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第二話 第二章
第二節
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「標的はあちら。元民家の廃屋内に潜伏しているとのことです」
あの後、隊員達との連携で何とか白雪をリカバリーさせた大和。
そこから案内の元、標的が潜伏している地点までたどり着いたのであった。
廃屋付近の草むらに潜伏する大和達。
ハンドサインを隊員達に出す白雪。隊員達は無言で散開した。
「逃げられないよう周囲を囲んでもらいます。彼らは【星】ではありませんが、対【星】用の訓練を行い対【星】装備で固めております。そうそう容易には突破は出来ないはずです」
隊員達の動きを見る限りあながち誇張ではないと大和は納得する。
「では突入いたします…不躾では御座いますが、大和様は屋外で待機。私が標的を撃ち漏らした時にのみ援護をお願いします」
「おう、元々そういう契約だしな……ところで、標的の情報は掴んでいるのか?」
「はい。我々『フツノミタマ』と日本政府が収集した情報を照合しますと、標的の名はメイソン。とある戦争に合衆国側で参加をした【星】で、戦争で得た殺しの快楽を忘れることが出来ず戦争後も殺人を続けていたという男です」
「へぇ、戦争に混ざっていた奴か…そいつはかなり慣れていやがるだろうな、隊員の何名かを援護に回さなくても大丈夫か?」
「はい大丈夫です。実戦の為に訓練は積んできました。遅れは取りませんッ!ヒミコ様も単独での打破を望んでいるはずです!!」
「…ああ、そうか……」
「それでは行って参りますッ!!」
そう言って意気揚々と廃屋へと向かっていく白雪。その後ろ姿を見つつ大和はエイプリルに声をかける。
「エイプリル」
「うぃ?」
「………………………………………………………」
「うぃ、わかりました師匠」
周囲に聞こえないほどの声量でエイプリルに指示を出した大和。エイプリルは大きく頷く白雪の後を追いかけた。
「ん?追いかけて来たのですかエイプリルさん」
「うぃ、師匠に言われまして…『お前も勉強の為に行け』とこと…よろしいでしょうか?」
「成長の為という事ですねッ!理解しましたッ!」
「ありがとうございます」
「ですがッ、この戦いは私の担当。手出しは無用ですよッ!」
「うぃ、師匠にも身を守るだけにしろと言われました…そのように致します」
「はいッ!ありがとう御座いますエイプリルさんッ!」
そうしているうちに白雪とエイプリルは廃屋の入り口に到着した。
「では、参りますよッ!!」
「うぃ」
庭の部分から廃屋内に侵入した白雪。エイプリルも後に続く。
侵入した廃屋内は傷んだ家財や木材が腐り崩れた天井や床で荒れ果てていた。
中と進んでいく白雪。荒れ果てていようが気にせず進む。
居間と思われる場所を抜け廊下、台所、客間と警戒しながら一つ一つ調べていく。
だが標的はどこにもいない、残るは最後の一部屋のみになった。
「せいッ!!」
最後という事もあり確実にいると踏まえ扉を砕き勢いよく入る白雪。即座に構える。
だが、そこにも誰もいなかった。
「どういうことです?」
不審に感じる白雪。先読みされ逃げられたとも思ったが、囲んでいる隊員や大和からそんな報告も無い。
「何か手掛かりは……ん?」
痕跡を得るために部屋を調べていた白雪の足元で何かが光る。
妙に気になる。
ふいに手を伸ばす白雪。
瞬間何かが首に絡まる感覚、気付くと同時に宙へと吊り上げられた。
「んぐッ、グっ!!?」
(罠ッ!?)
そう感じた時はもう遅く、宙へと吊るされる白雪。完全に動きが取れない。
そこを狙うように標的である【星】メイソンが床から飛び出してきた。
「シャァアア!!」
(不味いッ!?やられ……!!?)
首元に吸い込まれるようにして振るわれる大ぶりのナイフに思わず悟る白雪。
だが、その一撃は黒い銃士の影によって阻まれる。
「大丈夫で御座いますか!?」
飛び込んできたのはエイプリルであった。
「…ッ!?」
『行って』
一瞬ひるんだメイソンに狗を向かわせるエイプリル。振るわれるかぎ爪と牙。
それを躱したメイソン距離を取る。
白雪の間に割り込んだエイプリル。銃士の影の振るう剣によって即座に白雪は降ろされた。
「げっほ、げっほ…ありがとうございます……」
「大きな物音がして飛んできましたが…怪我がなくて良かったです」
「ちッ、余計な事をしやがって……」
邪魔が入ったことに苛立った様子を見せるメイソン。
「おい、お前!最高のタイミングで最悪の邪魔するんじゃあねぇよ!!折角殺れると思ったのにパアじゃあねぇか!!」
『そいつは価値観の相違って奴だなァ!俺たちとしては絶妙な機会だったぜ。カップリングは失敗って奴だ、まあ気を落とすんじゃあねぇよ…なぁ、将軍?』
「躾のなっていない駄犬だな…煮て喰ってやろうか?」
『アンタみたいなのが知り合いにいなくて心底助かったよ。将軍の情操教育に悪すぎるぜ』
軽口を叩く狗。そんな狗にメイソンは睨み付ける。
「収容№B1967メイソン。貴方は完全に包囲されていますッ!大人しく投降しなさい!」
「何偉そうに囀っているんだ女!そこのガキが助けに入らなきゃあ殺されていたのを忘れるほどの鳥頭なのか!?」
「……ぁぁ……ぅぅぅ、それについては耳が痛いですッ!ですが過ぎたこと!今は私が貴方に問いかけているのですメイソン!!」
横になりそうな気持ちを何とか耐え啖呵を切る白雪。
「さあ投降しなさい!すれば貴方の身柄は確保されますし黙秘権の方も用意いたしましょうッ!さぁどうしますか!?」
「身体は保証するか…はッ、甘ったれなマザコンにでも聞いていやがるのか!?誰がそんな言葉で心動くかよ!」
「説得は無意味というわけですか…なら仕方がありません…」
鼻で笑ったメイソン。白雪は静かに拳を構える。
「最後に一つ、何故他者をを快楽で殺すのですか?」
「決まっているだろ?気持ち良いからただそれだけだよ、お前らが酒や菓子、遊びや〇〇〇で発散するのと同じ、ただ俺はそれが殺しなだけだ」
「そうですか…なら尚更あなたは此処で斃さなければなりません!」
「俺もそこのクソガキで寸止めされたお楽しみ。キッチリ味合わないとなァ!」
睨み合う両者。互いに構える。
「【星団】『フツノミタマ』兼自衛隊特務星科所属、白雪」
「ヘッ、メイソン」
「参りますッ!」
そう名乗り白雪は駆け出した。
あの後、隊員達との連携で何とか白雪をリカバリーさせた大和。
そこから案内の元、標的が潜伏している地点までたどり着いたのであった。
廃屋付近の草むらに潜伏する大和達。
ハンドサインを隊員達に出す白雪。隊員達は無言で散開した。
「逃げられないよう周囲を囲んでもらいます。彼らは【星】ではありませんが、対【星】用の訓練を行い対【星】装備で固めております。そうそう容易には突破は出来ないはずです」
隊員達の動きを見る限りあながち誇張ではないと大和は納得する。
「では突入いたします…不躾では御座いますが、大和様は屋外で待機。私が標的を撃ち漏らした時にのみ援護をお願いします」
「おう、元々そういう契約だしな……ところで、標的の情報は掴んでいるのか?」
「はい。我々『フツノミタマ』と日本政府が収集した情報を照合しますと、標的の名はメイソン。とある戦争に合衆国側で参加をした【星】で、戦争で得た殺しの快楽を忘れることが出来ず戦争後も殺人を続けていたという男です」
「へぇ、戦争に混ざっていた奴か…そいつはかなり慣れていやがるだろうな、隊員の何名かを援護に回さなくても大丈夫か?」
「はい大丈夫です。実戦の為に訓練は積んできました。遅れは取りませんッ!ヒミコ様も単独での打破を望んでいるはずです!!」
「…ああ、そうか……」
「それでは行って参りますッ!!」
そう言って意気揚々と廃屋へと向かっていく白雪。その後ろ姿を見つつ大和はエイプリルに声をかける。
「エイプリル」
「うぃ?」
「………………………………………………………」
「うぃ、わかりました師匠」
周囲に聞こえないほどの声量でエイプリルに指示を出した大和。エイプリルは大きく頷く白雪の後を追いかけた。
「ん?追いかけて来たのですかエイプリルさん」
「うぃ、師匠に言われまして…『お前も勉強の為に行け』とこと…よろしいでしょうか?」
「成長の為という事ですねッ!理解しましたッ!」
「ありがとうございます」
「ですがッ、この戦いは私の担当。手出しは無用ですよッ!」
「うぃ、師匠にも身を守るだけにしろと言われました…そのように致します」
「はいッ!ありがとう御座いますエイプリルさんッ!」
そうしているうちに白雪とエイプリルは廃屋の入り口に到着した。
「では、参りますよッ!!」
「うぃ」
庭の部分から廃屋内に侵入した白雪。エイプリルも後に続く。
侵入した廃屋内は傷んだ家財や木材が腐り崩れた天井や床で荒れ果てていた。
中と進んでいく白雪。荒れ果てていようが気にせず進む。
居間と思われる場所を抜け廊下、台所、客間と警戒しながら一つ一つ調べていく。
だが標的はどこにもいない、残るは最後の一部屋のみになった。
「せいッ!!」
最後という事もあり確実にいると踏まえ扉を砕き勢いよく入る白雪。即座に構える。
だが、そこにも誰もいなかった。
「どういうことです?」
不審に感じる白雪。先読みされ逃げられたとも思ったが、囲んでいる隊員や大和からそんな報告も無い。
「何か手掛かりは……ん?」
痕跡を得るために部屋を調べていた白雪の足元で何かが光る。
妙に気になる。
ふいに手を伸ばす白雪。
瞬間何かが首に絡まる感覚、気付くと同時に宙へと吊り上げられた。
「んぐッ、グっ!!?」
(罠ッ!?)
そう感じた時はもう遅く、宙へと吊るされる白雪。完全に動きが取れない。
そこを狙うように標的である【星】メイソンが床から飛び出してきた。
「シャァアア!!」
(不味いッ!?やられ……!!?)
首元に吸い込まれるようにして振るわれる大ぶりのナイフに思わず悟る白雪。
だが、その一撃は黒い銃士の影によって阻まれる。
「大丈夫で御座いますか!?」
飛び込んできたのはエイプリルであった。
「…ッ!?」
『行って』
一瞬ひるんだメイソンに狗を向かわせるエイプリル。振るわれるかぎ爪と牙。
それを躱したメイソン距離を取る。
白雪の間に割り込んだエイプリル。銃士の影の振るう剣によって即座に白雪は降ろされた。
「げっほ、げっほ…ありがとうございます……」
「大きな物音がして飛んできましたが…怪我がなくて良かったです」
「ちッ、余計な事をしやがって……」
邪魔が入ったことに苛立った様子を見せるメイソン。
「おい、お前!最高のタイミングで最悪の邪魔するんじゃあねぇよ!!折角殺れると思ったのにパアじゃあねぇか!!」
『そいつは価値観の相違って奴だなァ!俺たちとしては絶妙な機会だったぜ。カップリングは失敗って奴だ、まあ気を落とすんじゃあねぇよ…なぁ、将軍?』
「躾のなっていない駄犬だな…煮て喰ってやろうか?」
『アンタみたいなのが知り合いにいなくて心底助かったよ。将軍の情操教育に悪すぎるぜ』
軽口を叩く狗。そんな狗にメイソンは睨み付ける。
「収容№B1967メイソン。貴方は完全に包囲されていますッ!大人しく投降しなさい!」
「何偉そうに囀っているんだ女!そこのガキが助けに入らなきゃあ殺されていたのを忘れるほどの鳥頭なのか!?」
「……ぁぁ……ぅぅぅ、それについては耳が痛いですッ!ですが過ぎたこと!今は私が貴方に問いかけているのですメイソン!!」
横になりそうな気持ちを何とか耐え啖呵を切る白雪。
「さあ投降しなさい!すれば貴方の身柄は確保されますし黙秘権の方も用意いたしましょうッ!さぁどうしますか!?」
「身体は保証するか…はッ、甘ったれなマザコンにでも聞いていやがるのか!?誰がそんな言葉で心動くかよ!」
「説得は無意味というわけですか…なら仕方がありません…」
鼻で笑ったメイソン。白雪は静かに拳を構える。
「最後に一つ、何故他者をを快楽で殺すのですか?」
「決まっているだろ?気持ち良いからただそれだけだよ、お前らが酒や菓子、遊びや〇〇〇で発散するのと同じ、ただ俺はそれが殺しなだけだ」
「そうですか…なら尚更あなたは此処で斃さなければなりません!」
「俺もそこのクソガキで寸止めされたお楽しみ。キッチリ味合わないとなァ!」
睨み合う両者。互いに構える。
「【星団】『フツノミタマ』兼自衛隊特務星科所属、白雪」
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