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9巻
9-3
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「あ……うん、なに?」
「大丈夫? 何だかとんでもないものを見たって表情をしてたから」
「ごめん」
そりゃそうだ、とんでもない。
まさか、まさかだったよ。
こんなところで、まさかこんなところで……デプリにいるはずの勇者たちを見てしまうなんて思いもしなかった。
そう言えば、サルトの支部長が勇者がギリスに向かいたいと駄々を捏ねていたって話をしていたような、していなかったような……。
ゴブリンネクロマンサー事件が終結して、しばらく時間が経っているが、本当に来ているとはさすが勇者である。
眠っていた邪竜が復活していたとしたら、確かに勇者が来る理由はある。
しかし、それはもう解決しているし、そもそも邪竜復活ってアンデッド災害が起こる前の話だったはず。
遅い、遅過ぎるぞ。
ヒーローは遅れてやって来るとはよく言うが、さすがに一ヶ月以上も待たせちゃダメだ。
一度邪竜と相対した俺にはよくわかる。
一ヶ月もあれば、国が複数滅んでもおかしくない存在だった。
「ほれ、入れい」
イグニールに腕を引かれたまま歩き、俺たちは身に覚えのある場所へと導かれる。
みんなでお菓子を食べた場所だが、前とは少しだけ違っていた。
「あれ? なんか前来た時と違ってるし?」
以前は柱ばかりで何もない空間だったが、テーブルや椅子など色々な家具が設置され、なんとなくリビングのような生活感が漂っている。
「お主らがまた遊びに来た時、殺風景な場所じゃ寂しかろうと思ってのう」
そう言いつつそっぽを向く。
なるほど、俺らのために気を遣って準備してくれたわけか。
いつになるかもわからない再訪問のために準備してくれたとは、ありがたい話である。
「ォン」
「ああ、キッチンね? ほいほい」
映像を見ながらつまめるように、ポチが軽食を準備してくれるそうなので、インベントリから魔導キッチンを取り出して配置した。
前回同様、あっという間にティータイム会場の完成である。
「ポチ! すふれっ! すふれっ!」
「ジュノーっち、すふれとは何かのう?」
「革新的な美味しさのパンケーキだし!」
「ほうほう、それは楽しみじゃのう」
スフレパンケーキを作るとは一言も言ってないのに、甘いもの同盟の二人はスフレを食べる気まんまんで話を進めていた。
「……アォン」
せっかくの再会だし仕方がないと、ポチはため息を吐きながら渋々頷き、彼女たちのためにスフレパンケーキを作り始める。
「して、スイーツが出来上がるまでに状況の説明をしておこうかのう」
「うん」
「奴らはそこいらの冒険者と違って、人数と物資量で迷宮踏破を達成しようとしとる」
先に出された紅茶を飲み、クッキーをハムスターみたいに食べながら、ラブは大きな鏡に映し出された勇者御一行の評価を話す。
「まあ稀に多くの人員と物資を用意して攻め込んでくる冒険者はおるのじゃが、今回は前線に立つ四人が抜きん出とるのう」
――サクサクサクサク。
当たり前だ。
その四人はステータスの暴力とも言っていい、勇者なのだから。
「この四人のサポートを前提とした動きもよくできとるし、後続の神官たちにも油断ならん奴は何人かいると見た」
――サクサクサクサク。
国が勇者たちのためにつけてくれた選りすぐりだから当然だろう。
万が一にも死ぬことがあっちゃいけないのだ。
「で、ラブっち、こいつらどうするし?」
「とりあえず奴らはまだ序盤に差し掛かった段階じゃ」
サクサク、サクサク……。
サクサクサク……。
「この深部の氷城迷宮は、とにかく下に向かえば良い単純構造のダンジョンとは違うのじゃ、ゆっくり残りのクッキーでも食べながら戦略を立ててみようかのう……って、のわ~!」
ラブは急に立ち上がって叫び声を上げる。
「どうした⁉」
「クッキーがもうなくなってしもうた! なくなってしもうたから次のをくれぇ!」
「……おい」
いきなり大声を出して立ち上がったから、どうしたことかとびっくりしたじゃないか。
面倒ごとしか引き起こさないと言えども、相手は勇者。
特別な神の御加護、つまりはご都合主義的な力を持っていて、どういうわけかいきなり最深部に到達し否応なしに戦うことになってしまう可能性だってあるのだ。
運命論者ではないが、完全なる否定はできない。
すったもんだの末に俺が被害に遭って勇者が持て囃される、なんて事態が起こって来たんだからな……。
何かあったらラブを引き連れて撤退かな、と思っていたけど、最深部に眠るラブの父、つまるところ本物のダンジョンコアに何かあるとギリス本土もやばいので、ここはひとつ勇者に一泡吹かせてやることにした。
「ジュノー、ラブ、俺にも何か手伝えないかな?」
倒すことはないが、撤退くらいはさせてやるといった意気込みである。
「急にどうしたんじゃ?」
「いや、ジュノーだけだと心配だし、俺も今後のために学ばせてもらおうかなって」
「むー! 心配ってなんだし! ちゃんとできるし!」
「ごめんごめん、言い方を間違えたよ。俺も学んでおけば、お前の力になれるだろ?」
「だったら良いけど……もぉ~トウジも一緒に遊びたいならちゃんと言ってね?」
「ほいほい」
声を荒らげるジュノーを宥めて、俺もダンジョン防衛に一枚噛むことになった。
「アォン」
そんな話をしている間に、出来上がったふわっふわのスフレパンケーキ。
「わー! スフレだし、スフレー!」
「ふおっ! これがすふれぱんけーきという甘味か! 美味そうじゃの~!」
鏡に映る勇者たちから、一転してスイーツに突進するチビ二人。
頭の中はすっかりスイーツに支配されているようだった。
「……おいおい」
一枚噛むどころか、俺が全部やんなきゃいけないコースじゃないか?
相手は勇者だ、こいつらに任せちゃ絶対とんでもないことになる。
◇ ◇ ◇
「ほら、お前らスイーツ食ってる場合じゃないぞ」
「んし?」
「のじゃ?」
追加でどんどん運ばれて来るケーキを無我夢中で貪り尽くすチビ二人は、クリームを顔中につけたまま俺を見た。
ジュノーに至っては全身クリーム塗れなのだが、いったい何がどうなったらこの有様になるのだろうか。
行儀良く食べないと、ポチにケーキを没収されても知らないぞ。
「とりあえず鏡を見てみろ」
依然として映し出されている勇者たちは、ダンジョン内の魔物やガーディアンをものともせず先に進んでいる。
つまり序盤の敵はすでに相手にならないほどの強さってことだ。
「ラブに取り急ぎ情報を告げておく。あいつらは勇者だぞ」
「ほう、勇者か。すなわち新しく召喚されて来た存在とな?」
「そういうこと」
どうやらある程度は知っているようで、話が早い。
「わしはお主が勇者ではないかと疑っておったのじゃがのう?」
「そんなわけない」
似たような存在だけど、俺には何の加護もないのである。
所詮、勇者に巻き込まれた爪弾き者だ。
「成し得たことはそれ以上じゃから、むしろ誇っても良いと思うがの」
ラブはケーキを口いっぱいにほおばりながらもぐもぐと告げるが、それもない。
邪竜を倒したのは俺の力というより、みんなの力だ。
それに邪竜が弱体化していて運良く凶悪なコンボが決まったってだけ。
全盛期の邪竜だったら、いったいどうなっていたことか。
「お主がそう言うのなら、わしは何も言わんが……まあともかくお主のように倒した敵を全部アイテムボックスに回収して大迷宮を相手に根比べするような輩以外は、敵ではないのう!」
「確かに大迷宮と根比べだなんて、正気の沙汰じゃないわよねえ」
ラブの言葉に納得したのか、イグニールは頷きながら素朴な声で反応していた。
「あれって、そんなにおかしいことなのか?」
リソースが有限である以上、ダンジョン相手には効果的な方法だと思うけど。
「普通の人には無理よ」
「そうだし」
「じゃの」
きっぱりと断言されてしまった。
「トウジのアイテムボックスが特別だってこともあるけど、それ以前に襲撃がいつまで続くかわからない状況で、倒して回収してをずっとこなし続けるなんて、普通は気力が続かないから無理よ」
「異様なまでの集中力じゃのう」
「そう?」
ネトゲの世界じゃ、二十四時間狩りを続けるなんてざらだった。
それにこの世界にはステータスっていう耐久性を上げてくれる便利なものが存在する。
リアルと違って、体力的にまだまだ現役でいられるのだ。
「精神力の問題よ」
「ああね」
ゲーム感覚でできるから、精神的に疲れることもそうそうない。
この世界で生きていく上で、果たしてこのままで良いのか悩みどころだが、それは落ち着いてから考えようか。
「まあ、大丈夫じゃろう」
ラブはシャーベットを手に、わざわざ設置したストーブの前で暖を取りつつ食べるという極めて矛盾した光景を見せつけながら話す。
「邪竜を亡き者にした今、この断崖凍土に敵はおらん」
「そりゃ心強いけど、相手は勇者だぞ?」
そういう王道的な存在って、そいつらの都合が良いように周りの環境やシナリオが動く気がする。
そんな天啓的なものに導かれたら、ひょっとすれば……なんてことになるんじゃないか。
「大丈夫じゃ! 甘味を食べたこのラブちゃんに敵う存在はない!」
「本当かなあ……?」
口いっぱいにシャーベットを頬張りながら、ストーブの前で踏ん反りかえられても、ギャグで言ってるとしか思えない。
「ぬぉぉぉぉおおぉぉ!」
案の定、頭がキーンとしたらしく、苦悶の声をあげて蹲る。
「ふぅ、ふぅ……やっぱり頭キーンってするのじゃー……」
大丈夫だろうか。
ま、まあ長い間ダンジョンコアの代わりを務めてきたんだ。
それなりのノウハウがあるのだろう。
その辺に期待しつつ、色々と勉強させてもらうとしようか。
「ふむ、ではこの甘いもの同盟の愉快なお茶会を邪魔されるわけにはいかんからの、相手の手札を全て見せてもらうことにしようではないか」
勇者たちを映し出す鏡の前でラブが指を鳴らすと、ゴゴゴゴとダンジョンが揺れ始めた。
「何をしたんだ?」
勇者たちの戦闘による衝撃ではなく、ラブが自ら起こしたものだ。
「相手は勇者じゃ、お宝目当ての雑魚ではなく本気で最深部を目指しているならば、本気で相手せねば失礼じゃろう?」
「うん?」
「じゃから、今ある魔力を使い切り、階層氷城の一部を変更したのじゃ! ほれ、これを見よ!」
テーブルの上に氷でできた城の模型が浮き出てくる。
細部にまでこだわった造形の氷の城は、なんとも美しい。
「この断崖凍土は氷でできた大地の中に巨大な城を構えておる。それが階層氷城じゃ」
「なるほど」
目の前にあるものは、その模型らしい。
「構造的には、直下階層型というより区画城層型迷宮の一つかの」
「区画城層型迷宮……初めて聞く言葉だ」
「直下階層型というのは下に階層をどんどん追加していくもんじゃが、区画城層型は簡単に言えば城塞都市のような広がり方をする迷宮じゃの」
「……簡単に言われてもよくわからん」
「まあ内にも外にも層が存在し、そこを繋げる役目を城が担っとる」
大雑把に言うと、階層の中に城があり、その城の中にさらに階層があるというものだった。
極彩諸島もなんだか毛色の違う迷宮だったし、この世界には色々な種類の迷宮があるんだなあと思っておく。
「説明を続けるかの、外の領地迷宮を抜けて、その中にある城下迷宮を進むと、東西南北に第一外壁、第二外壁、そこを抜けると深部に居城があるわけじゃがのう……」
普段はここまで来られる冒険者はおらず、以前の邪竜戦で壊れて、だだっ広い空間になった外壁エリアを五区画に分割したそうだ。
「正解ルートへの選択肢が増えた分、侵攻はかなり遅くなるぞ」
「へえ、そんなことも可能なのか」
つまるところ、ラブの作戦は侵攻を遅らせての兵糧攻めと言ったところか。
古くからある迷宮は、冒険者が地図を作って販売しているため序盤はサクサク行けることもあるのだが、途中からダンジョン内の構造が変わっていたりすると難度は爆上がりする。
なかなかえげつない作戦だが、構造を変更するには大量のリソースを必要とするという欠点があるそうだ。
「直下階層型と比べて管理はややこしいがのう、より入り組んだものを作れるのじゃよ」
「おお~! 勉強になるし! あたしもそれでやろっかな~!」
「最初は無理じゃ。百階層、もしくは領域をもっともーっと拡大してからじゃな!」
真似しようと思っても、簡単に真似できるものじゃないとのことである。
「……トウジ、そろそろ魔装備はやめといて良いんじゃないし?」
ラブの説明に触発されたジュノーが、そんなことを宣う。
「ダメだぞ、ダメダメ」
「えー!」
階層を増やす余力があるとしたら、全部装備に使うんだ。
ギリスに定住するかわからないから、巨大な迷宮を作る気はない。
「それに、もし拡張するとしても直下階層型で良い」
なんとなく楽そうだからである。
「やだっ! 作りたい作りたい作りたいー!」
「よし、ならばパンケーキ、魔装備、ダンジョン拡張から一つだけ選べ」
「ぱんけーき」
「オッケー、決まりだ」
「……甘いもの同盟の盟主に相応しい決断力じゃの、ジュノーっち」
ジュノーの変わり身の早さにジト目になるラブだった。
これぞパンケーキの魔力であり、ジュノーがパンケーキ師匠たる所以よ。
「で、話を戻すがラブ。新しく区画を分けた部分に魔物やガーディアンを配置するのか?」
「いや、とりあえずスイーツ食べるので忙しいから時間だけ稼がせてもらうのじゃ」
「マジで?」
「ぶっちゃけて言えば、こうしてしつこいレベルで入り組ませると、人は勝手に警戒して精神をすり減らし、そのうち諦めて引き返すんじゃよ」
「なるほど……」
いちいちガーディアンや魔物を配置しなくとも勝手に困難を想像して引き返していく。
そんな戦い方もあるのか。
ダンジョンには資源となる人や魔物の侵入が不可欠だから、本来は単純な構造にしておく必要がある。
故に、普段ここまで複雑に迷宮を入り組ませることはないそうだ。
◇ ◇ ◇
ラブから聞いた断崖凍土の簡単な説明をしておこう。
北の海域で島国ともう一つの国を繋ぐようにしてできている断崖凍土の大部分は、領地迷宮と呼ばれる氷の大地と、その地中に存在する無数の縦穴地帯である。
中央部分に階層氷城と呼ばれる氷の城が存在し、デリカシ辺境伯領から船で直通しているのが外壁の一つ前の階層である城下迷宮エリアなのだそうだ。
外側から順に、領地、城下、外壁、居城。
領地迷宮の範囲は、直下階層型と違って階層分けをしていない分、魔物が棲み着きやすいらしいのだが、極寒なので寒さに強い魔物に限られている。
城下迷宮は、魔物よりも冒険者専用の入り口という立ち位置であり、あえて簡単に入れる場所を設けておくことで、好奇心を刺激し冒険者を誘い込んでいるのだ。
魔物は外から勝手に棲み着くようにして、人は別の入り口から特別来場とは、なかなか考えられたダンジョンである。
で、本題に戻る。
現在勇者が突き進んでいるエリアは、城下を超えた居城の手前にある外壁迷宮。
『またガーディアンか! キリがないな!』
『下がって、大魔法で一掃するから!』
『いや温存した方が良い。対処できる限界まで、なんとかしよう!』
『ま、ままま、また大勢来てます!』
大きな鏡には、勇者たちの動向が映される。
ラブの目論見は成功しているようで、城下から侵入してきた勇者たちはかなりの苦戦を強いられているようだった。
「ぬははは、こいつらにはわしの編み出した無限ガーディアン戦法がよく効くのう!」
「無限ガーディアン戦法……ああ、あれか」
倒せば倒すほど、数が倍になってどんどん押し寄せる仕組みである。
俺にはただの養分だったが、他の人にはとんでもなく嫌らしい。
『勇者様、ここは一旦お引きになった方が!』
『ダメだ! ビシャスが言ってただろ、やばい魔物を復活させたって!』
『しかし、事前情報よりも迷宮が入り組んでおり、全貌が掴めません!』
やっぱり地図を持っていたか。
『それでも限界まで行く! 最悪俺ら四人だけになっても良い!』
後方支援を行う神官の一人がそう進言しても、勇者はなりふり構わず進もうとする。
おーおー、勇者してるなあ。
後続の神官たちは苦労していそうだった。
アイテムボックス持ちを連れて来ていたとしても、持てる量には限りがある。
行きで半分以上物資を使ってしまったりしたら、帰りが大変になるのだ。
「なかなか強情じゃのう、さっさと引き返せば良いものを」
ラブはお菓子を食べつつ、まるでテレビ特番を見ているように呟く。
「勇者だから、だろうな」
「そんなもんかの?」
こいつらはお宝目当てで来ているわけではないのだ。
未熟な高校生だから、世界を救うカッコイイ自分に幻想を抱いているのである。
「多分さ、邪竜の一件をどこかで知ったんじゃないかな?」
やばい魔物がどうたらって叫んでいたし、恐らくそうだろう。
いったいどこで知ったのか。
ともかく動機がそこなので、一度引き返すという選択肢は存在しないのだ。
「ふむふむ、ちなみにこの勇者たちはどこで召喚されたんじゃ?」
「デプリだよ」
「なるほど……だったら邪竜の件を知っとるのも頷けるのう……」
忌々しい国の名前を告げると、ラブは何かを察したようだ。
「何が頷けるんだ?」
「デプリといえば、『虚飾の』がおる大迷宮がある。そこの最終守護を任されとる悪意のビシャスが超面倒な奴なんじゃよ。この間の邪竜の一件も、そのビシャカスが封印の一部に細工をしとったから目覚めてしまったんじゃて」
「なるほど」
ビシャカスと蔑むほど、ラブはデプリにあるダンジョンの守護者を嫌っているようだ。
詳しく聞くと、ダンジョンコアの名は虚飾のバニシュと言うそうだ。
デプリに存在する大迷宮の二つ名が虚飾と悪意とは、因果関係を感じる。
断崖凍土のダンジョンコアは憤怒、ラブ自身は愛情の守護者と言っていた。
……二つ名をつけるのが流行ってるのか?
「大丈夫? 何だかとんでもないものを見たって表情をしてたから」
「ごめん」
そりゃそうだ、とんでもない。
まさか、まさかだったよ。
こんなところで、まさかこんなところで……デプリにいるはずの勇者たちを見てしまうなんて思いもしなかった。
そう言えば、サルトの支部長が勇者がギリスに向かいたいと駄々を捏ねていたって話をしていたような、していなかったような……。
ゴブリンネクロマンサー事件が終結して、しばらく時間が経っているが、本当に来ているとはさすが勇者である。
眠っていた邪竜が復活していたとしたら、確かに勇者が来る理由はある。
しかし、それはもう解決しているし、そもそも邪竜復活ってアンデッド災害が起こる前の話だったはず。
遅い、遅過ぎるぞ。
ヒーローは遅れてやって来るとはよく言うが、さすがに一ヶ月以上も待たせちゃダメだ。
一度邪竜と相対した俺にはよくわかる。
一ヶ月もあれば、国が複数滅んでもおかしくない存在だった。
「ほれ、入れい」
イグニールに腕を引かれたまま歩き、俺たちは身に覚えのある場所へと導かれる。
みんなでお菓子を食べた場所だが、前とは少しだけ違っていた。
「あれ? なんか前来た時と違ってるし?」
以前は柱ばかりで何もない空間だったが、テーブルや椅子など色々な家具が設置され、なんとなくリビングのような生活感が漂っている。
「お主らがまた遊びに来た時、殺風景な場所じゃ寂しかろうと思ってのう」
そう言いつつそっぽを向く。
なるほど、俺らのために気を遣って準備してくれたわけか。
いつになるかもわからない再訪問のために準備してくれたとは、ありがたい話である。
「ォン」
「ああ、キッチンね? ほいほい」
映像を見ながらつまめるように、ポチが軽食を準備してくれるそうなので、インベントリから魔導キッチンを取り出して配置した。
前回同様、あっという間にティータイム会場の完成である。
「ポチ! すふれっ! すふれっ!」
「ジュノーっち、すふれとは何かのう?」
「革新的な美味しさのパンケーキだし!」
「ほうほう、それは楽しみじゃのう」
スフレパンケーキを作るとは一言も言ってないのに、甘いもの同盟の二人はスフレを食べる気まんまんで話を進めていた。
「……アォン」
せっかくの再会だし仕方がないと、ポチはため息を吐きながら渋々頷き、彼女たちのためにスフレパンケーキを作り始める。
「して、スイーツが出来上がるまでに状況の説明をしておこうかのう」
「うん」
「奴らはそこいらの冒険者と違って、人数と物資量で迷宮踏破を達成しようとしとる」
先に出された紅茶を飲み、クッキーをハムスターみたいに食べながら、ラブは大きな鏡に映し出された勇者御一行の評価を話す。
「まあ稀に多くの人員と物資を用意して攻め込んでくる冒険者はおるのじゃが、今回は前線に立つ四人が抜きん出とるのう」
――サクサクサクサク。
当たり前だ。
その四人はステータスの暴力とも言っていい、勇者なのだから。
「この四人のサポートを前提とした動きもよくできとるし、後続の神官たちにも油断ならん奴は何人かいると見た」
――サクサクサクサク。
国が勇者たちのためにつけてくれた選りすぐりだから当然だろう。
万が一にも死ぬことがあっちゃいけないのだ。
「で、ラブっち、こいつらどうするし?」
「とりあえず奴らはまだ序盤に差し掛かった段階じゃ」
サクサク、サクサク……。
サクサクサク……。
「この深部の氷城迷宮は、とにかく下に向かえば良い単純構造のダンジョンとは違うのじゃ、ゆっくり残りのクッキーでも食べながら戦略を立ててみようかのう……って、のわ~!」
ラブは急に立ち上がって叫び声を上げる。
「どうした⁉」
「クッキーがもうなくなってしもうた! なくなってしもうたから次のをくれぇ!」
「……おい」
いきなり大声を出して立ち上がったから、どうしたことかとびっくりしたじゃないか。
面倒ごとしか引き起こさないと言えども、相手は勇者。
特別な神の御加護、つまりはご都合主義的な力を持っていて、どういうわけかいきなり最深部に到達し否応なしに戦うことになってしまう可能性だってあるのだ。
運命論者ではないが、完全なる否定はできない。
すったもんだの末に俺が被害に遭って勇者が持て囃される、なんて事態が起こって来たんだからな……。
何かあったらラブを引き連れて撤退かな、と思っていたけど、最深部に眠るラブの父、つまるところ本物のダンジョンコアに何かあるとギリス本土もやばいので、ここはひとつ勇者に一泡吹かせてやることにした。
「ジュノー、ラブ、俺にも何か手伝えないかな?」
倒すことはないが、撤退くらいはさせてやるといった意気込みである。
「急にどうしたんじゃ?」
「いや、ジュノーだけだと心配だし、俺も今後のために学ばせてもらおうかなって」
「むー! 心配ってなんだし! ちゃんとできるし!」
「ごめんごめん、言い方を間違えたよ。俺も学んでおけば、お前の力になれるだろ?」
「だったら良いけど……もぉ~トウジも一緒に遊びたいならちゃんと言ってね?」
「ほいほい」
声を荒らげるジュノーを宥めて、俺もダンジョン防衛に一枚噛むことになった。
「アォン」
そんな話をしている間に、出来上がったふわっふわのスフレパンケーキ。
「わー! スフレだし、スフレー!」
「ふおっ! これがすふれぱんけーきという甘味か! 美味そうじゃの~!」
鏡に映る勇者たちから、一転してスイーツに突進するチビ二人。
頭の中はすっかりスイーツに支配されているようだった。
「……おいおい」
一枚噛むどころか、俺が全部やんなきゃいけないコースじゃないか?
相手は勇者だ、こいつらに任せちゃ絶対とんでもないことになる。
◇ ◇ ◇
「ほら、お前らスイーツ食ってる場合じゃないぞ」
「んし?」
「のじゃ?」
追加でどんどん運ばれて来るケーキを無我夢中で貪り尽くすチビ二人は、クリームを顔中につけたまま俺を見た。
ジュノーに至っては全身クリーム塗れなのだが、いったい何がどうなったらこの有様になるのだろうか。
行儀良く食べないと、ポチにケーキを没収されても知らないぞ。
「とりあえず鏡を見てみろ」
依然として映し出されている勇者たちは、ダンジョン内の魔物やガーディアンをものともせず先に進んでいる。
つまり序盤の敵はすでに相手にならないほどの強さってことだ。
「ラブに取り急ぎ情報を告げておく。あいつらは勇者だぞ」
「ほう、勇者か。すなわち新しく召喚されて来た存在とな?」
「そういうこと」
どうやらある程度は知っているようで、話が早い。
「わしはお主が勇者ではないかと疑っておったのじゃがのう?」
「そんなわけない」
似たような存在だけど、俺には何の加護もないのである。
所詮、勇者に巻き込まれた爪弾き者だ。
「成し得たことはそれ以上じゃから、むしろ誇っても良いと思うがの」
ラブはケーキを口いっぱいにほおばりながらもぐもぐと告げるが、それもない。
邪竜を倒したのは俺の力というより、みんなの力だ。
それに邪竜が弱体化していて運良く凶悪なコンボが決まったってだけ。
全盛期の邪竜だったら、いったいどうなっていたことか。
「お主がそう言うのなら、わしは何も言わんが……まあともかくお主のように倒した敵を全部アイテムボックスに回収して大迷宮を相手に根比べするような輩以外は、敵ではないのう!」
「確かに大迷宮と根比べだなんて、正気の沙汰じゃないわよねえ」
ラブの言葉に納得したのか、イグニールは頷きながら素朴な声で反応していた。
「あれって、そんなにおかしいことなのか?」
リソースが有限である以上、ダンジョン相手には効果的な方法だと思うけど。
「普通の人には無理よ」
「そうだし」
「じゃの」
きっぱりと断言されてしまった。
「トウジのアイテムボックスが特別だってこともあるけど、それ以前に襲撃がいつまで続くかわからない状況で、倒して回収してをずっとこなし続けるなんて、普通は気力が続かないから無理よ」
「異様なまでの集中力じゃのう」
「そう?」
ネトゲの世界じゃ、二十四時間狩りを続けるなんてざらだった。
それにこの世界にはステータスっていう耐久性を上げてくれる便利なものが存在する。
リアルと違って、体力的にまだまだ現役でいられるのだ。
「精神力の問題よ」
「ああね」
ゲーム感覚でできるから、精神的に疲れることもそうそうない。
この世界で生きていく上で、果たしてこのままで良いのか悩みどころだが、それは落ち着いてから考えようか。
「まあ、大丈夫じゃろう」
ラブはシャーベットを手に、わざわざ設置したストーブの前で暖を取りつつ食べるという極めて矛盾した光景を見せつけながら話す。
「邪竜を亡き者にした今、この断崖凍土に敵はおらん」
「そりゃ心強いけど、相手は勇者だぞ?」
そういう王道的な存在って、そいつらの都合が良いように周りの環境やシナリオが動く気がする。
そんな天啓的なものに導かれたら、ひょっとすれば……なんてことになるんじゃないか。
「大丈夫じゃ! 甘味を食べたこのラブちゃんに敵う存在はない!」
「本当かなあ……?」
口いっぱいにシャーベットを頬張りながら、ストーブの前で踏ん反りかえられても、ギャグで言ってるとしか思えない。
「ぬぉぉぉぉおおぉぉ!」
案の定、頭がキーンとしたらしく、苦悶の声をあげて蹲る。
「ふぅ、ふぅ……やっぱり頭キーンってするのじゃー……」
大丈夫だろうか。
ま、まあ長い間ダンジョンコアの代わりを務めてきたんだ。
それなりのノウハウがあるのだろう。
その辺に期待しつつ、色々と勉強させてもらうとしようか。
「ふむ、ではこの甘いもの同盟の愉快なお茶会を邪魔されるわけにはいかんからの、相手の手札を全て見せてもらうことにしようではないか」
勇者たちを映し出す鏡の前でラブが指を鳴らすと、ゴゴゴゴとダンジョンが揺れ始めた。
「何をしたんだ?」
勇者たちの戦闘による衝撃ではなく、ラブが自ら起こしたものだ。
「相手は勇者じゃ、お宝目当ての雑魚ではなく本気で最深部を目指しているならば、本気で相手せねば失礼じゃろう?」
「うん?」
「じゃから、今ある魔力を使い切り、階層氷城の一部を変更したのじゃ! ほれ、これを見よ!」
テーブルの上に氷でできた城の模型が浮き出てくる。
細部にまでこだわった造形の氷の城は、なんとも美しい。
「この断崖凍土は氷でできた大地の中に巨大な城を構えておる。それが階層氷城じゃ」
「なるほど」
目の前にあるものは、その模型らしい。
「構造的には、直下階層型というより区画城層型迷宮の一つかの」
「区画城層型迷宮……初めて聞く言葉だ」
「直下階層型というのは下に階層をどんどん追加していくもんじゃが、区画城層型は簡単に言えば城塞都市のような広がり方をする迷宮じゃの」
「……簡単に言われてもよくわからん」
「まあ内にも外にも層が存在し、そこを繋げる役目を城が担っとる」
大雑把に言うと、階層の中に城があり、その城の中にさらに階層があるというものだった。
極彩諸島もなんだか毛色の違う迷宮だったし、この世界には色々な種類の迷宮があるんだなあと思っておく。
「説明を続けるかの、外の領地迷宮を抜けて、その中にある城下迷宮を進むと、東西南北に第一外壁、第二外壁、そこを抜けると深部に居城があるわけじゃがのう……」
普段はここまで来られる冒険者はおらず、以前の邪竜戦で壊れて、だだっ広い空間になった外壁エリアを五区画に分割したそうだ。
「正解ルートへの選択肢が増えた分、侵攻はかなり遅くなるぞ」
「へえ、そんなことも可能なのか」
つまるところ、ラブの作戦は侵攻を遅らせての兵糧攻めと言ったところか。
古くからある迷宮は、冒険者が地図を作って販売しているため序盤はサクサク行けることもあるのだが、途中からダンジョン内の構造が変わっていたりすると難度は爆上がりする。
なかなかえげつない作戦だが、構造を変更するには大量のリソースを必要とするという欠点があるそうだ。
「直下階層型と比べて管理はややこしいがのう、より入り組んだものを作れるのじゃよ」
「おお~! 勉強になるし! あたしもそれでやろっかな~!」
「最初は無理じゃ。百階層、もしくは領域をもっともーっと拡大してからじゃな!」
真似しようと思っても、簡単に真似できるものじゃないとのことである。
「……トウジ、そろそろ魔装備はやめといて良いんじゃないし?」
ラブの説明に触発されたジュノーが、そんなことを宣う。
「ダメだぞ、ダメダメ」
「えー!」
階層を増やす余力があるとしたら、全部装備に使うんだ。
ギリスに定住するかわからないから、巨大な迷宮を作る気はない。
「それに、もし拡張するとしても直下階層型で良い」
なんとなく楽そうだからである。
「やだっ! 作りたい作りたい作りたいー!」
「よし、ならばパンケーキ、魔装備、ダンジョン拡張から一つだけ選べ」
「ぱんけーき」
「オッケー、決まりだ」
「……甘いもの同盟の盟主に相応しい決断力じゃの、ジュノーっち」
ジュノーの変わり身の早さにジト目になるラブだった。
これぞパンケーキの魔力であり、ジュノーがパンケーキ師匠たる所以よ。
「で、話を戻すがラブ。新しく区画を分けた部分に魔物やガーディアンを配置するのか?」
「いや、とりあえずスイーツ食べるので忙しいから時間だけ稼がせてもらうのじゃ」
「マジで?」
「ぶっちゃけて言えば、こうしてしつこいレベルで入り組ませると、人は勝手に警戒して精神をすり減らし、そのうち諦めて引き返すんじゃよ」
「なるほど……」
いちいちガーディアンや魔物を配置しなくとも勝手に困難を想像して引き返していく。
そんな戦い方もあるのか。
ダンジョンには資源となる人や魔物の侵入が不可欠だから、本来は単純な構造にしておく必要がある。
故に、普段ここまで複雑に迷宮を入り組ませることはないそうだ。
◇ ◇ ◇
ラブから聞いた断崖凍土の簡単な説明をしておこう。
北の海域で島国ともう一つの国を繋ぐようにしてできている断崖凍土の大部分は、領地迷宮と呼ばれる氷の大地と、その地中に存在する無数の縦穴地帯である。
中央部分に階層氷城と呼ばれる氷の城が存在し、デリカシ辺境伯領から船で直通しているのが外壁の一つ前の階層である城下迷宮エリアなのだそうだ。
外側から順に、領地、城下、外壁、居城。
領地迷宮の範囲は、直下階層型と違って階層分けをしていない分、魔物が棲み着きやすいらしいのだが、極寒なので寒さに強い魔物に限られている。
城下迷宮は、魔物よりも冒険者専用の入り口という立ち位置であり、あえて簡単に入れる場所を設けておくことで、好奇心を刺激し冒険者を誘い込んでいるのだ。
魔物は外から勝手に棲み着くようにして、人は別の入り口から特別来場とは、なかなか考えられたダンジョンである。
で、本題に戻る。
現在勇者が突き進んでいるエリアは、城下を超えた居城の手前にある外壁迷宮。
『またガーディアンか! キリがないな!』
『下がって、大魔法で一掃するから!』
『いや温存した方が良い。対処できる限界まで、なんとかしよう!』
『ま、ままま、また大勢来てます!』
大きな鏡には、勇者たちの動向が映される。
ラブの目論見は成功しているようで、城下から侵入してきた勇者たちはかなりの苦戦を強いられているようだった。
「ぬははは、こいつらにはわしの編み出した無限ガーディアン戦法がよく効くのう!」
「無限ガーディアン戦法……ああ、あれか」
倒せば倒すほど、数が倍になってどんどん押し寄せる仕組みである。
俺にはただの養分だったが、他の人にはとんでもなく嫌らしい。
『勇者様、ここは一旦お引きになった方が!』
『ダメだ! ビシャスが言ってただろ、やばい魔物を復活させたって!』
『しかし、事前情報よりも迷宮が入り組んでおり、全貌が掴めません!』
やっぱり地図を持っていたか。
『それでも限界まで行く! 最悪俺ら四人だけになっても良い!』
後方支援を行う神官の一人がそう進言しても、勇者はなりふり構わず進もうとする。
おーおー、勇者してるなあ。
後続の神官たちは苦労していそうだった。
アイテムボックス持ちを連れて来ていたとしても、持てる量には限りがある。
行きで半分以上物資を使ってしまったりしたら、帰りが大変になるのだ。
「なかなか強情じゃのう、さっさと引き返せば良いものを」
ラブはお菓子を食べつつ、まるでテレビ特番を見ているように呟く。
「勇者だから、だろうな」
「そんなもんかの?」
こいつらはお宝目当てで来ているわけではないのだ。
未熟な高校生だから、世界を救うカッコイイ自分に幻想を抱いているのである。
「多分さ、邪竜の一件をどこかで知ったんじゃないかな?」
やばい魔物がどうたらって叫んでいたし、恐らくそうだろう。
いったいどこで知ったのか。
ともかく動機がそこなので、一度引き返すという選択肢は存在しないのだ。
「ふむふむ、ちなみにこの勇者たちはどこで召喚されたんじゃ?」
「デプリだよ」
「なるほど……だったら邪竜の件を知っとるのも頷けるのう……」
忌々しい国の名前を告げると、ラブは何かを察したようだ。
「何が頷けるんだ?」
「デプリといえば、『虚飾の』がおる大迷宮がある。そこの最終守護を任されとる悪意のビシャスが超面倒な奴なんじゃよ。この間の邪竜の一件も、そのビシャカスが封印の一部に細工をしとったから目覚めてしまったんじゃて」
「なるほど」
ビシャカスと蔑むほど、ラブはデプリにあるダンジョンの守護者を嫌っているようだ。
詳しく聞くと、ダンジョンコアの名は虚飾のバニシュと言うそうだ。
デプリに存在する大迷宮の二つ名が虚飾と悪意とは、因果関係を感じる。
断崖凍土のダンジョンコアは憤怒、ラブ自身は愛情の守護者と言っていた。
……二つ名をつけるのが流行ってるのか?
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