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本編
548 エルカリノ討伐戦・2 戦力減らしと海上歩行作戦
「さーてと……一応聞くけど、貴方に作戦はあるのかにゃーん?」
大海原を大船団にて航海中、カリプソがそう言う。
「そうっすね、先に俺の戦力について告げておきます」
「戦力? ロック鳥? それとも超強いスライム?」
「いえ、ロック鳥は船崩しのために出しますけど、違いますよ」
そう言葉を返しつつ、俺は海にワルプ、ビリー、ブニーを召喚した。
ワシタカくん並みのサイズ感を持つ、海の超巨大戦力たちである。
今は一緒に戦う仲間なのだから、ここで出し惜しみして隠しておく利点はない。
「うおおお、す、すげぇ……」
「海地獄に、クラーケンまで……あとあれは……なんだ?」
「ビリーはサンダーソールというサンダーイールの特殊個体です」
雷神の名を冠する、北の湖の伝説的存在の魔物だった。
個体の戦力はワルプ以上、ブニー以上。
あの雷撃は本当に死を覚悟する、そんな一撃だったよなあ……。
「へー、北の化け物も従魔にしてるなんて、ちょっと驚いちゃったかもー」
船を囲む3体を見て、関心するカリプソ。
「あと切り札にスライム軍勢もいます」
「ああ、話に聞いていたあのスライム軍団ね? それは出しておかないのかしらー?」
「強力過ぎて、召喚自体は一度に3体まで限度なので」
スロット3枠の制限がある、とは言えないのでそういうことにしておく。
強力的過ぎて、3体以上の同時召喚は無理だっていう体裁だ。
「大船長、あ、いや代表」
「今は大船長でも良いわよー? この時だけ海賊行為するんだしー?」
「ハッ、では大船長」
カリプソの側近である男装の女性が言う。
「3体だけだとしても、彼の戦力はSランク上位に相当します」
「甘いわね、上位ではなく超位よ?」
「大船長、超位……とは?」
「この世に何人もいないSランクの壁をさらに一つ突破した存在ねー」
そんな存在があるのか。
てっきりSランクまでだと思っていた。
そもそも、俺は未だにSランクと出会っていない。
それなりの月日をギルドで過ごしていると言うのに、だ。
いったいどこで何をしているのかSランク。
まだ見ぬ厄災と戦っているのかSランク。
何にせよ。
とんでもなさそうな輩だろうし、関わり合いたくないものだ。
「ランクの話はさておいて、とりあえず作戦会議と行くのでは?」
「そーね、ランクの話は後でもいいわねー」
話を戻す。
俺の戦力を出したのだから、そちらも何か出して欲しいとは思う。
しかしながら、ここにいる連中で全戦力だろう。
聞いていたエルカリノ全軍を相手にする際、心もとないよな……。
「俺が従魔と戦ってる最中、囲まれたら面倒なので後方待機しておいてください」
「それは我々は邪魔だ、と言いたいのですか?」
俺の言い方に食ってかかる男装の女性。
「控えめに言って邪魔です。ワルプの発生させる渦潮に巻き込まれでもしたら、面倒ですし」
「全然控えめじゃないんですけどー?」
本気になったビリーの雷撃だって、実際は敵味方関係なく周りに影響を及ぼす。
ガン盛りしたVITとか、属性耐性によって、俺でもギリギリ耐え切れるレベルなのだ。
クラーケンのブニーがこのメンツで戦うと少し厳しい立場ですらある。
特殊効果がこっちが気持ちよくなるヤバめのアレ系だから、正直あまり使いたくないのだけど。
巨体と足を利用した攻撃は船を落とすのに都合いいんだよな……。
そうだ、カリプソと男装女性をグループに突っ込んでみるか?
どうなるか見ものだよね?
「でも輸送は私たちよー? 近づかなきゃ戦いにはならないわねー?」
「心配無用です。水上を歩行できる靴があるんで」
性能は俺の主力装備に劣るが、装備としての能力は高い。
一人で海のうねりに紛れて船に取り付き、内部を破壊するのも可能となるのだ。
「そんな訳で、一人で船に取り付いて各個撃破。これが俺の作戦ですね」
「情報の580隻相手にそんな大胆な作戦をよく思いつくわね……」
「まあ、相手の数が多い分、正面からまともにやり合うつもりは毛頭ないので」
裏をかく、と言えば良いのだろうか?
まあ、一人で向かってくるなんて敵は思わない。
そんな隙をつく作戦だと捉えてくれれば良い。
「で、会敵自体はいつ頃になる予定ですか? それ次第ではすぐにでも向かうつもりです」
「情報では、ちょうど明日の昼ごろね」
カリプソの言葉に合わせて男装女性も続く。
「大船長、この辺りはドレイクが第三者として監視を引き受けてくれていますから、手筈通り無事に落ち合うことができれば、エルカリノのいる海域の詳しい情報を得ることができます」
「おー、ドレイクちゃんエルカリノ側やめちゃって敵同士なのに、よくやるわねー」
ドレイク……。
なんかどっかで聞いたことある様な名前だ。
どこで聞いたんだっけな?
「お互い目障りな相手を潰すチャンスですから、協力は惜しみなくするそうですよ。交換条件として私に交際を申し込んで来ましたが、さっくりと断っておきました」
「あら、そろそろ受け入れちゃってもいいんじゃないのー?」
「あんな軟派者は好きじゃありません。私より強く、気高く、誇りを持った男でないと」
「でも先見の目はあるわよ? だって今はギリス海軍特殊船団の頭なんでしょー?」
「それも裏切りに裏切りを重ねた上での立場ですから、信用なりませんよ、大船長」
「ふーん? だったら強いのそこに一人いるけど、どうなの?」
カリプソの視線が俺に向く。
「は? なんで俺?」
「……まあ、軟弱者ではないってことは確かですが、いささか目に濁りっ気がありますので、大船長も付き合い方に注意をお願いします。こういう輩は無害感を出しつつも実はえげつないことをするタイプなので」
し、失礼な!
なんだこいつ!
「そんなことないですよ、俺はクリーンですよ、真っ当に生きてますよ?」
「カジノ荒らしが何を言っている」
すごく蔑んだ目をされた。
「いったいどんな手を使ったか知らないが、私は騙されません」
「いや……運だよ……」
秘薬でちょっぴり運を向上させてるだけで、結局運だよ。
卑怯な真似なんてしてない!
結局負けるときはマイヤーみたいに大損こくし、運が良かったんだ。
不正はない、不正はなかった、問題ないのである。
「この世は全て実力! 運なんて実力の差があったに過ぎないのです!」
「あっそう……まあ、なんでもいいよもう……」
「お、そんなこと話してるうちに船が目の前に来たわね。あれドレイクの船じゃないかしらー?」
「確かにドレイクの船です。では、横付けして情報交換といきましょう」
「じゃ、位置情報を得たら教えてください。夜のうちに奇襲やってくるんで」
なんか船に乗りっぱなしなのも面倒くさい雰囲気が漂って来ている。
こりゃさっさと敵さん倒して島に戻るっきゃねえな。
またナイトプールできゃっきゃうふふに混ざって目の保養しようっと。
=====
平成最後の更新です。
皆様のおかげで今まで頑張ってこれました。
引き続き頑張ってまいりますので、よろしくお願いします。
次回、海賊視点。海の悪夢。
感想 9,840
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