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再会
再会・・・その8
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夏樹の言葉に雪子が振り返るかと思ったが、別にそんな素振りを見せる様子もなく、
夏樹の腕の中に顔をうずめるようにして降りしきる雪を眺めながら歩き続ける。
「ねぇ~、ふーちゃん?」
「ん・・・?」
「偶然・・・?それとも、必然?」
「どっちのこと・・・?」
「どっちも・・・」
「あんたの考えてる通りだと思うわよ」
雪子は、夏樹の言葉を聞きながら少し間をおいて呟いた。
「逆だったらよかったな~」
「そうかしら?」
「どうして・・・?」
「あんたは、自分とは偶然で元妻とは必然だと思ったんでしょ?」
「うん・・・」
「それで、自分が必然だったらよかったって思ったのね?」
「うん・・・」
「あんたが必然だったから?」
「うん・・・」
確かに雪子は、自分は夏樹に会えるかもしれないと思いながら、
裕子から聞いていた夏樹が、よく買い物をするスーパーに来てみたのだから。
そこで夏樹に会えたのは、雪子側からすると、それは必然であり、
夏樹側から見れば、それは偶然ということになると思ったらしい。
そして、離婚した元妻側からすれば、それは偶然であり、
夏樹側から見れば、それは必然なのだと思ったのだろう。
ようするに、雪子が夏樹を追いかけて、夏樹が元妻を追いかけていると思ったのかもしれない。
だから、夏樹にとって自分との再会が必然であって元妻とは偶然だったらよかったのにと。
夏樹との再会に何かを期待していたわけではなかったのに、そんな風に考えてながらも、
なぜか、夏樹の言葉に、ちょっとした焼きもちを感じた自分が可笑しかったらしく、
夏樹の腕の中で、雪子は1人で微笑んでいた。
「でもさ、あんた、よく、あたしだって分かったわね?」
「どうして・・・?」
「だって、今日はメガネかけてなかったのよ?」
「そんなの関係ないよ」
「いや、普通は、かけてるとかけていないとでは大違いなんじゃないの?」
「もしかして、コンタクト?」
「大丈夫、流してないから」
「ああっ・・・覚えてたんだ」
「あんた1人で言って1人で笑い転げていたからね」
「だって・・・」
「でも、あたしはメガネのあんたも好きだったのよ」
「ウソばっかり・・・」
「ウソじゃないわよ・・・」
「ホントに・・・?」
「あんた、メガネの方が可愛いからね」
「ふーちゃんは・・・?」
「あたしが化粧してメガネかけると、教育ママごんみたいになっちゃうわよ」
夏樹の言葉に笑いながら顔を見上げる雪子。
それを見るんじゃないわよ!という目つきで見下ろす夏樹。
「ねぇ~、ふーちゃんはどうしてマスクをしてるの?」
「マスクをしてると、とっても若く見えるからよ」
「それだけ・・・?」
「うるさいわね!ついでに歯もないからよ」
「歯医者さんに行かないの?」
「あんた、あたしを殺したいの?」
「あはは!面白いんだ!ふーちゃんって」
「あんた信じてないでしょ?」
「だって、苦しい言い訳なんだもん」
「ホントはね、昼間マスクをしていないと夜寝る時に咳が止まんなくなるのよ」
「ふーちゃん、喘息なの?」
「さぁ~ね・・・」
「でも、奥さんにバレちゃったね」
「元妻よ・・・」
「でも、きっと、ビックリしたよね?」
「ビックリよりも、もう変態よ!間違いなく変態!」
「ふーちゃんは変態なの?」
「そういうあんたの胸はどうなの?ちゃんと均等になったの?」
「触ってみる?」
「あたしはそういう趣味はないわよ」
「あっ、そっか。そういえば、ふーちゃん、今は女だもんね」
「違うでしょ?」
「えっ・・・?もしかして、ふーちゃん、女に興味がなくなったとかって?」
「そっちは、もっと違うわよ」
たわいもない会話の中、絡みつく夏樹の体温を感じながら歩く雪子。
降りしきる雪がさえぎる景色の中に、夏樹が化粧で隠す素顔の意味を雪子に伝えていた。
夏樹の腕の中に顔をうずめるようにして降りしきる雪を眺めながら歩き続ける。
「ねぇ~、ふーちゃん?」
「ん・・・?」
「偶然・・・?それとも、必然?」
「どっちのこと・・・?」
「どっちも・・・」
「あんたの考えてる通りだと思うわよ」
雪子は、夏樹の言葉を聞きながら少し間をおいて呟いた。
「逆だったらよかったな~」
「そうかしら?」
「どうして・・・?」
「あんたは、自分とは偶然で元妻とは必然だと思ったんでしょ?」
「うん・・・」
「それで、自分が必然だったらよかったって思ったのね?」
「うん・・・」
「あんたが必然だったから?」
「うん・・・」
確かに雪子は、自分は夏樹に会えるかもしれないと思いながら、
裕子から聞いていた夏樹が、よく買い物をするスーパーに来てみたのだから。
そこで夏樹に会えたのは、雪子側からすると、それは必然であり、
夏樹側から見れば、それは偶然ということになると思ったらしい。
そして、離婚した元妻側からすれば、それは偶然であり、
夏樹側から見れば、それは必然なのだと思ったのだろう。
ようするに、雪子が夏樹を追いかけて、夏樹が元妻を追いかけていると思ったのかもしれない。
だから、夏樹にとって自分との再会が必然であって元妻とは偶然だったらよかったのにと。
夏樹との再会に何かを期待していたわけではなかったのに、そんな風に考えてながらも、
なぜか、夏樹の言葉に、ちょっとした焼きもちを感じた自分が可笑しかったらしく、
夏樹の腕の中で、雪子は1人で微笑んでいた。
「でもさ、あんた、よく、あたしだって分かったわね?」
「どうして・・・?」
「だって、今日はメガネかけてなかったのよ?」
「そんなの関係ないよ」
「いや、普通は、かけてるとかけていないとでは大違いなんじゃないの?」
「もしかして、コンタクト?」
「大丈夫、流してないから」
「ああっ・・・覚えてたんだ」
「あんた1人で言って1人で笑い転げていたからね」
「だって・・・」
「でも、あたしはメガネのあんたも好きだったのよ」
「ウソばっかり・・・」
「ウソじゃないわよ・・・」
「ホントに・・・?」
「あんた、メガネの方が可愛いからね」
「ふーちゃんは・・・?」
「あたしが化粧してメガネかけると、教育ママごんみたいになっちゃうわよ」
夏樹の言葉に笑いながら顔を見上げる雪子。
それを見るんじゃないわよ!という目つきで見下ろす夏樹。
「ねぇ~、ふーちゃんはどうしてマスクをしてるの?」
「マスクをしてると、とっても若く見えるからよ」
「それだけ・・・?」
「うるさいわね!ついでに歯もないからよ」
「歯医者さんに行かないの?」
「あんた、あたしを殺したいの?」
「あはは!面白いんだ!ふーちゃんって」
「あんた信じてないでしょ?」
「だって、苦しい言い訳なんだもん」
「ホントはね、昼間マスクをしていないと夜寝る時に咳が止まんなくなるのよ」
「ふーちゃん、喘息なの?」
「さぁ~ね・・・」
「でも、奥さんにバレちゃったね」
「元妻よ・・・」
「でも、きっと、ビックリしたよね?」
「ビックリよりも、もう変態よ!間違いなく変態!」
「ふーちゃんは変態なの?」
「そういうあんたの胸はどうなの?ちゃんと均等になったの?」
「触ってみる?」
「あたしはそういう趣味はないわよ」
「あっ、そっか。そういえば、ふーちゃん、今は女だもんね」
「違うでしょ?」
「えっ・・・?もしかして、ふーちゃん、女に興味がなくなったとかって?」
「そっちは、もっと違うわよ」
たわいもない会話の中、絡みつく夏樹の体温を感じながら歩く雪子。
降りしきる雪がさえぎる景色の中に、夏樹が化粧で隠す素顔の意味を雪子に伝えていた。
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