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花のように11
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急に環境が変化したからか、キュマの屋敷に来た翌日からクリュスは熱を出してしまった。といっても普段よりも少し高いというくらいで、華街にいたときは解熱薬を飲んで華としての勤めを果たすことができた程度だ。
解熱薬は持って来ていたし服用もした。しかしディニはベッドから出ることを許さなかった。
「駄目だ。ちゃんと寝てて」
そう言ったディニは「俺が世話をするから」と言って粥と果物をベッドまで運び、「あーん」と言って手ずから食べさせた。そんな朝食が済むと「おいしい果物を買ってくるから」と言って街の市場に出かけて行った。
「大した熱ではないと何度も伝えたのに」
口ではそう言いながらも、甲斐甲斐しく世話を焼く姿を思い出すだけで胸がくすぐったくなる。覚束ない手つきを思い出すたびに「なんて初々しいんだろう」と微笑ましくもなった。
(華を辞めたあと、こんなふうに穏やかな日々を過ごせるようになるとは思っていませんでした)
窓の外に視線を向ければキラキラと光る海が見える。ベッドから海が見えることにクリュスははじめ大いに驚いた。二十年近くこの港街に住んでいるものの、ほとんどを華街で過ごしていたため毎日海が見られることが不思議でならない。
こうした生活を幸せに感じ感謝しながらも、クリュスの中にはわずかな不安が燻っていた。
(この幸せも、いつか消えてなくなるのかもしれない)
伯父が亡くなったときのように、ある日突然消えてしまうのではないだろうか。そう思うと幸せだけを感じることはできなくなる。
(……こんなことを考えていては、また叱られますね)
自分を見つめるオレンジ色の瞳を思い出し頭を軽く振る。
「そうだ、ハーブティーを用意しておきましょうか」
ディニが市場に出かけて一時間以上が経つ。そろそろ帰ってくる頃だろう。わざわざ買いに行ってくれたのだから、お礼にハーブティーくらいは用意したい。
そう考えたクリュスは「うろうろしただ駄目だ、なんて叱られそうですけど」と苦笑しながら、茶器と湯をもらうためキッチンに向かうことにした。
(部屋を出て左に行って……突き当たりを右に……)
到着した日、ディニと一緒に湯をもらいに行った道順を思い浮かべながら廊下を進む。そうして角を曲がったところで廊下の先にいる人影に目が留まった。綺麗な赤毛とすらっと伸びた耳に「もしかしてキュマ様の花嫁では」と気がつく。
この屋敷に兎族はキュマの花嫁しかいないと聞いている。ということは、佇んでいる兎族がその花嫁なのだろう。
クリュスの体に自然と力が入った。兎族は同族ではあるものの、アフィーテであるクリュスにとっては他の種族よりも恐ろしい存在だ。しかも相手はキュマの花嫁、名家の花嫁になるくらいの兎族が自分の垂れ耳を見たらどんな反応をするだろうか。
(どうしよう……)
それに花嫁は子を身ごもっている最中だ。ただでさえ目にしたくないアフィーテを見たら気分を悪くするに違いない。もし子に障りでもあれば大変なことになってしまう。
(ハーブティーは諦めよう)
そう判断したクリュスは、足音を立てないように踵を返した。そうしてそっと一歩踏み出したとき「あれ?」という声が聞こえてきて体が震えた。
「もしかして、ディニ様の花嫁?」
声をかけられたのに無視するわけにはいかない。クリュスはできるだけ相手を刺激しないようにと心がけながら、ゆっくりと振り返った。直視してはよくないだろうと視線を落とし、無言で頭を下げる。
「うわ、聞いてたとおり綺麗な兎族だな」
「……!」
顔を覗き込まれて驚いた。まさか近づいてきた挙げ句そんなことをされるとは思っていなかったクリュスは、慌てて一歩下がりながら「す、すみません」と謝る。その様子に「あぁ、大丈夫だから」とキュマの花嫁が微笑んだ。
「アフィーテだからって気にしなくていいから」
「……でも、」
「キュマ様から聞いてるし、僕もアフィーテとは縁があるからさ。何とも思わないよ」
そう言って微笑む顔はとても綺麗なのに、どこか寂しそうに見える。
「寝込んでたって聞いたけど、もう大丈夫なの?」
「はい。少し熱が出ただけなので……」
「わかった、ディニ様が寝てろって言ったんでしょ。ディニ様、花嫁にぞっこんだってキュマ様が笑ってたけど本当だったんだ」
「いえ、そういうわけでは……」
「いいんじゃない? 狼族のほうから強く求められる花嫁なんて最高でしょ。それならたくさん愛されて求められるのが一番だ」
まさかそんなことを言われるとは思わず、クリュスは戸惑った。故郷の両親や兎族たちを思い出し、なぜこの兎族はそんなことを言うのだろうかと困惑する。
(華街で働く兎族ならまだしも、名家の花嫁ならアフィーテを嫌うのが普通のはずなのに……)
いくら狼族が気にしないと言ったとしても兎族はアフィーテを認めない。劣勢種だと蔑み仲間と認めることは絶対にない。これまでの経験でクリュスはそう理解していた。そもそも繁殖力に頼るしかなかった兎族の本能からくるもので、本能を変えることは難しい。
それなのに目の前の綺麗な兎族は何でもないように接してくる。罵倒するでもなく蔑むでもなく、まるで他の兎族にたまたま会ったような雰囲気で言葉をかけてくる。
「そういえば、華街にいたんだってね」
「……はい」
華街という言葉に垂れ耳がピクッと動いた。今度こそ罵倒されるに違いないと覚悟していると、またもや「ここに来てよかったと思うよ」と予想外の言葉をかけられた。
「華街にいたってことでいろいろ言われるかもしれないけど、ディニ様がいいって言ったなら気にしなくていいし。それに、ディニ様についてきたのは正解だと思うよ」
「……そう、でしょうか」
思わず本音が出てしまった。慌てて「いえ、もちろん感謝しています」と続ける。すると綺麗な紺碧の目が「素直になりなよ」と微笑んだ。
「華街出身だからって卑屈になる必要はないって。それにアフィーテだから全部我慢するとか、そんなの変でしょ」
「……でも、」
「ここはキュマ様の屋敷だからね。キュマ様が気にしなくていいって言うなら、アフィーテだろうが華街の人だろうが気にしなくていいんだよ」
「それにさ」と言いながら紺碧の目が廊下の先にある窓に向いた。窓の向こうにはキラキラ光る海があり、空との境界線がわからなくなるほどの青が広がっている。
「我慢しすぎて素直になれないままだと、きっと後悔する。ううん、絶対に後悔する。でも、後悔したときにはもう遅いんだ。だから、周りがいいんだって言うなら素直に受け取ったほうがいい」
「……それは、そうかもしれませんが……」
「だってディニ様のこと、好きなんでしょ?」
窓の外を見ていた紺碧の目が、ちろっとクリュスを見た。一瞬悩んだものの「はい」と小さく頷く。
「好きなら好きって言ったほうがいいよ。アフィーテだから誰かを好きになっちゃいけないってこともないしね」
「そう……ですね」
誰かを慕うことは自然なことなのかもしれない。アフィーテだからとすべてを諦めてきたクリュスは、ほんの少し心が軽くなった気がした。
「それにさ……アフィーテを好きになる人だって意外といるんだよ。アフィーテだから誰にも好かれないなんて思わなくていいんじゃないかな。そうじゃないと、アフィーテを好きになった人も好かれたアフィーテも、つらいだけだと思わない?」
一瞬、紺碧の目が滲んだように見えた。何かに耐えるようにほんの少し細くなり、それからパチパチと瞬いたかと思うと海のようなキラキラした輝きに戻る。
「アフィーテだって幸せになってもいいと思うよ。少なくとも僕はそう思ってる。だから素直になりなよ……後悔しないようにさ」
「じゃあね」と言うと、赤毛を揺らしながら去って行った。
背中を見送りながら、クリュスはふと「もしかして身内にアフィーテがいるのだろうか」と思った。「僕もアフィーテとは縁があるからさ」と口にした直後の寂しそうな表情を思い出すと、あながち間違いではないような気がする。
(だから「後悔しないように」と言ってくれたのかもしれない)
クリュスは初めてアフィーテのそばにいる人のことを考えた。ほとんどは蔑み遠巻きにする人たちばかりのなか、そうではない人もたしかにいる。出会ったときから心配顔を見せていたスキアを思い出し、アフィーテでもいいと言ってくれるディニを思い返し胸が熱くなった。
「ディニ様……」
ただ名前を口にしただけで体がふわっと温かくなった。誰よりも大事な名前だと心の底から思える。そう感じることが愛しいということに違いない。
「ディニ様」
そっとつぶやくクリュスの顔には、玲瓏の華と呼ばれていた頃とは違う可憐な花のような笑みが浮かんでいた。
解熱薬は持って来ていたし服用もした。しかしディニはベッドから出ることを許さなかった。
「駄目だ。ちゃんと寝てて」
そう言ったディニは「俺が世話をするから」と言って粥と果物をベッドまで運び、「あーん」と言って手ずから食べさせた。そんな朝食が済むと「おいしい果物を買ってくるから」と言って街の市場に出かけて行った。
「大した熱ではないと何度も伝えたのに」
口ではそう言いながらも、甲斐甲斐しく世話を焼く姿を思い出すだけで胸がくすぐったくなる。覚束ない手つきを思い出すたびに「なんて初々しいんだろう」と微笑ましくもなった。
(華を辞めたあと、こんなふうに穏やかな日々を過ごせるようになるとは思っていませんでした)
窓の外に視線を向ければキラキラと光る海が見える。ベッドから海が見えることにクリュスははじめ大いに驚いた。二十年近くこの港街に住んでいるものの、ほとんどを華街で過ごしていたため毎日海が見られることが不思議でならない。
こうした生活を幸せに感じ感謝しながらも、クリュスの中にはわずかな不安が燻っていた。
(この幸せも、いつか消えてなくなるのかもしれない)
伯父が亡くなったときのように、ある日突然消えてしまうのではないだろうか。そう思うと幸せだけを感じることはできなくなる。
(……こんなことを考えていては、また叱られますね)
自分を見つめるオレンジ色の瞳を思い出し頭を軽く振る。
「そうだ、ハーブティーを用意しておきましょうか」
ディニが市場に出かけて一時間以上が経つ。そろそろ帰ってくる頃だろう。わざわざ買いに行ってくれたのだから、お礼にハーブティーくらいは用意したい。
そう考えたクリュスは「うろうろしただ駄目だ、なんて叱られそうですけど」と苦笑しながら、茶器と湯をもらうためキッチンに向かうことにした。
(部屋を出て左に行って……突き当たりを右に……)
到着した日、ディニと一緒に湯をもらいに行った道順を思い浮かべながら廊下を進む。そうして角を曲がったところで廊下の先にいる人影に目が留まった。綺麗な赤毛とすらっと伸びた耳に「もしかしてキュマ様の花嫁では」と気がつく。
この屋敷に兎族はキュマの花嫁しかいないと聞いている。ということは、佇んでいる兎族がその花嫁なのだろう。
クリュスの体に自然と力が入った。兎族は同族ではあるものの、アフィーテであるクリュスにとっては他の種族よりも恐ろしい存在だ。しかも相手はキュマの花嫁、名家の花嫁になるくらいの兎族が自分の垂れ耳を見たらどんな反応をするだろうか。
(どうしよう……)
それに花嫁は子を身ごもっている最中だ。ただでさえ目にしたくないアフィーテを見たら気分を悪くするに違いない。もし子に障りでもあれば大変なことになってしまう。
(ハーブティーは諦めよう)
そう判断したクリュスは、足音を立てないように踵を返した。そうしてそっと一歩踏み出したとき「あれ?」という声が聞こえてきて体が震えた。
「もしかして、ディニ様の花嫁?」
声をかけられたのに無視するわけにはいかない。クリュスはできるだけ相手を刺激しないようにと心がけながら、ゆっくりと振り返った。直視してはよくないだろうと視線を落とし、無言で頭を下げる。
「うわ、聞いてたとおり綺麗な兎族だな」
「……!」
顔を覗き込まれて驚いた。まさか近づいてきた挙げ句そんなことをされるとは思っていなかったクリュスは、慌てて一歩下がりながら「す、すみません」と謝る。その様子に「あぁ、大丈夫だから」とキュマの花嫁が微笑んだ。
「アフィーテだからって気にしなくていいから」
「……でも、」
「キュマ様から聞いてるし、僕もアフィーテとは縁があるからさ。何とも思わないよ」
そう言って微笑む顔はとても綺麗なのに、どこか寂しそうに見える。
「寝込んでたって聞いたけど、もう大丈夫なの?」
「はい。少し熱が出ただけなので……」
「わかった、ディニ様が寝てろって言ったんでしょ。ディニ様、花嫁にぞっこんだってキュマ様が笑ってたけど本当だったんだ」
「いえ、そういうわけでは……」
「いいんじゃない? 狼族のほうから強く求められる花嫁なんて最高でしょ。それならたくさん愛されて求められるのが一番だ」
まさかそんなことを言われるとは思わず、クリュスは戸惑った。故郷の両親や兎族たちを思い出し、なぜこの兎族はそんなことを言うのだろうかと困惑する。
(華街で働く兎族ならまだしも、名家の花嫁ならアフィーテを嫌うのが普通のはずなのに……)
いくら狼族が気にしないと言ったとしても兎族はアフィーテを認めない。劣勢種だと蔑み仲間と認めることは絶対にない。これまでの経験でクリュスはそう理解していた。そもそも繁殖力に頼るしかなかった兎族の本能からくるもので、本能を変えることは難しい。
それなのに目の前の綺麗な兎族は何でもないように接してくる。罵倒するでもなく蔑むでもなく、まるで他の兎族にたまたま会ったような雰囲気で言葉をかけてくる。
「そういえば、華街にいたんだってね」
「……はい」
華街という言葉に垂れ耳がピクッと動いた。今度こそ罵倒されるに違いないと覚悟していると、またもや「ここに来てよかったと思うよ」と予想外の言葉をかけられた。
「華街にいたってことでいろいろ言われるかもしれないけど、ディニ様がいいって言ったなら気にしなくていいし。それに、ディニ様についてきたのは正解だと思うよ」
「……そう、でしょうか」
思わず本音が出てしまった。慌てて「いえ、もちろん感謝しています」と続ける。すると綺麗な紺碧の目が「素直になりなよ」と微笑んだ。
「華街出身だからって卑屈になる必要はないって。それにアフィーテだから全部我慢するとか、そんなの変でしょ」
「……でも、」
「ここはキュマ様の屋敷だからね。キュマ様が気にしなくていいって言うなら、アフィーテだろうが華街の人だろうが気にしなくていいんだよ」
「それにさ」と言いながら紺碧の目が廊下の先にある窓に向いた。窓の向こうにはキラキラ光る海があり、空との境界線がわからなくなるほどの青が広がっている。
「我慢しすぎて素直になれないままだと、きっと後悔する。ううん、絶対に後悔する。でも、後悔したときにはもう遅いんだ。だから、周りがいいんだって言うなら素直に受け取ったほうがいい」
「……それは、そうかもしれませんが……」
「だってディニ様のこと、好きなんでしょ?」
窓の外を見ていた紺碧の目が、ちろっとクリュスを見た。一瞬悩んだものの「はい」と小さく頷く。
「好きなら好きって言ったほうがいいよ。アフィーテだから誰かを好きになっちゃいけないってこともないしね」
「そう……ですね」
誰かを慕うことは自然なことなのかもしれない。アフィーテだからとすべてを諦めてきたクリュスは、ほんの少し心が軽くなった気がした。
「それにさ……アフィーテを好きになる人だって意外といるんだよ。アフィーテだから誰にも好かれないなんて思わなくていいんじゃないかな。そうじゃないと、アフィーテを好きになった人も好かれたアフィーテも、つらいだけだと思わない?」
一瞬、紺碧の目が滲んだように見えた。何かに耐えるようにほんの少し細くなり、それからパチパチと瞬いたかと思うと海のようなキラキラした輝きに戻る。
「アフィーテだって幸せになってもいいと思うよ。少なくとも僕はそう思ってる。だから素直になりなよ……後悔しないようにさ」
「じゃあね」と言うと、赤毛を揺らしながら去って行った。
背中を見送りながら、クリュスはふと「もしかして身内にアフィーテがいるのだろうか」と思った。「僕もアフィーテとは縁があるからさ」と口にした直後の寂しそうな表情を思い出すと、あながち間違いではないような気がする。
(だから「後悔しないように」と言ってくれたのかもしれない)
クリュスは初めてアフィーテのそばにいる人のことを考えた。ほとんどは蔑み遠巻きにする人たちばかりのなか、そうではない人もたしかにいる。出会ったときから心配顔を見せていたスキアを思い出し、アフィーテでもいいと言ってくれるディニを思い返し胸が熱くなった。
「ディニ様……」
ただ名前を口にしただけで体がふわっと温かくなった。誰よりも大事な名前だと心の底から思える。そう感じることが愛しいということに違いない。
「ディニ様」
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