文字の大きさ
大
中
小
367 / 650
本編
668 知らないうちに、商会がでかくなっていた件・前
パーティーネームの申請に向かってから、俺は平和な日々を過ごしていた。
先日、ミニメイド服を着て冒険者ギルドへ赴いたおかげで、妙な噂が立つ。
トウジアキノは、ゴーレムにメイド服を着させるほどのマニアである。
さらに、最近は自分自身もミニスカのメイド服を嗜んでいると、そんなところだ。
…………。
おいおいおいおい、ちょっとまてと。
ミニスカメイド服を身につけて外出したのなんて、三日くらい前だぞ。
人がいない時間帯を見計らって颯爽と行動に移したはず。
なのに、なんで周りの冒険者、ではなく近所の人の視線が痛いんだ。
近所ってのがミソだな。
日本人としては、それが一番心に来る訳で。
「はあ……まあ、罰ゲームだから仕方がないか」
それに、なんだ……。
リアル女装は初めてで、良い経験となった。
なんと言うか……。
少しだけ爽快感を感じたのである。
スカートが風ではためくだけで、男の俺でも恥ずかしくなりました。
こう言う感覚なのね、女の子って。
「トウジちゃんトウジちゃん」
リビングにて、ミニスカから出た俺の素足を駆け巡った風の感覚。
それを思い返しながらお茶を飲んでいると、マイヤーの声がした。
「その言い方はやめてくれ」
「あー、こないだのトウジはめっちゃ可愛かったなあ~」
「……」
なんだか可愛かったとか言われると、急にバカバカしくなってきた。
うん、やっぱり男がスカートを履いてもただキモいだけだな。
「そう気分悪うせんと、楽しかったんやからさあ!」
「まあ、確かにそうだけど」
楽しくなかったと言えば、嘘になる。
いじられるのも含めて、あとあと楽しい思い出なのさ。
リア充はそうやって脳内で変換していくのさ。
「で、なに?」
名前を呼ばれた理由を尋ねる。
「なんや、何か用事がないと名前呼んじゃダメなん?」
「いや別にそんなことはないけど」
まさかマイヤーが名前を呼んでみたかっただけとか。
単純にそんなことはないはずだと思っただけである。
「トウジトウジトウジトウジトウジ」
「……怖っ」
これ見よがしに名前を呼ぶマイヤー。
なんと言うか、可愛げのかけらもなかった。
マクラスの名を連呼するジュノー並みにやばいぞ。
あと、あのメンヘラレズ研究員の女もな。
「そんなガチで引いた様な顔せんでや……」
「おふざけにしても、それはちょっとヤバいぞ」
「冗談やって。本当は用あるよ」
……あるじゃん!
俺の予想は間違ってなかった。
マイヤーはコーヒーを飲みながら、話を続ける。
「今日暇?」
「特に用事はないけど」
「せやったら、こっちに顔を出してくれへん?」
「いいけど、どうしたの?」
こっちと言えば、ギリスに本陣を構える商会関連のことである。
エリナから依頼の連絡が来るまで、しばらくギリスでの生活だ。
再びこちらに着手といきましょう。
「見せたいものがあるねん」
「見せたいもの?」
「トウジ、いっつも遠出ばっかりで、こっちのことよくわかっとらんやろ?」
「そうだね。でも、飛空船がどこまで進んでるかは把握してるよ」
「飛空船だけじゃなくて、その他に色々とやっとったことがあったやろ?」
「まあね」
「それを今日まとめて説明するから、昼ごろにアルバート商会に顔を出してや」
「アルバート商会? 研究所じゃないの?」
「まっ、それは着てからのお楽しみやで! にしし」
「わかった」
それだけ言うと、マイヤーはコーヒーを一気飲みしてそのまま出かけてしまった。
アルバート商会での仕事が朝からあるのだろう。
働き者だなあ……俺もマイヤーを見習ってもっと働くべきだと思った。
頑張る姿を見てると、こっちも頑張れる。
今日も遅くまで装備製作やポーション製作しよっと、うふふ。
感想 9,840
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
「お前さえいなければ」と言われたので死んだことにしてみたら、なぜか必死で捜索されています(旧:いらないと言ったのはあなたの方なのに)
水谷繭※7/30書籍発売予定です!6/29まで公開します。
完結まで一括投稿済。
なろうの方では削除する予定はありませんので、読み途中たけれど読みきれないという場合はそちらでお願いします☺️
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。
セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。
エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。
ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。
しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。
◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました
◆小説家になろうにも投稿しています
凱旋した英雄は聖女を選びました。~冬の補給路を守っていた私は静かに軍を去ります~
握夢(グーム)「君は後方にいただけだ」――
凱旋した英雄の婚約者からそう切り捨てられた私は、
静かに軍を辞職しました。
――冬の補給路管理。
――兵糧配分。
――医薬品輸送。
――損耗率管理。
全部、私の仕事だったのですが。
三週間後、
王国軍は補給崩壊。
「なぜ食糧が届かない!」
「なぜ兵が飢える!」
……逆にお聞きしますが、
今まで“なぜか全部上手く回っていた”理由を、
一度でも考えたことはありましたか?
これは、
誰にも評価されなかった兵站官(へいたんかん)が、
隣国の辺境伯にだけ価値を見抜かれ、
人生を取り戻す物語。
今更「戻ってきてくれ」と泣きつかれても、
私は隣国の最高機密ですので――!
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません
由香乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。
破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。
しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。
外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!?
さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、
静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。
「恋をすると破滅する」
そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、
断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
処刑されるはずだった没落令嬢ですが、姫様の初夜を身代わりしたら子を授かりました
新 星緒没落伯爵令嬢のエルゼは大恩がある姫様を救うために、初夜の身代わりを引き受ける。
そして姫様や国を守るために誰にも行く先を告げずに国を去った。
三年後。初夜の晩に息子ヴァルターを授かっていたエルゼは、ひっそりと暮らしていた。ところが元婚約者に拉致られて、あわやというところに初夜の相手であるハインツ王子が現れる。
「ようやく見つけた。エルゼ、愛している」
「初夜の相手が君だと最初からわかっていたが?」
――身代わり初夜から始まる、純愛溺愛執着愛のお話!