プライベート・スペクタル

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第二話 第四章

第八節

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『え?』
目の前の光景に思わず困惑の声を上げる睦美。
ダイヤは不敵そうな表情で鎚を肩へと担ぐ。
「びっくりしたかい?通信機越しの嬢ちゃん」
『え、ええそうですね…今のは【演目】なのでしょうか?』
「ああそうさ。コレが俺の【演目】『正義への疑問符ペンタゴン・ノッカー』!」
鎚を掲げるダイヤ。鎚の先端にはエネルギーのようなオーラのような不定形の物体が覆っていた。
「コイツは俺の持つ一対の鎚そこから生み出される運動エネルギーを操る【演目】さ…エネルギーは貯めることが出来きるだけでなく、いろいろな形で解き放つことが出来る。例えば…」
鎚を振るい先端に貯まったエネルギーを飛ばすダイヤ。エネルギーの塊は空中に漂う。
その塊に飛んだダイヤ。エネルギーは足場の様にダイヤの踏み台となる。
「こんな風に物理強度を持たせてやったり…」
飛び跳ねていき大和の元まで戻ったダイヤ。
今度は指を鳴らすと滞空していた塊は発火や爆発したりする。
「別のモノに変換してやったりも出来る。そして…」
今度は鎚同士を叩き合わせるダイヤ。
先程と同じ音である「ゴィン」という音が響くと空間部分に若干のひびが入った。
『ふむ、逃げ場を失ったエネルギーが空間を突き破るワームホールのような原理ですか…中々に色々な応用が利く【演目】のようですね……先程の馬鹿と一緒に降り立ったのもこの【演目】を用いたというところでしょうか』
「ああ、個人的にはもっと早く奴に解禁してやりたかったが、今の奴の【演目】は知っていたからな…一発かますのに絶好だと伏せていたわけだ」
「成程なぁ、道理でカードを切らない筈だ。こいつがお前のウルトラCって奴か?」
「ああそうさ、って言いたいところだが…コイツはまだ4割程度ってところ、まだまだ隠しダネはあるぜ」
やり取り間に陥没していた大地も徐々にせり上がってくる。アトラスも共に上って来た。
「………………」
串刺しという事もあり全身至る所に穴が見えるアトラス。しかし、生来の耐久力によるものか、穴はほぼ塞がっており止血も施されている。
ただ明らかに消耗はしていた。
「さあこっから本番だ呉成。ここまでのダメージは奴も久しぶりな筈、きっちり仕留めに行くぜ」
「ああ」
ZUN♪ZUN♪ZUN♪ZUN♪
「タイミングは手前に合わせる。気にせずぶちかましていけ」
「任せたぜ」
頷く大和。アトラスの側も仕切り直すようにリズムを刻み始め踊りを再開する。
ボルテージは先程に戻りつつあった。
同時に動いた双方。
共に駆けだす大和とダイヤ。同時にダイヤはエネルギーを充填させるために鎚の柄に付けられている飾り布を握りしめる形で振り回し始める。
一方ボルテージが元に戻ったアトラス。牽制で土の矢を放つ。
事も無げに躱し弾いていく大和とダイヤ。互いに拳の届く距離まで肉薄した。
「オラァ!」
打撃を叩き込む大和。ダイヤも隙を縫う形で鎚を振り下ろす。
だがアトラスはそのどちらも防いだ。

【演目】『正義への疑問符 ショック・ジャンキー』

「ッ!?」
否、防げていなかった。
演われたダイヤの【演目】。穂先のエネルギーを電気へと変換したのである。
落雷のような電撃にアトラスは思わず硬直させる。

【演目】『龍桜 桜花連撃 百花繚乱』

連動する様に【演目】を演う大和。出来上がった隙へ打撃の連打を叩き込む。
アトラスからの反撃もあったが。逆に受け止め腕をがっちり固定し動きを止めた。
そこに鎚を顔面に打ち付けるダイヤ。こちらは残る片手で止められたが、同時に真逆からの鎚の投擲は直撃した。
「面倒だ」
鬱陶しそうに足踏みにより大地を波立たせたアトラス。土の波を槍や鞭の形状に変えて大和達に差し向ける。
それを躱す躱す躱していく大和達。同時にダイヤはエネルギー塊を飛ばす。
速度は無い為土の壁で防ごうとするアトラス。だが液体の様にエネルギーは壁をぬるりと透過する。
そのままアトラスの顔に張り付いた。

【演目】『正義への疑問符 テイスティ・スイーティ』

そのまま爆発したエネルギー塊。アトラスは思わず仰け反る。
「チャンスだ!やっちまえ呉成!!」
「ダラっしゃぁああい!!」

【演目】『龍桜 誅魔豪拳 春雷』

無防備となったアトラスの土手腹に拳を叩き込む大和。アトラスは血を吐いた。
(ああ面倒だ……面倒…?)
とそこでこれまでとは異なる感覚がアトラスの脳内に駆け巡る。
(なんだコレは?……嗚呼そうか……)
巡った感覚ものに最初は首を捻ったが、すぐに理解したアトラス。
攻撃を受け続けてのこれとは自分も中々趣味が悪いと自嘲する。
(こういう感覚だったな……)
だがそれでも良い。
何故なら得られなくなって幾星霜。ようやく求めていたモノだったからだ。
(ようやくだ…もう俺の腹は腹は空っぽ…餓死寸前だった)
「もっと…もっと闘争の愉悦をッ!もっと俺を楽しませて見せろ!!」
久方ぶりに得る事の出来た。戦いの楽しみ。ひりつくような愛するその感覚。
退屈や面倒を吹き飛ばされるほどの充実感にアトラスは笑っていた。
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