文字の大きさ
大
中
小
341 / 650
本編
642 ハローグッバイ、ガーディアンとぴょんぴょん子供おじさん
「問題ないって、相手はもう僕のダンジョンを飲みこめるほど大きいんだよ!」
「何か問題あるのか? このままいくと、消滅するとか?」
「いやそれはないけど……」
だったら何の問題も無い。
このダンジョンから出れば良いだけなのだからね。
だが、階層を変えられたり出入り口を防がれるのだけは勘弁。
「ちょっと行ってくる。ポチ」
「アォン」
俺はポチを連れて横穴からガーディアンの犇くはるか下へと飛び降りようとする。
「あ、ちょっと! ダメだよ! もしかしたらパワーアップしてるかも!」
そんな様子の俺らを、ケープは必死で止めて来た。
「パワーアップってダンジョンリソースが増えてるってことか?」
「そうだよ! もし、もしも強力な魔力を持つ骨を得ていたら、やばい!」
「どのくらいやばいの?」
「八大迷宮にも手が届くんじゃ無いかってくらい、強い魔力になるよ!」
「へー……八大迷宮にも手がとどく、か……」
ダンジョンコアの目標ってやっぱりその辺りなのかな?
全てのダンジョンがその八大を目指しているとか、そんなストーリー。
しかし、彼らは勇者や魔王の小競り合いがただの人の争い事としか思わない。
野良猫が家の外ですごい喧嘩してるな、と思う程度の圧倒的な存在である。
ずっと、ずっとずっと前からこの世界に存在する彼らに。
そんな彼らに。
たかが、とんでもない魔力を秘めた骨一つでそこに至るなんて。
八大迷宮クラスの力を手に入れるに至るなんて。
なんとも烏滸がましいと、差し出がましいと……いや、違うな。
端的に言うと、イキリだ。イキリ。
イキリダンジョンとしか感じなかった。
八大迷宮の最終守護者、そして実際に深淵樹海のコアと戦ったからわかる。
あいつらの総戦力は、もう何百年と溜め込んで来た膨大なリソースだ。
「俺の目には、全く大したことなく思えるけどね」
「ダンジョンの専門家だから余裕かもしれないけど、あのガーディアンの数見てよ!」
「まあ、軽く300体くらいはいるかもね」
「300だよ、300! どれも鉄が含まれたアイアンガーディアン! 石とは違う!」
「ええ……オリハルコンじゃないの? だったら興味ないんだけど……?」
「えっ!? どっから目線でそんなこと言ってるの! 話が食い違ってるよ!」
「まあ、とりあえずケープ落ち着け、落ち着けって」
「これが落ち着いていられる──のああああああ!?」
ケープの駄々に付き合っているうちに、ガーディアンからの攻撃が俺たちのいる洞窟を捉えた。
ガラガラと崩壊し、足場を失い、俺たちはガーディアンの巣食う場所へと転落する。
「も、もう終わりだああああ!」
「だから落ち着けって! こう言う時は一旦深呼吸して、ほら!」
「ひっひっふー」
「……ま、まあいい」
有事の際の、こう言ったカオス的な状況でこそ人の強さは量られる。
そう考えると、この慌てん坊ダンジョンコアは、前もてんやわんやしていたんだろうな。
不測の事態を収集つけることもできずに、相手の速攻戦略で負けたのだろう。
「グリフィー」
「ガルッ!」
ポチとコレクトしか召喚していなかったので、その枠でグリフィーを召喚した。
全員を器用に乗せてもらう。
幼児化して小さくなっているからか、グリフィーのもふもふに埋もれそうだった。
って、感触を楽しんでる場合じゃない。
「ケープ、俺が最初にダンジョンを相手にした時はこんなもんじゃなかったぞ」
「それって、どういう……?」
「オリハルコンガーディアンと戦う羽目になったんだ」
「えっ!? 希少鉱石を使ったガーディアン!? 何メートル級!?」
「15メートルは超えてた」
「ひえええええ! すっごいダンジョンだったんだね!」
そんな話をする最中、俺のフードにいるジュノーを横目で見ると。
「……その話出すなし、引き合いにするなし」
と、なんとも言えない顔でぼやいていた。
ジュノーの中では消し去りたい過去、黒歴史になっている。
まあ、すっごいダンジョンだったって褒められてるから良いじゃないか。
「で、倒したの? そのガーディアン」
「うん、だからこうして生きてるんだ」
「すごい! オリハルコンガーディアンがいるのに負けるって、そのダンジョンすごいのかヘボいのかわからないね!」
ポカッ!
「痛っ! ジュノー何するんだよ、いきなり! 同じダンジョンコアだろう!」
「うるさいし! その話今関係ないし! トウジも!」
ゴッ──!!
「おい、力強すぎるだろ。なんでだよ。音おかしいだろ」
「トウジはこのくらいやっても足りないし! 早くガーディアン達を蹴散らしてくるし!」
「へいへい」
話が長くなってしまったが、結局八大迷宮のリソース勝負にも負けん。
単体だと最終守護にも俺は勝てる戦力をすでに持っている。
さらにいざとなったら頼もしい仲間がいるし、イグニールもいる。
「負ける要素皆無だな」
「露骨なフラグですぞ~?」
後ろからチャチャを入れる骨に言い返す。
「いや、これはフラグではないぞ。ガチだ」
本当にどこにも抜け穴とか、付け入る隙がないことを証明する。
俺はグリフィーのこのままの高度を保つように言うと、一人で下に飛び降りた。
「ポチとイグニールは上から頼むー!」
「アォン!」
「了解! サポートは任せて、トウジ!」
飛び降りる俺の下にいるガーディアンが、速攻炎で爆散した。
炎が通じづらい相手でも、イグニールの爆発する炎は容赦ない。
ポチの矢もガーディアンをいともたやすく貫通させる。
脚と腕を狙って穿ち、行動不能状態のガーディアンを作り出した。
俺は……と言うと。
クイックつかって真横にジャンプ。
「ジャンプおじさん……じゃなくてジャンプ幼稚園だああ!」
使い所全くなかったけど、何気にジャンプ力十倍なんだよな。
しかもゲームと違って、ジャンプって上に跳ぶだけじゃない。
リアルでは横に跳ぶこともジャンプなのだ。
小盾で頭をガードして真横に跳ぶ、そして壁を蹴って方向を変える。
10倍ジャンプ力とクイックによってヤベェことになった。
まるでミサイル。
さらに縦横無尽に飛び回ることで、ドロップアイテムも適宜回収できる。
巨人状態だと無慈悲スライディング。
幼児状態だとぴょんぴょんミサイル。
今度からこれを必勝法として行こう。
俺の必殺技だな。
「トウジ、ヤバぁ……ヤバイし……」
「なんか動きヤバイわね、なんなのかしら」
「あれはなんかカルマがヤバそうですぞ~」
グリフィーに乗っている連中からそんな声が聞こえる。
そんなにやばいか?
クイックを使ったワシタカくんの超速飛行状態よりはまだ遅いからマシだった。
俺の体は小さく、高速移動によって動きは捉えられない。
なんとか狙いをつけて殴ろうとするが、残念VITも万越えなんだ。
殴った瞬間、ガーディアンの腕がボッと消し飛んだ。
アダマンタイトガーディアン連れてこって感じ。
そんなわけで、300体近くいたガーディアンは消滅。
追加でどんどん出てくるけど、それも全部始末した。
グッバイガーディアン。
そして姿を現せイキリダンジョン。
ダンジョンコアのサモンカードって、何気に気になってたんだよね。
感想 9,840
あなたにおすすめの小説
間違えられた番様は、消えました。
※小説家になろう様でも投稿を始めました!お好きなサイトでお読みください※
竜王の治める国ソフームには、運命の番という存在がある。
運命の番――前世で深く愛しあい、来世も恋人になろうと誓い合った相手のことをさす。特に竜王にとっての「運命の番」は特別で、国に繁栄を与える存在でもある。
「ロイゼ、君は私の運命の番じゃない。だから、選べない」
ずっと慕っていた竜王にそう告げられた、ロイゼ・イーデン。しかし、ロイゼは、知っていた。
ロイゼこそが、竜王の『運命の番』だと。
「エルマ、私の愛しい番」
けれどそれを知らない竜王は、今日もロイゼの親友に愛を囁く。
いつの間にか、ロイゼの呼び名は、ロイゼから番の親友、そして最後は嘘つきに変わっていた。
名前を失くしたロイゼは、消えることにした。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スキルを奪われてお詫びチートをもらったので余生を楽しく……過ごさせてくれ
異世界に召喚されたその日、巻き込まれた青年に俺が得るはずだったスキルを奪われた。
お詫びとしてチートスキルを授かった俺は、第二の人生くらい好きに生きようと旅に出る。
行き着いた先は、寂れた町の場末の酒場だ。
なぜか客は男ばかりだが、日雇い冒険者や恐妻家の肉屋たちとの気楽な毎日は悪くない。
……ただ一人、どう見ても貴族のような美青年がこの地味な酒場へ通ってくる理由だけは、さっぱりわからない。
「お前らツケはやめろ」
そんな穏やかな日々を送っていたはずなのに、ある日、酒場へ厄介な依頼が舞い込んできた――。
他サイトでも掲載しています。
不定期更新です。
異世界転移した僕と彼のスキルは「貯金箱」と「犬」だったので即追放。でもこれが意外と強かった
高校の英語の授業中、勇者召喚で僕たちクラスメイト7名は異世界にやって来た。
目的は魔王討伐では無くて、高難易度ダンジョンの封印?!
でも僕ユイトのスキルは「貯金箱」、エイジは「犬」。
役立たず認定で、二人とも城を追放されてしまった。
のんびり暮らそうとしたけどそうもいかなくなって。
僕たちは奇妙なスキルを駆使して異世界で生き延びる。
緩~いファンタージ物語です。のんびりと書いていきます。
本文はなるべく簡潔に、サクサク進むようにしています。
暇つぶしに読んでいただいて、楽しんでくださると嬉しいです。
なろう様にも投稿。
『お前が運命の番だなんて最悪だ』と言われたので、魔女に愛を消してもらいました
竜族の王子フェリクスの成人の儀で、侯爵令嬢クロエに現れたのは運命の番紋。けれど彼が放ったのは「お前が番だなんて最悪だ」という残酷な言葉だった。
異母妹ばかりを愛する王子、家族に疎まれる日々に耐えきれなくなったクロエは、半地下に住む魔女へ願う。「この愛を消してください」と。
恋も嫉妬も失い、辺境で静かに生き直そうとした彼女のもとに、三年後、王宮から使者が現れる。異母妹の魅了が暴かれ、王子は今さら真実の愛を誓うが、クロエの心にはもう何も響かない。愛されなかった令嬢と、愛を取り戻したい竜王子。番たちの行く末は――。
愛犬たちと異世界辺境スローライフ~王家から逃げたアラサー女子、スマホ通販で快適生活~
女子高生と一緒に異世界へ聖女召喚された、アラサー女子・一ノ瀬玲。
ところが、召喚された二人を待っていたのは、あまりにも残酷な現実だった。
聖女として期待される女子高生とは対照的に、玲は年齢を理由に無視され、王城で居場所すら与えられない。
それでも何とか生きようとしていた玲だったが――ある日、食事に毒を盛られる。
「……私、命狙われてる?」
愛犬の柴犬・雷電とチワワのアビーに助けられ、玲は王城から逃げ出すことを決意する。
逃亡先で冒険者となった玲のランクは、まさかのFランク。
そんな玲を助けてくれたのは、辺境へ向かう騎士団長・レオンハルトだった。
そして玲のスマホには、異世界へ来た時から謎の【異世界モード】が存在していた。
【異世界通販】
【異世界銀行】
【アイテム収納】
【マップ】
【翻訳】
【ステータス】
「……これ、もしかしてチートじゃない?」
王家から逃げながら、愛犬たちと辺境を目指す玲。
魔物と戦ったり、旅をしたり、異世界通販で買い物したり。
ちなみに、記念すべき異世界通販の初購入は――犬のウンチ袋。
王城では散々だったけれど、もう戻るつもりはない。
アラサー女子と愛犬たちの、ちょっと騒がしくて、時々ほのぼのな異世界辺境生活が始まります。
初投稿なので誤字脱字
支離滅裂有るかと思います
凱旋した英雄は聖女を選びました。~冬の補給路を守っていた私は静かに軍を去ります~
「君は後方にいただけだ」――
凱旋した英雄の婚約者からそう切り捨てられた私は、
静かに軍を辞職しました。
――冬の補給路管理。
――兵糧配分。
――医薬品輸送。
――損耗率管理。
全部、私の仕事だったのですが。
三週間後、
王国軍は補給崩壊。
「なぜ食糧が届かない!」
「なぜ兵が飢える!」
……逆にお聞きしますが、
今まで“なぜか全部上手く回っていた”理由を、
一度でも考えたことはありましたか?
これは、
誰にも評価されなかった兵站官(へいたんかん)が、
隣国の辺境伯にだけ価値を見抜かれ、
人生を取り戻す物語。
今更「戻ってきてくれ」と泣きつかれても、
私は隣国の最高機密ですので――!