守るための剣のようにね」
「「「…………」」」
「納得できるかッ!!」
卓の大勢が押し黙る中。そんな発言が飛び出る。
発言したのは先程ヒミコに無視された議員であった。
「貴様の妄言、まるで下らん!こんな子供の作り話のような内容、信じ切れるか!」
「別にアンタが信じようがなかろうがそんなのはいいんだよ、私達が表に出るのは事後報告だし、もう数日もすれば嫌でも認めないといけないんだからね」
「だったらそう確定した後に議論すればいい!議会を招集し与野党皆で話し合ってな!!」
「…………」
「それに貴様等がいくら表に出ようが、こちらがバックにつくのはこちらが決めることだ!!それに然るべき法を制定整備してから貴様等が願い出たら考えてやる!今ここの非礼を詫びて頭を下げたらな!!」
「……はあ……」
ため息をつき手を挙げるヒミコ。すると彼女の目の前に影が現れた。
黒子を思わせる身なりの『フツノミタマ』所属の【星】と思われる影。恭しい手つきでヒミコへと書面を手渡す。
短く礼を言うヒミコ。影が消えるのと同時に書面を広げる。
「時に大臣……」
「なんだね?やっと詫びる気になったのか?」
「随分と華やかな経歴を持っているみたいだね?同じ衆議院議員の父の力を借りて初出馬で当選。以後は父の後ろ盾を持って満帆な議員人生を歩み始めているじゃあないかい?」
「それが何だね?今時二世議員なんて私の他にも大勢いるだろうに…世間じゃあ世襲だのなんだの批判されているが、そんなものただの俗人どもの戯言だからな…」
「……十数年前、懇意にしてもらっている支援団体からの要望により…公共事業の斡旋を行い多額の着服金を得る」
「…ッツ!!?」
「さらに八年前、五年前に政治献金の横領。後に発覚するが、何も知らない若手議員に罪を被せる。この若手は数年後に自殺しているね…」
「何故それをッ!マスコミどもにも知られていないはずなのにッ!!?」
「それに大臣に任命された2期前より、隣国連中からの多額の裏金や根回しを受け取り…自らの権限を利用して国益を損なう愚行を強行しようとする……」
「おい答えろッ!!?」
「わかるかい?私等がちょいと力を入れりゃあこんだけのモノが手に入る……これをマスコミにでも渡しゃあ、アンタの余生をム所で過ごさせるなんて容易だろうねぇ」
「私を脅迫しようというのか?脅迫罪で逆に貴様等を刑務所に送ってやる!!」
「おいおい【星】の私等がそんな言葉でビビると思っているのかい?…それにもうこの情報はマスコミ各社に送ってある」
「なんだとッ!?」
「更に言ってしまえば、アンタ等を含めてマスコミや自衛隊、警察やインフラ等この国の要所には私等はすでに人員を送ってある。どれもこれもほぼほぼ無血開城をして私等の存在を認識してくれたよ」
「「「「ッツ!!?」」」」
「ヒミコさん。これは少々……」
「悪いね総理。今後この国が生き延びる可能性を1%でも上げる為に必要な事なんだ…」
「く…狂っているッ!?貴様のそれは実質クーデターだぞ!!?」
「知らないだろうから私がどんな【銘】を賜っているか教えてあげるよ『国狂』。この国の為なら何でもやるイカれた女って意味さ…その事をム所で後から来た奴にきちんと広めておきな」
「……貴様ァア!!」
そこで立場も忘れ椅子を蹴り倒し掴みかかる議員。
それをヒミコは手にした扇で容易くひっくり返し抑えつけた。
「ッツ!!?」
「あんまり調子に乗るなよ糞餓鬼……これまでは情けや慈悲で泳がせてやったというのがわからんのか?……人間の生活は同じ人間が守るのが務めだと思ってな……」
そこで全員に向き直る。
「アンタ等もだよ、今後は私等が後ろでずっと見ているからね…仕様も無いことや下らないことも企まずに寝ずにこの国に奉仕しな……好き勝手に金儲けや利権を貪る為に使っていたその腐った脳味噌をこの国を生き残らせ発展させるために使え……もし破ったら即座に刈り取って地獄に送ってやるから覚悟しておきな……」
氷のような冷酷さ感じさせる瞳で一同を睨むヒミコ。
押し潰されそうなその威圧感と現に目の前で裁かれる光景を見た議員達はそれが冗談ではないと確信し身を竦ませる。
「よし…ならこの会談は終わり、今から議会を招集して早速始めな!」
その号令に大きく頷く議員達。眼をつけられまいと秘書を引き連れて一目散に部屋から出て行く。
取り押さえられた議員も『フツノミタマ』の【星】に拘束され部屋から出る。
部屋にはヒミコと総理の二名だけとなった。
「………まったく……」
情けない議員の光景に思わずため息をつくヒミコ。
「……あ、あの…ヒミコさん……」
そんな彼女に問いかける総理。「なんだい?」とヒミコは応じる。
「この国は国民の方々は大丈夫なのでしょうか?…それに世界は……」
「大丈夫にさせるのがアンタの仕事だろう」
「いえそれはッ、勿論その所存です!」
「威勢がいいね。まあアンタは他の連中よりは幾分マシだろうからね…その手腕は期待しといてやるさ…総理」
「それはどうも、ありがとうございます………ところで…その………」
「おや質問には答えていなかったね…まあ世界のことなんてどうなろうと興味がないからよくわからないさ」
「……………」
「でも、この愛しき我が国は何としても守ってやるし、守れる……なんてったってこの国には私なんかを遥かに凌ぐ才覚の持ち主達が多く存在るんだからね、心配ない…」
そう言ってヒミコは笑みを浮かべたのであった。
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