プライベート・スペクタル

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第二話 第四章

第一節

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「チェルシーッ!」
「晴菜様。ご苦労様ですぅ」
チェルシーが白雪達と合流して数分後、一番離れていた晴菜がようやくやって来た。
「『郷』を強襲されたようね」
「その通りのようですぅ」
「今現在の様子はどうなの?」
『ふむ、只今『創世神』からは門司にエイプリル達待機組が…『フツノミタマ』からは戦闘可能な【星】達が一丸となって迎撃に当たっております。もしもの時にと戦力を分散させたのが功を奏したようですね』
「そう」
無防備でなく取り敢えずは一安心の晴菜達。だが出来るだけ早くいかなければならない事に違いはなかった。
「まさか…連中が『郷』を強襲するとは…ッ!」
歯痒そうな表情をする信楽。
「しかし、どうやって収容所から『領域』である『郷』まで繋げることが出来たのでしょうか?この場所からは特例的に如何なる『領域』にも繋げる事が難しく、仮に何らかの手段をもって繋げたとしても『無間回廊』を経由している時点で包囲網に引っかかるはず…それ故に我々もわざわざヘリによる空路を取らざるを得なかったと言いますのに……」
『ふむ、それについては白雪さん。我々は近しい事例を知っているのではないでしょうか?』
「……あっ、合衆国での大量脱獄!確かアレはッ!」
『そう一瞬で収容所外にいましたね、我々『創世神』が求める【星具】『無にして全』によって…』
「成程ね、少なくないとはいえこの収容所にいる連中をとある『領域』に送るぐらいは容易いって事ね」
『そういう事です』
「でしたら、早く『郷』に戻らないと…ッ」
「ええそうね、ここでの鎮圧は済んだし戦力は多いに越したことがないのは確かだしね」
「ここの主犯格2名の方は私が何とか致しますぅ。もし暴れた場合の保険…先の戦場では多数に向いている晴菜様が向かわれた方が適任ですからねぇ」
「それはやむを得ない…か……と思っていたところだけれど、どうやら少し厄介な事になりそうね」
そう言って入り口側の方向に振り向く晴菜。
そこには多数の者達がいた。
いったい何処に隠れていたのか…かなりの数である。全員収容者服を身に着けていることから此処の収容者であり、拾ったのかあり合わせの材料で作り上げたのか粗雑な武器を持っている者もいた。
「最深部である収容所最下層から何故?と思っていたけれど、こういう事だったのね…」
おそらく物量と場所による時間稼ぎ。
納得した晴菜。
その直後、一斉に敵が殺到した。

『たった今、おそらく時間稼ぎでしょう。晴菜達の元に収容者の一団が襲撃…』
「………………………」
『敗れることは無いでしょうが当面はこちらへの援護には難しい状況でしょうね』
「……………………」
『聞こえていますか一号?』
「今忙しいんだ…返事が難しいことぐらい察しろ鉄面皮」
場所が変わり『フツノミタマ』拠点『領域』『郷』内。
睦美の通信にそう返しながら門司は目の前の敵三名。瞬時に斬り伏せた。
「しかしそうか…連中も考えたな」
刀を肩に担ぎ周囲の様子を見ながら呟いた門司。
視線の先、『郷』外縁部からは爆発が起こり土煙が舞い上がる。
更には剣戟音や銃声も断続的に鳴り響いていた。
「まさか収容者の連中がこれほど大規模に徒党を組んで襲うなんて、頭から完全に外していたな…」
我の強さにより、収容所に叩き込まれた者達である。数名程度なら利害関係で組むだろうが、大規模となれば交錯する利害から難しい。だからこそ誰しもがこの単純で強力なこの案を思い浮かべはしたが頭からは除いて考えていたのだ。
「脱獄後の自由とか…全員が魅力的な何かを餌に釣られたのか?……いやそんな単純な事で組まれるなら最初から考慮に入れているか…」
『ふむ、案外ですが…脱獄を手引きした合衆国の【星】連中。その中に『喜楽・氷』や従者に並ぶかそれに匹敵する強力な【銘付き】が存在して、それへの恐怖心から従っているとか…』
「否定は出来ないな……だが利害であれ恐怖であれ、連中が何かに従っているのは自明の理だろう……であればやることは一つ…エイプリルやミコ達。それに『フツノミタマ』の面々が戦線を維持しているその隙に俺が敵の指導者クラスの存在を斃す…そいつがいなくなれば連中も烏合の衆となるだろう」
『ふむ、確かに戦闘力だけは高い貴方にうってつけの案ですね……一号にしては妥当と褒めてあげましょう』
「…そんな有難味のない世辞は要らん……良いからそいつだろうと思う存在を探せ…」
睦美と皮肉を叩きつけあいつつ、外縁部に向けて駆けだした門司。
だがすぐに足を止めた。
『どうしたんです?』
「……静かに…」
気配を感じた門司。その気配は剣を嗜むものが持つ剣気であると悟る。
刀の柄に手を置いた。
その次の瞬間…。
「シャアアアアアアアアアアア!!」
建物の隙間から這い出るように飛び出したのはジャックであった。
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