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愛せない感情
あなたの声が好き・・・その18
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「でも、夏樹さんも変わってますよね?」
「どうして・・・?」
「だって~、美人で優しくて気遣いも出来て、その上、お料理だってシェフ顔負けの腕前なのに」
「そんなに褒めなくてもいいわよ」
「それにですよ?」
「それに・・・な~に?まだあるの?」
「裕子さんってプロポーションだってモデル顔負けですよね!」
「ふふっ、そんな事はないわよ」
「それなのにどうしてなのかな?普通の男性だったら100人中100人全員が裕子さんを選ぶと思いますよ!」
「それを言ったら、うちの旦那は幸せな人生をエンジョイ中みたいじゃない?」
「裕子さんにとっては、誰でもよかったんですよね?夏樹さん以外はどうでも・・・よかった?」
愛奈の突然急カーブする話題の変化球に別に驚く事もなく、優しい笑みで返す裕子。
「あれ・・・?」
「な~に・・・?」
「裕子さん、ちょっとは戸惑うかな?って思ったんですけど」
「あら?ちょっとは戸惑ったりした方がよかったのかしら?」
「ん~もう~・・・」
コーヒーと一緒に運ばれてきていたケーキの乗った可愛い絵皿を手前に引き寄せながら
裕子は、少し懐かしそうに愛奈に語りかける。
「夏樹さんってね、ケーキが大好きなのよ?」
「えっ・・・?」
「しかも、いちごの乗ったショートケーキが大の大好物なの」
そう言いながら、目の前のショートケーキを見つめる裕子。
そんな裕子を見つめていると、愛奈にはどうしても疑問が生まれてきてしまうのである。
「だから、どうして裕子さんじゃなくて、うちのお母さんなんですか?」
「あら?愛奈ちゃんはショートケーキはあまり好きじゃないの?」
「いえ、そういう・・・う~ん・・・あのですね?」
「ふふっ・・・。でもね、私もそんな風に思った時も、正直に言うとあるのよ」
「裕子さんも?」
「ええ・・・。どうして私じゃダメなの?ってね。そんな自分も今では懐かしいけどね」
「ですよね~。でも、裕子さんはどうやって納得したんですか?」
「正直、分からなかったわ。なんとなくは分かってたつもりだったんだけど」
「なんとなく・・・ですか?」
「そう・・・なんとなく・・・」
「う~ん・・・どうして、なんとなくだったんですか?」
「あの人は、優しすぎる人だったから・・・きっと、今でも・・・」
あの人・・・?
愛奈は何気なく呟いた(あの人・・・)の言葉を口にする裕子にドキッとしてしまった。
それは、先日、夏樹に会いに行った時に見せた、愛奈の知らない、もう一人の裕子。
きっと、夏樹の前でだけ見せるのかもしれない、艶めかしい大人の色気と、ほのかな香り。
(あのひと・・・)たった4文字の短い言葉なのに、こんなにも雰囲気が変わってしまう裕子に
心乱れるような驚きと同時に、裕子が淡く弾くほのかな香りに、愛奈の中で憧れが生まれ始めていた。
「あら?どうしたの?」
「へへへっ・・・。というか、どうして裕子さんじゃなくてお母さんだったんですか?」
「夏樹さんと一緒にいる時の雪子を見たら、きっと、愛奈ちゃんにも分かるわ」
「まさか~そんな~。それじゃまるで、お母さんがいきなり魅力満点の女性に変身しちゃうみたいじゃないですか?」
「でも、愛奈ちゃんも見たでしょ?写真?」
「ええ・・・お母さんの写真を見た時はちょっと驚きましたけど、あれって写真だからとかじゃないんですか?」
「ふふっ、写真だったから綺麗に写っていたって思うの?」
「違うんですか?」
「ふふっ、夏樹さんといる時の雪子は、写真に写っている雪子よりもずっと魅力的な女性なのよ」
まさか~それはいくら何でもないような・・・。
普段のお母さんをずっと見てきた私としては、どこにでもいるような普通な感じだし。
それに、どちらかといえば目立たないというか、控えめというか地味というか・・・う~ん。
「どうして・・・?」
「だって~、美人で優しくて気遣いも出来て、その上、お料理だってシェフ顔負けの腕前なのに」
「そんなに褒めなくてもいいわよ」
「それにですよ?」
「それに・・・な~に?まだあるの?」
「裕子さんってプロポーションだってモデル顔負けですよね!」
「ふふっ、そんな事はないわよ」
「それなのにどうしてなのかな?普通の男性だったら100人中100人全員が裕子さんを選ぶと思いますよ!」
「それを言ったら、うちの旦那は幸せな人生をエンジョイ中みたいじゃない?」
「裕子さんにとっては、誰でもよかったんですよね?夏樹さん以外はどうでも・・・よかった?」
愛奈の突然急カーブする話題の変化球に別に驚く事もなく、優しい笑みで返す裕子。
「あれ・・・?」
「な~に・・・?」
「裕子さん、ちょっとは戸惑うかな?って思ったんですけど」
「あら?ちょっとは戸惑ったりした方がよかったのかしら?」
「ん~もう~・・・」
コーヒーと一緒に運ばれてきていたケーキの乗った可愛い絵皿を手前に引き寄せながら
裕子は、少し懐かしそうに愛奈に語りかける。
「夏樹さんってね、ケーキが大好きなのよ?」
「えっ・・・?」
「しかも、いちごの乗ったショートケーキが大の大好物なの」
そう言いながら、目の前のショートケーキを見つめる裕子。
そんな裕子を見つめていると、愛奈にはどうしても疑問が生まれてきてしまうのである。
「だから、どうして裕子さんじゃなくて、うちのお母さんなんですか?」
「あら?愛奈ちゃんはショートケーキはあまり好きじゃないの?」
「いえ、そういう・・・う~ん・・・あのですね?」
「ふふっ・・・。でもね、私もそんな風に思った時も、正直に言うとあるのよ」
「裕子さんも?」
「ええ・・・。どうして私じゃダメなの?ってね。そんな自分も今では懐かしいけどね」
「ですよね~。でも、裕子さんはどうやって納得したんですか?」
「正直、分からなかったわ。なんとなくは分かってたつもりだったんだけど」
「なんとなく・・・ですか?」
「そう・・・なんとなく・・・」
「う~ん・・・どうして、なんとなくだったんですか?」
「あの人は、優しすぎる人だったから・・・きっと、今でも・・・」
あの人・・・?
愛奈は何気なく呟いた(あの人・・・)の言葉を口にする裕子にドキッとしてしまった。
それは、先日、夏樹に会いに行った時に見せた、愛奈の知らない、もう一人の裕子。
きっと、夏樹の前でだけ見せるのかもしれない、艶めかしい大人の色気と、ほのかな香り。
(あのひと・・・)たった4文字の短い言葉なのに、こんなにも雰囲気が変わってしまう裕子に
心乱れるような驚きと同時に、裕子が淡く弾くほのかな香りに、愛奈の中で憧れが生まれ始めていた。
「あら?どうしたの?」
「へへへっ・・・。というか、どうして裕子さんじゃなくてお母さんだったんですか?」
「夏樹さんと一緒にいる時の雪子を見たら、きっと、愛奈ちゃんにも分かるわ」
「まさか~そんな~。それじゃまるで、お母さんがいきなり魅力満点の女性に変身しちゃうみたいじゃないですか?」
「でも、愛奈ちゃんも見たでしょ?写真?」
「ええ・・・お母さんの写真を見た時はちょっと驚きましたけど、あれって写真だからとかじゃないんですか?」
「ふふっ、写真だったから綺麗に写っていたって思うの?」
「違うんですか?」
「ふふっ、夏樹さんといる時の雪子は、写真に写っている雪子よりもずっと魅力的な女性なのよ」
まさか~それはいくら何でもないような・・・。
普段のお母さんをずっと見てきた私としては、どこにでもいるような普通な感じだし。
それに、どちらかといえば目立たないというか、控えめというか地味というか・・・う~ん。
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