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5巻
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〔私と賢者と勇者と聖女で、過去に収めた世界の大過〕
〔それが再び世界を暗闇に包もうとしているならば、阻止して欲しい〕
〔私達が作った未来を、私の子供らとともに救って欲しいと切に願う〕
どうやら、彼は異世界で子供を作り、永住したらしいね。
そんな雰囲気が、この文章から伝わってきた。
〔ダンジョン達がいくつ目覚めているのかもわからないが、中には話が通じる奴もいる〕
〔賢者が仲良くなっていた、深海の塔のダンジョンコアは、賢者の装備を保管している〕
〔身内に賢者がいるならば、深海の塔にいる引きこもりを訪ねてみると良い〕
〔いつも憂鬱そうにしている彼女の要望を叶えてやれば、賢者の装備をくれるかもしれん〕
ん? ちょっとだけ違和感があった。
でも、とにかく全てを読み終えてから考えよう。
〔さて、最後に加護刀本来の使い方を説明しておく。あのままだとただの上等な刀でしかない〕
〔まずはレベルを100まで上げて使い、その身に馴染ませることで強くなる〕
〔グロウ鋼によってわざと下げられていたヒヒイロカネの真価は、そこから発揮される〕
〔刀としての限界を突破し、さらに強く、絶対に折れることのない刀身に至るだろうな〕
成長武器が、成長ボーナスによってそこそこ強くなるのは知っている。しかし記述的には、もっと強くなりそうな感じだった。
〔また加護の使い方だが、諸刃の剣にもなりかねないので、使い所はしっかり考えておけ〕
〔レベルを対価に、精霊・霊獣の分体が力を貸してくれる〕
〔この場合、精霊・霊獣との絆によっては、痛いしっぺ返しを食らう可能性を忘れるな〕
え、これって霊装装備の使い方だよな?
普通は魔物を倒して霊気を蓄積し、呼び出すんじゃないのか?
詳しく見てみると、レベルを消費して、霊気を溜めた時のような効果を発揮するらしかった。
本には、一分間だけ力を貸してくれると書かれている。
必要なレベルは、レベル50までは3レベル。50~100までは2レベルで、100以上は1レベル。なかなかに重たいコストである。
この世界では、レベルってかなり重要な要素だからね。
しかし、霊気を溜める以外の方法を知れたのは大きい。気軽には使えないけど、ピンチの時には役立つ知識だった。
「なんか、とんでもない事実ばっかりだなあ……」
「え、なになに? なんて書いてるし!」
「ちょっと待って、色々情報多くて整理できてないから」
この他にも、いくつか気になっている要素があるのだが、大事なことがたくさん書かれていて、頭の中がまとまらないのである。
「ふあ……なんか早起きした分、眠たくなってきた……」
「ちょっと待つし! あたしは気になって眠れないし!」
生活リズムが崩れてしまう要因なのだが、とりあえず一睡しておくか。
「仮眠だ、仮眠するよ一旦」
寝るにはやや早い時間だけど、今日は休日扱いだから良いだろう。
◇ ◇ ◇
「……んぁ?」
早く寝たからかもしれないが、変な時間に目が覚めてしまった。
毛布がしっかりかかっているところを見ると、ポチがかけてくれたのだろう。
「ありがとうポチ……ってあれ、ポチ?」
いつもなら一緒に寝ているはずのポチが隣にいなかった。
もふもふと温もりが恋しい。
寝る時は一緒だって言ってんのに、朝食の仕込みでもしているのだろうか。
基本的に、みんなが寝るまでポチは寝ないからね。
家政婦コボルト。いや、みんなのおかんである。
「んぐすーぅ」
なんの音かと思ったらジュノーだった。
俺の枕を奪い、そこをベッドとして寝ている。ようやく暗がりに目が慣れてきた。
「……もー、自分の部屋で寝ろよ」
「んあー、もう食べられないしパンケーキ……あ、いやまだ食べれるっぽいマジで」
「……夢の中でもめでたい奴だな……」
起こしてもうるさいだけなので、そのまま寝かせておくことにした。
「トイレ行こ」
もう一睡しようと思ったら急にトイレに行きたくなったので、そんな独り言を呟きながらドアを開けて廊下に出る。
リビングの方から淡い明かりが漏れている。おそらくポチだ。
「遅くまでご苦労さんだなあ……ふあぁ……」
欠伸をしながら用を済ませて、自分の部屋へ戻ろうと、再び廊下を通ったその時である。
──パキパキ、ピキピキ。
廊下の奥の暗闇から、石にひびが入って割れてしまったような音が、不気味に響いた。
確か、廊下の先には無限採掘場に続く、二階層への階段がある。
「……え、なんの音? こわっ」
眠気も吹っ飛ぶほど、怖くなってきた。
まさか、霊的なアレか?
いや、でも、俺霊感とかないし、そういうのは信じてないぞ。
「ないないないない、そういうの信じてないから」
でも、ここは、似たような存在である精霊やアンデッドが普通に存在する異世界。
いないことの証明をする方が、逆に難しいのである。つまりいる。
「いやいやいやいや、それだったらジュノーが気付くだろ? ハハハ……」
ダンジョンへの不法侵入者だぞ、早く対処しろよって話だ。
だったらゴレオだろ、ゴレオしかいない。
あいつ、昨日はアマルガムのある無限採掘場に、ずーっとこもってたみたいだからね。
石がピキピキしてる音も、ゴレオの体を構成する石が擦れる音だって。
「な、なんだよビビらせんなよ……ゴレオォ……」
二十九歳にもなって、幽霊が怖いってちょっと恥ずかしくなった。
「まったく……」
無駄に独り言を呟きながら、俺は暗闇の中を進んでいく。
ゴレオはもしかして、今日一日ずっと二階層にいたのだろうか。
そっとしておくつもりだったけど、団欒は大事だぞ、と一言告げよう。
考え過ぎても毒だから、ほどほどにしておけよ、ってね。
「おーい、ゴレオー」
名前を呼びながら階段を降りていくと、真っ白な彫像の後ろ姿が見えた。
暗闇の中、淡くぼんやりと光る彫像は、女性の姿をしている。
「……え?」
ゴレオ……じゃないよな、どう見ても。
あんなもん、うちにあったっけな? 寝ぼけてるのかな?
目を擦ってもう一度見てみると、彫像がいきなり動き出した。
ピキピキと音を立てながら、首がゆっくりと俺の方へ向く。
「え? は? 待て待て待て、俺からは何もアクション起こしてないだろ!」
幽霊だとしても、そっちから来るのは反則だろ!
ジッとしといてくれれば、見なかったことにして今日はもう寝るから許してくれ!
「つーかゴレオだろお前! 絶対ゴレオ! マジよくわかんないことしたら怒るぞ!」
「…………」
俺の問いかけには無反応で、ゆっくりと振り向く彫像。
えっと、その……ゴレオだよね? ゴレオですか?
「……なんか言えよ、もー!」
めっちゃ怖くなってきて、思わず大声が出てしまった。
弱い犬ほど良く吠えるというが、恥ずかしながら今の俺がそう。
「……!」
叫んだ瞬間、彫像がゴゴッと、ビクついたように激しく体を動かす。
そしたら体に亀裂が入って、石でできた指とか、髪とか、肩とか、各パーツがボロボロボロと砕けて崩壊していった。
カタカタカタカタ。
崩壊した彫像の残骸が、激しく動いて音を立てている。
「ひっ」
何、なになになになに! 俺何かした? 何もしてないよね!
最後に、ごとりと首がもげて頭部が床に転がった。
「……」
彫像と目が合う。
淡い光を放つ彫像の顔は、思わず惚れてしまいそうな美しい女性の顔だった。
しかし、それは平時であればの話である。
「ほわああああああああああああああ──!!」
ニタリ……とゆっくり表情を変えた彫像の姿に、俺はそのまま卒倒した。
◇ ◇ ◇
「──あああああああああああああああああ!!」
ガバッと起きると、ベッドの上だった。
「ォン!?」
隣にはポチがいて、俺の叫び声に驚いて飛び起きる。
ジュノーは枕の下に埋もれて、「パンケーキの中しゅごぉい」と、まだ夢見心地。
彼女の夢も気になるが、そんなことよりも――。
「……って、あれ、夢?」
ベッドにいるってことは、あれは夢だったのだろうか?
思考がまとまらない。それだけ強烈な悪夢だったってことか。
「まあ、起きるか」
夢の続きを見てしまいそうなので、起きることにする。
「ォン」
「ポチは寝ててもいいよ? 俺は日課の採掘と採取をするだけだから」
「アォン」
いつも俺より先に起きるポチがまだ寝ていたってことは、かなり早い時間だってことだ。
ダンジョン部屋を出て、間借りしている部屋に向かい、窓を開けて朝日を浴びる。
肌寒さを感じるってことは、季節的にはそろそろ冬が始まるのだろうか?
「いや、北国だから寒いだけだな」
水を飲みながら二階層への階段を降りていると、正面からゴレオが上がってきた。
「おはよう、ゴレオ」
「……!」
挨拶すると、手を振り返してくれるゴレオ。
うむ、どこも変わらない、いつものゴレオである。
夢で見た彫像は、どことなくいつぞやのメイドゴレオに似た顔立ちだったのだが、さすがに自分で彫ったわけじゃあるまい。
「調子はどう? 悩みは解決した?」
「……!」
グッとガッツポーズを取るゴレオは、なんだかスッキリとした雰囲気をしている。
そうかそうか、無事に解決したみたいで何よりだ。
「みんな心配してたんだぞ? 俺だってゴレオの悩みを考え過ぎて、なんだか変な夢を見ちゃったくらいだしさ……」
「……」
そう告げると、ゴレオは何やらモジモジとして、恥ずかしそうにした。
何を恥ずかしがっているんだ。
気を使わせてしまったってことを気にしてるのかな?
だったらまったく問題ない。
俺はゴレオの主人なんだから、ゴレオの悩みは俺の悩みでもあるんだから。
「今日からまたギルドの依頼を受け始めるけど、行ける?」
「……」
コクリと頷くゴレオ。
相変わらず、首の関節がゴリゴリ音を立てている。
もはやそのゴリゴリ音が、たまらなくゴレオらしいよな、と感じた。
「んじゃ、俺は朝の日課を済ませてくるよ。ポチとジュノーは俺の部屋だからね」
「……!」
バイバイと手を振り合って、俺は無限採掘場へと向かった。
今日も一日、頑張って行きまっしょい。
第二章 商業区画のパンダ女
日課を済ませ、ポチの用意してくれた朝飯を食べたら、みんなで揃って家を出る。
俺は冒険者ギルドへ依頼の物色に。
灰色のブレザーを着たマイヤーは、今日は朝から学校とのこと。
「南蛮、大人しゅうしとくんやで? ただし、泥棒が来たらコテンパンや!」
「コケッ!」
いつも留守番の役目を請け負うストロング南蛮に、そう言いつけるマイヤー。
そんな彼女の下半身を見て、少々気になることがあった。
「あのさ、マイヤー」
「どしたん?」
「スカート短くない? もっと長くしたらどうなの?」
彼女のスカート丈は、言うなればめちゃくちゃ攻めてるって感じの長さである。
「何言うてん、これが最近の女学生のトレンドやで!」
「でも、もう二十歳……」
「二十歳でも、今は学生なんやからええやん! おとんみたいなこと言わんといてーな!」
「って言うかトウジ、さっきからマイヤーの足ばっかり見過ぎだし?」
そんなことを言って、巨匠のカナトコで作ってあげた、ジュノー専用の制服を身につけ、俺の目の前を飛び回るジュノー。
こいつは、暇だからという理由でマイヤーについていくつもりらしい。
「おいジュノー、誤解を招くようなことを言うなよ」
「事実だし」
「ぐっ」
いや、確かに事実だけどさあ……言葉を選んでくれたって良いじゃないの。
どうやって言い訳しようか悩んでいると、マイヤーが言う。
「まあ視線は知っとったよ? 商人は人の視線に敏感なんやから」
「そ、そうなんだ……」
大胆に晒された生足を、バレないようにチラ見していた自分が恥ずかしい。
でも、理由があるんだ。節度を持てと言いたいんだ。
「まっ、いきなりブレザー貸してって言うレベルの変態やし、うちは気にしとらんよ?」
「うぐぐ」
とどめの一言である。
やっぱりこの間のことで変態だって思われていた。ぐぬぬ、ぬぬぬぬぬぬ~。
「にゃはは、三十路のおっさんにサービスサービス!」
「あたしもサービスするし!」
スカートをファサファサさせながら、俺をからかって遊ぶマイヤーとジュノーだった。
女の子って、怖い!
「あかん、なんか自分でやってて恥ずかしくなってきたわあ!」
「あははは、マイヤー顔真っ赤だし!」
彼女達は気にしてないような素振りをしているのだが、マジで気をつけていこう。
むっつりスケベだと思われるのは、本当に勘弁なんだ。
◇ ◇ ◇
そんな和気藹々とした朝の一幕があった後、ポチとゴレオを連れて冒険者ギルドへ。
今回の目的は、成長武器に必要な素材、グロウ鋼の依頼だ。
どうせグロウ鋼を探すなら、依頼ありきで探した方がお得だよねってことで、ポチやゴレオと手分けしてずーっと探しているのだけど……なかなか見つからない。
そろそろ面倒になってきたので、受付に適当な採取依頼を持っていき、尋ねることにした。
「おはようございます~」
「あ、おはようございます、トウジさん。先日は色々と申し訳ありませんでした」
「いえいえ、大丈夫です」
依頼の紙を持っていくと、あの義憤マンの担当である受付の女性に、丁寧に頭を下げられた。
特に何も言われないところを察するに、義憤マンは大人しく口を噤んでいると見た。
まあ、余計なことを喋ったとて、俺には証人もいるし、墓穴を掘るのは向こうである。
「フリーの採取採掘依頼ですね? 依頼受付の方、承ります!」
このフリーの依頼というのは、常に需要がある、採取・採掘素材の依頼だ。
ギルドが管轄し、素材を回収して後付けで受けても構わない形のもの。
「「そうだ」」
グロウ鋼について聞こうとしたら、彼女と声が被ってしまった。とりあえず先に譲るとしよう。
「どうぞ」
「あ、ありがとうございます。業務報告みたいなものなのですが、今後は私がトウジさんの担当受付となりましたので、よろしくお願いします」
「えっ」
それを聞いて、ギルドは正気かと思った。
つい先日、ちょっとゴタついたばっかりだろうに……。
この人、義憤マンの担当らしいから、すごく嫌な予感がする。
「本当ですか……?」
「はい、本当ですよ」
「あの義憤マ、じゃなかった……他に担当している冒険者さんもいるんですよね?」
「まあそうですが、評価の高い人を複数担当するのは、珍しくもなんともないですよ」
評価が高い? 義憤マンが?
何かの間違いでは……と思った。
ただ、言動からしてルールは守っている気がするし、依頼をしっかりこなしているならば、割と評価が高いのかもしれない。
Cランクへの昇格依頼の時、ギルドは俺とイグニールの行動を見て、正しく評価してくれた。
正論、という意味では、義憤マンの言っていることもぶっちゃけ間違いではなく、一理あったりするんだよなあ……。
無駄に噛み付いてトラブルを引き起こすのは、減点対象だとは思うけど。
「あの時のお詫びに、私が良い依頼を厳選して、トウジさんに回していきますので!」
「と、とりあえずわかりました」
「よろしくお願いしますね! 頑張って一緒にAランクを目指していきましょう!」
「は、はい……」
熱意は十分。しかし嫌な予感を拭えない、そんな気分である。
「おっと、自己紹介がまだでしたね。私はエリナと言います。気軽にエリーと呼んでいただいて構いませんからね!」
「わ、わかりました、エリナさん」
……エリナ、かあ。
名前で人を決めつけるつもりはないのだが、あのヤバい女――エリカを思い出す名前だった。
「んもう、エリーって呼んでくれて良いのに……」
猫なで声で、少し頬を膨らませるエリナ。
ゾワワワワと、何かが背筋を撫でた。
なんだか、どことなく髪型とか顔立ちも、エリカに似ている気がしてきたぞ……。
助けてくれ、ポチとゴレオ。
心の平穏を取り戻すべく、俺の愛すべき家族に助けを求めると。
「……ォン」
「……!」
あいつら、ギルドの壁にかけられている絵画を見て、まったり過ごしていた。
──この絵、たまらんな。
──そうですね。
そんな感じのやり取りをしているようである。
くそっ、お前らまったく絵に興味ないだろ。
小さいもふもふは料理バカだし、大きいゴツゴツはぬいぐるみとか可愛いもの好きだ。
「面倒臭そうな雰囲気を察して逃げやがったな、薄情者め」
まあいい、要は俺がトラブルに気をつけていれば良いだけだ。
可能な限り淡白な関係を築き上げておけば良いのである。
それに担当がつけば、目標としているAランクに近づくじゃないか。
話を聞く限り、彼女は俺がAランクになれるよう、意気込んでいるようだし。
さらに、俺の知り得ない情報を、ギルド経由で調べてもらったりできるんだ。
この際、名前がちょっと似てるだけの別人だと割り切って考えよう。実際に別人だろうしね。
そんなことを考えながら、俺は聞きそびれていたことを尋ねた。
「エリナさん、グロウ鋼って、どこで取れるかわかりますかね?」
「グロウ鋼ですか?」
「はい」
「それなら確か、北の山脈に棲息する魔物のどれかに、くっついてると思いますよ」
「く、くっついてる?」
思わぬ一言に、少し驚いた。
「はい。魔物に寄生することで、魔力や生命力を吸い取り成長していく鉱物ですから」
「な、なるほど……」
最終的には、鉱石の大きさが寄生先を上回って押しつぶすそうだ。
大きくなったグロウ鋼は勝手に割れて、再び魔物に寄生し増えていくらしい。
……そ、それって本当に鉱石なのか?
石の範疇を超えている気がするのだが、異世界だから仕方がない。
とんでもねぇな、まったく。
「あと、ウーツって、どこにあるかわかります?」
ついでとばかりに色々と聞いてみる。
「ウーツ……ちょっと待ってください、ウーツ、ウーツ……すいません、わかりません」
「いえ、大丈夫ですよ」
グロウ鋼の情報が聞けただけでも御の字だ。
ウーツはヒヒイロカネを作るための材料なので、価値もまさに伝説級なのだろう。
知らないで当たり前の存在なのかもしれない。
ちなみに、今聞いた二つ以外は地味に全て揃っている。
玉鋼なんて、普通の鋼鉄に錬金素材を追加すればすぐできるし、白金はこの世界に流通している白金貨だからね。
「とにかくグロウ鋼は北の山脈ですか……」
ライデンとの約束の日まで十日。
あまりこの手は使いたくないのだが、ワシタカくんに頼めばひとっ飛びだ。
往復六時間、俺が我慢するだけで、乗合馬車分の時間は短縮できる。
ちなみにもっと早く飛べるそうだが、俺が落ちてしまうとのこと。
〔それが再び世界を暗闇に包もうとしているならば、阻止して欲しい〕
〔私達が作った未来を、私の子供らとともに救って欲しいと切に願う〕
どうやら、彼は異世界で子供を作り、永住したらしいね。
そんな雰囲気が、この文章から伝わってきた。
〔ダンジョン達がいくつ目覚めているのかもわからないが、中には話が通じる奴もいる〕
〔賢者が仲良くなっていた、深海の塔のダンジョンコアは、賢者の装備を保管している〕
〔身内に賢者がいるならば、深海の塔にいる引きこもりを訪ねてみると良い〕
〔いつも憂鬱そうにしている彼女の要望を叶えてやれば、賢者の装備をくれるかもしれん〕
ん? ちょっとだけ違和感があった。
でも、とにかく全てを読み終えてから考えよう。
〔さて、最後に加護刀本来の使い方を説明しておく。あのままだとただの上等な刀でしかない〕
〔まずはレベルを100まで上げて使い、その身に馴染ませることで強くなる〕
〔グロウ鋼によってわざと下げられていたヒヒイロカネの真価は、そこから発揮される〕
〔刀としての限界を突破し、さらに強く、絶対に折れることのない刀身に至るだろうな〕
成長武器が、成長ボーナスによってそこそこ強くなるのは知っている。しかし記述的には、もっと強くなりそうな感じだった。
〔また加護の使い方だが、諸刃の剣にもなりかねないので、使い所はしっかり考えておけ〕
〔レベルを対価に、精霊・霊獣の分体が力を貸してくれる〕
〔この場合、精霊・霊獣との絆によっては、痛いしっぺ返しを食らう可能性を忘れるな〕
え、これって霊装装備の使い方だよな?
普通は魔物を倒して霊気を蓄積し、呼び出すんじゃないのか?
詳しく見てみると、レベルを消費して、霊気を溜めた時のような効果を発揮するらしかった。
本には、一分間だけ力を貸してくれると書かれている。
必要なレベルは、レベル50までは3レベル。50~100までは2レベルで、100以上は1レベル。なかなかに重たいコストである。
この世界では、レベルってかなり重要な要素だからね。
しかし、霊気を溜める以外の方法を知れたのは大きい。気軽には使えないけど、ピンチの時には役立つ知識だった。
「なんか、とんでもない事実ばっかりだなあ……」
「え、なになに? なんて書いてるし!」
「ちょっと待って、色々情報多くて整理できてないから」
この他にも、いくつか気になっている要素があるのだが、大事なことがたくさん書かれていて、頭の中がまとまらないのである。
「ふあ……なんか早起きした分、眠たくなってきた……」
「ちょっと待つし! あたしは気になって眠れないし!」
生活リズムが崩れてしまう要因なのだが、とりあえず一睡しておくか。
「仮眠だ、仮眠するよ一旦」
寝るにはやや早い時間だけど、今日は休日扱いだから良いだろう。
◇ ◇ ◇
「……んぁ?」
早く寝たからかもしれないが、変な時間に目が覚めてしまった。
毛布がしっかりかかっているところを見ると、ポチがかけてくれたのだろう。
「ありがとうポチ……ってあれ、ポチ?」
いつもなら一緒に寝ているはずのポチが隣にいなかった。
もふもふと温もりが恋しい。
寝る時は一緒だって言ってんのに、朝食の仕込みでもしているのだろうか。
基本的に、みんなが寝るまでポチは寝ないからね。
家政婦コボルト。いや、みんなのおかんである。
「んぐすーぅ」
なんの音かと思ったらジュノーだった。
俺の枕を奪い、そこをベッドとして寝ている。ようやく暗がりに目が慣れてきた。
「……もー、自分の部屋で寝ろよ」
「んあー、もう食べられないしパンケーキ……あ、いやまだ食べれるっぽいマジで」
「……夢の中でもめでたい奴だな……」
起こしてもうるさいだけなので、そのまま寝かせておくことにした。
「トイレ行こ」
もう一睡しようと思ったら急にトイレに行きたくなったので、そんな独り言を呟きながらドアを開けて廊下に出る。
リビングの方から淡い明かりが漏れている。おそらくポチだ。
「遅くまでご苦労さんだなあ……ふあぁ……」
欠伸をしながら用を済ませて、自分の部屋へ戻ろうと、再び廊下を通ったその時である。
──パキパキ、ピキピキ。
廊下の奥の暗闇から、石にひびが入って割れてしまったような音が、不気味に響いた。
確か、廊下の先には無限採掘場に続く、二階層への階段がある。
「……え、なんの音? こわっ」
眠気も吹っ飛ぶほど、怖くなってきた。
まさか、霊的なアレか?
いや、でも、俺霊感とかないし、そういうのは信じてないぞ。
「ないないないない、そういうの信じてないから」
でも、ここは、似たような存在である精霊やアンデッドが普通に存在する異世界。
いないことの証明をする方が、逆に難しいのである。つまりいる。
「いやいやいやいや、それだったらジュノーが気付くだろ? ハハハ……」
ダンジョンへの不法侵入者だぞ、早く対処しろよって話だ。
だったらゴレオだろ、ゴレオしかいない。
あいつ、昨日はアマルガムのある無限採掘場に、ずーっとこもってたみたいだからね。
石がピキピキしてる音も、ゴレオの体を構成する石が擦れる音だって。
「な、なんだよビビらせんなよ……ゴレオォ……」
二十九歳にもなって、幽霊が怖いってちょっと恥ずかしくなった。
「まったく……」
無駄に独り言を呟きながら、俺は暗闇の中を進んでいく。
ゴレオはもしかして、今日一日ずっと二階層にいたのだろうか。
そっとしておくつもりだったけど、団欒は大事だぞ、と一言告げよう。
考え過ぎても毒だから、ほどほどにしておけよ、ってね。
「おーい、ゴレオー」
名前を呼びながら階段を降りていくと、真っ白な彫像の後ろ姿が見えた。
暗闇の中、淡くぼんやりと光る彫像は、女性の姿をしている。
「……え?」
ゴレオ……じゃないよな、どう見ても。
あんなもん、うちにあったっけな? 寝ぼけてるのかな?
目を擦ってもう一度見てみると、彫像がいきなり動き出した。
ピキピキと音を立てながら、首がゆっくりと俺の方へ向く。
「え? は? 待て待て待て、俺からは何もアクション起こしてないだろ!」
幽霊だとしても、そっちから来るのは反則だろ!
ジッとしといてくれれば、見なかったことにして今日はもう寝るから許してくれ!
「つーかゴレオだろお前! 絶対ゴレオ! マジよくわかんないことしたら怒るぞ!」
「…………」
俺の問いかけには無反応で、ゆっくりと振り向く彫像。
えっと、その……ゴレオだよね? ゴレオですか?
「……なんか言えよ、もー!」
めっちゃ怖くなってきて、思わず大声が出てしまった。
弱い犬ほど良く吠えるというが、恥ずかしながら今の俺がそう。
「……!」
叫んだ瞬間、彫像がゴゴッと、ビクついたように激しく体を動かす。
そしたら体に亀裂が入って、石でできた指とか、髪とか、肩とか、各パーツがボロボロボロと砕けて崩壊していった。
カタカタカタカタ。
崩壊した彫像の残骸が、激しく動いて音を立てている。
「ひっ」
何、なになになになに! 俺何かした? 何もしてないよね!
最後に、ごとりと首がもげて頭部が床に転がった。
「……」
彫像と目が合う。
淡い光を放つ彫像の顔は、思わず惚れてしまいそうな美しい女性の顔だった。
しかし、それは平時であればの話である。
「ほわああああああああああああああ──!!」
ニタリ……とゆっくり表情を変えた彫像の姿に、俺はそのまま卒倒した。
◇ ◇ ◇
「──あああああああああああああああああ!!」
ガバッと起きると、ベッドの上だった。
「ォン!?」
隣にはポチがいて、俺の叫び声に驚いて飛び起きる。
ジュノーは枕の下に埋もれて、「パンケーキの中しゅごぉい」と、まだ夢見心地。
彼女の夢も気になるが、そんなことよりも――。
「……って、あれ、夢?」
ベッドにいるってことは、あれは夢だったのだろうか?
思考がまとまらない。それだけ強烈な悪夢だったってことか。
「まあ、起きるか」
夢の続きを見てしまいそうなので、起きることにする。
「ォン」
「ポチは寝ててもいいよ? 俺は日課の採掘と採取をするだけだから」
「アォン」
いつも俺より先に起きるポチがまだ寝ていたってことは、かなり早い時間だってことだ。
ダンジョン部屋を出て、間借りしている部屋に向かい、窓を開けて朝日を浴びる。
肌寒さを感じるってことは、季節的にはそろそろ冬が始まるのだろうか?
「いや、北国だから寒いだけだな」
水を飲みながら二階層への階段を降りていると、正面からゴレオが上がってきた。
「おはよう、ゴレオ」
「……!」
挨拶すると、手を振り返してくれるゴレオ。
うむ、どこも変わらない、いつものゴレオである。
夢で見た彫像は、どことなくいつぞやのメイドゴレオに似た顔立ちだったのだが、さすがに自分で彫ったわけじゃあるまい。
「調子はどう? 悩みは解決した?」
「……!」
グッとガッツポーズを取るゴレオは、なんだかスッキリとした雰囲気をしている。
そうかそうか、無事に解決したみたいで何よりだ。
「みんな心配してたんだぞ? 俺だってゴレオの悩みを考え過ぎて、なんだか変な夢を見ちゃったくらいだしさ……」
「……」
そう告げると、ゴレオは何やらモジモジとして、恥ずかしそうにした。
何を恥ずかしがっているんだ。
気を使わせてしまったってことを気にしてるのかな?
だったらまったく問題ない。
俺はゴレオの主人なんだから、ゴレオの悩みは俺の悩みでもあるんだから。
「今日からまたギルドの依頼を受け始めるけど、行ける?」
「……」
コクリと頷くゴレオ。
相変わらず、首の関節がゴリゴリ音を立てている。
もはやそのゴリゴリ音が、たまらなくゴレオらしいよな、と感じた。
「んじゃ、俺は朝の日課を済ませてくるよ。ポチとジュノーは俺の部屋だからね」
「……!」
バイバイと手を振り合って、俺は無限採掘場へと向かった。
今日も一日、頑張って行きまっしょい。
第二章 商業区画のパンダ女
日課を済ませ、ポチの用意してくれた朝飯を食べたら、みんなで揃って家を出る。
俺は冒険者ギルドへ依頼の物色に。
灰色のブレザーを着たマイヤーは、今日は朝から学校とのこと。
「南蛮、大人しゅうしとくんやで? ただし、泥棒が来たらコテンパンや!」
「コケッ!」
いつも留守番の役目を請け負うストロング南蛮に、そう言いつけるマイヤー。
そんな彼女の下半身を見て、少々気になることがあった。
「あのさ、マイヤー」
「どしたん?」
「スカート短くない? もっと長くしたらどうなの?」
彼女のスカート丈は、言うなればめちゃくちゃ攻めてるって感じの長さである。
「何言うてん、これが最近の女学生のトレンドやで!」
「でも、もう二十歳……」
「二十歳でも、今は学生なんやからええやん! おとんみたいなこと言わんといてーな!」
「って言うかトウジ、さっきからマイヤーの足ばっかり見過ぎだし?」
そんなことを言って、巨匠のカナトコで作ってあげた、ジュノー専用の制服を身につけ、俺の目の前を飛び回るジュノー。
こいつは、暇だからという理由でマイヤーについていくつもりらしい。
「おいジュノー、誤解を招くようなことを言うなよ」
「事実だし」
「ぐっ」
いや、確かに事実だけどさあ……言葉を選んでくれたって良いじゃないの。
どうやって言い訳しようか悩んでいると、マイヤーが言う。
「まあ視線は知っとったよ? 商人は人の視線に敏感なんやから」
「そ、そうなんだ……」
大胆に晒された生足を、バレないようにチラ見していた自分が恥ずかしい。
でも、理由があるんだ。節度を持てと言いたいんだ。
「まっ、いきなりブレザー貸してって言うレベルの変態やし、うちは気にしとらんよ?」
「うぐぐ」
とどめの一言である。
やっぱりこの間のことで変態だって思われていた。ぐぬぬ、ぬぬぬぬぬぬ~。
「にゃはは、三十路のおっさんにサービスサービス!」
「あたしもサービスするし!」
スカートをファサファサさせながら、俺をからかって遊ぶマイヤーとジュノーだった。
女の子って、怖い!
「あかん、なんか自分でやってて恥ずかしくなってきたわあ!」
「あははは、マイヤー顔真っ赤だし!」
彼女達は気にしてないような素振りをしているのだが、マジで気をつけていこう。
むっつりスケベだと思われるのは、本当に勘弁なんだ。
◇ ◇ ◇
そんな和気藹々とした朝の一幕があった後、ポチとゴレオを連れて冒険者ギルドへ。
今回の目的は、成長武器に必要な素材、グロウ鋼の依頼だ。
どうせグロウ鋼を探すなら、依頼ありきで探した方がお得だよねってことで、ポチやゴレオと手分けしてずーっと探しているのだけど……なかなか見つからない。
そろそろ面倒になってきたので、受付に適当な採取依頼を持っていき、尋ねることにした。
「おはようございます~」
「あ、おはようございます、トウジさん。先日は色々と申し訳ありませんでした」
「いえいえ、大丈夫です」
依頼の紙を持っていくと、あの義憤マンの担当である受付の女性に、丁寧に頭を下げられた。
特に何も言われないところを察するに、義憤マンは大人しく口を噤んでいると見た。
まあ、余計なことを喋ったとて、俺には証人もいるし、墓穴を掘るのは向こうである。
「フリーの採取採掘依頼ですね? 依頼受付の方、承ります!」
このフリーの依頼というのは、常に需要がある、採取・採掘素材の依頼だ。
ギルドが管轄し、素材を回収して後付けで受けても構わない形のもの。
「「そうだ」」
グロウ鋼について聞こうとしたら、彼女と声が被ってしまった。とりあえず先に譲るとしよう。
「どうぞ」
「あ、ありがとうございます。業務報告みたいなものなのですが、今後は私がトウジさんの担当受付となりましたので、よろしくお願いします」
「えっ」
それを聞いて、ギルドは正気かと思った。
つい先日、ちょっとゴタついたばっかりだろうに……。
この人、義憤マンの担当らしいから、すごく嫌な予感がする。
「本当ですか……?」
「はい、本当ですよ」
「あの義憤マ、じゃなかった……他に担当している冒険者さんもいるんですよね?」
「まあそうですが、評価の高い人を複数担当するのは、珍しくもなんともないですよ」
評価が高い? 義憤マンが?
何かの間違いでは……と思った。
ただ、言動からしてルールは守っている気がするし、依頼をしっかりこなしているならば、割と評価が高いのかもしれない。
Cランクへの昇格依頼の時、ギルドは俺とイグニールの行動を見て、正しく評価してくれた。
正論、という意味では、義憤マンの言っていることもぶっちゃけ間違いではなく、一理あったりするんだよなあ……。
無駄に噛み付いてトラブルを引き起こすのは、減点対象だとは思うけど。
「あの時のお詫びに、私が良い依頼を厳選して、トウジさんに回していきますので!」
「と、とりあえずわかりました」
「よろしくお願いしますね! 頑張って一緒にAランクを目指していきましょう!」
「は、はい……」
熱意は十分。しかし嫌な予感を拭えない、そんな気分である。
「おっと、自己紹介がまだでしたね。私はエリナと言います。気軽にエリーと呼んでいただいて構いませんからね!」
「わ、わかりました、エリナさん」
……エリナ、かあ。
名前で人を決めつけるつもりはないのだが、あのヤバい女――エリカを思い出す名前だった。
「んもう、エリーって呼んでくれて良いのに……」
猫なで声で、少し頬を膨らませるエリナ。
ゾワワワワと、何かが背筋を撫でた。
なんだか、どことなく髪型とか顔立ちも、エリカに似ている気がしてきたぞ……。
助けてくれ、ポチとゴレオ。
心の平穏を取り戻すべく、俺の愛すべき家族に助けを求めると。
「……ォン」
「……!」
あいつら、ギルドの壁にかけられている絵画を見て、まったり過ごしていた。
──この絵、たまらんな。
──そうですね。
そんな感じのやり取りをしているようである。
くそっ、お前らまったく絵に興味ないだろ。
小さいもふもふは料理バカだし、大きいゴツゴツはぬいぐるみとか可愛いもの好きだ。
「面倒臭そうな雰囲気を察して逃げやがったな、薄情者め」
まあいい、要は俺がトラブルに気をつけていれば良いだけだ。
可能な限り淡白な関係を築き上げておけば良いのである。
それに担当がつけば、目標としているAランクに近づくじゃないか。
話を聞く限り、彼女は俺がAランクになれるよう、意気込んでいるようだし。
さらに、俺の知り得ない情報を、ギルド経由で調べてもらったりできるんだ。
この際、名前がちょっと似てるだけの別人だと割り切って考えよう。実際に別人だろうしね。
そんなことを考えながら、俺は聞きそびれていたことを尋ねた。
「エリナさん、グロウ鋼って、どこで取れるかわかりますかね?」
「グロウ鋼ですか?」
「はい」
「それなら確か、北の山脈に棲息する魔物のどれかに、くっついてると思いますよ」
「く、くっついてる?」
思わぬ一言に、少し驚いた。
「はい。魔物に寄生することで、魔力や生命力を吸い取り成長していく鉱物ですから」
「な、なるほど……」
最終的には、鉱石の大きさが寄生先を上回って押しつぶすそうだ。
大きくなったグロウ鋼は勝手に割れて、再び魔物に寄生し増えていくらしい。
……そ、それって本当に鉱石なのか?
石の範疇を超えている気がするのだが、異世界だから仕方がない。
とんでもねぇな、まったく。
「あと、ウーツって、どこにあるかわかります?」
ついでとばかりに色々と聞いてみる。
「ウーツ……ちょっと待ってください、ウーツ、ウーツ……すいません、わかりません」
「いえ、大丈夫ですよ」
グロウ鋼の情報が聞けただけでも御の字だ。
ウーツはヒヒイロカネを作るための材料なので、価値もまさに伝説級なのだろう。
知らないで当たり前の存在なのかもしれない。
ちなみに、今聞いた二つ以外は地味に全て揃っている。
玉鋼なんて、普通の鋼鉄に錬金素材を追加すればすぐできるし、白金はこの世界に流通している白金貨だからね。
「とにかくグロウ鋼は北の山脈ですか……」
ライデンとの約束の日まで十日。
あまりこの手は使いたくないのだが、ワシタカくんに頼めばひとっ飛びだ。
往復六時間、俺が我慢するだけで、乗合馬車分の時間は短縮できる。
ちなみにもっと早く飛べるそうだが、俺が落ちてしまうとのこと。
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