装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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5巻

5-3

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 〔私と賢者と勇者と聖女で、過去に収めた世界の大過たいか
 〔それが再び世界を暗闇に包もうとしているならば、阻止して欲しい〕
 〔私達が作った未来を、私の子供らとともに救って欲しいと切に願う〕
 どうやら、彼は異世界で子供を作り、永住したらしいね。
 そんな雰囲気が、この文章から伝わってきた。
 〔ダンジョン達がいくつ目覚めているのかもわからないが、中には話が通じる奴もいる〕
 〔賢者が仲良くなっていた、深海の塔のダンジョンコアは、賢者の装備を保管している〕
 〔身内に賢者がいるならば、深海の塔にいる引きこもりを訪ねてみると良い〕
 〔いつも憂鬱ゆううつそうにしている彼女の要望を叶えてやれば、賢者の装備をくれるかもしれん〕
 ん? ちょっとだけ違和感があった。
 でも、とにかく全てを読み終えてから考えよう。
 〔さて、最後に加護刀本来の使い方を説明しておく。あのままだとただの上等な刀でしかない〕
 〔まずはレベルを100まで上げて使い、その身に馴染なじませることで強くなる〕
 〔グロウ鋼によってわざと下げられていたヒヒイロカネの真価は、そこから発揮される〕
 〔刀としての限界を突破し、さらに強く、絶対に折れることのない刀身に至るだろうな〕
 成長武器が、成長ボーナスによってそこそこ強くなるのは知っている。しかし記述的には、もっと強くなりそうな感じだった。
 〔また加護の使い方だが、諸刃もろはの剣にもなりかねないので、使い所はしっかり考えておけ〕
 〔レベルを対価に、精霊・霊獣の分体が力を貸してくれる〕
 〔この場合、精霊・霊獣との絆によっては、痛いしっぺ返しを食らう可能性を忘れるな〕
 え、これって霊装装備の使い方だよな?
 普通は魔物を倒して霊気を蓄積し、呼び出すんじゃないのか?
 詳しく見てみると、レベルを消費して、霊気を溜めた時のような効果を発揮するらしかった。
 本には、一分間だけ力を貸してくれると書かれている。
 必要なレベルは、レベル50までは3レベル。50~100までは2レベルで、100以上は1レベル。なかなかに重たいコストである。
 この世界では、レベルってかなり重要な要素だからね。
 しかし、霊気を溜める以外の方法を知れたのは大きい。気軽には使えないけど、ピンチの時には役立つ知識だった。

「なんか、とんでもない事実ばっかりだなあ……」
「え、なになに? なんて書いてるし!」
「ちょっと待って、色々情報多くて整理できてないから」

 この他にも、いくつか気になっている要素があるのだが、大事なことがたくさん書かれていて、頭の中がまとまらないのである。

「ふあ……なんか早起きした分、眠たくなってきた……」
「ちょっと待つし! あたしは気になって眠れないし!」

 生活リズムが崩れてしまう要因なのだが、とりあえず一睡しておくか。

「仮眠だ、仮眠するよ一旦」

 寝るにはやや早い時間だけど、今日は休日扱いだから良いだろう。


       ◇ ◇ ◇


「……んぁ?」

 早く寝たからかもしれないが、変な時間に目が覚めてしまった。
 毛布がしっかりかかっているところを見ると、ポチがかけてくれたのだろう。

「ありがとうポチ……ってあれ、ポチ?」

 いつもなら一緒に寝ているはずのポチが隣にいなかった。
 もふもふと温もりが恋しい。
 寝る時は一緒だって言ってんのに、朝食の仕込みでもしているのだろうか。
 基本的に、みんなが寝るまでポチは寝ないからね。
 家政婦コボルト。いや、みんなのおかんである。

「んぐすーぅ」

 なんの音かと思ったらジュノーだった。
 俺の枕を奪い、そこをベッドとして寝ている。ようやく暗がりに目が慣れてきた。

「……もー、自分の部屋で寝ろよ」
「んあー、もう食べられないしパンケーキ……あ、いやまだ食べれるっぽいマジで」
「……夢の中でもめでたい奴だな……」

 起こしてもうるさいだけなので、そのまま寝かせておくことにした。

「トイレ行こ」

 もう一睡しようと思ったら急にトイレに行きたくなったので、そんな独り言をつぶやきながらドアを開けて廊下ろうかに出る。
 リビングの方からあわい明かりが漏れている。おそらくポチだ。

「遅くまでご苦労さんだなあ……ふあぁ……」

 欠伸あくびをしながら用を済ませて、自分の部屋へ戻ろうと、再び廊下を通ったその時である。
 ──パキパキ、ピキピキ。
 廊下の奥の暗闇から、石にひびが入って割れてしまったような音が、不気味に響いた。
 確か、廊下の先には無限採掘場に続く、二階層への階段がある。

「……え、なんの音? こわっ」

 眠気も吹っ飛ぶほど、怖くなってきた。
 まさか、霊的なアレか?
 いや、でも、俺霊感とかないし、そういうのは信じてないぞ。

「ないないないない、そういうの信じてないから」

 でも、ここは、似たような存在である精霊やアンデッドが普通に存在する異世界。
 いないことの証明をする方が、逆に難しいのである。つまりいる。

「いやいやいやいや、それだったらジュノーが気付くだろ? ハハハ……」

 ダンジョンへの不法侵入者だぞ、早く対処しろよって話だ。
 だったらゴレオだろ、ゴレオしかいない。
 あいつ、昨日はアマルガムのある無限採掘場に、ずーっとこもってたみたいだからね。
 石がピキピキしてる音も、ゴレオの体を構成する石が擦れる音だって。

「な、なんだよビビらせんなよ……ゴレオォ……」

 二十九歳にもなって、幽霊が怖いってちょっと恥ずかしくなった。

「まったく……」

 無駄に独り言を呟きながら、俺は暗闇の中を進んでいく。
 ゴレオはもしかして、今日一日ずっと二階層にいたのだろうか。
 そっとしておくつもりだったけど、団欒だんらんは大事だぞ、と一言告げよう。
 考え過ぎても毒だから、ほどほどにしておけよ、ってね。

「おーい、ゴレオー」

 名前を呼びながら階段を降りていくと、真っ白な彫像の後ろ姿が見えた。
 暗闇の中、淡くぼんやりと光る彫像は、女性の姿をしている。

「……え?」

 ゴレオ……じゃないよな、どう見ても。
 あんなもん、うちにあったっけな? 寝ぼけてるのかな?
 目を擦ってもう一度見てみると、彫像がいきなり動き出した。
 ピキピキと音を立てながら、首がゆっくりと俺の方へ向く。

「え? は? 待て待て待て、俺からは何もアクション起こしてないだろ!」

 幽霊だとしても、そっちから来るのは反則だろ!
 ジッとしといてくれれば、見なかったことにして今日はもう寝るから許してくれ!

「つーかゴレオだろお前! 絶対ゴレオ! マジよくわかんないことしたら怒るぞ!」
「…………」

 俺の問いかけには無反応で、ゆっくりと振り向く彫像。
 えっと、その……ゴレオだよね? ゴレオですか?

「……なんか言えよ、もー!」

 めっちゃ怖くなってきて、思わず大声が出てしまった。
 弱い犬ほど良くえるというが、恥ずかしながら今の俺がそう。

「……!」

 叫んだ瞬間、彫像がゴゴッと、ビクついたように激しく体を動かす。
 そしたら体に亀裂が入って、石でできた指とか、髪とか、肩とか、各パーツがボロボロボロと砕けて崩壊していった。
 カタカタカタカタ。
 崩壊した彫像の残骸ざんがいが、激しく動いて音を立てている。

「ひっ」

 何、なになになになに! 俺何かした? 何もしてないよね!
 最後に、ごとりと首がもげて頭部が床に転がった。

「……」

 彫像と目が合う。
 淡い光を放つ彫像の顔は、思わずれてしまいそうな美しい女性の顔だった。
 しかし、それは平時であればの話である。

「ほわああああああああああああああ──!!」

 ニタリ……とゆっくり表情を変えた彫像の姿に、俺はそのまま卒倒した。


       ◇ ◇ ◇


「──あああああああああああああああああ!!」

 ガバッと起きると、ベッドの上だった。

「ォン!?」

 隣にはポチがいて、俺の叫び声に驚いて飛び起きる。
 ジュノーは枕の下に埋もれて、「パンケーキの中しゅごぉい」と、まだ夢見心地。
 彼女の夢も気になるが、そんなことよりも――。

「……って、あれ、夢?」

 ベッドにいるってことは、あれは夢だったのだろうか?
 思考がまとまらない。それだけ強烈な悪夢だったってことか。

「まあ、起きるか」

 夢の続きを見てしまいそうなので、起きることにする。

「ォン」
「ポチは寝ててもいいよ? 俺は日課の採掘と採取をするだけだから」
「アォン」

 いつも俺より先に起きるポチがまだ寝ていたってことは、かなり早い時間だってことだ。
 ダンジョン部屋を出て、間借りしている部屋に向かい、窓を開けて朝日を浴びる。
 肌寒さを感じるってことは、季節的にはそろそろ冬が始まるのだろうか?

「いや、北国だから寒いだけだな」

 水を飲みながら二階層への階段を降りていると、正面からゴレオが上がってきた。

「おはよう、ゴレオ」
「……!」

 挨拶あいさつすると、手を振り返してくれるゴレオ。
 うむ、どこも変わらない、いつものゴレオである。
 夢で見た彫像は、どことなくいつぞやのメイドゴレオに似た顔立ちだったのだが、さすがに自分で彫ったわけじゃあるまい。

「調子はどう? 悩みは解決した?」
「……!」

 グッとガッツポーズを取るゴレオは、なんだかスッキリとした雰囲気をしている。
 そうかそうか、無事に解決したみたいで何よりだ。

「みんな心配してたんだぞ? 俺だってゴレオの悩みを考え過ぎて、なんだか変な夢を見ちゃったくらいだしさ……」
「……」

 そう告げると、ゴレオは何やらモジモジとして、恥ずかしそうにした。
 何を恥ずかしがっているんだ。
 気を使わせてしまったってことを気にしてるのかな?
 だったらまったく問題ない。
 俺はゴレオの主人なんだから、ゴレオの悩みは俺の悩みでもあるんだから。

「今日からまたギルドの依頼を受け始めるけど、行ける?」
「……」

 コクリと頷くゴレオ。
 相変わらず、首の関節がゴリゴリ音を立てている。
 もはやそのゴリゴリ音が、たまらなくゴレオらしいよな、と感じた。

「んじゃ、俺は朝の日課を済ませてくるよ。ポチとジュノーは俺の部屋だからね」
「……!」

 バイバイと手を振り合って、俺は無限採掘場へと向かった。
 今日も一日、頑張って行きまっしょい。




 第二章 商業区画のパンダ女


 日課を済ませ、ポチの用意してくれた朝飯を食べたら、みんなで揃って家を出る。
 俺は冒険者ギルドへ依頼の物色に。
 灰色のブレザーを着たマイヤーは、今日は朝から学校とのこと。

「南蛮、大人しゅうしとくんやで? ただし、泥棒どろぼうが来たらコテンパンや!」
「コケッ!」

 いつも留守番の役目を請け負うストロング南蛮に、そう言いつけるマイヤー。
 そんな彼女の下半身を見て、少々気になることがあった。

「あのさ、マイヤー」
「どしたん?」
「スカート短くない? もっと長くしたらどうなの?」

 彼女のスカートたけは、言うなればめちゃくちゃ攻めてるって感じの長さである。

「何言うてん、これが最近の女学生のトレンドやで!」
「でも、もう二十歳……」
「二十歳でも、今は学生なんやからええやん! おとんみたいなこと言わんといてーな!」
「って言うかトウジ、さっきからマイヤーの足ばっかり見過ぎだし?」

 そんなことを言って、巨匠のカナトコで作ってあげた、ジュノー専用の制服を身につけ、俺の目の前を飛び回るジュノー。
 こいつは、暇だからという理由でマイヤーについていくつもりらしい。

「おいジュノー、誤解を招くようなことを言うなよ」
「事実だし」
「ぐっ」

 いや、確かに事実だけどさあ……言葉を選んでくれたって良いじゃないの。
 どうやって言い訳しようか悩んでいると、マイヤーが言う。

「まあ視線は知っとったよ? 商人は人の視線に敏感なんやから」
「そ、そうなんだ……」

 大胆に晒された生足を、バレないようにチラ見していた自分が恥ずかしい。
 でも、理由があるんだ。節度を持てと言いたいんだ。

「まっ、いきなりブレザー貸してって言うレベルの変態やし、うちは気にしとらんよ?」
「うぐぐ」

 とどめの一言である。
 やっぱりこの間のことで変態だって思われていた。ぐぬぬ、ぬぬぬぬぬぬ~。

「にゃはは、三十路みそじのおっさんにサービスサービス!」
「あたしもサービスするし!」

 スカートをファサファサさせながら、俺をからかって遊ぶマイヤーとジュノーだった。
 女の子って、怖い!

「あかん、なんか自分でやってて恥ずかしくなってきたわあ!」
「あははは、マイヤー顔真っ赤だし!」

 彼女達は気にしてないような素振りをしているのだが、マジで気をつけていこう。
 むっつりスケベだと思われるのは、本当に勘弁なんだ。


       ◇ ◇ ◇


 そんな和気藹々わきあいあいとした朝の一幕があった後、ポチとゴレオを連れて冒険者ギルドへ。
 今回の目的は、成長武器に必要な素材、グロウ鋼の依頼だ。
 どうせグロウ鋼を探すなら、依頼ありきで探した方がお得だよねってことで、ポチやゴレオと手分けしてずーっと探しているのだけど……なかなか見つからない。
 そろそろ面倒になってきたので、受付に適当な採取依頼を持っていき、尋ねることにした。

「おはようございます~」
「あ、おはようございます、トウジさん。先日は色々と申し訳ありませんでした」
「いえいえ、大丈夫です」

 依頼の紙を持っていくと、あの義憤マンの担当である受付の女性に、丁寧に頭を下げられた。
 特に何も言われないところを察するに、義憤マンは大人しく口をつぐんでいると見た。
 まあ、余計なことをしゃべったとて、俺には証人もいるし、墓穴を掘るのは向こうである。

「フリーの採取採掘依頼ですね? 依頼受付の方、うけたまわります!」

 このフリーの依頼というのは、常に需要がある、採取・採掘素材の依頼だ。
 ギルドが管轄し、素材を回収して後付けで受けても構わない形のもの。

「「そうだ」」

 グロウ鋼について聞こうとしたら、彼女と声が被ってしまった。とりあえず先に譲るとしよう。

「どうぞ」
「あ、ありがとうございます。業務報告みたいなものなのですが、今後は私がトウジさんの担当受付となりましたので、よろしくお願いします」
「えっ」

 それを聞いて、ギルドは正気かと思った。
 つい先日、ちょっとゴタついたばっかりだろうに……。
 この人、義憤マンの担当らしいから、すごく嫌な予感がする。

「本当ですか……?」
「はい、本当ですよ」
「あの義憤マ、じゃなかった……他に担当している冒険者さんもいるんですよね?」
「まあそうですが、評価の高い人を複数担当するのは、珍しくもなんともないですよ」

 評価が高い? 義憤マンが?
 何かの間違いでは……と思った。
 ただ、言動からしてルールは守っている気がするし、依頼をしっかりこなしているならば、割と評価が高いのかもしれない。
 Cランクへの昇格依頼の時、ギルドは俺とイグニールの行動を見て、正しく評価してくれた。
 正論、という意味では、義憤マンの言っていることもぶっちゃけ間違いではなく、一理あったりするんだよなあ……。
 無駄に噛み付いてトラブルを引き起こすのは、減点対象だとは思うけど。

「あの時のお詫びに、私が良い依頼を厳選して、トウジさんに回していきますので!」
「と、とりあえずわかりました」
「よろしくお願いしますね! 頑張って一緒にAランクを目指していきましょう!」
「は、はい……」

 熱意は十分。しかし嫌な予感をぬぐえない、そんな気分である。

「おっと、自己紹介がまだでしたね。私はエリナと言います。気軽にエリーと呼んでいただいて構いませんからね!」
「わ、わかりました、エリナさん」

 ……エリナ、かあ。
 名前で人を決めつけるつもりはないのだが、あのヤバい女――エリカを思い出す名前だった。

「んもう、エリーって呼んでくれて良いのに……」

 猫なで声で、少し頬をふくらませるエリナ。
 ゾワワワワと、何かが背筋をでた。
 なんだか、どことなく髪型とか顔立ちも、エリカに似ている気がしてきたぞ……。
 助けてくれ、ポチとゴレオ。
 心の平穏を取り戻すべく、俺の愛すべき家族に助けを求めると。

「……ォン」
「……!」

 あいつら、ギルドの壁にかけられている絵画を見て、まったり過ごしていた。
 ──この絵、たまらんな。
 ──そうですね。
 そんな感じのやり取りをしているようである。
 くそっ、お前らまったく絵に興味ないだろ。
 小さいもふもふは料理バカだし、大きいゴツゴツはぬいぐるみとか可愛いもの好きだ。

「面倒臭そうな雰囲気を察して逃げやがったな、薄情者はくじょうものめ」

 まあいい、要は俺がトラブルに気をつけていれば良いだけだ。
 可能な限り淡白な関係を築き上げておけば良いのである。
 それに担当がつけば、目標としているAランクに近づくじゃないか。
 話を聞く限り、彼女は俺がAランクになれるよう、意気込んでいるようだし。
 さらに、俺の知り得ない情報を、ギルド経由で調べてもらったりできるんだ。
 この際、名前がちょっと似てるだけの別人だと割り切って考えよう。実際に別人だろうしね。
 そんなことを考えながら、俺は聞きそびれていたことを尋ねた。

「エリナさん、グロウ鋼って、どこで取れるかわかりますかね?」
「グロウ鋼ですか?」
「はい」
「それなら確か、北の山脈に棲息せいそくする魔物のどれかに、くっついてると思いますよ」
「く、くっついてる?」

 思わぬ一言に、少し驚いた。

「はい。魔物に寄生することで、魔力や生命力を吸い取り成長していく鉱物ですから」
「な、なるほど……」

 最終的には、鉱石の大きさが寄生先を上回って押しつぶすそうだ。
 大きくなったグロウ鋼は勝手に割れて、再び魔物に寄生し増えていくらしい。
 ……そ、それって本当に鉱石なのか?
 石の範疇はんちゅうを超えている気がするのだが、異世界だから仕方がない。
 とんでもねぇな、まったく。

「あと、ウーツって、どこにあるかわかります?」

 ついでとばかりに色々と聞いてみる。

「ウーツ……ちょっと待ってください、ウーツ、ウーツ……すいません、わかりません」
「いえ、大丈夫ですよ」

 グロウ鋼の情報が聞けただけでも御の字だ。
 ウーツはヒヒイロカネを作るための材料なので、価値もまさに伝説級なのだろう。
 知らないで当たり前の存在なのかもしれない。
 ちなみに、今聞いた二つ以外は地味に全て揃っている。
 玉鋼なんて、普通の鋼鉄に錬金素材を追加すればすぐできるし、白金はこの世界に流通している白金貨だからね。

「とにかくグロウ鋼は北の山脈ですか……」

 ライデンとの約束の日まで十日。
 あまりこの手は使いたくないのだが、ワシタカくんに頼めばひとっ飛びだ。
 往復六時間、俺が我慢するだけで、乗合馬車分の時間は短縮できる。
 ちなみにもっと早く飛べるそうだが、俺が落ちてしまうとのこと。


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