520 / 650
本編
820 様変わりしたアルバート商会
「うわぁ~、なんかすごいし! すごい人だし!」
「そうだな、すごいな」
思ったよりも人が多かったので、ゴレオとコレクトには戻ってもらう。
ゴレオは図体が大きく、コレクトを飛び回らせるのは忍びないからだ。
「じゃ、行くか」
とりあえずそう意気込んてみたは良いものの……。
いったいどこに向かえばいいのやら……。
「トウジ、うろうろしてるけど、どこに行くつもりだし?」
右往左往しているとジュノーが俺のフードを引っ張った。
彼女自身はとにかく中を見て回りたくて仕方ないらしく。
そわそわしている。
「いや、マイヤーの場所なんだけど……」
顔見知りの店員を探せない。
店員に聞こうとしても、他の客の対応をしている。
そんな状況で二進も三進も行かなかった。
「いつもだったら顔パスで通してもらってたんだけどなあ」
ふらっと店に行けば店員が裏に通してくれていた。
待っていたらセバスかマイヤーが来てくれる。
こうして振り返るとかなり特別な対応だったな……。
ありがたや。
「だったらさ、とりあえず海鮮丼食べるし」
「お前さっきの家族の話聞いて食べたくなっただけだろ」
「そうだけど、何もせずうろうろするよりずっとマシだし」
「それもそうね」
突っ立ったままでいるのも邪魔だろうしってことで、その屋台街とやらにさっそく行くことになった。
このアルバート商会サルト支店は、元々の立地が通り2本に面するほどの規模で縦長である。
今までは店舗の奥に、店員たちの居住スペースなどがあった。
そんな奥の間取りが向こうの通りまでぶち抜かれた状態となっている。
屋台街、と言われていた所以。
一階部分の奥半分に、所狭しと出店が立ち並んでいるからだった。
なんとなくだが、仲見世通りという言葉が頭に浮かんだ。
勝手に想像していたフードコートとはまったく違う場所である。
「すげぇな……これ全部アルバート商会でやってんのか……」
大通りにも店は立ち並んでいるけど、それをぐっと中に押し固めた形。
この狭さが良いんだろうか?
確かにぎゅうぎゅうにいろんなものが詰め込まれた状況ってわくわくするしな。
ドンキ○ーテとか、そんな感じだろ。
「なんか暗くて夜みたい。明かりがピカピカしてるし」
「天井があるからそりゃそうだろ」
「店頭の席が空いてなかったら持ち帰り選んで上の階に食べれる休憩スペースがあるみたいね」
イートイン採用ですか。
2階だったら山肌に作られた街であるサルトの景色も味わえる。
「ほな、うちが提供行ってくるわあ!! 2階の5番席やっけ!?」
「お嬢! お子様セットのホットサンドランチだから、おもちゃも持って行って!」
「えーっ! そんなんもつけてんの!? あーほんま忙しい! なんなんこれ!」
店舗前の席が空いてないので、持ち帰りの海鮮丼を頼む列に並んでいると、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「聞いてへんのやけど! いきなりうちの目の前についたと思ったら、間髪入れずに手伝わされるし!」
マイヤーだった。
赤いシャツに黒いスカート姿のマイヤーが、ジュースとホットサンドとおもちゃを載せたトレーを両手にパタパタと人混みを縫ってかけて行くところである。
「トウジ、いたわね」
「うん、いたね」
マイヤーの姿を無事に確認できたことは何よりだ。
「けど、めっちゃ忙しそうだな」
「そうね」
忙しい忙しい言いながらも、なんだかんだ楽しそうに仕事をする。
そんなマイヤーがちょっとイラついているようだった。
「どうやって話しかけようかな……」
「ねえ、あたしに良い案があるし」
「ほう、どんな案?」
「あたしらもお子様セットのホットサンドランチ頼むし!」
「ええ……」
「マイヤーが持ってきてくれるから、会えるし!」
食べたいだけだろ。
忙しそうにしてる状況で、さらにそれを加速させるって迷惑極まりなくないか?
俺がバイトしてた時も、バイト仲間は友達が店に来るのは嫌だって言ってたぞ。
え、なんで俺じゃなくてバイト仲間の話かって?
俺はほら、あれだ。
ネットの世界にしか友達いなかったから……。
そんなことを思ったことはない。
「あと、おもちゃもらえるんだし!」
「狙いそれだったか……」
「ダンジョンコアの収集癖舐めんなし! トウジだって欲しいでしょ!」
「いや俺はおもちゃは別に……」
子供の頃は欲しかったけど。
大人になってみれば、なぜ欲しかったのかわからない。
不思議なもんだ。
「まあ、ゆっくり彼女が休憩に入るのを待ちましょ?」
「そうだね」
イグニールの言葉に頷いて、お子様セットをジュノーに買ってやることにした。
=====
すいません、ここから再び仕切り直しをさせてください。
今まで更新できずにすいませんでした。
この場を借りて、読んでくださる皆様にお詫び申し上げます。
継続は力なり。
しがないウェブ作家の私にできることは毎日コツコツ投稿する。
それを忘れてしまった数ヶ月だったこと。
深く反省し、これからは装備製作系チート、そして皆様に。
真摯に向き合って書いて行く所存であります。
これからも、応援よろしくお願いします。
毎日更新は生活に張りもできますので、続けていきたいです。
長らくお待たせしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。
あなたにおすすめの小説
間違えられた番様は、消えました。
夕立悠理
恋愛
※小説家になろう様でも投稿を始めました!お好きなサイトでお読みください※
竜王の治める国ソフームには、運命の番という存在がある。
運命の番――前世で深く愛しあい、来世も恋人になろうと誓い合った相手のことをさす。特に竜王にとっての「運命の番」は特別で、国に繁栄を与える存在でもある。
「ロイゼ、君は私の運命の番じゃない。だから、選べない」
ずっと慕っていた竜王にそう告げられた、ロイゼ・イーデン。しかし、ロイゼは、知っていた。
ロイゼこそが、竜王の『運命の番』だと。
「エルマ、私の愛しい番」
けれどそれを知らない竜王は、今日もロイゼの親友に愛を囁く。
いつの間にか、ロイゼの呼び名は、ロイゼから番の親友、そして最後は嘘つきに変わっていた。
名前を失くしたロイゼは、消えることにした。
『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた
歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!