身代わりβの密やかなる恋

朏猫(ミカヅキネコ)

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身代わりβの恋の行く先3

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 熱い、熱くてたまらない。早くどうにかしたいのに、どうすればいいのかわからなくて涙が出る。

「千香彦くん、キスをしよう」

 キス……したい。たくさんしたい。息ができなくなってもいいから、修一朗さんとキスがしたい。
 そう思って一生懸命「キス」と口にした。それに応えてくれるかのように修一朗さんが唇に触れて下唇をはむと甘噛みする。

「もうこんなにトロトロだ。これなら今夜の初めても気持ちよくなってもらえそうだね」
「はじめて……?」
「そう、今夜は本当の意味での千香彦くんとの初めてだ。興奮しすぎて、もうノットが出そうになってるよ。これまでずっと我慢してきたせいもあるのかもしれないけどね」

 太ももにぬるっとしたものが当たった。熱くて硬いこれは修一朗さんのだ。毎日のように僕の中に入ってきた、僕を気持ちよくしてくれるもの。
 僕はもう一度キスをしながら必死にそれに手を伸ばした。キスだけじゃなくこれもほしいのだと伝えたくて、ぬるぬるした部分を指で撫で回す。

「……っ。千香彦くん、そんなにしたら入れる前に出てしまうよ。さぁ、今度は僕の番だ。うん……中はちゃんと濡れてるね。ほぐす前から柔らかいし……これならノットまで入れても大丈夫そうだ」

 修一朗さんの指が敏感な場所に触れるだけで腰が震える。ぬちゅぬちゅという濡れた音がいつもより響いて聞こえるのは気のせいだろうか。変な声が出そうになり慌てて手で口を塞ぐと、その手に修一朗さんがキスをした。

「さぁ、手を離して。そうしないとキスできないよ?」
「ん……ふぁ……」
「指一本なんてすぐに入ってしまうね。二本……三本も平気そうだ。あぁ、いじるとこんなにもあふれてくる。それに胸もすぐに尖って、千香彦くんはΩになっても敏感なままだ」

「それとも僕だからこんなに反応してくれるのかな」と言いながら、僕の後ろを指で掻き混ぜ続けている。

「しゅ、いちろ、さん、」
「うん、そろそろよさそうだね。というより、僕のほうが我慢できそうにない」

「後ろを向いて」と言われて、寝返りを打つようにベッドの上を転がった。横向きにはなれたけれど、体に力が入らなくて右を下に寝そべった状態から動けなくなってしまう。

「あぁ、大丈夫。この体勢でも正面からよりは苦しくないはずだ」

 左足を持ち上げられて「ん」と声が漏れた。シーツに肌が擦れるとゾワゾワする。「そのまま力を抜いていて」と言われて小さく頷くと、右足を修一朗さんが跨いだのがわかった。

「あ、ぁ……!」

 グイッと左足を折り曲げられるのと同時に熱い塊をねじ込まれた。後ろが広がっていくたびに快感も広がり、前からぴゅうっと欲望が噴き出す。熱の塊が奥へと進むたびにピュピュッと欲望が噴き出してしまい、僕は「あ、あ、」と声を出すことしかできなかった。

「今夜はノットまで入れるからね。大丈夫、ここもすっかりΩになっているようだから壊れたりはしないよ」
「ぁ……んっ、ん……!」
「ほら、いつもの場所にもすぐに届いた。さぁ、ここからは初めての場所だ」
「ひ! ひ、ぅぁ……しゅ、いち、ぁ、あ!」
「大丈夫、もっと奥まで入るようにきみは変わったんだ。そう……ほら、もう狭いところまで届いた。……っ、そんなに締めつけないで。もっと奥に入ったところで、うなじを噛んであげるから」
「しゅ、ち、ろ、さん」
「大丈夫、息を吐いて……さぁ、狭いところを抜けるよ……っ」
「ひ、ひっ、い……!」
「ふ……っ、はっ、は……あぁ、ここが突き当たりかな。すごく熱くて、ねっとり絡みついてきて……ははっ、もうノットが膨らんでしまった」
「あ、なに、おおき、の、なに、こわ、ぃ」
「大丈夫。こうして膨らむのは、僕が千香彦くんの奥にたっぷり出したいと心も体も思っている証拠だ。あぁ、出すよ、ほら、千香彦くんの一番奥に、ぐ……っ」

 体の奥でびゅう! と何かが勢いよく噴き出した。塊が貫いている出入り口がどんどん膨らんで息が詰まる。持ち上げられた左足がビクビクと震えて、その様子が涙越しの僕の目にも見えた。
 爪先まで揺れている足がゆっくりと下ろされる。まだ後ろに入っているからか、僕は半分うつ伏せのような状態になった。

「千香彦くん……」

 耳元で囁かれてゾクッとした。耳たぶを甘噛みされて、すぐ下の首筋をチュッと吸われる。

「小さい頃のきみからは、ほんの少しだけど香りがしていたんだ。だからきっとΩだと僕は思っていた。それなのに結果はβだった。僕には到底信じられなかったよ」

 再びチュッと吸われ、さらにぺろりと舐められ肌が粟立った。

「しゅ、いちろ、さん、」
「きっときみの奥底にはΩが眠っている、そう思ってずっと見守ってきた。誰かに奪われないように僕の香りを付けた贈り物もした。そのせいで明香莉あかりちゃんに気づかれてしまったけど、彼女はこんな僕をずっと応援してくれていた」

「僕はね、千香彦くんのお守りであり魔除けなんだそうだよ」と笑う吐息が首筋を撫でる。それだけで僕の体はカッと熱くなり、目の前がパチパチと弾けた。

「そして今夜、きみはΩとして花開いた。これで千香彦くんは僕だけのΩになる。僕が望み、きみが願った結果だ。さぁ、願いどおり今夜うなじを噛んで僕だけのΩにしよう」
「しゅ……ろ、さ、」
「あぁ、なんていい香りだろう。でも、この香りを知っているのは僕だけだ。そしてこの先も僕しか知らない。もちろん、体の奥深くも僕しか知らないままだ。さぁ、また僕の欲をしっかり受け止めてくれ」
「あぁ……!」
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