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後悔
後悔・・・その13
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雪子に、浮気の事を言われた裕子は、どう答えたらいいのか分からなくて、
とりあえずコーヒーカップに口をつけながら、窓の外の景色に視線を移してみた。
「裕子の旦那さんは冗談みたいに言ってたけど、なんか、深刻っぽかったよ」
「いいのよ、別に・・・」
「な~んか、かわいそうなんだ・・・。旦那さん、裕子の言葉を信じてるかもしれないよ?」
「信じてるかも?って、雪子は違うの?」
「私・・・?私は浮気はしなかったよ」
「いや、そっちじゃなくて、私のことよ」
「裕子が浮気・・・?誰と・・・?」
「誰とって・・・そりゃ~私だって浮気相手の一人や二人は・・・」
「いるの・・・?」
「いや・・・いないけど・・・」
「あはは!裕子って面白いんだ!」
「なによ、私だって、その気になれば浮気相手くらいすぐに作れるわよ」
「作るの・・・?」
「作るの?って。雪子ってさ、最近、少し話し方が変わったんじゃない?」
「そうかな・・・?」
「うん。なんとなく、そう思うわ・・・。ってか、雪子は、私のことを疑ってないの?」
「疑うって・・・?何を疑うの・・・?」
「ほらまた、その話し方、やっぱり前とは少し違うわよ」
この子は、夏樹さんの前では、きっと、こんな感じに会話をしてたのかしらね。
雪子が、私の前でも、突然、人格が変わったみたいな言葉を使うようになってからかしら?
突然、甘えるような言葉を口にしたり、かと思えば、知っててなお訊き返してみたり。
まるで、言葉で遊んでいるみたいな会話をするようになったし・・・。
「ねえ~、ほんとに雪子は私のことを疑っていないの・・・?」
「浮気のこと・・・?」
「そうよ・・・」
「もしかして、ふーちゃんとって・・・?」
「う・・・ん・・・。まあ・・・」
「疑ってないよ・・・」
「あら?即答で答えるのね・・・?なんか、ある意味、ショックだわ!私・・・」
「あはは!」
「あははって・・・。あ~もう~!ショックが倍増しそう・・・」
まったく、もう~・・・。元はと言えば、夏樹さんが女になんかなってるからいけないのよね。
「でも、雪子は夏樹さんのことを疑ったりとかしないの?」
「だって、ふーちゃんは女だよ?」
「そういう問題・・・?」
「うん・・・そういう問題・・・」
「雪子、去年の大晦日の夜に夏樹さんと何かあったんでしょ?」
「うん、あった!」
「やっぱり!だからなのね、雪子が先に帰ったあとの私と夏樹さんのことを疑ったりしなかったのは」
「うん、そうだよ・・・。でも、どうして、ふーちゃんは裕子とメールしなくなったのかな?」
「そのことは何も言ってなかったの?」
「うん、なんにも聞いてないよ」
「そうなの・・・。私ね、メールの相手が夏樹さんだっって分かった後にね、言われたのよ。後悔しながら生きてきたのか?って」
「後悔・・・?ふーちゃんと別れたこと?」
「ううん・・・違うわ。うちの旦那と結婚したことの方だけど」
「それで、なんて答えたの?」
「もちろん、後悔しながら生きてきたわよ!って答えたわ」
「うそ・・・?」
「ほんとよ・・・」
「ほんとよって、それじゃ裕子は旦那さんと結婚したことを後悔してるの?」
「そうね・・・後悔していないっていえば、それは嘘になるかもしれないわ」
「うそ・・・?それじゃ裕子はほんとは誰と結婚したかったの?」
「あら?それを私に訊く・・・?」
悪戯っぽい瞳で裕子を見つめながらミルクティーを飲む雪子を見ていると・・・
「これが愛されているってことなのかな?」・・・そんな風に裕子には思えてしまう。
でも、雪子・・・?
あなたは、いったい誰に愛されているの?
今のあなたは、いったい誰を見つめているの?
そして・・・あなたは、そのことに気がついているの?
裕子は「雪子は結婚したことを後悔していないの?」と・・・
心の中でつぶやいた言葉に、虚ろな寂しさを感じてしまうのだった。
とりあえずコーヒーカップに口をつけながら、窓の外の景色に視線を移してみた。
「裕子の旦那さんは冗談みたいに言ってたけど、なんか、深刻っぽかったよ」
「いいのよ、別に・・・」
「な~んか、かわいそうなんだ・・・。旦那さん、裕子の言葉を信じてるかもしれないよ?」
「信じてるかも?って、雪子は違うの?」
「私・・・?私は浮気はしなかったよ」
「いや、そっちじゃなくて、私のことよ」
「裕子が浮気・・・?誰と・・・?」
「誰とって・・・そりゃ~私だって浮気相手の一人や二人は・・・」
「いるの・・・?」
「いや・・・いないけど・・・」
「あはは!裕子って面白いんだ!」
「なによ、私だって、その気になれば浮気相手くらいすぐに作れるわよ」
「作るの・・・?」
「作るの?って。雪子ってさ、最近、少し話し方が変わったんじゃない?」
「そうかな・・・?」
「うん。なんとなく、そう思うわ・・・。ってか、雪子は、私のことを疑ってないの?」
「疑うって・・・?何を疑うの・・・?」
「ほらまた、その話し方、やっぱり前とは少し違うわよ」
この子は、夏樹さんの前では、きっと、こんな感じに会話をしてたのかしらね。
雪子が、私の前でも、突然、人格が変わったみたいな言葉を使うようになってからかしら?
突然、甘えるような言葉を口にしたり、かと思えば、知っててなお訊き返してみたり。
まるで、言葉で遊んでいるみたいな会話をするようになったし・・・。
「ねえ~、ほんとに雪子は私のことを疑っていないの・・・?」
「浮気のこと・・・?」
「そうよ・・・」
「もしかして、ふーちゃんとって・・・?」
「う・・・ん・・・。まあ・・・」
「疑ってないよ・・・」
「あら?即答で答えるのね・・・?なんか、ある意味、ショックだわ!私・・・」
「あはは!」
「あははって・・・。あ~もう~!ショックが倍増しそう・・・」
まったく、もう~・・・。元はと言えば、夏樹さんが女になんかなってるからいけないのよね。
「でも、雪子は夏樹さんのことを疑ったりとかしないの?」
「だって、ふーちゃんは女だよ?」
「そういう問題・・・?」
「うん・・・そういう問題・・・」
「雪子、去年の大晦日の夜に夏樹さんと何かあったんでしょ?」
「うん、あった!」
「やっぱり!だからなのね、雪子が先に帰ったあとの私と夏樹さんのことを疑ったりしなかったのは」
「うん、そうだよ・・・。でも、どうして、ふーちゃんは裕子とメールしなくなったのかな?」
「そのことは何も言ってなかったの?」
「うん、なんにも聞いてないよ」
「そうなの・・・。私ね、メールの相手が夏樹さんだっって分かった後にね、言われたのよ。後悔しながら生きてきたのか?って」
「後悔・・・?ふーちゃんと別れたこと?」
「ううん・・・違うわ。うちの旦那と結婚したことの方だけど」
「それで、なんて答えたの?」
「もちろん、後悔しながら生きてきたわよ!って答えたわ」
「うそ・・・?」
「ほんとよ・・・」
「ほんとよって、それじゃ裕子は旦那さんと結婚したことを後悔してるの?」
「そうね・・・後悔していないっていえば、それは嘘になるかもしれないわ」
「うそ・・・?それじゃ裕子はほんとは誰と結婚したかったの?」
「あら?それを私に訊く・・・?」
悪戯っぽい瞳で裕子を見つめながらミルクティーを飲む雪子を見ていると・・・
「これが愛されているってことなのかな?」・・・そんな風に裕子には思えてしまう。
でも、雪子・・・?
あなたは、いったい誰に愛されているの?
今のあなたは、いったい誰を見つめているの?
そして・・・あなたは、そのことに気がついているの?
裕子は「雪子は結婚したことを後悔していないの?」と・・・
心の中でつぶやいた言葉に、虚ろな寂しさを感じてしまうのだった。
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