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再会
再会・・・その5
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裕子は、スマホを耳にあてたまま何が起きたのか考えていた。
それは、夏樹から「会えなくなった」という一方的な言葉と言葉使いにではなく、
夏樹の声が、いつもの女性から裕子の知っている男としての夏樹の声に変わっていたからである。
何が起きたの・・・?どうして、いきなり、男のあなたに戻ったの?
「どうしたんだい・・・?」
聞き覚えぼある声に振り向くと、旦那が、不思議そうな顔で裕子を見ていた。
「えっ・・・?別に、何でもないわよ」
「何でもないって、だって、ほら!スマホ・・・」
「あっ・・・」
裕子は、耳にあてていたスマホを慌ててポケットにしまい込んだ。
「電話、誰からだったの?」
「いいでしょ!そんなのあんたに関係ないでしょ?」
いつもの調子で裕子に怒られた旦那は、これまた、いつもの調子でおどけながら、
駐車場にとめてある車の方へと歩いて行った。
まったく、もう~。どうして、うちの旦那って空気が読めないのかしら?
でも・・・まさかね・・・?
裕子は、ポケットからスマホを取り出して電話をかけてみた。
3回ほどコールする音がなると通話状態になった。
「もしもし、雪子・・・?」
「あっ・・・裕子・・・」
「ねぇ~雪子、今、どこにいるの?」
「今ね、こっち見てるの・・・」
「えっ・・・?何?ってか、誰が?」
「うん、ふーちゃんだよ・・・」
「えっ・・・?ふーちゃんって、ちょっと雪子?何を言ってるの?」
「あとで電話するね・・・。ばいばいね!」
「ばいばいねって、ちょっと、雪子?・・・雪子?」
はぁ~まったく、もう~。あの人があの人なら、雪子も雪子だわ。
どっちも大事な事を言わないで、一方的に電話を切っちゃうんだから。
でも・・・ふーちゃんって・・・?
確か、雪子は今日、旦那さんと一緒に旦那さんの実家に帰ったはずじゃなかったの?
でも、確かに今、雪子はふーちゃんって言ったわよね?
まさか、雪子・・・夏樹さんに会いに行ったってこと?
まさか、嘘でしょ?
いったい、どうして・・・?
いったい、どうしちゃったの、雪子?
あまりに予想外の雪子の行動に、裕子は、驚く感情さえ忘れていた。
誰と話していたのか分からないが、手にしたスマホをバッグの中にしまい込んでいる雪子を、
夏樹は半ばあきれたような顔をしながら見つめている。
そんな夏樹の視線に気がついたのか、雪子は少うつむき加減になったまま立ちすくんでいる。
ふ~ん・・・。困った奴だな、まったく。ってか、ペンギンか、お前は・・・?
その恰好にペンギンの帽子でも被ったら、ペンギンのコスプレに見えるんじゃないのか?
スーパーの玄関付近の真ん中で、立ち止まったまま動かない夏樹の横を、
年末最後の買い物を済ませた客たちが通り過ぎて行く。
そんな買い物客の中には、立ち止まったまま動かない夏樹と雪子の姿を、
不思議そうに見つめながら通り過ぎて行く人もいる。
忙しそうに通り過ぎて行く人たちで混雑している場所なのに、
なぜか、二人だけが別の世界にでもいるみたいに、そこだけ時間が止まっていた。
夏樹の視線を避けるように、うつむき加減だった雪子が意を決したみたいに、
左手でセミロングの髪に指を絡ませるように流すと顔を上げて歩き出した。
真っ直ぐに夏樹を見つめながら歩いてきた雪子だったのだが、
夏樹の前に来ると、また、うつむき加減になってしまう。そんな雪子に夏樹が声をかける。
「来たのか・・・?」
「うん・・・」
「そうか・・・」
「うん・・・」
「腕を組むか・・・?」
「うん・・・」
そう答えると、雪子は夏樹の左腕に右手を絡ませてきた。
夏樹は、うつむいたままの雪子の頭をなでながら玄関の方に視線を移すと、
玄関の広い硝子戸から見える外は、いつの間にか雪景色に変わっていた。
それは、夏樹から「会えなくなった」という一方的な言葉と言葉使いにではなく、
夏樹の声が、いつもの女性から裕子の知っている男としての夏樹の声に変わっていたからである。
何が起きたの・・・?どうして、いきなり、男のあなたに戻ったの?
「どうしたんだい・・・?」
聞き覚えぼある声に振り向くと、旦那が、不思議そうな顔で裕子を見ていた。
「えっ・・・?別に、何でもないわよ」
「何でもないって、だって、ほら!スマホ・・・」
「あっ・・・」
裕子は、耳にあてていたスマホを慌ててポケットにしまい込んだ。
「電話、誰からだったの?」
「いいでしょ!そんなのあんたに関係ないでしょ?」
いつもの調子で裕子に怒られた旦那は、これまた、いつもの調子でおどけながら、
駐車場にとめてある車の方へと歩いて行った。
まったく、もう~。どうして、うちの旦那って空気が読めないのかしら?
でも・・・まさかね・・・?
裕子は、ポケットからスマホを取り出して電話をかけてみた。
3回ほどコールする音がなると通話状態になった。
「もしもし、雪子・・・?」
「あっ・・・裕子・・・」
「ねぇ~雪子、今、どこにいるの?」
「今ね、こっち見てるの・・・」
「えっ・・・?何?ってか、誰が?」
「うん、ふーちゃんだよ・・・」
「えっ・・・?ふーちゃんって、ちょっと雪子?何を言ってるの?」
「あとで電話するね・・・。ばいばいね!」
「ばいばいねって、ちょっと、雪子?・・・雪子?」
はぁ~まったく、もう~。あの人があの人なら、雪子も雪子だわ。
どっちも大事な事を言わないで、一方的に電話を切っちゃうんだから。
でも・・・ふーちゃんって・・・?
確か、雪子は今日、旦那さんと一緒に旦那さんの実家に帰ったはずじゃなかったの?
でも、確かに今、雪子はふーちゃんって言ったわよね?
まさか、雪子・・・夏樹さんに会いに行ったってこと?
まさか、嘘でしょ?
いったい、どうして・・・?
いったい、どうしちゃったの、雪子?
あまりに予想外の雪子の行動に、裕子は、驚く感情さえ忘れていた。
誰と話していたのか分からないが、手にしたスマホをバッグの中にしまい込んでいる雪子を、
夏樹は半ばあきれたような顔をしながら見つめている。
そんな夏樹の視線に気がついたのか、雪子は少うつむき加減になったまま立ちすくんでいる。
ふ~ん・・・。困った奴だな、まったく。ってか、ペンギンか、お前は・・・?
その恰好にペンギンの帽子でも被ったら、ペンギンのコスプレに見えるんじゃないのか?
スーパーの玄関付近の真ん中で、立ち止まったまま動かない夏樹の横を、
年末最後の買い物を済ませた客たちが通り過ぎて行く。
そんな買い物客の中には、立ち止まったまま動かない夏樹と雪子の姿を、
不思議そうに見つめながら通り過ぎて行く人もいる。
忙しそうに通り過ぎて行く人たちで混雑している場所なのに、
なぜか、二人だけが別の世界にでもいるみたいに、そこだけ時間が止まっていた。
夏樹の視線を避けるように、うつむき加減だった雪子が意を決したみたいに、
左手でセミロングの髪に指を絡ませるように流すと顔を上げて歩き出した。
真っ直ぐに夏樹を見つめながら歩いてきた雪子だったのだが、
夏樹の前に来ると、また、うつむき加減になってしまう。そんな雪子に夏樹が声をかける。
「来たのか・・・?」
「うん・・・」
「そうか・・・」
「うん・・・」
「腕を組むか・・・?」
「うん・・・」
そう答えると、雪子は夏樹の左腕に右手を絡ませてきた。
夏樹は、うつむいたままの雪子の頭をなでながら玄関の方に視線を移すと、
玄関の広い硝子戸から見える外は、いつの間にか雪景色に変わっていた。
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