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あなたの声が好き
あなたの声が好き・・・その16
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「でも、今のあたしの言葉にカチンとこないところを見ていると、あたしとしては安心だけどね」
「いや~・・・へへへ・・・」
「誰にも束縛されていない、誰にも監視されていない状況の中で一番大切なものは考える視線なの」
「考える視線・・・ですか?考える力・・・ではなく?」
「そうよ・・・。考える視線ってね、無意識に未来を見つめようとするの」
「う~ん・・・私としてはその違いがちょっと・・・」
「そうね、考える力は、立ち止まるけど、視線は決して立ち止まったりはしない。かしら?」
「へへへ・・・余計にこんがらがってしまってたりして・・・」
「ふふっ・・・。そのうち分かるわよ・・・。今のあんたならね!」
直美はちょっとドキッとしてしまった!
夏樹は別に意識して言葉を口にしたわけではないのだろが・・・。
「今のあんたならね!」・・・そう言われた直美には、その言葉は普通ではないらしい。
「でもね、あたしが口にする言葉をどれだけ着飾っても、寂しい、悲しい、可哀想にエトセトラと、どれだけの言葉を使い、わたしは優しい人だと、わたしは良い人なんだと、あんたの前で演じてみても、結局はあんたを利用しようとしているだけなの・・・」
「それは、分かってます!」
何を思ってかは知らないが、なぜか、自信たっぷりに答える直美である。
そんな直美に驚くわけでもなく、ただ、優しい視線と優しい笑みで直美を見つめる夏樹。
自分が答えた言葉に絡まろうとはせず、帰りの手土産を求めるように問いかける直美。
「あの・・・それで、省吾君には?」
「あんたに任せるわ。ただし、あたしは誰にも会わない・・・それだけよ。あっ、あんたは別よ」
夏樹の言葉に、嬉しそうに笑みを返しながら冴子の方へ視線を移す直美。
「そういえば、あんた、帰りはどうするの?」
「えっ?帰りは?って・・・あの、普通ですけど」
「普通じゃないから聞いてるのよ!」
「そうは言われましても・・・多分、大丈夫ではないかと・・・」
「最上級の方向音痴のあんたが?」
「いや~ぁ・・・ははは・・・」
「行きはよいよい帰りは怖いってやつね!それじゃ、あたしが送ってあげるわ!」
「えっ・・・?」
「嫌なの・・・?」
「いえ・・・いや・・・えっ?・・・あの・・・」
「それじゃ、決まりね!」
「えっ?だって、あの、夏樹さんはどうするんですか?」
「ん?どうするって?大丈夫よ、あたしの車で送ってあげるから」
「いえ・・・あのですね・・・えっ?」
「明日は土曜日だから冴ちゃんもお休みだし。冴ちゃん、ドライブが好きなのよ」
「いえ・・・あのですね。そういう問題ではないのではと・・・」
「冴ちゃんと一緒は嫌なの?」
「いえ・・・あの・・・」
「あははっ・・・」
「もう・・・。でも、私の車はどうなるんですか?」
「大丈夫よ!すぐに送り届けてあげるから」
「ちょっと!夏樹さんってば・・・」
「ふふっ、心配いらないわよ」
「心配いらないって?あのですね?」
「あたしのとっては、車の輸送費よりも、あんたの方が大切なの」
あんたの方が大切なの・・・あんたの方が大切なの・・・意識が無重力の中にいるみたいに
夏樹の最後の言葉が「やまびこ」か「こだま」のように直美の頭の中で反響を繰り返していた。
「いや~・・・へへへ・・・」
「誰にも束縛されていない、誰にも監視されていない状況の中で一番大切なものは考える視線なの」
「考える視線・・・ですか?考える力・・・ではなく?」
「そうよ・・・。考える視線ってね、無意識に未来を見つめようとするの」
「う~ん・・・私としてはその違いがちょっと・・・」
「そうね、考える力は、立ち止まるけど、視線は決して立ち止まったりはしない。かしら?」
「へへへ・・・余計にこんがらがってしまってたりして・・・」
「ふふっ・・・。そのうち分かるわよ・・・。今のあんたならね!」
直美はちょっとドキッとしてしまった!
夏樹は別に意識して言葉を口にしたわけではないのだろが・・・。
「今のあんたならね!」・・・そう言われた直美には、その言葉は普通ではないらしい。
「でもね、あたしが口にする言葉をどれだけ着飾っても、寂しい、悲しい、可哀想にエトセトラと、どれだけの言葉を使い、わたしは優しい人だと、わたしは良い人なんだと、あんたの前で演じてみても、結局はあんたを利用しようとしているだけなの・・・」
「それは、分かってます!」
何を思ってかは知らないが、なぜか、自信たっぷりに答える直美である。
そんな直美に驚くわけでもなく、ただ、優しい視線と優しい笑みで直美を見つめる夏樹。
自分が答えた言葉に絡まろうとはせず、帰りの手土産を求めるように問いかける直美。
「あの・・・それで、省吾君には?」
「あんたに任せるわ。ただし、あたしは誰にも会わない・・・それだけよ。あっ、あんたは別よ」
夏樹の言葉に、嬉しそうに笑みを返しながら冴子の方へ視線を移す直美。
「そういえば、あんた、帰りはどうするの?」
「えっ?帰りは?って・・・あの、普通ですけど」
「普通じゃないから聞いてるのよ!」
「そうは言われましても・・・多分、大丈夫ではないかと・・・」
「最上級の方向音痴のあんたが?」
「いや~ぁ・・・ははは・・・」
「行きはよいよい帰りは怖いってやつね!それじゃ、あたしが送ってあげるわ!」
「えっ・・・?」
「嫌なの・・・?」
「いえ・・・いや・・・えっ?・・・あの・・・」
「それじゃ、決まりね!」
「えっ?だって、あの、夏樹さんはどうするんですか?」
「ん?どうするって?大丈夫よ、あたしの車で送ってあげるから」
「いえ・・・あのですね・・・えっ?」
「明日は土曜日だから冴ちゃんもお休みだし。冴ちゃん、ドライブが好きなのよ」
「いえ・・・あのですね。そういう問題ではないのではと・・・」
「冴ちゃんと一緒は嫌なの?」
「いえ・・・あの・・・」
「あははっ・・・」
「もう・・・。でも、私の車はどうなるんですか?」
「大丈夫よ!すぐに送り届けてあげるから」
「ちょっと!夏樹さんってば・・・」
「ふふっ、心配いらないわよ」
「心配いらないって?あのですね?」
「あたしのとっては、車の輸送費よりも、あんたの方が大切なの」
あんたの方が大切なの・・・あんたの方が大切なの・・・意識が無重力の中にいるみたいに
夏樹の最後の言葉が「やまびこ」か「こだま」のように直美の頭の中で反響を繰り返していた。
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