9 / 27
9
しおりを挟む
夕食後、言葉どおり康孝さんは友人が多くいるという英国の話を聞かせてくれた。この国の華族とは違う貴族社会は興味深かったものの、この後のことばかりが頭に浮かんで気もそぞろになる。
「心ここにあらずといった感じだね」
「え? ……あ、いえ、そんなことは」
きっと僕がソワソワしていることに気づいたのだろう。康孝さんの指摘に顔が熱くなった。本当に僕はどうしてしまったのだろうか。想いを交わしてからというもの、こんなふうにはしたないことに気持ちが向くようになってしまった。これでは淫乱なΩだと呆れられてしまうかもしれない。
「あの、ジェントルマンというのはどういった方々なのですか?」
淫らなことに傾きかけていた自分を戒め、先生の話に出てきた言葉の意味を尋ねることにした。ところが康孝さんの反応がない。僕が座る二人掛けのソファとはL字型になるように置かれた一人掛けソファに座ったまま、なぜかじっと僕を見ている。どうしたのだろうと見つめ返すが康孝さんの目は僕を見つめたままだ。
「康孝さん?」
声をかけると、康孝さんが少しだけ身を乗り出した。そのまま左手を僕のほうへと伸ばす。
「ジェントルマンは英国紳士のことだね。言葉自体に“高貴な人物”や“親切な人”という意味がある」
伸びてきた指先が頬に触れた。目尻のあたりを指の腹で撫でられてドキッとする。それだけで顔が赤くなるのは恥ずかしかったけれど、言葉を続ける康孝さんの邪魔をしたくなくてじっと見つめ返した。
「我が国の華族のことをそう呼ぶ人もいるが……少なくとも今のわたしはジェントルマンではないな。こうして珠希くんに触れたくてたまらないのだから」
「あの、」
「珠希くんからいい香りがしている。もしかしてこの後のことを想像したのかい?」
指摘されて耳までカッと熱くなった。はしたない人間だと思われたに違いない。視線を逸らすと、目の下の薄い皮膚をするりと撫でられてうなじがジリッと熱くなる。
「きみの香りはたまらなくわたしを惹きつける。こうなるだろうとわかっていて、いや、期待して食事前だというのにあんなことを言ってしまった。わたしはジェントルマンとはほど遠い男だ」
目元を撫でていた親指が唇に触れた。下唇を擦るように動く指を冷たく感じるのは僕の顔が熱いからだろうか。不意に爪の先が歯にこつんと当たり、ドキッとした。
「珠希くん」
艶やかな声に耳が痺れた。静電気にも似たものがうなじをピリリと刺激し、背中をぞくりと振るわせる。
(もっと触れてほしい)
気がつけば康孝さんの親指を唇で挟んでいた。逃がさないというようにクッと咥え、ほんの少しチュウッと吸う。
(やめなくては……こんなはしたないことをしては駄目だ)
わかっているのにますます唇に力が入った。そのまま赤ん坊のようにもう一度チュウッと吸いつく。それどころか舌を伸ばして指先をちろっと舐めるという浅ましいことまでしてしまった。
「珠希くん」
低い声にハッとした。なんてことをしてしまったのだろうかと慌てて唇を離す。あまりの恥ずかしさに唇をグッと真一文字にしながら俯くと、康孝さんの香りがふわっと鼻腔をくすぐってドクンと鼓動が跳ねた。
「一緒に湯を浴びようか」
そっと視線を上げた。艶やかな声以上に僕を見つめる目が色っぽい。僕は熱に浮かされたように惚けたままこくりと頷いた。
脱衣所に入ると康孝さんが手際よく僕の服を脱がせ始めた。さすがに下着は自分でと思ったものの「すべて任せて」と耳元で囁かれて腰が抜けそうになる。広い胸に背中を預ける僕の下着を康孝さんの手がするりと下ろした。途端に勃ち上がっていた昂ぶりがピンと飛び出した。恥ずかしさのあまり顔を背けながら、股間を隠すために両手を伸ばす。
「珠希くんのここはとても可愛いね」
「やす、たかさ、んっ」
僕の手をするりとすり抜けた康孝さんの指が、塗れた先端をつるりと撫でた。それだけで膝からかくんと力が抜けた。崩れ落ちそうになったところで康孝さんが腰を抱えるように支えてくれる。
「Ωのここは普通の男性ほど成長しないと聞いているけど……こうして見るとあまりに可愛らしくていけないことをしている気分になる」
人差し指と中指、それに親指の三本で先端をくにくにといじられて腰が震えた。直接的な刺激は気持ちがよすぎて怖くなる。思わず腰を引くと、尾てい骨あたりに硬いものが触れて頬がカッと熱くなった。布越しでもわかる康孝さんの熱にお腹の奥がじわりと濡れる。
「康孝、さん」
はしたないことをしては駄目だとわかっているのに昂ぶる気持ちを抑えることができない。気がつけば穿いていたはずの下着は足元にくしゃりと落ち、素肌になった尻たぶを硬く膨らんだ前立てに押しつけていた。グイグイと押しつけながら、自分の昂ぶりからはとろとろと淫らなものが滴り落ちる。
「珠希くん」
耳元で囁かれて体が震えた。首飾りの下でうなじが鳥肌を立てている。ジリジリと焦げるように熱いうなじのをどうにかしてほしい。同じくらい熱くて苦しい体の奥を逞しいもので埋めてほしかった。気がつけば尻たぶをみっともないほど擦りつけるように動かしていた。
「淫らなきみもとても素敵だ」
「んっ」
「信じてもらえないだろうけど、本当に体を洗ってあげるだけのつもりだったんだ」
「あっ」
「わたしの手で清め、そしてわたしの手で汚す。ジェントルマンからはほど遠いことを考えていた」
「ふっ」
「でも、こんなに甘い香りを漂わせているきみを前にして何もしないなんて選択は難しい」
背後でカチャカチャとベルトを外す音が聞こえる。しばらくすると尻たぶに熱く硬いものが触れた。待ち望んだ感触に「ふぁ」と濡れた声を漏らしてしまう。
熱く滾るものが何度も尻たぶを擦る。すぐにヌルヌルとしたものを感じて肌が粟立った。気がつけば僕のほうから腰を振り、熱い昂ぶりにお尻を擦りつけていた。「早く、早く」と急くままに何度も尻を昂ぶりに押しつける。
康孝さんの体がほんの少し僕から離れた。「珠希くん」と名前を呼ばれて背中粟立つ。そんな僕の肩に口づけた康孝さんの熱い塊がぬるっと股の間を通り抜けるのがわかった。
「ふぁ!」
ふぐりを熱い先端に押し上げられて声が出た。そのまま震える昂ぶりの裏側を擦られて「ふぅっ」とまたもや声が漏れる。そのまま何度か擦るように動いたかと思えば、またふぐりを擦られて太ももが震えた。
康孝さんの熱が尻たぶの割れ目を擦りながらふぐりを通り過ぎ、昂ぶりの裏側を何度も擦り上げた。同時に敏感な先端を指でいじられて両足がガクガクと震える。あまりの気持ちよさに自力で立つことができない。お腹を支えてくれている康孝さんの腕を右手で握り締め、同時にそばにあった棚を左手で掴んだ。そうしながら崩れ落ちないように必死に震える両足に力を入れる。
「康孝、さん」
昂ぶりは何度も僕のものを擦るのに肝心の場所には触れてくれない。何度か縁を擦られたものの、熱くぬめった先端はすぐに逃げてしまう。
「お、願い、だから」
振り返りながら震える声で訴えた。このままでは体が熱くなるばかりで気が変になってしまう。焦らされてつらいところを早く埋めてほしい。お腹の奥が耐えられないというようにきゅうっと切なく締まった。そのせいでとろりとしたものがあふれ出し、太ももの内側を滴っていくのがわかった。
「珠希くんに乞われて嫌だと言える男はいない。もちろんわたしもだ」
耳たぶを甘噛みされ、はしたなくも窄まりがクプクプと動くのを感じた。そこにようやく熱く硬い先端が触れる。「早く、早く」と急くのをグッと我慢しながら少しだけ腰を後ろに突き出した。
ズプゥ、ヌププ。
そんな音が聞こえるような気がした。待ち望んでいた昂ぶりが縁を拡げながら体内へと入ってくる。「ハッ、ハッ」と荒い息を吐きながらも自ら迎え入れるようにさらに腰を後ろに突き出した。
「そんなにされたら、ハッ、優しくできなくなる」
甘く低い声が聞こえた直後、勢いよくお腹の中を擦られて「あぁ!」と悲鳴を上げてしまった。上半身をブルブルと振るわせながら必死に熱い塊を受け入れる。最奥までみっちりと埋められた感覚に「ハァ」と甘い息が漏れた。愛しい熱に貫かれていることが嬉しくてお腹の中がきゅうっと切なくなる。
「お……っと。そんなふうに締められたらすぐに達してしまうよ。それともわたしがどのくらい耐えられるか試そうとしているのかな」
耳元で囁く康孝さんの声が濡れている。思わず漏れた「ふぁ」という僕の声も甘く湿っていた。
「早くここ噛みながら繋がりたい」
「ん!」
「結婚式の日取りについて、少し話を先に進めようか」
「あっ」
「きみはもうわたしのものだというのに、やはり焦ってしまうね。早く珠希くんをわたしだけのものにしたくて……こうしてαの牙が疼いてしまう」
「あぁ!」
耳たぶのすぐ近くを優しく噛まれた。それだけで僕の昂ぶりからピュピュッと精がこぼれ落ちた。吐精を促すように康孝さんの手が何度も僕の昂ぶりを扱き、たまらず全身にぎゅうっと力が入る。
「く……っ」
小さく呻いた康孝さんが腰を引いた。抜かないでと縋るように腰を動かすと、ズン! と勢いよく戻って来た熱に最奥を押し上げられて顎が上がる。何度も中を擦られ奥を抉られた僕は、耐えきれず全身を震わせながら絶頂した。僕の昂ぶりからはポタポタと残滓が滴るだけで、前で達するのとは違う深い快感に目の奥がチカチカと瞬く。
ビュル、ビュルル。
尻たぶに熱いような冷たいようなものが何度も降りかかるのを感じた。これは康孝さんの精だ。ベッドでは必ずスキンを使う康孝さんは、こうしてスキンがないときも決して僕の中では達しない。「子どもはまだ先でいいから」という康孝さんの意見には僕も賛成しているけれど、それでも中を満たされない寂しさを感じるのは僕がΩだからだろうか。
(早く体の中まで康孝さんでいっぱいにしてほしい)
快感に震えながら、僕はそんな淫らなことを思っていた。
「心ここにあらずといった感じだね」
「え? ……あ、いえ、そんなことは」
きっと僕がソワソワしていることに気づいたのだろう。康孝さんの指摘に顔が熱くなった。本当に僕はどうしてしまったのだろうか。想いを交わしてからというもの、こんなふうにはしたないことに気持ちが向くようになってしまった。これでは淫乱なΩだと呆れられてしまうかもしれない。
「あの、ジェントルマンというのはどういった方々なのですか?」
淫らなことに傾きかけていた自分を戒め、先生の話に出てきた言葉の意味を尋ねることにした。ところが康孝さんの反応がない。僕が座る二人掛けのソファとはL字型になるように置かれた一人掛けソファに座ったまま、なぜかじっと僕を見ている。どうしたのだろうと見つめ返すが康孝さんの目は僕を見つめたままだ。
「康孝さん?」
声をかけると、康孝さんが少しだけ身を乗り出した。そのまま左手を僕のほうへと伸ばす。
「ジェントルマンは英国紳士のことだね。言葉自体に“高貴な人物”や“親切な人”という意味がある」
伸びてきた指先が頬に触れた。目尻のあたりを指の腹で撫でられてドキッとする。それだけで顔が赤くなるのは恥ずかしかったけれど、言葉を続ける康孝さんの邪魔をしたくなくてじっと見つめ返した。
「我が国の華族のことをそう呼ぶ人もいるが……少なくとも今のわたしはジェントルマンではないな。こうして珠希くんに触れたくてたまらないのだから」
「あの、」
「珠希くんからいい香りがしている。もしかしてこの後のことを想像したのかい?」
指摘されて耳までカッと熱くなった。はしたない人間だと思われたに違いない。視線を逸らすと、目の下の薄い皮膚をするりと撫でられてうなじがジリッと熱くなる。
「きみの香りはたまらなくわたしを惹きつける。こうなるだろうとわかっていて、いや、期待して食事前だというのにあんなことを言ってしまった。わたしはジェントルマンとはほど遠い男だ」
目元を撫でていた親指が唇に触れた。下唇を擦るように動く指を冷たく感じるのは僕の顔が熱いからだろうか。不意に爪の先が歯にこつんと当たり、ドキッとした。
「珠希くん」
艶やかな声に耳が痺れた。静電気にも似たものがうなじをピリリと刺激し、背中をぞくりと振るわせる。
(もっと触れてほしい)
気がつけば康孝さんの親指を唇で挟んでいた。逃がさないというようにクッと咥え、ほんの少しチュウッと吸う。
(やめなくては……こんなはしたないことをしては駄目だ)
わかっているのにますます唇に力が入った。そのまま赤ん坊のようにもう一度チュウッと吸いつく。それどころか舌を伸ばして指先をちろっと舐めるという浅ましいことまでしてしまった。
「珠希くん」
低い声にハッとした。なんてことをしてしまったのだろうかと慌てて唇を離す。あまりの恥ずかしさに唇をグッと真一文字にしながら俯くと、康孝さんの香りがふわっと鼻腔をくすぐってドクンと鼓動が跳ねた。
「一緒に湯を浴びようか」
そっと視線を上げた。艶やかな声以上に僕を見つめる目が色っぽい。僕は熱に浮かされたように惚けたままこくりと頷いた。
脱衣所に入ると康孝さんが手際よく僕の服を脱がせ始めた。さすがに下着は自分でと思ったものの「すべて任せて」と耳元で囁かれて腰が抜けそうになる。広い胸に背中を預ける僕の下着を康孝さんの手がするりと下ろした。途端に勃ち上がっていた昂ぶりがピンと飛び出した。恥ずかしさのあまり顔を背けながら、股間を隠すために両手を伸ばす。
「珠希くんのここはとても可愛いね」
「やす、たかさ、んっ」
僕の手をするりとすり抜けた康孝さんの指が、塗れた先端をつるりと撫でた。それだけで膝からかくんと力が抜けた。崩れ落ちそうになったところで康孝さんが腰を抱えるように支えてくれる。
「Ωのここは普通の男性ほど成長しないと聞いているけど……こうして見るとあまりに可愛らしくていけないことをしている気分になる」
人差し指と中指、それに親指の三本で先端をくにくにといじられて腰が震えた。直接的な刺激は気持ちがよすぎて怖くなる。思わず腰を引くと、尾てい骨あたりに硬いものが触れて頬がカッと熱くなった。布越しでもわかる康孝さんの熱にお腹の奥がじわりと濡れる。
「康孝、さん」
はしたないことをしては駄目だとわかっているのに昂ぶる気持ちを抑えることができない。気がつけば穿いていたはずの下着は足元にくしゃりと落ち、素肌になった尻たぶを硬く膨らんだ前立てに押しつけていた。グイグイと押しつけながら、自分の昂ぶりからはとろとろと淫らなものが滴り落ちる。
「珠希くん」
耳元で囁かれて体が震えた。首飾りの下でうなじが鳥肌を立てている。ジリジリと焦げるように熱いうなじのをどうにかしてほしい。同じくらい熱くて苦しい体の奥を逞しいもので埋めてほしかった。気がつけば尻たぶをみっともないほど擦りつけるように動かしていた。
「淫らなきみもとても素敵だ」
「んっ」
「信じてもらえないだろうけど、本当に体を洗ってあげるだけのつもりだったんだ」
「あっ」
「わたしの手で清め、そしてわたしの手で汚す。ジェントルマンからはほど遠いことを考えていた」
「ふっ」
「でも、こんなに甘い香りを漂わせているきみを前にして何もしないなんて選択は難しい」
背後でカチャカチャとベルトを外す音が聞こえる。しばらくすると尻たぶに熱く硬いものが触れた。待ち望んだ感触に「ふぁ」と濡れた声を漏らしてしまう。
熱く滾るものが何度も尻たぶを擦る。すぐにヌルヌルとしたものを感じて肌が粟立った。気がつけば僕のほうから腰を振り、熱い昂ぶりにお尻を擦りつけていた。「早く、早く」と急くままに何度も尻を昂ぶりに押しつける。
康孝さんの体がほんの少し僕から離れた。「珠希くん」と名前を呼ばれて背中粟立つ。そんな僕の肩に口づけた康孝さんの熱い塊がぬるっと股の間を通り抜けるのがわかった。
「ふぁ!」
ふぐりを熱い先端に押し上げられて声が出た。そのまま震える昂ぶりの裏側を擦られて「ふぅっ」とまたもや声が漏れる。そのまま何度か擦るように動いたかと思えば、またふぐりを擦られて太ももが震えた。
康孝さんの熱が尻たぶの割れ目を擦りながらふぐりを通り過ぎ、昂ぶりの裏側を何度も擦り上げた。同時に敏感な先端を指でいじられて両足がガクガクと震える。あまりの気持ちよさに自力で立つことができない。お腹を支えてくれている康孝さんの腕を右手で握り締め、同時にそばにあった棚を左手で掴んだ。そうしながら崩れ落ちないように必死に震える両足に力を入れる。
「康孝、さん」
昂ぶりは何度も僕のものを擦るのに肝心の場所には触れてくれない。何度か縁を擦られたものの、熱くぬめった先端はすぐに逃げてしまう。
「お、願い、だから」
振り返りながら震える声で訴えた。このままでは体が熱くなるばかりで気が変になってしまう。焦らされてつらいところを早く埋めてほしい。お腹の奥が耐えられないというようにきゅうっと切なく締まった。そのせいでとろりとしたものがあふれ出し、太ももの内側を滴っていくのがわかった。
「珠希くんに乞われて嫌だと言える男はいない。もちろんわたしもだ」
耳たぶを甘噛みされ、はしたなくも窄まりがクプクプと動くのを感じた。そこにようやく熱く硬い先端が触れる。「早く、早く」と急くのをグッと我慢しながら少しだけ腰を後ろに突き出した。
ズプゥ、ヌププ。
そんな音が聞こえるような気がした。待ち望んでいた昂ぶりが縁を拡げながら体内へと入ってくる。「ハッ、ハッ」と荒い息を吐きながらも自ら迎え入れるようにさらに腰を後ろに突き出した。
「そんなにされたら、ハッ、優しくできなくなる」
甘く低い声が聞こえた直後、勢いよくお腹の中を擦られて「あぁ!」と悲鳴を上げてしまった。上半身をブルブルと振るわせながら必死に熱い塊を受け入れる。最奥までみっちりと埋められた感覚に「ハァ」と甘い息が漏れた。愛しい熱に貫かれていることが嬉しくてお腹の中がきゅうっと切なくなる。
「お……っと。そんなふうに締められたらすぐに達してしまうよ。それともわたしがどのくらい耐えられるか試そうとしているのかな」
耳元で囁く康孝さんの声が濡れている。思わず漏れた「ふぁ」という僕の声も甘く湿っていた。
「早くここ噛みながら繋がりたい」
「ん!」
「結婚式の日取りについて、少し話を先に進めようか」
「あっ」
「きみはもうわたしのものだというのに、やはり焦ってしまうね。早く珠希くんをわたしだけのものにしたくて……こうしてαの牙が疼いてしまう」
「あぁ!」
耳たぶのすぐ近くを優しく噛まれた。それだけで僕の昂ぶりからピュピュッと精がこぼれ落ちた。吐精を促すように康孝さんの手が何度も僕の昂ぶりを扱き、たまらず全身にぎゅうっと力が入る。
「く……っ」
小さく呻いた康孝さんが腰を引いた。抜かないでと縋るように腰を動かすと、ズン! と勢いよく戻って来た熱に最奥を押し上げられて顎が上がる。何度も中を擦られ奥を抉られた僕は、耐えきれず全身を震わせながら絶頂した。僕の昂ぶりからはポタポタと残滓が滴るだけで、前で達するのとは違う深い快感に目の奥がチカチカと瞬く。
ビュル、ビュルル。
尻たぶに熱いような冷たいようなものが何度も降りかかるのを感じた。これは康孝さんの精だ。ベッドでは必ずスキンを使う康孝さんは、こうしてスキンがないときも決して僕の中では達しない。「子どもはまだ先でいいから」という康孝さんの意見には僕も賛成しているけれど、それでも中を満たされない寂しさを感じるのは僕がΩだからだろうか。
(早く体の中まで康孝さんでいっぱいにしてほしい)
快感に震えながら、僕はそんな淫らなことを思っていた。
311
あなたにおすすめの小説
【本編完結】才色兼備の幼馴染♂に振り回されるくらいなら、いっそ赤い糸で縛って欲しい。
誉コウ
BL
才色兼備で『氷の王子』と呼ばれる幼なじみ、藍と俺は気づけばいつも一緒にいた。
その関係が当たり前すぎて、壊れるなんて思ってなかった——藍が「彼女作ってもいい?」なんて言い出すまでは。
胸の奥がざわつき、藍が他の誰かに取られる想像だけで苦しくなる。
それでも「友達」のままでいられるならと思っていたのに、藍の言葉に行動に振り回されていく。
運命の赤い糸が見えていれば、この関係を紐解けるのに。
【本編完結】αに不倫されて離婚を突き付けられているけど別れたくない男Ωの話
雷尾
BL
本人が別れたくないって言うんなら仕方ないですよね。
一旦本編完結、気力があればその後か番外編を少しだけ書こうかと思ってます。
【完結】それ以上近づかないでください。
ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」
地味で冴えない小鳥遊凪は、ずっと憧れていた蓮見馨に勢いで告白してしまう。
するとまさかのOK。夢みたいな日々が始まった……はずだった。
だけど、ある出来事をきっかけに二人の関係はあっけなく終わる。
過去を忘れるために転校した凪は、もう二度と馨と会うことはないと思っていた。
ところが、ひょんなことから再会してしまう。
しかも、久しぶりに会った馨はどこか様子が違っていた。
「今度は、もう離さないから」
「お願いだから、僕にもう近づかないで…」
【BL】声にできない恋
のらねことすていぬ
BL
<年上アルファ×オメガ>
オメガの浅葱(あさぎ)は、アルファである樋沼(ひぬま)の番で共に暮らしている。だけどそれは決して彼に愛されているからではなくて、彼の前の恋人を忘れるために番ったのだ。だけど浅葱は樋沼を好きになってしまっていて……。不器用な両片想いのお話。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
昔「結婚しよう」と言ってくれた幼馴染は今日、僕以外の人と結婚する
子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき
「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。
そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。
背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。
結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。
「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」
誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。
叶わない恋だってわかってる。
それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。
君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。
運命じゃない人
万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。
理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。
αが離してくれない
雪兎
BL
運命の番じゃないのに、αの彼は僕を離さない――。
Ωとして生まれた僕は、発情期を抑える薬を使いながら、普通の生活を目指していた。
でもある日、隣の席の無口なαが、僕の香りに気づいてしまって……。
これは、番じゃないふたりの、近すぎる距離で始まる、運命から少しはずれた恋の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる