プライベート・スペクタル

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第二話 第四章

第二節

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断つかのように首元へと剣を振るうジャック。
その斬撃を弾き飛ばし防ぐ門司。ジャックはくるくると回転しながらも見事に着地する。
「ヒャあ!良いネぇ!!」
獲物を目の前にした肉食獣のような楽しそうな笑みを浮かべるジャック。門司を見る。
「サスガは『鬼神』ってところダ!!」
「俺を知っているのか…何者だ?」
「俺カ?俺の名はジャァアアアック!!カードのJと同じ名前だゼ!!」
「リストに載っていた名前だな…ジャック。某国某都市で【星】を含め多数の者を斬り刻んだ男か……」
「その残虐性と強さから『地獄の再来』との銘を賜った【銘付き】……ふむ、貴方が主犯格兼この襲撃の指導者といったところですか…」
「その通りだゼ!通信機越しにいる女ァ!!」
「わざわざ探す手間が省けたな……お前を斃せば多少だろうがあそこの連中も幾分かマシになるだろうな……」
「オッ!俺以外ニモ手引きしている連中がいるッテ知っているんダナ!」
「お前だけではどうにも役者不足だ……知名度的には『喜楽・氷』と大差ないだろう……居るんだろ?お前よりも強力な存在が…」
「…ヒュウ!そこまで頭も回るタァ流石『鬼神』ダゼ!手前等とやり合う為にわざわざあんな糞ミテェな場所から出て来たカイがあるッ!!」
「お前の事情は知らん…いいから答えろ…」
「ヒャァ!良いゼ良いゼ!その威圧感ッ!!俺を愉しませてくれたら教えてヤルヨォ!!」
「…良いだろう……」
静かに柄を握りしめた門司。剣気を迸らせるとジャックは更に「ヒャアッ!」と目を輝かせた。
「…【星団】『創世神』所属。『鬼神』長船・門司…」
「ヒャアッ…所属無ぇ!『地獄の再来』ジャァアアアアアアアアアック!!」

「推して参る」
「行くぜぇアア!!」
名乗りを上げ、ほぼ同時に踏み込んだ双方。一合斬り結ぶ。
「シャァア!!」
「フッ!」
高速で動きながら二合、三合と剣戟を続けていく両者。煌く白刃が交差する度に火花が爆ぜ飛ぶ。
「良いゼ良いゼ!アンタスゴく良いゼェ!!」
「お喋りだな……別に構わないがもう少し品良くしたらどうだ?」

【演目】『鬼震 小噺 二太刀 小烏丸』

【演目】を演る門司。納刀からの高速の抜刀術により全方位へ高密度の斬撃を放つ。
だがその斬撃の弾幕を躱したジャック。斬撃の隙間を縫うかのようにぬるりと斬撃の壁内に入り込む。
入り込むと同時に門司の胴を狙い剣を振るう。

【演目】『鬼震 小噺 一太刀 首提灯』

迎え撃つように演つ【演目】の斬撃。ジャックはとっさに受け止めたが、手にしていた剣は斬撃の軌跡をなぞる様にポキリと折れる。
「ダムッ!やっぱり拾いモンはこんなモノカ!!」
ぼやきつつ門司に蹴りを放つジャック。その威力を利用して距離を取る。
「剣をへし折ってやったが…さあどうする?」
「折れちまったナァ…でも問題ないゼ!すぐに用意シテヤル!!」
そう言って大きく口を開けその中に手を突っ込んだジャック。体液が逆流する生々しい音とゴキンゴキンという金属音が鳴り響く。
音が鳴り終わると同時に手を引き抜くジャック。
その手に握られていたのは二振りの剣であった。
「成程、手品師だったわけか…」
先程の折れたものより二回り程小ぶりな長さ。
だが、ジャックへの手の馴染み具合を見て門司は察する。
おそらくこちらがジャックの本来の剣なのだろうと……。
「ドウモお見苦しいのを見せたナァ!肌身離さないようこうでもシネェト落ち着かなくっていけネェ!」
「少しだけ理解出来る」
「まあサッキのは脱獄ぬけた時に地元で軽く襲った【やつ】のモノでな…大したコト無かったダロ?」
「………………」
「デモこいつなら俺もアンタも満足に楽しめると思うゼ!折れる心配なんてナイシ何より…」

【演目】『死神鎌デスサイズ MTチョッパー』

「俺の【演目】も披露デキル!」
【演目】を演ったジャック。
軽く振るっただけのような斬撃で軌道の延長線上に存在した家屋に切れ目が入りそして崩れた。
「サァ、こっからが第二ラウンドダゼ!」
そう言って門司に突っ込んでいくジャック。肉食獣の様に低い姿勢で地を這うように門司に近づく。
振るわれる斬撃。受ける門司。
だが、斬撃を完全に防いだというのに門司の肩口が斬られる。
「ッツ!?」
無知覚の斬撃に動揺を感じるが即座に押し殺し、次撃を受ける門司。
一瞬何かを感じ、その僅かな感覚を信じ半身分後ろに退く。
すると次の瞬間、門司のシャツの一部分が袈裟に斬り裂かれた。
「ヒャアッ!タッタ一撃で対応するタァ流石ダゼ!!」
「わかったぞ…お前の【演目】」

【演目】『鬼震 小噺 伍太刀 天災』

近づけさせないように極大の斬撃波を放ち仕切り直させる門司。
「おいおいオイオイッ!?折角コレカラダっていうのにそれは無いダロ!?」
「それは済まなかったな…お前の【演目】の特性。『斬撃操作』でも少々無理な部分があるか…」
『『斬撃操作』…ふむ……』

言葉通り、斬撃を自由に操作する【演目】
如何様な技法を昇華したかは睦美には察することは不能だが、それだけのただシンプルな【演目】である。
それにより門司の刀を躱すように肩口を斬り裂いたり。防いだ後の時間差で時間差で袈裟に斬ったりが可能だったのである。

「イェア!やっパリ良いゼお前!たったアレだけで俺の『死神鎌』を看破するとはナァ!!大半の連中は理解するのが上半身と下半身がオサラバする直前だっていウノニ!!」
「…………」
「ダガ、俺も理解出来たゼ!手前の『鬼震』!まさか振動にヨルものだったとはナァ!!」

門司の『鬼震』。
とある剣術流派の技法の昇華と共にあるモノを混ぜた剣技の【演目】。
そのあるモノ…それは『振動』である
【星】の筋力や身体駆動で自発的に振動を引き起こし、それに載せて刀を振るうのである。
寒さや緊張による生理現象のような軽度の震えではない。高度の工業機械のような超々高振動。
まるでチェンソーや高周波ブレードのような現象を自前で引き起こすことで門司の手にした刀剣は鉄塊すらも容易に斬る程の斬断力を有するのである。

「その恐ろしいまでの何でも斬る斬撃。ポン刀以外の何かがアルとは思ったがヨ、まさかそんなカラクリたぁ思わなかったゼ!!」
「……………………」
「ダガタネが解りゃアそこまでダゼ!そのチェンソーみたいな刃に注意すりゃア良いだけの話だからナァ!!」
「そうか……なら試してみるか?」
そう言って構えた門司。これまでの構えとは異なる刀の刀身を見せつけるような奇妙な構えである。
「『鬼震 鈴鳴すずなり』…次できっちりと終らせてやる。覚悟しておけ……」
そう言い放った門司。すると刀身から鈴の音のような音が聞こえ始めた。
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