いっちゃんとオレ

12 いっちゃんが、好き

「いっちゃん、オレ……」

　いっちゃんが起きたのがわかって、ぶわっと涙が出た。恥ずかしいとかバレたとか、いろんな気持ちがゴチャっとなってどんどん涙があふれてくる。

「圭人けいと、泣かないで」
「いっちゃん……」
「それに、……先にこっちをどうにかしたほうがよさそうだし」
「ッ！」

「こっち」って言いながら、いっちゃんの指がオレの股間をスルッと撫でた。それだけでちんこがギンギンに勃ったのがわかる。それに、やっぱり何かがチョロッと漏れたような気がしてますます恥ずかしくなった。

「いっちゃん、そこ、」
「大丈夫、僕に任せて」

　小さなライトが当たってるいっちゃんの顔が、またにっこり笑った。





「いっちゃん、また、出ちゃうって、ばぁ！」
「何度でも出していいよ」
「や……ッ、そこ、触んな、で……ッ」

　オレが出した精液でべちょべちょのままの先っぽを、いっちゃんの指が撫でるようにいじっている。二回出して敏感になった先っぽをいじられるのはつらいのに、いっちゃんの指が触っているんだって思うだけで、オレのちんこはすぐに復活してビクビクし始めた。

「ダメって、また、出る……って、……ッ！」

　ぴゅるっと、また精液が出た。三回目だから、量が少なくて水っぽい気がする。

「駄目って言いながら、ずっと見てる」
「……っ」

　指摘されて恥ずかしくなった。いっちゃんが言ったとおり、オレはずっといっちゃんにいじられている自分のちんこを見ていたんだ。

　肘をついて必死に上半身を起こしてまでも、オレはすっぽんぽんの自分の下半身を見ていた。おいしいご飯を作ってくれる手が、どんなふうにちんこをいじるのか気になって目が離せなかった。オレの髪を整えてくれる指が、ギンギンになったちんこを触っているのを見たかった。オレの精液で濡れた手が、いやらしく動くのを見ていたかった。
　オレを気持ちよくしているのはいっちゃんなんだって、忘れないように頭に焼きつけたかったんだ。

「そんなに必死に見てなくても、これから何度でもシてあげるよ」
「え……？」

　いっちゃんの言葉にびっくりした。隣に寝そべりながら、肘をついて上半身を起こしているいっちゃんの顔を見る。

「それとも、もう僕にされるのは嫌？」

　ライトが逆行になって顔ははっきり見えないけれど、声は何だか寂しそうだ。オレは慌てて首を横に振った。

「そ、そんなことないし！」
「よかった」

　ホッとしたような声に、胸とちんこがキュンとした。
　だって、またこういうことをしてくれるっていうことは、オレのことを気持ち悪くは思っていないってことだ。寝ているいっちゃんの隣で勃起していたオレなのに、嫌われなかったってことだ。

（それに、嫌いな奴のちんこなんて、普通は触らないよな……）

　だから嫌われたわけじゃないんだと必死に思い込もうとした。それどころか、もしかしていっちゃんもオレのことを……なんて、ちょっと期待してしまった。そう思ったら、三回目を出してフニャっていたちんこがギュンと大きくなった。

（……オレ、やっぱりいっちゃんが好きだ）

　いっちゃんがオレのことをどう思っているかはわからないけど、オレは間違いなくいっちゃんが好きだ。ほんの数時間前に気づいたなんて思えないくらい、いっちゃんのことがすごく好きだと思った。そう思っただけでオレのちんこは完全復活だ。

「はは、やっぱり十代は元気だね。三回イッたとは思えないくらい、また元気になった」
「んッ、いっちゃん、待って、」

　ギンギンに勃ったちんこを、またいっちゃんの手がゆるゆる抜き始める。すごく気持ちいいけど、でも、ちょっとだけ待ってほしい。先にちゃんと自分の気持ちを言っておきたいから、だからこれ以上手を動かさないでほしい。

「いっちゃん、待って、」

　このまま流されるのは嫌だ。いっちゃんにはオレの気持ちをちゃんと伝えたい。ただ気持ちいいことがしたかったわけじゃないんだと、ちゃんと知っていてほしかった。

「待って、いっちゃん」

　ようやくいっちゃんの手が止まった。いまのうちに、ちゃんと言わないと。いまを逃したら、もう言えないかもしれない。そう思ったらスルスルと言葉が出てきた。

「いっちゃん、オレ、いっちゃんのことが、好きだ」

　いつもより小さい声になったけど、ちゃんと言うことができた。いっちゃんの顔が近くにあるから、あんな声でも聞こえたはず。

（言った……！　言ってしまった……！）

　これでもしいっちゃんに引かれたとしても、後悔はない。だって、オレがいっちゃんを好きなのは本当のことだから。

「いっちゃんが好き」

　引かれてもいいから、オレがいっちゃんを好きだってことを伝えたかった。一方的な告白になったとしても、オレの気持ちを知ってほしかった。
　……ううん、本当は引かれてもいいなんて思っていない。嫌われたくないって思っている。それに、オレのことを弟みたいに思っているはずのいっちゃんを困らせたくないとも思っていた。

（困らせたくないし、嫌われたくない。でも、好きだって言いたかったんだ……）

　こんな状況で告白してよかったのかなんてわからない。下半身なんて素っ裸だし、ちんこもギンギンのままだ。よく考えたら最低な格好をしている。

「圭人けいと」

　名前を呼ばれて、ちょっとだけ身構えた。
　そういえば、オレから告白したのはこれが初めてだ。いままで数え切れないくらい告白されてきたけど、自分からは初めてだからかめちゃくちゃ緊張してきた。こんなに緊張するものだってわかっていたら、断るときにもう少し優しくしとけばよかったな、なんてことまで思った。

「圭人けいと」

　何を言われるのか考えると怖い。最悪のパターンが頭にどんどん浮かぶ。それでも名前を呼ばれたら見ないわけにはいかなかった。
　オレは窺い見るように、そーっと隣を見た。小さなライトがオレンジ色だからか、いっちゃんの目がほんのりオレンジ色に光って見える。

「圭人けいとに好きって言ってもらえて、うれしいよ」

　いっちゃんの優しい声がした。いつもと変わらない声だし、言い方も変わらない気がする。

「いっちゃん」

　ちょっとだけ期待していっちゃんを見たけれど、いっちゃんの口はそれ以上動かなかった。……そっか。きっとオレを傷つけないようにって考えているんだ。

（……そうだよな）

　抜き合うくらい友達とでもやるって聞くし、それなら兄貴みたいないっちゃんがオレのを抜いてくれたとしてもおかしくはない。きっと、いっちゃんは小さい頃のオレの世話を焼いているみたいな気持ちだったんだ。

（それなのに、オレってば何言い出してんだよ……）

　ちょっとだけ期待していた気持ちが一気にしぼんだ。顔を見ていられなくなって、視線を横にずらす。

「僕も、圭人けいとのことが好きだよ」
「へ……？」

（……え？　いま、オレのこと、好きって言った……？）

　もう一度いっちゃんの顔を見た。それから間抜けにも「オレのこと、好きなの？」って聞いてしまっていた。

「もちろん」

　にこっと笑ったいっちゃんの顔と声に、ぶわっと鳥肌が立った。うれしくても鳥肌が立つことをオレは初めて知った。

「いっちゃん」
「まぁ、こんなことスるくらいだから、好きに決まってるよな」
「えっ、それって、」
「いままでのことを含めてまったく気づいていないところが、圭人けいとらしいけど」
「あッ」

　ちんこをヌチュヌチュ抜かれて力が抜けた。腕の力も抜けて、背中に汗で湿ったシーツが当たる。

「当然僕は、こういう意味でも圭人けいとのことが好きなんだけど」
「あっ、あっ、いっちゃ、」
「ちんこを何度も抜きたくなるくらい好きだし、……それ以上のことをシたくなるくらい、好きだよ」
「ぁんッ」

　ヌルヌルした手で玉を揉まれて、腰がカクカク動いた。オナニーで玉を揉むなんてしたことなかったけど、いっちゃんにされているんだと思うだけでものすごく気持ちよかった。初めての感覚にちんこも玉もゾワゾワする。

「いっちゃん、それ、気持ちいぃ」

　腰をカクカクさせながら、オレはうっとり目を閉じた。

「こっちも、すぐに気持ちよくなるだろうなぁ」
「え？　……んァ!?」
「大丈夫、今日は入れたりしないから」
「いっちゃん、そこ……」

　いっちゃんの指がとんでもないところを触ってきて、慌てていっちゃんの顔を見た。

「指でトントンしただけで、もうヒクヒクしてる」
「いっちゃん、そこ、」
「ここ、トントンしながら抜いてあげようか」

　起き上がったいっちゃんが、オレのちんこを抜きながら、尻の……穴を、また指で触った。トントンしたり、たまにクルクル撫でるみたいにしながら、もう片方の手でちんこをシコシコしている。
　尻の穴なんて風呂で洗うときくらいしか直接触ったことがないし、もちろんオナニーで触ったこともない。それなのに、いっちゃんに触られているってだけで、どうしようもなくムズムズした。いけないことをしているみたいな気がして、一気に興奮した。

「あ、あっ、いっちゃん、出る、また、出ちゃう、」
「いいよ。今度はお尻トントンされながら出そうね」
「ダメ、尻、トントン、ダメだって」
「大丈夫、気持ちいいから」
「ダメってば、」

　何度もダメだって言ったのに、いっちゃんの指は穴をトントンしたままで、ちんこを抜く手もどんどん早くなる。ヌチャヌチャした音が段々大きくなってきて、オレの腰がカクカク動くのまで早くなってきた。
　ダメだ、気持ちがよすぎて何も考えられない。気持ちよすぎるのが怖くなって、ギュッと目を瞑った。同じくらい強い力でぎゅうっとシーツを握る。

「いっちゃん、ダメだってば！」
「圭人けいと」

　いっちゃんの声が近くで聞こえる。オレは目を瞑ったまま、いっちゃんの声とヌチャヌチャした音を聞いた。

「ここに僕のが入るって、想像してみて」
「～～……ッ！」

　穴をトントンされながらそんなことを言われて、オレの腰がグン！　と跳ね上がった。そのまま、四回目の精液がびゅるっと出た。
　カクカク動くオレに合わせて、いっちゃんの手が最後の一滴まで搾り出すように動いている。キュッとなった尻たぶの間で、いっちゃんの指が穴を触ったままなのもわかった。

（そこに、いっちゃんのが、入る……？）

　そう思うだけで、どうしてか穴がギュッと動いた。そんな自分がすごく恥ずかしいのに……気持ちいいって思ってしまった。