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第一章 - 旧友との再会
4 - 絶体絶命
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■国境沿い/アルヴェイの森/無職:ユウ=フォーワード
──ドバッ!
「おわっ!」
地面がめくれ上がるほどの強い一撃。
なんとか回避することに成功したが、その余波によって吹き飛ばされた土砂に巻き込まれる。
「うごっ!」
ぶっ飛ばされて、ボロボロになって転がって、茂みを突き抜けた先にある樹で背中を強打した。
HPは……確認してる暇がないな。
くそ、いちいちステータス開いて確認しないといけないのが面倒くさい。
でもなんとなく軋む身体が教えてくれる。
生きてるけどもうHP1くらいでギリギリ耐えてる状況なんだなって。
「ガアアアアア!!」
レッドオーガは斧を投げつけた俺にヘイトを向けている。
……それでいい。
「来いよレッドオーガ!」
ゴブリンに追われている時、マリアナは二人仲良くデスペナ覚悟もどうでしょうか、なんて冗談めいたことを話していた。
デスペナについての記載はなかったから、無意識の内にログイン地点としてあの木樵小屋が設定されていると思っていたが、妙に現実推しなこのゲームのことを考えると……。
このまま殺されてしまえば、なんだかもう二度と会えなくなるんじゃないかって気がした。
あくまでそんな気がするってだけだから、確定事項ではない。
だけどせっかくプレイヤーとしてのアバターを手に入れたのにすぐ殺されるなんて、あんまりだと思った。
言ったろうに、情が移ってるって。
あれはラストコンテンツ後のテンションが上がった時に雰囲気に任せて言ってしまったことだから、今この場では絶対に言わんが、気持ちが入った女の子を助けたいって思うのは男の心情。
そんでもって、漢のロマンだよな。
「ゴアアア!」
鋭い爪を持った剛腕を振り上げ接近してくるレッドオーガ。
覚悟決めるか……。
骨折の異常状態が入ったのかなんなのかわからないが、すでに右腕の感覚は無かった。
抗うことはできないから、せいぜいヘイトためて完膚なきまでにボコボコにされよう。
そう思った時、──パリン!
レッドオーガの肩に何か飛来して割れた。
「ゴァアアアア!!」
それは木樵小屋からパクってきたガラス製のカンテラだった。
燃料に火種が引火して、レッドオーガの肩が激しく燃える。
「標的はこっちですよレッドオーガ。マスターは殺させませんから」
声の方向に視線を向けると、斧を両手に持ったマリアナがレッドオーガを睨みつけて立っていた。
「マリアナ……なんで……逃げろよ!」
「静かにしてくださいマスター、傷に触りますから」
「いやなに言ってんだよ……この状況でなんで俺のダメージの心配してんだよ!?」
そうじゃないだろ。
レッドオーガだぞ?
ゴブリンよりも遥かに強力なモンスターだ。
ゴブリン1体相手にしても勝てるか勝てないがわからない状況で、そんなもん相手にできるわけない。
最初の攻撃をギリギリ躱せただけでも奇跡だって状況なのに、なんで逃げないだ。
「男を立てろと言いましたが」
俺の言葉を無視して、マリアナは斧を構えてレッドオーガに相対したまま話す。
「……据え膳食べないマスターは男の内には入りませんから」
「はあ?」
この状況で発せられたマリアナの言葉が理解できなかった。
いや、今それいってる場合じゃないだろ。
「ふざけてる場合かよ! 何やってんだお前! くっ、俺がレッドオーガの気を……」
なんとか痛む体を引きずって地面を這いずり。
アイテムボックスを確認して、何かできることはないかと探すが見つからない。
小屋からパクったアイテムを全部マリアナに預けていたのが裏目に出た。
「いいえ、全くふざけていません。いやむしろ──」
わずかに怒気を孕んだ口調でマリアナは言う。
「──こっちがふざけるな! と言い返しておきましょう」
火を消そうと躍起になるレッドオーガを前にして、マリアナはジリジリと間合いを図る。
「なに一人で勝手に囮になろうとしてるんですか? 中二病もいい加減にしてください」
マリアナは斧を握りしめる両手にぎゅっと力を込めてさらに言葉を続けた。
「私はマスターの〈サポートロイド〉です。例え標準搭載されていた機能が使えなくなってしまったとしても、マスターを支援する役目は消えません。囮にして逃げることもしません──ッッ!!」
「マ、マリアナ!!」
レッドオーガは悠長におしゃべりをしているのを待ってはくれない。
標的を俺からマリアナに変えて、怒りを打つけるように攻撃を仕掛ける。
剣帯にさしていたナイフを投げつけ牽制しながら、マリアナは強烈な一撃をなんとか躱すが、やはり俺と同じように衝撃の余波を浴びて吹っ飛ばされる。
「くっ、火傷を負ってもこの威力ですか……ッ!」
少し離れた場所からマリアナの声が聞こえた。
「マスター! 私が引きつけているうちに、なんでもいいのでなんとか起死回生できる案を考えてください!」
「んなこと……いわれても!!」
「ラストコンテンツ含み、様々な超難易度のコンテンツをソロで達成してきたじゃないですか!」
マリアナに鼓舞され、なんとか左手をついて立ち上がりナイフを抜く。
ガクガクと震えるが、太ももを殴ってなんとか止める。
殴った後にHP1だから、これ自爆したかと思ったけど、運良くしななかった。
無職だから素手の攻撃力は防御に相殺されてるとか?
いや、震えは止まってくれたんだから、そんなことはどうだっていい。
なんつーか、最高にダサいな俺。
女の子一人に戦わせるこの状況にではなく。
マリアナは別に諦めちゃいなかったのに、俺は一人で勝手に諦めて一人囮になろうと勝手に思っていた。
それがダサかったし、ムカついた。
「……く、そッッ!!」
どうしたらいい、どうしたらいいんだ!
考えろ、考えろ、考えろ。
こんなレッドオーガなんか、あのラスボスと比べれば格下だろうが!
必死に頭を働かせる。
でも、現実は残酷だった。
轟音が聞こえる。
そして、ガサガサと茂みをぶち破りながら、俺の隣に何かが飛ばされてきた。
「……す、すいませんマスター……」
それはマリアナだった。
かなり強い一撃をまともに受けたのだろうか、マリアナの両腕両足はひしゃげて変な方向に折れ曲がっている。
内臓にもダメージを負っているらしく、喋った拍子に口からゴフッと血を吐き出す。
「マ、マリアナ!! おい、マリアナ!!!」
「私が、ふがいない、ばかりに……マスターに、良い案が浮かぶまで……耐えきれません、でした……」
「もう喋るな!!」
不甲斐ないだって?
どっちがだ。
この状況で一番不甲斐ないのは俺だろうが。
マリアナを傷つけたレッドオーガよりも、自分自身に腹がたった。
こんな絶望的な状況で何もできない。
好きな女を守ることもできない。
自分の無力さだけが、頭を強く打ち付ける。
こんなことになるなら……。
マリアナの言う通りに小屋を拠点にしておけばよかった。
使っていたNPCが来るまで、二人であの小屋で仲良く過ごしてた方が良かった。
咆哮を上げて、俺たちを仕留めに来るレッドオーガの声。
ああ、もう終わってしまうんだな、なんて思うと急に頭の中に走馬灯が流れ出した。
ゲームの世界なのに、リアルとの感覚とは切り離された世界なのに。
こんな感覚までリアルに作り込みやがって。
でも改めて再確認する。
俺の中のマリアナの大切さ。
今までなんだかんだゲームの世界だってことでごまかしてきたけど。
本物だったわ。
せめて、マリアナだけでも守りたかった。
男の心情とか、漢のロマンとか、そんなごまかしたものではなく。
あくまで俺として、だ。
「ゴアアアアアアアア!!!」
最後の一撃が来る。
俺は気を失ったマリアナを抱きしめて目をつぶった──
《プレイヤー情報の収集が完了いたしました。よって、アビリティが解放されます》
「────へ?」
目を開けると。
薄い光の壁みたいなものがレッドオーガの一撃を受け止めていた。
──ドバッ!
「おわっ!」
地面がめくれ上がるほどの強い一撃。
なんとか回避することに成功したが、その余波によって吹き飛ばされた土砂に巻き込まれる。
「うごっ!」
ぶっ飛ばされて、ボロボロになって転がって、茂みを突き抜けた先にある樹で背中を強打した。
HPは……確認してる暇がないな。
くそ、いちいちステータス開いて確認しないといけないのが面倒くさい。
でもなんとなく軋む身体が教えてくれる。
生きてるけどもうHP1くらいでギリギリ耐えてる状況なんだなって。
「ガアアアアア!!」
レッドオーガは斧を投げつけた俺にヘイトを向けている。
……それでいい。
「来いよレッドオーガ!」
ゴブリンに追われている時、マリアナは二人仲良くデスペナ覚悟もどうでしょうか、なんて冗談めいたことを話していた。
デスペナについての記載はなかったから、無意識の内にログイン地点としてあの木樵小屋が設定されていると思っていたが、妙に現実推しなこのゲームのことを考えると……。
このまま殺されてしまえば、なんだかもう二度と会えなくなるんじゃないかって気がした。
あくまでそんな気がするってだけだから、確定事項ではない。
だけどせっかくプレイヤーとしてのアバターを手に入れたのにすぐ殺されるなんて、あんまりだと思った。
言ったろうに、情が移ってるって。
あれはラストコンテンツ後のテンションが上がった時に雰囲気に任せて言ってしまったことだから、今この場では絶対に言わんが、気持ちが入った女の子を助けたいって思うのは男の心情。
そんでもって、漢のロマンだよな。
「ゴアアア!」
鋭い爪を持った剛腕を振り上げ接近してくるレッドオーガ。
覚悟決めるか……。
骨折の異常状態が入ったのかなんなのかわからないが、すでに右腕の感覚は無かった。
抗うことはできないから、せいぜいヘイトためて完膚なきまでにボコボコにされよう。
そう思った時、──パリン!
レッドオーガの肩に何か飛来して割れた。
「ゴァアアアア!!」
それは木樵小屋からパクってきたガラス製のカンテラだった。
燃料に火種が引火して、レッドオーガの肩が激しく燃える。
「標的はこっちですよレッドオーガ。マスターは殺させませんから」
声の方向に視線を向けると、斧を両手に持ったマリアナがレッドオーガを睨みつけて立っていた。
「マリアナ……なんで……逃げろよ!」
「静かにしてくださいマスター、傷に触りますから」
「いやなに言ってんだよ……この状況でなんで俺のダメージの心配してんだよ!?」
そうじゃないだろ。
レッドオーガだぞ?
ゴブリンよりも遥かに強力なモンスターだ。
ゴブリン1体相手にしても勝てるか勝てないがわからない状況で、そんなもん相手にできるわけない。
最初の攻撃をギリギリ躱せただけでも奇跡だって状況なのに、なんで逃げないだ。
「男を立てろと言いましたが」
俺の言葉を無視して、マリアナは斧を構えてレッドオーガに相対したまま話す。
「……据え膳食べないマスターは男の内には入りませんから」
「はあ?」
この状況で発せられたマリアナの言葉が理解できなかった。
いや、今それいってる場合じゃないだろ。
「ふざけてる場合かよ! 何やってんだお前! くっ、俺がレッドオーガの気を……」
なんとか痛む体を引きずって地面を這いずり。
アイテムボックスを確認して、何かできることはないかと探すが見つからない。
小屋からパクったアイテムを全部マリアナに預けていたのが裏目に出た。
「いいえ、全くふざけていません。いやむしろ──」
わずかに怒気を孕んだ口調でマリアナは言う。
「──こっちがふざけるな! と言い返しておきましょう」
火を消そうと躍起になるレッドオーガを前にして、マリアナはジリジリと間合いを図る。
「なに一人で勝手に囮になろうとしてるんですか? 中二病もいい加減にしてください」
マリアナは斧を握りしめる両手にぎゅっと力を込めてさらに言葉を続けた。
「私はマスターの〈サポートロイド〉です。例え標準搭載されていた機能が使えなくなってしまったとしても、マスターを支援する役目は消えません。囮にして逃げることもしません──ッッ!!」
「マ、マリアナ!!」
レッドオーガは悠長におしゃべりをしているのを待ってはくれない。
標的を俺からマリアナに変えて、怒りを打つけるように攻撃を仕掛ける。
剣帯にさしていたナイフを投げつけ牽制しながら、マリアナは強烈な一撃をなんとか躱すが、やはり俺と同じように衝撃の余波を浴びて吹っ飛ばされる。
「くっ、火傷を負ってもこの威力ですか……ッ!」
少し離れた場所からマリアナの声が聞こえた。
「マスター! 私が引きつけているうちに、なんでもいいのでなんとか起死回生できる案を考えてください!」
「んなこと……いわれても!!」
「ラストコンテンツ含み、様々な超難易度のコンテンツをソロで達成してきたじゃないですか!」
マリアナに鼓舞され、なんとか左手をついて立ち上がりナイフを抜く。
ガクガクと震えるが、太ももを殴ってなんとか止める。
殴った後にHP1だから、これ自爆したかと思ったけど、運良くしななかった。
無職だから素手の攻撃力は防御に相殺されてるとか?
いや、震えは止まってくれたんだから、そんなことはどうだっていい。
なんつーか、最高にダサいな俺。
女の子一人に戦わせるこの状況にではなく。
マリアナは別に諦めちゃいなかったのに、俺は一人で勝手に諦めて一人囮になろうと勝手に思っていた。
それがダサかったし、ムカついた。
「……く、そッッ!!」
どうしたらいい、どうしたらいいんだ!
考えろ、考えろ、考えろ。
こんなレッドオーガなんか、あのラスボスと比べれば格下だろうが!
必死に頭を働かせる。
でも、現実は残酷だった。
轟音が聞こえる。
そして、ガサガサと茂みをぶち破りながら、俺の隣に何かが飛ばされてきた。
「……す、すいませんマスター……」
それはマリアナだった。
かなり強い一撃をまともに受けたのだろうか、マリアナの両腕両足はひしゃげて変な方向に折れ曲がっている。
内臓にもダメージを負っているらしく、喋った拍子に口からゴフッと血を吐き出す。
「マ、マリアナ!! おい、マリアナ!!!」
「私が、ふがいない、ばかりに……マスターに、良い案が浮かぶまで……耐えきれません、でした……」
「もう喋るな!!」
不甲斐ないだって?
どっちがだ。
この状況で一番不甲斐ないのは俺だろうが。
マリアナを傷つけたレッドオーガよりも、自分自身に腹がたった。
こんな絶望的な状況で何もできない。
好きな女を守ることもできない。
自分の無力さだけが、頭を強く打ち付ける。
こんなことになるなら……。
マリアナの言う通りに小屋を拠点にしておけばよかった。
使っていたNPCが来るまで、二人であの小屋で仲良く過ごしてた方が良かった。
咆哮を上げて、俺たちを仕留めに来るレッドオーガの声。
ああ、もう終わってしまうんだな、なんて思うと急に頭の中に走馬灯が流れ出した。
ゲームの世界なのに、リアルとの感覚とは切り離された世界なのに。
こんな感覚までリアルに作り込みやがって。
でも改めて再確認する。
俺の中のマリアナの大切さ。
今までなんだかんだゲームの世界だってことでごまかしてきたけど。
本物だったわ。
せめて、マリアナだけでも守りたかった。
男の心情とか、漢のロマンとか、そんなごまかしたものではなく。
あくまで俺として、だ。
「ゴアアアアアアアア!!!」
最後の一撃が来る。
俺は気を失ったマリアナを抱きしめて目をつぶった──
《プレイヤー情報の収集が完了いたしました。よって、アビリティが解放されます》
「────へ?」
目を開けると。
薄い光の壁みたいなものがレッドオーガの一撃を受け止めていた。
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