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本編
518 ダメ出し
「ふむふむ……手のひらからじんわり回復を促し、同時にリラックス効果も生み出す剣か……」
「ど、どうでしょうか!」
椅子に座ってノートをじっと見つめるオスロー。
ライデンからは確かな緊張が伝わって来た。
「た、鍛錬後に、しっかり勉強できたら良いなと思って考えました!」
「うむ、なかなか良い着想だ」
お、良い食いつきである。
「試作したものがあれば、それも見て見たい」
「あ……そ、それはその……」
「あるぞライデン。俺が用意しておいた」
「えっ!」
レシピに登録されてから、ちょろっと作って見たのである。
幸い材料は手持ちにあったから、興味本位でな。
試作品を見せてもらいたいのならば、見せたほうが良い。
そうすることで、オスローは逆算的に足りない箇所に気がつくのだ。
「随分とライデンくんに肩入れしているね、君」
「まあ、学院を卒業したらうちの研究所に就職確定だからな、今日は職場体験がてら連れて来た」
「ふむ、一応言っておくが……今は私たちが敵との商戦真っ只中だってことを忘れていたりは?」
「その辺は大丈夫」
じろりと見上げる視線に、そう返しておく。
商戦真っ只中だと言っても、フィナーレももう直ぐそこだ。
帰ってきた時は、思ったよりC.Bファクトリーからの圧が強く。
マイヤーがボロボロになるまでプレゼンを頑張っても。
中々商品を扱ってくれる商会が見つからなかったのだが、もう解決した。
ギリスでのコネクションは、都合いい人がいるだろう?
そう、デリカシ辺境伯のことだ。
あの人は自分で店も経営しているから許可が取りやすい。
ネックだった、国内の商会でやるってことも。
デリカシの後ろ盾があればスタートを切り出すことができるだろう。
国を挙げて魔導機器を作っちゃいるが、やっぱり外にはしっかりラインを引いている。
国外商会が、国内にある商会を通さないで販売しちゃったりするのはダメなのだ。
その許可を取るために、マイヤーははるばるギリスの学院へと来ているわけだしね。
「水面下での準備はみんな頑張ってくれてるから、スタートできたら爆速だよ」
人目を引くものは何と言っても飛行船または飛空船だろう。
とりあえず名称が二つあるのもややこしいので。
オスローのおじいさんが計画していた飛行船を更に改良させたものとして、これからは飛空船と呼ぶぞ。
気嚢タイプではなく、浮遊結晶という新要素を用いて浮かぶのだから、まるっきり別物だしな。
「えっと……その……」
「おっと、置いてけぼりにしてすまない後輩くん」
オスローは俺から受け取った【安堵の治癒刀・下級】を振って見ながら言う。
「確かに、手からじんわり回復効果が発揮されている。それに、なんとも爽快な香りがして良いものだ」
「ほんまや、なんかええ香りするなっておもたけど、ほんまにその剣から出とるんや?」
俺も作った時、試しに振って見たけど。
これが本当にHPがじわじわ回復して、いい香りが出る。
聖水も使われて異常状態もじんわり回復して、まさに健康グッズみたいだった。
なんか、マイナスイオンが出ますよ的な感じかな?
よくセールスマンが売りに来るマイナスイオン的な奴は、本当かどうかわからない。
だが、この【安堵の治癒刀・下級】はガチでいい感じになるのだ。
「あたしも振って見たいし!」
「ジュノー、サイズが合わないだろう?」
「あ、俺が作ったもんだから、サイズ調整機能は標準搭載だぞ」
「む……軽く言ってのけるが、防具と違って武器のそれはかなり高度なエンチャントであるのだが? 相変わらずトウジは規格外と言うか……まったく……」
刀をもらって「わーい」と振り回すジュノーを尻目に、オスローは言う。
「ライデンくん」
「は、はい!」
「このアイデアを浮かんだ時、普通に鍛錬が終わった後にポーションを飲み、そして香を焚いて他のことをやればいいとは思わなかったのだろうか?」
「あ……」
まあ、オスローの言葉もわかる。
これをあえて一緒くたにする必要はないんだよな、実際。
でも、ライデンが頑張って閃いたんだから言わないであげてー!
「確かにそうなんですけど……」
「そして良い匂いがするこの機能ははっきり言って無駄だろう。いい匂いがするのは、時として集中力を妨げてしまう要因になりかねない。というか、手に匂いがついて取れないのが糞だ」
「は、はい……」
……それは俺のアイデアだ。
やばい、俺のアイデアでライデンが怒られてる感じになってる。
ごめんよライデン、マジで!
「ごめん、良い香りにしろって言ったのは俺だ……俺が助言した案ね……」
「ふむ、だったらトウジが責任を取るべきだな」
「え、責任って……」
そこまでのことかね?
「今晩説教するから、後で私の部屋を尋ねるように」
「お、おう……」
「返事ははい」
「はい」
何を言われるんだろう、超怖い。
なんか先生に怒られてる気分になっちゃった。
「でも、あながち悪いアイデアではないわよ?」
ライデンと二人で縮こまっているとイグニールが優しくフォローしてくれる。
「戦ってる最中って、ポーション飲む暇なんてないし、体力が落ちたら隙をつかれて命取りよ。これである種、継続的な戦闘ができるようになれば、それだけで十分ってくらいの代物よ。匂いの方は本当にいらないけどね?」
匂いがいいんだろうが、匂いが!
やば、汗臭くなっちゃう、でもこの刀があれば大丈夫!
みたいなね?
そんな乙女チックな冒険者なんていねーか。
「一理ある。鍛錬の疲れを軽減させ、リラックスさせる……これは刃を取って軍に鍛錬用のものとして卸しても良い結果を得るはずだ。これをさらに発展させるとするならば……そうだな、体の凝りをほぐす魔導椅子にこの機能を付け加えれば売れること間違いなしだろう」
「マッサージチェアーか」
この世界にも、マッサージチェアーはある。
体をモミモミして快感を得るのは、どの世界も共通なのだ。
「それならば、揉まれるだけの快感ではなく、しっかりと体力や疲労も回復できて、アイデアを活かせると感じた。いちいち部屋に香を焚くのも面倒だから、ボタン一つでいい香りが出れば、トウジの考えた糞にも劣る案を取り入れることができると思う」
もう匂いの話はいいです。
俺が悪かったから……。
「あ、せやったらええ香りじゃなくて、消臭にしたらええんちゃう?」
「良いアイデアだマイヤー、だが何を用いる?」
「んー、炭とかええんちゃう? うちでも炭の消臭剤を扱っとるで」
「だが、炭では消臭にも限度があるだろう。そういう訳でトウジ」
「な、なに?」
いきなり話を振られたが。
「ライデンくんの理想的な剣を作るには、消臭草と呼ばれる臭い消しの薬草が必要となる。取ってきてくれるかな?」
「ええ……」
少し嫌な予感がしたのだけど、的中した。
なんか素材の話になるといつもこう。
取って来るって話になってしまうのだ。
まあしかし。
消臭草とか言うふざけた名前の草はまだ持ってない。
だから取りに行くのは吝かでもないだが……。
「学院の依頼があるから、今すぐに遠出は無理だよ」
「ふむ……だったら取り寄せよう」
「そうしてくれ」
手が空いているイグニールを行かせる、なんて方法は取らない。
彼女がマイヤーたちと居てくれる。
手伝って研究所に顔を出してくれるだけで、護衛役として心強いからだ。
付け狙って来るデプリのアホもいる。
C.Bファクトリーだって、何もしてこないとは限らないのだ。
「あ、あの……なんだか話が大きくなり過ぎている気が……」
「心配いらないぞライデンくん。トウジが見込んで連れてきた君のアイデアだ。どんな小さなアイデアであっても、突き詰めればそれはとてもすごいものになることを私が教えてあげよう」
「は、はあ……」
頼り甲斐のあるセリフなのだが、そんな話になるとは思ってもみなかったライデンは困る。
俺だってそうだ。
良い匂いはいらないだのなんだの言われて、何この流れ。
「儲け話やったら得意やで?」
そこへ、マイヤーが混ざる。
「思ったんやけど、暖房とか送風機とか、全ての魔道具にそんな感じの仕様を搭載してみいへん? こちとら一手間かけて良いもん作ってまっせ、って感じで既存の商品パクってカスタマイズして売って行くほうが、コストパフォーマンス的にもめちゃくちゃええやん? もともとこの研究所って修理ばっかりやったろ?」
「確かに一理ある。だったら廃品回収を大々的に行い、型落ちの魔導機器をたくさん集めて、パパにフルカスタムしてもらい、そのまま見た目を作り変えて出せば、良い結果を生むかもしれない。この剣を見た感じ、効果はすごくしっかりしているのだから」
「せやろ? もしもの時のために金もあんまりつこうてられへんし、うまい感じになんかできへんか考えて見るわ! いらんもんかき集めてそっから一個でっち上げるのもええしな! それでも余ったゴミはトウジがもらってくれるやろ?」
「え? ま、まあ……貰うけど」
分解したら素材になるからね。
分解機のあるダンジョン部屋に放置しとけば勝手に。
ちなみに、あの分解機はマイヤーも知っている。
ゴミが出たら、まとめてそこに捨てなさいって教育をしているからだ。
「えっと……僕はこの刀のノートのアドバイスをしてもらいに来たはずじゃ……?」
「もう十分アドバイスしただろう?」
立ち上がったオスローはライデンに言う。
「君のアイデアは言わば灯台の根元の様なアイデアだ。この感性は大事にしておいたほうが良い。私が何かを言うよりも、私が行うことを見て、自分で考えて学びなさい」
「は、はい! 勉強させていただきます!」
「うむ。君は魔導機器を開発する上で大切なものをすでに持っている。正直、それがあれば、後はより多くを知り、自分の中に知識を蓄積させていくだけで、点と点は自然と繋がり君だけの新たな発展を遂げるはずだ」
「はい! ……はい!」
天才と呼ばれる先輩からの言葉に、ライデンは少し涙をこらえながら返事をした。
まったく、オスローもたまには良いこと言うんだな。
自分本位なやつかと思っていたけど。
心の底では優しいやつなんだよ、モフモフ好きだし。
「さて、つもる話はそろそろ切り上げて、実験場へ行こう。今日は人類の空へと向かう第一歩となる日なんだからな」
「ど、どうでしょうか!」
椅子に座ってノートをじっと見つめるオスロー。
ライデンからは確かな緊張が伝わって来た。
「た、鍛錬後に、しっかり勉強できたら良いなと思って考えました!」
「うむ、なかなか良い着想だ」
お、良い食いつきである。
「試作したものがあれば、それも見て見たい」
「あ……そ、それはその……」
「あるぞライデン。俺が用意しておいた」
「えっ!」
レシピに登録されてから、ちょろっと作って見たのである。
幸い材料は手持ちにあったから、興味本位でな。
試作品を見せてもらいたいのならば、見せたほうが良い。
そうすることで、オスローは逆算的に足りない箇所に気がつくのだ。
「随分とライデンくんに肩入れしているね、君」
「まあ、学院を卒業したらうちの研究所に就職確定だからな、今日は職場体験がてら連れて来た」
「ふむ、一応言っておくが……今は私たちが敵との商戦真っ只中だってことを忘れていたりは?」
「その辺は大丈夫」
じろりと見上げる視線に、そう返しておく。
商戦真っ只中だと言っても、フィナーレももう直ぐそこだ。
帰ってきた時は、思ったよりC.Bファクトリーからの圧が強く。
マイヤーがボロボロになるまでプレゼンを頑張っても。
中々商品を扱ってくれる商会が見つからなかったのだが、もう解決した。
ギリスでのコネクションは、都合いい人がいるだろう?
そう、デリカシ辺境伯のことだ。
あの人は自分で店も経営しているから許可が取りやすい。
ネックだった、国内の商会でやるってことも。
デリカシの後ろ盾があればスタートを切り出すことができるだろう。
国を挙げて魔導機器を作っちゃいるが、やっぱり外にはしっかりラインを引いている。
国外商会が、国内にある商会を通さないで販売しちゃったりするのはダメなのだ。
その許可を取るために、マイヤーははるばるギリスの学院へと来ているわけだしね。
「水面下での準備はみんな頑張ってくれてるから、スタートできたら爆速だよ」
人目を引くものは何と言っても飛行船または飛空船だろう。
とりあえず名称が二つあるのもややこしいので。
オスローのおじいさんが計画していた飛行船を更に改良させたものとして、これからは飛空船と呼ぶぞ。
気嚢タイプではなく、浮遊結晶という新要素を用いて浮かぶのだから、まるっきり別物だしな。
「えっと……その……」
「おっと、置いてけぼりにしてすまない後輩くん」
オスローは俺から受け取った【安堵の治癒刀・下級】を振って見ながら言う。
「確かに、手からじんわり回復効果が発揮されている。それに、なんとも爽快な香りがして良いものだ」
「ほんまや、なんかええ香りするなっておもたけど、ほんまにその剣から出とるんや?」
俺も作った時、試しに振って見たけど。
これが本当にHPがじわじわ回復して、いい香りが出る。
聖水も使われて異常状態もじんわり回復して、まさに健康グッズみたいだった。
なんか、マイナスイオンが出ますよ的な感じかな?
よくセールスマンが売りに来るマイナスイオン的な奴は、本当かどうかわからない。
だが、この【安堵の治癒刀・下級】はガチでいい感じになるのだ。
「あたしも振って見たいし!」
「ジュノー、サイズが合わないだろう?」
「あ、俺が作ったもんだから、サイズ調整機能は標準搭載だぞ」
「む……軽く言ってのけるが、防具と違って武器のそれはかなり高度なエンチャントであるのだが? 相変わらずトウジは規格外と言うか……まったく……」
刀をもらって「わーい」と振り回すジュノーを尻目に、オスローは言う。
「ライデンくん」
「は、はい!」
「このアイデアを浮かんだ時、普通に鍛錬が終わった後にポーションを飲み、そして香を焚いて他のことをやればいいとは思わなかったのだろうか?」
「あ……」
まあ、オスローの言葉もわかる。
これをあえて一緒くたにする必要はないんだよな、実際。
でも、ライデンが頑張って閃いたんだから言わないであげてー!
「確かにそうなんですけど……」
「そして良い匂いがするこの機能ははっきり言って無駄だろう。いい匂いがするのは、時として集中力を妨げてしまう要因になりかねない。というか、手に匂いがついて取れないのが糞だ」
「は、はい……」
……それは俺のアイデアだ。
やばい、俺のアイデアでライデンが怒られてる感じになってる。
ごめんよライデン、マジで!
「ごめん、良い香りにしろって言ったのは俺だ……俺が助言した案ね……」
「ふむ、だったらトウジが責任を取るべきだな」
「え、責任って……」
そこまでのことかね?
「今晩説教するから、後で私の部屋を尋ねるように」
「お、おう……」
「返事ははい」
「はい」
何を言われるんだろう、超怖い。
なんか先生に怒られてる気分になっちゃった。
「でも、あながち悪いアイデアではないわよ?」
ライデンと二人で縮こまっているとイグニールが優しくフォローしてくれる。
「戦ってる最中って、ポーション飲む暇なんてないし、体力が落ちたら隙をつかれて命取りよ。これである種、継続的な戦闘ができるようになれば、それだけで十分ってくらいの代物よ。匂いの方は本当にいらないけどね?」
匂いがいいんだろうが、匂いが!
やば、汗臭くなっちゃう、でもこの刀があれば大丈夫!
みたいなね?
そんな乙女チックな冒険者なんていねーか。
「一理ある。鍛錬の疲れを軽減させ、リラックスさせる……これは刃を取って軍に鍛錬用のものとして卸しても良い結果を得るはずだ。これをさらに発展させるとするならば……そうだな、体の凝りをほぐす魔導椅子にこの機能を付け加えれば売れること間違いなしだろう」
「マッサージチェアーか」
この世界にも、マッサージチェアーはある。
体をモミモミして快感を得るのは、どの世界も共通なのだ。
「それならば、揉まれるだけの快感ではなく、しっかりと体力や疲労も回復できて、アイデアを活かせると感じた。いちいち部屋に香を焚くのも面倒だから、ボタン一つでいい香りが出れば、トウジの考えた糞にも劣る案を取り入れることができると思う」
もう匂いの話はいいです。
俺が悪かったから……。
「あ、せやったらええ香りじゃなくて、消臭にしたらええんちゃう?」
「良いアイデアだマイヤー、だが何を用いる?」
「んー、炭とかええんちゃう? うちでも炭の消臭剤を扱っとるで」
「だが、炭では消臭にも限度があるだろう。そういう訳でトウジ」
「な、なに?」
いきなり話を振られたが。
「ライデンくんの理想的な剣を作るには、消臭草と呼ばれる臭い消しの薬草が必要となる。取ってきてくれるかな?」
「ええ……」
少し嫌な予感がしたのだけど、的中した。
なんか素材の話になるといつもこう。
取って来るって話になってしまうのだ。
まあしかし。
消臭草とか言うふざけた名前の草はまだ持ってない。
だから取りに行くのは吝かでもないだが……。
「学院の依頼があるから、今すぐに遠出は無理だよ」
「ふむ……だったら取り寄せよう」
「そうしてくれ」
手が空いているイグニールを行かせる、なんて方法は取らない。
彼女がマイヤーたちと居てくれる。
手伝って研究所に顔を出してくれるだけで、護衛役として心強いからだ。
付け狙って来るデプリのアホもいる。
C.Bファクトリーだって、何もしてこないとは限らないのだ。
「あ、あの……なんだか話が大きくなり過ぎている気が……」
「心配いらないぞライデンくん。トウジが見込んで連れてきた君のアイデアだ。どんな小さなアイデアであっても、突き詰めればそれはとてもすごいものになることを私が教えてあげよう」
「は、はあ……」
頼り甲斐のあるセリフなのだが、そんな話になるとは思ってもみなかったライデンは困る。
俺だってそうだ。
良い匂いはいらないだのなんだの言われて、何この流れ。
「儲け話やったら得意やで?」
そこへ、マイヤーが混ざる。
「思ったんやけど、暖房とか送風機とか、全ての魔道具にそんな感じの仕様を搭載してみいへん? こちとら一手間かけて良いもん作ってまっせ、って感じで既存の商品パクってカスタマイズして売って行くほうが、コストパフォーマンス的にもめちゃくちゃええやん? もともとこの研究所って修理ばっかりやったろ?」
「確かに一理ある。だったら廃品回収を大々的に行い、型落ちの魔導機器をたくさん集めて、パパにフルカスタムしてもらい、そのまま見た目を作り変えて出せば、良い結果を生むかもしれない。この剣を見た感じ、効果はすごくしっかりしているのだから」
「せやろ? もしもの時のために金もあんまりつこうてられへんし、うまい感じになんかできへんか考えて見るわ! いらんもんかき集めてそっから一個でっち上げるのもええしな! それでも余ったゴミはトウジがもらってくれるやろ?」
「え? ま、まあ……貰うけど」
分解したら素材になるからね。
分解機のあるダンジョン部屋に放置しとけば勝手に。
ちなみに、あの分解機はマイヤーも知っている。
ゴミが出たら、まとめてそこに捨てなさいって教育をしているからだ。
「えっと……僕はこの刀のノートのアドバイスをしてもらいに来たはずじゃ……?」
「もう十分アドバイスしただろう?」
立ち上がったオスローはライデンに言う。
「君のアイデアは言わば灯台の根元の様なアイデアだ。この感性は大事にしておいたほうが良い。私が何かを言うよりも、私が行うことを見て、自分で考えて学びなさい」
「は、はい! 勉強させていただきます!」
「うむ。君は魔導機器を開発する上で大切なものをすでに持っている。正直、それがあれば、後はより多くを知り、自分の中に知識を蓄積させていくだけで、点と点は自然と繋がり君だけの新たな発展を遂げるはずだ」
「はい! ……はい!」
天才と呼ばれる先輩からの言葉に、ライデンは少し涙をこらえながら返事をした。
まったく、オスローもたまには良いこと言うんだな。
自分本位なやつかと思っていたけど。
心の底では優しいやつなんだよ、モフモフ好きだし。
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